【登場人物】
提督(器)
過ちを認められる大人
Samuel B.Roberts(JCB)
通称サムくん、スカートの中がフリーダム
Iowa(I)
MAJORの大砲、ワリと面倒見がいい
Atlanta(A)
MAJORからの新たな刺客、そのロケットパイオツは一目で見る者を戦慄させる
「GO!SAM!GO!OK!COME ON!SAM!」
ある晴れた昼下がり、孔子の論語について考えながら廊下を歩いていると、トレーニング施設からミットを叩く軽快な打撃が聞こえてきたので何事かと思って覗いてみると、アイオワとサムくんがトレーニングに励んでいた…
「OK!OK!Nice girl…!OK、チョット休憩にしまショ」
「ハァ…ハー……ハー……Thanks、teacher…ハァ~…」
リングの上でOKOKとサムくんを抱き、アイオワはベリーナイスだわよとかなんとか言っていた
「よぉ、精が出るじゃあないか?」
「あら?Admiral」
「…ん?Hi Admiral!Samのtraining見にきてくれたノー?」
サムくんはリングから降りてキャッキャとハシャぎながらまとわりついてきたが、正直汗臭いのでまずは汗を拭くといいとその辺にあったタオルを渡してやった
「Thanks!アリガトー!」
「どういたしましてなのだよ」
MAJOR出身者は大抵そのワールドクラスの超性能と生唾ゴックンのダイナマイトボディが多いが、このサムくんに限ってはダイナマイトボディとはやや言い難い
しかし……提督はこのサムくんの中に確かな輝きと可能性を感じている
そして、それはおそらくこのダイナマイトパッキンガールアイオワも感じているのだろう
かつてこの子の才能をNYのスラムで見出したアイオワは友人のサラトガに“この子は宝物よ!”と嬉しそうに話したと言う…
「なかなか順調な仕上がりじゃあないかね?アイオワくん」
「マダマダ、この子はこんなモノじゃあないワ」
「…ジョンくんやフレッチャーくんにも勝てると?」
「You are not my match、メじゃないワ」
「OK、信じよう」
MAJOR No.1 ハードパンチャーのお墨付きだ、これほど信頼できる言葉はない
汗拭きタオルで流れる汗を拭いたサムくんは再び俺にまとわりつき、自然な流れで俺にベンチ!ほら!ここベンチ!座れよホラ!とベンチを勧め、俺が座った膝に自然な流れで着席した
「いや、提督の膝はベンチじゃあないのだが…」
「イーノイーノ!ネェ?」
「むっ…」
基本的に女子供にも容赦なく鉄拳を浴びせる事に定評のある俺だが、どうにもこのサムくんには弱い…
何故だろうな、彼女には俺にそう思わせる“何か”があるのだろう
「Sam、Drinkを飲みなサイ」
「Thanks」
「ソレト、疲労時にはアマイモンよ」
そう言ってアイオワが取り出したのは明石の店で売っている菓子パン、マンハ●タン…
まさか俺以外に買うヤツがいたとは……
サムくんはアイオワからマンハ●タンを受けとるとワイルドに袋から取り出してマンハ●タンにかぶりついた!
「ウメーウメー」
「サムくん、提督の膝の上でマンハ●タンのカスをボロボロ落とすのはやめてくれないかね?」
「え?ナニ?」
まぁ、マンハ●タンだから仕方ないか…
もし仮に、サムくんではなく白露姉ちゃんが同じ事をしたならば怒りのダブルニークラッシャーでダブルのニーを破壊していただろう…
そんなごくごく当たり前の事を考えていると、トレーニング施設の扉が開き、新たな人影が入室してきた…ッ!
「IowaとSamuel、あとは…………なんだ、テイトクか」
「Hi、Atlanta!アナタもtrainingしにきたノー?」
「冗談、誰か居るみたいだから覗いただけ」
一目でタダのロケットおっぱいじゃないとワカるロケットおっぱいッッ!!
ディフェンスの高さに定評のある秋月姉妹すら凌駕する驚異の高さを持つMAJORの本格派、アトランタくん…
その、アトランタくんはなんだつまらんと言いたげな顔をしつつテーブルにあったマンハ●タンの袋をワイルドに破って食べ始めた
「NO!!Atlanta!それSamの!」
「別にいいじゃない?まだいっぱいあるし、ケチケチするなよ」
「NOooooooooooo!!」
サムくんは俺の腹を勢い良く蹴り、アトランタくんにファーックスとか言いつつ飛びかかった…!!しかし!
「…フン」
避けられたッ!!
「ユルサナイ!!Atlanta!ワタシはyouが泣くまで殴ルヤメナイ!」
「チッ………ウッザ」
怒り狂うサムくんと対照的に、アトランタくんは右腕のみを上げ、身体の前に左腕をダラリと伸ばし…
「シッ!シッ!くんなよ」
「クッ!!」
迅い…ッ!!フリッカーか…ッ!!アトランタくんのフリッカーがサムくんの接近を許さない!
「あの構え…ッ!ヒットマンスタイルかッッッ!!」
「ソーヨ、Atlanta…彼女から制空権を獲るのはミーでも手を焼くネ…」
「なんと言うコトだ…」
アイオワ曰く、アトランタくんは入隊前、デトロイトのスラムストリートで猛威をふるっていたらしく、その、正確無比かつ冷酷無比なファイトスタイルは見る者を戦慄させ、あのイントレピッドでもダウンが奪えなかったと言う…
「マ、手を焼くダケでミーはKOしたケドネ!」
アイオワのマグナムストレートの前には生半可な防御や回避は無いに等しい
かつてデトロイト1のおきゃんだったアトランタくんを拳でわからせ、更生の為に軍に入隊させたと言うだけはある…
「シッ!シッ!」
「くっ!クゥゥ!!」
「ウッザいなぁ…無駄だっての」
やはり駆逐艦と防空巡ではウェイトもサイズも違いすぎるか、サムくんが間合いに入る隙がまるでない…
これは止めるべきかとその辺にあったタオルを手に取り、それを投入しようとする俺を、アイオワは右手で制し…
「おい、アイオ…」
「GO!SAM!6!7!1!」
パァンッ!!!(サムパンチ)
アイオワの掛け声と同時にサムくんがコンビネーションを放った!!いや……しかも、今のは……迅い!並の速さじゃあない!
「………コイツ!!」
そのスピード、そして精密さにアトランタくんも戦慄を隠せない顔をしている、そうか……ナンバーシステム!一切の雑念の無いまるで精密機械のような動き、サムくんは反射的に反応しコンビネーションを放ったのか…!
「………チッ、いい、もう飽きた」
アトランタくんは汗かいたと言って自ら構えを解き、シャワー浴びるからと言ってくるりと後ろを向いた
「Atlanta!マダ終わってないネ!Samはマダ怒り狂ってルネ!」
「チッ、ウッザ………はいはい、また今度遊んであげる」
「逃げるツモリ!」
「は?逃げるわけないし、あんまチョーシこくなよチビ、ハー……今日は見逃してやるって言ってんの?わかんないの?」
「キィー!!!」
俺は、ファーックス!と怒り狂うサムくんをまぁまぁ落ち着いて、そうイキリ勃たないでと紳士的に抑えていると、アイオワがアトランタくんに言った…
「それは、今日じゃなきゃOK、ってコト?」
「…そうね」
「OK、次はあのリングの上でヤリましょ?SamもそれでOKネ?」
「モチロンネ!!ギタギタにしてやるネ!」
「は?ナニ言ってんのこのチビ?」
「キィー!!!」