【登場人物】
提督(見えない系)
妖精?プラズマだよ、プラズマ!
江風(赤いの)
白露姉妹の九女、一見バカそうに見えるが学力テストの成績はホントに悪い
値上がりにもめげず、モクモクしちょるだけの哀れな敗北者とディスられてもなかなか止められないのが僕の悪い癖、そんなコトを思いつつ、自販機コーナーで缶コーヒーでも買って喫煙所にでも行くかと考えていると、自販機コーナーのベンチでなんか見覚えのある赤いのが何かを読んでいた…
「よぉ、え〜………オマエは、エカゼ?」
「江風だよ、カ ワ カ ゼ!」
プッツン駆逐艦姉妹、白露姉妹の九女、江風クン
熱血漢の証である真っ赤な髪とそれに見合ったワイルドさを持つ姉妹きってのハリキリ・ボゥイであり、かつては未完の大器と言われていたが数々の死闘の中で遂に覚醒、選ばれた天才達しか開くことができない“ゾーン”の扉をこじ開け、あの“
「ナニ読んでたんだ?エロ本か?」
「ちげーし、コレ、資格のやつ」
「なんだ、ユーキ●ンか…」
自販機コーナーに設置してあるよくわからん雑誌棚には定期的にユーキ●ンだの求人案内的な冊子が挿さっており、たぶん誰かがマメに入れ替えているのだろう…
「資格でもとるのか?おススメはやっぱ一級フラグ建築士だぞ」
「ンなの、いらねーし」
「バカ言ってるじゃないよこの子は、一級フラグ建築士持ってるといいぞ!モテモテだからな!」
「別にモテたくねーし、なァ?もーちょい実用性があってカッコイイのねーのかよ?」
「ねぇよ」
ナニ言ってんのかねこの子は、資格にカッコイイもクソもあるかってのな
「…あ、そういや俺もそろそろ提督免許の更新だったか…」
「え!?テイトクって免許制だったの!?」
「そうだよ」
海軍本部が発行する提督免許、3〜5年に1回免許の更新が必要であり、期間内に違反行為などで憲兵にしょっぴかれたりすると違反点数が加算され、やりすぎると免停喰らったり、最悪免許取消の憂き目にあったりする
「へぇ〜運転免許みてーなンだ」
「そうだよ」
「そもそも違反行為ってナニやったら違反になンだよ?セクハラとか?」
「そうだなぁ〜…一時停止無視(大破進軍)とかだな、俺も若い頃はよくやったな、ハッハッハ!」
「サイアクじゃねーか!!っーか笑いゴトじゃねーし!」
若い頃はスリルとか求めたり、大破進軍してるオレカッケーみたいな風潮があったりするが、もし、キミが今もそんな気分で艦隊指揮をしているのならすぐにやめなさい、注意一秒轟沈一発、取り返しがつかない事になる前に(戒め)
「っーかよ、テイトク免許って誰でも受けられンの?」
「いや、たしか年齢制限はあるな……R-18、18禁だな!」
「言い方!」
かつて提督免許センターに長蛇の列が作られ人数制限するほどの人気資格だったのも今は昔、最近は特に並ぶ必要もなく、また、年齢制限のないアーケード限定免許などもあるらしい…
「っーかテイトクって妖精見えてなきゃなれねーンじゃねーの?」
「妖精?ハハッ、ナニ言ってるのかねこの子は、メルヘンやファンタジーじゃあるまいし……妖精なんか存在するワケがないのだよ」
「や、わりとそこら歩いてるし、っーか今、テイトクの足元あたりにいるし」
「バカ言ってるじゃないよこの子は」
一般的には提督免許を取るにあたり、ほぼ必須になるのが妖精さんとの意思疎通らしいが、そんな居るか居ないかもわからん記憶の中でふわふわした存在を俺は信じていない
まぁ、たしかにたまに目の端に変なのが見えたり、廊下の隅でぼや~っとした存在が見えることもあるが、たぶんそれは疲れ目だろう
「よくそれでテイトクやってンのな…」
「やかましい」
江風はベンチの下に手をやり、ナニかを掴むような動作で持ち上げ、手のひらを俺に見せた
「今、アタシの手のひらに妖精乗ってる、ヘルメットのやつ」
「そんなワケないだろ」
「えー?マジで見えてねぇの?マジでー?」
江風は妖精がいると言い張る右手を俺の顔にグイグイ押し付けてきた
「やめんか!汚らわしい!」
「汚らわしいとかゆーなよ!妖精サンがカワイソーだろーが!」
江風は手のひらに乗ってる?妖精さん?に妖精サンは汚らわしくねーよ、ウン!大丈夫大丈夫、泣かないで!涙を拭いてと励ました
「ほら、テイトクから謝ってやれよ」
「俺は悪くない」
「いいからほら!謝れって!妖精サン怒らせたら色々面倒があンだよ!」
んなコト言われてもなぁ、見えないものに謝るとかマヌケなコトはしたくないのだが…
ビタンッ!!
「って痛い!!ホッペが痛い!!」
な…なんだ今のは!まるでナニか小さき者から頰に痛烈なローキックを喰らったような衝撃は…ッ!!
「ほらぁー!妖精サン怒ったじゃねーか」
「今のが妖精の仕業だと……?フン、バカバカしい、そんなワケあ………痛い!!目になんか刺さった!!」
「あーあ、こりゃ相当キレてるわ」
クッ!この痛み…!姿は見えないがたしかに気配を感じる!!ナニか小さいものが俺を攻撃している!攻撃は既に始まっているッ!!
「江風ェ!キサマの仕業か!どーゆー能力かは知らんが…!」
「見えたか?気づいたか?それが妖精サンだよ」
「そんなワケないだ…痛い!!鼻のアタマが痛い!!」
クッ!攻撃の気配はなんとなくワカるが、攻撃の発生がわからない!
「テイトク!はやく謝った方がいいって!」
「イヤだね、クッ……この俺をここまでコケにするとは!そのチンケなパワーでこの俺を倒せるものか!」
メラ……メラ……メラァ……(火)
「熱ッ!!バ、バカな!ポケットに入れていたライターがひとりでに発火している!!う、ウオオオオオォォォォォ!上着を!上着を脱がなくてはーッ!!」
火の点いた上着を急いで投げ捨てコトなきを得たが……クッ、コイツはかなりヤバい!コイツ……無敵かッ!!
「はやく謝るンだ!テイトク!一言!たった一言謝ればいいンだよォォォォォ!」
「いいや!絶対に謝らねぇ!!ナニが妖精だ!かかってこいやコラァ!!俺は提督様だぞ!」
この後、俺は見えない敵である妖精(仮)に執拗に鼻毛をブチ抜かれるなどの攻撃を受け、コイツ…無敵か!と諦めかけたが、たまたま廊下を歩いていた対妖怪等のスペシャリストであるキタローくんに助けを求め、キタローくんはビンタ一発で見えないけどナニかを祓ってくれた
その後、キタローくんは江風がドン引きするほど執拗に廊下に転がるナニかを足で踏みつけていたのを見る限り、きっとかなり強い悪霊だったのだろう…