【登場人物】
提督(名探偵)
クズ寄りのクズ
Gotland(ドクズ)
常に真実の愛を求めさまよう面倒くさい女
岸波(ゆるふわヘアー)
提督からは岸クン、ゴトランドから岸ちゃん
姉妹からは岸波だったり岸ちゃんだったり
タバコが吸いたい…ッ!その素敵な衝動が提督を行動させた!
大して仕事もない執務室に別れを告げ、今日も今日とて喫煙所へと向かう、喫煙所へ行く前に明石の店で菓子パンと缶コーヒーを買うのもいいかもしれない…ゴキゲンな間食だ、そんなコトを考えながら廊下を歩いていると、中庭のところで……
軽巡が駆逐艦を襲っていたッ!!
「くれるんでしょ!それゴトにくれるつもりなんでしょ!ねぇ?そうなのよね岸ちゃん!」
「違います!放して!放してくださ……あ!テイトク、丁度いいところに、助けてください!」
………ナニやってんだコイツら?
いや、待て、まずは見たままの状況から推理しよう、俺の役職は提督、名探偵だ、俺は岸クンが襲われている謎を解かねばならない
まずは現在の状況だ、執務棟の食堂の間にある中庭のベンチの辺りでゴトランド(軽巡)が岸クン(駆逐艦)を襲っている…
おそらくはレ●プが目的だろう、被害者である岸クンは夕雲姉妹の中でも独特な大人びたオーラとゆるふわウェーブのヘアーを持つ美少女だ、きっと将来は美人になるだろう
対して容疑者であるゴトランド、ノルウェーだかスウェーデンだかその辺からウチにやって来た軽巡なのか軽(航空)巡洋艦なのかよくわからない記憶の中でふわふわした存在であり、酒癖が悪くメンヘラ寄りでメンドくさい女だ…
彼女達は母国も艦種も違うがウチに来た時期が同じく、いわゆる同期と言うやつであり、同期のよしみなのか、意外にも仲が良い(一方的に)…
「岸ちゃん!岸ちゃんもそのつもりだったんでしょ!ねぇ?」
「ちょ…ホントやめて、やめてください!引っ張らないで…っ!」
岸くんが襲われている理由なんだ?やはり美少女だから…?たしかに岸くんは美少女だ、しかしそんな単純な理由でこんな人目につく場所で白昼堂々と犯行に及ぶだろうか?
もし俺が岸くんを襲うとするならどうするだろうか?正直なところ、俺はロリ●ンではないので岸くんにムラムラする気持ちがわからない、だがわからないなりに考えねばならない
だからこそ状況をよく観察しよう、岸くんの目はマジでイヤがっているし、ゴトランドの目は完全にケダモノのそれだ…
いや、よく見ると岸くんはナニか小袋を手にしており、ゴトランドはそのナニかを奪おうとしている、これは大きな進展だ
俺は今までゴトランドが岸くんの身体が目的だと思っていたが、どうやら岸くんが持っているその小袋が目的なのだ、つまりは強●が目的ではなく強盗が目的なのだ
そして岸くんはそれが大切なものなのか、必死にゴトランドに渡すまいと抵抗をしている、これが事件の真相だ
「頂戴っ!ねぇ!そのチョコ!ゴトにくれるつもりだったんでしょ?ねぇ!」
「違います!これは…姉妹で食べようと!とにかく放してください!あと提督も見てないで早く助けてください!」
「ん?あぁ、すまない」
事件の真相に辿り着いた後は実に清々しい気分になるものだ、こう…なんと言うか、平日に有給を取り、閑静な温泉地の旅館で朝5時から誰も居ない露店風呂でひとっ風呂浴びてチ●コさんに朝日さんがコンニチハするぐれー清々しい気分だ、うん
そんな清々しい気分の中、俺は助けを求める岸くんの声に応え、今まさに岸くんに襲いかかる北欧神話の怪物の肩を叩き、オイとひと声かけ、そのお腹に蹴りをブチ込んだ
ドゴォン!!(お腹キック)
「オゴォ!!」
「オイオイオイ、岸くんがイヤがってるじゃあないか?あぁ?俺は美少女が困っているのは見過ごせねぇタチでなぁ〜」
「ゲホッ!ゴホ……!クッ、ナニ?テイトクじゃない?なんでここに…?」
「美少女の危機にハンサムが駆けつけるのは当たり前だろーがマヌケ」
困っている美少女を颯爽と救うイケメンムーヴ!
難関国家資格!一級フラグ建築士には必須のスキルである!その用途は多岐に渡り、低レベルならチンピラを撃退!高レベルともなると魔王レベルの撃退が可能となる!
「だいたいなんだオマエは?岸くんはオマエにくれてやるモノは罵倒のセリフと侮蔑の眼差ししかねーってよ」
「ウソよ!!だってそれチョコレートなんでしょ!昨日渡し忘れたから今日ゴトにくれるつもりだったんでしょ!」
こ、コイツ…!なんて自信だッ!自分が岸くんからチョコレートを貰えない事をまるで考えていない!絶対的な自信と確信!
「…はぁ、チョコレートなら別のあげますから、コレはあくまで姉妹用なんで…」
「ホントに!?約束よ!」
「…えぇ」
そして岸くんのマジでメンドくさいヤツを見る目…
仕方ないから明石の店で板チョコでも買って渡せばいいかと考えている目だ…
「ほら見なさいテイトク!岸ちゃんは優しいんだけじゃない、こんなにも良い子なんだから!」ドヤァ!
「なんでオマエが誇らしげなんだドクズが」
「ありがとう岸ちゃん!来月には300倍にして返すからね!」
「いえ、別に返してくれなくていいです」
「もぉー!岸ちゃんは照れ屋さんなんだからー!」
でも岸ちゃんのそーゆートコが好きだわー!とか言いつつ岸くんにグイグイいこうとするゴトランドを心底メンドくさそうに肘で牽制する岸くんは本当に良い子なのだろう
「オイやめろよゴミランド、岸くんイヤがってるのがわかんねーのか?」
「ナニ言ってるの?イヤがってるワケないじゃない?ねぇ岸ちゃん!」
「いえ、かなりイヤですが…」ジッ…
「き……岸ちゃん!岸ちゃんのその目…!まるで心底メンドくさい女を見る目、故郷スウェーデンで何度となく感じたわ、ゴトが好きになった男はみんなそんな目をしてゴトから離れていった…ッ!ゴトは!!ゴトはこんなにも愛情を尽くしていると言うのに!!アルフレッドも!ステファンも!フレデリックも!みんなゴトから離れていった…ッ!!」
そーゆートコだよ、自覚ねーのかコイツ…タチが悪いな
「まぁ、たまに心底メンドくさいとは思いますが、別にゴトランドさんが心底嫌いと言うワケではないです」
さすがに言い過ぎたと思っているのか、岸くんはオブラートに包む感じでフォローに回った、こーゆー気配りできる岸くんは本当に良い子だと提督は思うし、岸くんはきっと将来ステキなお嫁さんになるだろう
「岸ちゃん……好きっ!!」ポロポロ…
「ちょ!!痛い!ゴトランドさん!痛い…っ!離れてください!」
「好き!好き!岸ちゃん本当に好き!!あ〜……岸ちゃんが男だったらなぁ〜、なんで岸ちゃんにチ●ポついてないのかしら?私、岸ちゃんのチン●スなら毎日丹念に舐めてお掃除するのに…」
「ヒッ…!ホントやめてください!ってか発想がキモいです…」
「あ、そーだ、岸ちゃんがチ●ポ生やせばいいのよ………ウフフ、そうだわ、それがいい、魔術的なものとかオカルト的なものに頼ればあるいは…」
ドゴォン!!(お腹キック)
「オゴォ!!」
「やめんか、岸クンが本気で引いてるぞ」
「うっ……ぅぅ!ゴホォ!ゲホッ、ゲホッ!痛いわ、ってかテイトクはさっきからなんなの!?ゴトのお腹蹴って!!」
「蹴りたいお腹ってヤツだな」
「ハラスメント!!」
次回
まるで獅子のタテガミの如き豪奢な金髪を靡かせ、帰ってきた黄金の最強戦艦(自称)