そんなワケでその⑮は〜…
【天涯無限】
【聖者の帰還】
…の二本立て、できればもうちょいペースあげたいのです
【天涯無限】
かつて、戦争があった…
7つの柱を破壊すべく深海将軍が待ち構える深海底神殿へと突入した若き海軍の提督達!数々の強敵達との死闘を乗り越え、ついに全ての深海棲艦を統べる深海の王と対峙した彼らはその神々にすら匹敵する圧倒的な力の前に仲間達は倒され、もはやこれまでかと思われたその時!地上の愛と正義を信じる心が奇跡を起こす!たった一矢、黄金に高められたその一撃はついに深海の王の野望を打ち砕くのだった…
ーーー
キュウシュウからさらに南、地図に一応載っている絶海の孤島…
かつての深海棲艦の脅威は激減し、軍縮の流れとなった海軍は全国の地方にあった基地の再編を開始、特に必要ではなかったり、不採算基地だったり、理由は色々あるがこれまで地域に根ざし、この海の愛と平和を守ってきた地方基地を容赦なく切り捨てる大粛清を敢行、多数の海軍将校達がリストラの憂き目にあった…
そして俺も…
「あー…クソ、釣れねぇなぁ〜…」
どう考えても上からの心証及び評価がよろしくなかった俺も粛清リストにバッチリ載っていたらしく、とりあえず最初はリスト…?いったいなんのリストだよてめーっ!とゴネてみたが、我が頼れる秘書艦から“1度も甲勲章貰ってないザコテイトクだからじゃないですか?”とディスられ、何故か納得した…
そんなワケ、無事に粛清リストに載った俺だったが、上からの最終的な判断は“島流し”…
この、四方を海に囲まれつつも力強く、そして雄々しく立つがぶっちゃけ何もない島に流されてしまい、大してやる事もなく釣りに興じているワケだが…
「よっ、釣れるっすかー?」
「さぁな」
そんな暇人オブ暇人、閑職ライフまっただ中の俺の背後から何者かが声をかけてきた…
「釣り人さんにちょいとお尋ねするんすけど、この島でメガネかけた口と性格の悪いまぁまぁハンサムな男知らないっすか?」
「さぁ?知らんな」
「ふむ、知らないっすか」
声をかけてきた女はそうすかとわかったようなわかってないようなコトを言いつつ頷き、その場を離れ…
「えいっ」
ドガッ!!!(ヒメキック)
「うげぇ!!」
背中から蹴りを入れられた俺は頭から海に転落した
「オイテメー!!いきなりナニしやがるんだコラァ!!」
「アヒャヒャヒャ、ナニ言ってるんすか?センパイが悪いんすよ、あんまりディスるのもアレなんで“まぁまぁハンサム”って譲歩してやったのに、アヒャヒャヒャ!」
人を海に転落させてゲラゲラ笑うこのクソ糸目女の名は日女ミコト、一応、俺の後輩である…
ーーー
「フーッ〜…で?何の用だ?」
「ちょっとケムいんすケド?タバコ消してもらっていいっすか?」
「今、火ぃ点けたばっかだろーが、ブッ殺すぞ」
忘らるる島拠点基地………いや、基地っーか小狭い事務所だけど、一応海軍の正式な基地である、たぶん
広さで言うなら昔、俺が居た基地の執務室よりやや広く、1階が事務所で2階が俺の居住スペースとなっており、平たく言えば住居兼事務所だ
その事務所に戻ってきた俺は冷蔵庫から取り出した麦茶とグラスをテーブルの上に置いた…
「や、そろそろ中央に来て貰いたいな〜…って」
「お断る」
「えー?なんでっすかー?前はあんな中央で権力を握ってやりたい放題したい放題!美女はべらせて札束プールに入って勝ちまくり人生したいって言ってたじゃねーっすかー?」
「俺がいつそんなゲスな野望を口にした」
「え?学生んトキ」
「………知らんな」
「あ、目ぇ逸らした!やっぱ覚えてるんじゃねーっすか!己の欲望バッチリ覚えてるじゃねーっすか!」
「えぇい!知らん知らん!だいたいアレだ、俺が中央に行ってなんになる?トイレ掃除人か?」
「や、だから私の私設秘書にしてやりたい放題したい放題コキ使ってやろーと…」
「フーッ〜…!」
モクモクモク…(副流煙)
「ぶへっ!!ちょ、やめてくださいっす!なんなんすか!?」
「だからそれがイヤなんだよ、誰がお前の部下になどなるか!お前の部下になるぐらいならクッ殺せだ」
「ナーニがクッ殺せですか、っーかそんなイヤがらなくてもいいじゃないっすか?ってかセンパイ、こんな何もない島で腐って死ぬつもりなんすか?」
「そうだよ、わかったら帰れ」
「あー!もう!めんどくさいこじらせ童貞っすね!」
「誰が童貞だ、そんなものは戦場に立つ前にとうに捨てたわい」
「ゴチャゴチャ言ってないで私と来るんすよ!ハイ!コレ正式な辞令!私の部下!いいっすね?」
ヒメは辞令と書かれた書類をテーブルに叩きつけ、俺はそれを手に取り……
ビリッ!ビリビリビリビリ!!(書類破棄)
「あー!!な、ナニをするだぁー!!」
「こんな紙キレ1つで俺をどうこうできると思うなよ女狐がーッ!!」
「クッ…!やはり腕っコキのハンター連れて来て蜂の巣にして連れて行くべきだったっすか…!」
「フーッ〜………だいたいだ、もう既に戦争は終わり太平の世、戦うことでしか己の価値を見出させない老兵など中央に居る意味はなかろう?」
そんなものは害悪でしかない、だからこそ、権謀術数に長けない戦うだけの多くの将兵は軍縮と共に軍を去ることになったのだ
「ナニが老兵っすか、まぁ…若くはないっすけど」
「わかったらさっさと中央に帰るんだな、お前にも家族がいるんだろう?」
「いねーっすよ、両親のツラは知らねーし祖父母っぽい人達は事故に見せかけた事件で死んでるし親戚ヅラしたキモいオヤジは一生病院から出てこれねー身体にしてやったっすからね」
…コイツ、結構闇が深いな
「まぁ、しいて家族と言うならペットのヴェーちゃんぐらいっすかね?」
「ペットとかゆーな、付き合い長い部下だろーが」
「まぁいいです、とにかく、センパイが私のモノになるまで何度でも!執念深く!執拗にここに来るっすからね!わかったっすか?」
「わかるか、っーか海軍大将がホイホイ気軽にこんなトコに来るんじゃねーよ、帰って仕事しろ、仕事」
「大丈夫!それはヴェーちゃんに任せてきてるっすから!」
「最悪だなオマエ!!」
後に、日女女史は長きに渡り海軍中央司令部の実権を握り続け、何度かの動乱を経て、この国の、世界の海軍史に“不世出の女帝”として名を刻まれる事になる…
しかし、この海の全てを手にした不世出の女帝は晩年、今際の際に“自分はあらゆる価値の無いものだけを手に入れた”と言った後に静かに息を引き取った…
《あ、センパイ、どこ行くんすか?》
《便所》
《マジっすか、じゃ、ご一緒します》
《アホか、っーか冗談だバーカ、ハァ………オイ、今から地獄の国盗り行くけどオマエも来るか?》
《マジっすか!行く行く!いの一番にイイ席予約してくださいよ!》
《やかましい》
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【聖者の帰還】
かつて、戦争があった…
海軍VS深海棲艦、海軍本部頂上決戦!大事な仲間を殺られ怒り狂う深海棲艦達、海軍の卑劣な罠に嵌りピンチに陥った深海棲艦達だったが深海棲艦のヘッド、中枢棲姫はその命を燃やし、禁断の自己犠牲自爆技で海軍本部に深刻なダメージを与えた、しかし、この頂上決戦で双方が得たものは無く、むしろ失ったものが大きく、多過ぎた…
互いに指導者を失った海軍と深海棲艦はこれ以上の戦いは無益と感じ、戦争はただ、静かに終わった…
ーーー
深海棲艦との戦いも終わり、役目を終えた海軍、そして艦娘達…
各地で役目を終えて解体されていく地方の基地の1つである我が基地も役目を終え、今まで苦楽を共にしてきた仲間達に提督として、基地司令として俺は最後に“お前らと俺はここで別れる!”と言葉を贈りバカどもを気持ち良く送り出した
ワシのコトが嫌いじゃあなければまた会おう!マヌケヅラぁ!と感動の別れを済ませ、それぞれが姉妹達と祖国や故郷へ帰って行ったのだが………
盛大な解散式が終わり誰もが去ったハズの体育館に、1人、残っているヤツがいた………
「…みんなはいいね、家族も…姉妹もいて…」
体育館の隅に1人……いや、正確には連装砲ちゃんが3匹いたんだが……まぁ、この場合は1人と言うんだろう
ブッ飛んだファッションセンスに定評のある足の速い駆逐艦………島風は体育館で体育座りしつつ連装砲ちゃん達に話しかけていた
島風に姉妹は居ない、そしてあの様子を見るに家族もいないし、帰るべき家もないのかもしれない…
“孤独”…
今までは基地に仲間達が居て独りきりではなかった、だがこれからは…
「独りはつれーってばよ…」ポロポロ…
………まぁ、さすがに俺も善人と言うワケではないが邪悪の化身と言うワケでもない、多少なりとも人情と言うものがあったのだろう、俺はそんな島風の頭に手を置き“ラーメン食いに行くか?”と声をかけると島風は涙を拭って立ち上がった
「うん!うんうんうんうん!!行く!行く行く行くぅ!」
「よし、じゃあ行くか」
「ねー!チャーシュー足していい?ねー?」
「そうだなぁ、俺より早くラーメン屋に着いたら考えてやる」
「ホントに?約束だよ!約束だってばよ!」
こうして、だってばよ!だってばよ!とうるさい島風にまとわりつかれたのが運のツキってヤツだったのだろう…
ーーー
海軍解体から早数年…
軍属から解き放たれ、無職となった俺はさっさと職に就かねば食っていけない、しかし今更再就職も怪しいので退職金を元手に商売を始めたワケだが…
ジリリリリん♪(電話)
「はいもしもーし?スピード解決☆ストレイトでーす、浮気調査ですかー?密室殺人ですかー?」
「んなワケねーだろ、貸せ………あぁスイマセン、お電話代わりました、はい」
キュウシュウのとある市街地で便利屋を開業したワケだが……なんと言うかアレだ、世の中そんなに浮気ばっかしているのだろうか?
「…はぁ、やれやれ、オイ島風、ちょっと出てくるわ」
「殺人ですか?」
「んなワケねーだろ、そりゃケーサツの仕事だ!俺らの仕事は素行調査だ」
「えー…素行調査って、どーせクロですよ、クロ、浮気確定、スピード解決」
「やかましい、で?どーすんだ?来るのか?来ないのか?来ないならお前絶対電話取るなよ」
「モチロン一緒に行きます!ほら、駅の掲示板に“もう後がない!”ってサインがあるかもしれません!」
「それは俺の仕事じゃなく冴●さんの仕事だ」
「そんな…っ!じゃあテートクのニュースーパーブラックホークはいつ火を噴くんですか!」
「できれば火を噴かせたくねぇの!物騒か!」
物騒なコトしか言えんのか、この痴女は…
だが、まぁ、見た目は相変わらずのブッ飛び痴女ファッションだが話してみると意外と礼儀正しく真面目な島風を正式に養女として早数年…
相変わらず友達は居ないらしいが、無事にコイツを常識的な一般校に入学させた俺はこうして日々、真面目にコツコツ労働に勤しんでいた…
「ところで島風、学校はどうなんだ?学校は、ちゃんと真面目に制服着てるだろうな」
「着てるってば!」
「ならいいが……年頃の男子なんてのは頭の中はS●Xとエ●しかない野獣だからな、私服のお前なんか見た日にゃ毎日オ●ネタにされてみんなのオ●ペット確定だぞ」
「失礼な!この服のどこがオ●ペットなんですか!」
「まずそのローライズだ、スカートがスカートの意味を成してない」
「…そうですか?」
「そうだ、ま………くれぐれもクラスの男子には気をつけろよ、もしお前になんかあったら容疑者全員コイツを口の中に突っ込んで俺の娘に色目使ったコト後悔させつつ異世界転生させてやるからな、ガハハハハ!」
「物騒か!!さっき火ぃ噴かせたくないって言ったじゃん!?」
「ま、仮にお前がカレシとか言って俺の前に連れて来ても弾くケドな、ガハハハハ!」
「過保護か!!」
軍属を離れ、単なる気まぐれから迷い猫……いや、迷い兎?を拾ってみたが……まぁ、これはこれで残りの人生に退屈を感じずに済んだみたいだし、意外と悪くないのかもしれないな
次回はたぶん⑯