不健全鎮守府   作:犬魚

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不健全なんてもう古い!どこに出しても恥ずかしくない、パンツじゃないから恥ずかしくない健全鎮守府

新提督 VS 鈴谷

【登場人物】

睦海少尉(新提督)
ナリは小さいけど夢は大きなフレッシュな新人
一応、性的なことに興味あるけど興味ない感じで装うこじらせ童●気味

鈴谷(自称メインヒロイン)
鈴谷のパンツ?あーダメダメ、鈴谷そんな安い女じゃないから、味噌汁で顔洗ってきなよ


ようこそ 健全鎮守府②

前回までのあらすじ…

新提督、4万ドルの勝負に負ける

 

 

□□□

 

拝啓、姉さん

この春、ボクは無事に海軍兵学校を卒業し、色々ありましたがついに艦隊司令として配属されることになりました…

配属先は地方の基地とは言ったもののかなりの規模があり、まだ右も左もわからない状態ではありますが、配属先の艦娘はみんな良い子達です、だから心配はしないでください、本当にボクは大丈夫です…

 

「はぁ…」

 

ここに来て早3日、海軍きっての問題児達が集められたブラック鎮守府と噂されていたこの基地に来てわかったコトが3つある

 

1つは、提督による艦娘への虐待、所謂、性的な奉仕などは特に行われていなかったと言うコト…

何人かの艦娘にヒアリングをしてみたが、前の提督は風紀にはわりとうるさかったらしく、やれスカートが短いだの露出が激しいだの口うるさかったとの声を聞いた

 

ただ、日常的にセクハラめいた言動はあったらしく、挨拶代わりにおっぱ……胸や尻を触られたなどはあったらしいけど…

 

もう1つは資材に関して、ブラック鎮守府では提督による資材の横流しや私的な流用などデフォでござるでしょうと友人の肝汚太くんが言っていたが、この基地、燃料や鋼材などの資材に関してはやたらとキッチリしていたらしく、倉庫を開けてみたら各資材が350000づつ、高速修復材も3000とおそろしく貯め込んでいた……

 

五月雨曰く、資材が完璧に整ってないと出撃許可を出さない石橋を叩くどころか石橋を一度破壊し現在の安全基準に則った安心安全な橋を作ってから渡るクソめんどくさいタイプだったとか…

 

「陸海少尉、コーヒーをどうぞ」

 

「ん、あ、あぁ…ありがとう」

 

そして最後の1つは……

 

五月雨の淹れるコーヒーはやたらとマズいと言うコトだ

 

何故こんなマズいコーヒーを淹れてそんな誇らしげな佇まいでいられるのか理解に苦しむが、ハッキリ、マズいと本人に告げるのもアレなので我慢して飲んでいる…

 

「どうです、新生活の方は?慣れましたか?」

 

「まだ3日目だからね…」

 

とりあえずここに来て、基地の中を色々見て回ったけど必要設備がボロかったりとか艦娘達が生活する上で何か 致命的に困るようなものは見当たらなかった…

あえて目についたとすれば、駆逐艦の寮かな…?なんかやたらと壁にラクガキされてたり、駐車場に所謂DQNカーが駐車されているのが目についたぐらいだろうか…

 

「あ、そう言えば五月雨、戦艦寮なんだけど…」

 

「戦艦寮がどうかしましたか?」

 

「なんか地図上では奥の方にやたら広い謎の区画があるんだが…」

 

「あぁ、そこは金剛姉妹専用寮、通称、天動宮です」

 

「て…天動宮?」

 

なんだそれ?前の提督はそんな特別扱いを許していたのか?

 

「一応警告しておきますが、天動宮に文句言ってやろうとか考えているなら考え直してください、死にますよ」

 

注意ではなく警告ときたか………と言うか、死にますよってなんだよ!死にますよって!

 

「金剛さんはもう何年もこの基地の暴の頂点に君臨し、裏から基地を支配してきたこの基地の“帝王”です」

 

五月雨曰く、表の支配者である前の提督と裏の支配者である金剛は互いに反目し合っていたらしく、前の提督は常に金剛に命を狙われていたらしい…

 

「いやいやいや!なんだよそれ!おかしいだろォ!?」

 

「何がですか?」

 

「何がですか…って、自分の基地の提督の命を狙う艦娘って時点でアレだろ」

 

「まぁ、よく考えたら金剛さんだけじゃなくて隙あらば大和さんにも命狙われてましたね…」

 

「大和ォ!?」

 

大和って……え?あの戦艦大和だよね、前にクレで1回見たことあるけど、なんと言うか……ザ・大和撫子!みたいな気品のある凄い戦艦だ、兵学校時代、クレでその戦艦大和を見た時に戦艦大和がこちらに気付いて手を振ってくれた時は同級生の何人かがカルチャーショックで失神したほどだ…

 

「大和さんの中には提督の地位を狙う邪悪な大和さんと正義の心を持つ大和さんが常に戦ってるんですよ」

 

「え?なにそれ、怖い…」

 

に、二重人格と言うやつだろうか…

五月雨曰く、本来なら次の提督には戦艦の中でも仁・智・勇に優れた大和か長門かで悩んだが、大和の中にとてつもない邪悪が潜んでいる気がすると常々悩んでいたとか…

 

そんな唐突かつ途方もない話を聞いていると、執務室の扉を叩く音がし、こちらの返答を待たずに扉が開いた

 

「ティーッス、鈴谷が遊びに来ましたよォ~」

 

…鈴谷と名乗る少女?いや、艦娘か…

艦娘はヘラヘラ笑いつつ執務室に入ってくると応接用のソファーに座り、五月雨になんか冷たいのない?と声をかけた

 

「あれ?テイトクは?」

 

「提督なら左遷されました」

 

「は?マジで?ナニやったの?レ●プ?」

 

いきなりレ●プとか………やはり前の提督は相当アレだったのだろうか

 

「そんなワケないじゃないですか、別件でしょっぴかれてデスク●ーン島送りになりました」

 

「ふ~ん」

 

鈴谷は大して興味なさげに相づちをうちつつ五月雨から手渡された麦茶に口をつけた

 

「ふ~………で?その子誰よ?」

 

「新人で提督(仮)の陸海少尉です」

 

もうちょいマシな紹介はないのだろうか?いや、まぁ、たしかに(仮)なんだけど…

 

「へぇ~新人かぁ~」

 

「陸海です、よろしく」

 

「私、鈴谷、よろしくねー」

 

そう言って鈴谷はヒラヒラと手を振ってくれたが……

なんと言うか、座ったままテキトーな挨拶とか失礼な艦娘だな、見た目、なんかギャルっぽいし…

やはりこーゆーところは正していかないとな!

 

「え~…鈴谷、だっけ?」

 

「そうですけどー?」

 

「執務室に何か用があって来たのか?」

 

「遊びに来たって言ったじゃん」

 

遊びに来た………遊びに来た、か

本来なら執務室は遊びに来るような場所ではないのだが、前の提督はそこら辺が緩かったのだろうか

 

それとも、遊びに来るぐらいだから前の提督とこの鈴谷はそれなりに友好的な関係だったのだろうか?まぁ、少なくとも提督に対して悪い感情を持っていたと言うワケではないだろう

 

「鈴谷、執務室は遊びに来るところじゃない」

 

「へいへい」

 

「わかったならそれでいいよ」

 

「へいへい…………って、ナニ?出てけとか言わないの?」

 

「いや、別にそこまで言うつもりはないけど…」

 

正直、遊びに来るぐらいフランクな関係は決して悪いとは言わない、公私をわきまえるコトが前提だけど…

 

「へぇ~……提督は鈴谷が来た瞬間、死ねだの消えろだの言ってたのに」

 

…………フランクな関係だったのだろうか?

 

「あげくに鈴谷のコトをビッチとかディスるし!どーよ?ね?新提督は鈴谷のコトどう思う?ビッチじゃねーよね?」

 

そう言って立ち上がった鈴谷はボクに近付きグイグイきた、いや、近い!近い近い近い!って胸、でか……やわらか……いや…不可抗力!不可抗力!

 

「いや、離れて…!ちょ、離れてくれ!」

 

「なんなの!?パンツ見せよーか!」

 

「ハー…ハー……別にボクはその……ビッチとかそうは思わないし、パンツも見せないでいい」

 

「あ、そーなの」

 

あー…ビックリした、やばいやばい、艦娘は基本的に美人な娘が多いし、いきなりあんなグイグイこられたらビックリするよ

兵学校の友人、肝汚太(キモオタ)くん曰く、艦娘は見た目美少女ばかりなので提督の権威とか圧力をふりかざして性的な関係を迫るだけでなく幾多の死線を共に乗り越えピュアな恋愛関係に発展する場合もあるでござるでしょう!と言ってたし……これは勘違いする者も多いハズだ

 

「ま、いいや、新テイトク、ゲームしよーぜ!ゲーム!」

 

「ゲーム?」

 

そう言って鈴谷は執務室の戸棚の奥からなにやら家庭用ゲーム機のようなモノを取り出した…

戸棚の奥までは見てなかったが、前の提督の私物だろうか?

 

「さっ!ヤろーぜ!」

 

「ヤろーぜ、じゃない!まだボクは業務時間中だ」

 

「えー!いいじゃーん!ヤろーぜぇ~!鈴谷とヤろーぜぇ~!鈴谷ヤリたくてヤリたくて仕方ないんだって」

 

そう言って鈴谷はボクにねー?ねー?と誘う、えぇい!イチイチなんかエロいなこの娘ッ!

 

「やらない、片付けなさい」

 

「まぁまぁ陸海少尉、ちょっとぐらい息抜きしてもバチはあたりませんよ」

 

「五月雨…」

 

「部下とのたわいもないコミュニケーションと言うものも組織的にはわりと大切なものですよ」

 

ふむ、たしかに五月雨の言ってるコトも一理ある気もする…

 

「…よし、いいだろう、1回だけ付き合ってやる」

 

「よく言ったし!じゃ、ゲームはK●F98でいい?」

 

「構わない」

 

ゲームは格闘ゲームってヤツか、見たところ最新のゲームってヤツじゃないみたいだが…

まぁ大丈夫だろう、ボクだって友人の肝汚太(キモオタ)くんに付き合ってそれなりにTVゲームはやっていた世代だ、むしろボクの世代から見れば、もう飽きたよと言っていいぐらいの格ゲーだな

 

よし、ここはひとつ!提督の威厳ってヤツを………

 

『どぉしたぁ!どぉしたぁ!!』

 

提督の威厳ってヤツを……

 

『泣け!叫べ!そして死ねェェェ!!』

 

威厳ってヤツを…

 

『フフフ…ハハハハハ…ハァーッハッハッハッハ!』

 

………威厳を

 

「うわ、ざっこ、新テイトク、弱すぎ」

 

「ま、待て待て待て!待ってくれ!もう1回!もう1回やろう!今のはまだ勘を取り戻してなかったからだ!」

 

「別にいいけどー」

 

ざ……ザコ?いやいや、そんなワケがない、TVゲームなんて久々だし、うん、久しぶりだし!

 

『泣け!叫べ!そして死ねェェェェ!!』

 

久しぶり…

 

「うわ、ザコすぎ…」

 

「待て待て待て!!待って!もう1回!もう1回もう思い出した!昔の勘取り戻したから!全盛期になったから!」

 

「別にいいけど…」

 

ありえない…ッ!!かつて肝汚太くんとゲームをやり込んだボクがここまで一方的に負けるなんてことは…

 

『そのまま死ね』

 

負けるなんて…

 

「ハァ〜………もぉ、いいや」

 

「待て!!待て待て待て待て待て!!まだだ!!」

 

「ハァ?鈴谷弱いモンいじめとかシュミじゃないし」

 

「ボクは弱いモンじゃない!」

 

「や、フツーにザコいじゃん」

 

嗚呼そうか…テイトクもこんな気持ちだったのか…と呟き、鈴谷はゲーム機の電源を引っこ抜いた

 

「鈴谷に相手して欲しかったらもうちょいデキるよーになってよね、ま、鈴谷に勝てたらパンツくれー脱いでやるよ」

 

「クッ…!」

 

そう言って鈴谷はまるでアデュー!とでも言うよに二本指を立てて無駄にスタイリッシュに執務室から去って行った…

 

「くっ…!!クソォ!!クソォォォォ!!」

 

生まれて初めてだッ!!こんな屈辱感は…ッ!!たかがゲーム!されどゲーム!ゲームに負けたことなんか今までだって何度もあるが、これほどの屈辱は初めてだ!

 

「まぁまぁ、陸海少尉…」

 

ゲームパッドを持ったまま打ちひしがれたボクの肩を軽く叩き秘書艦(仮)はこう言った…

 

「ま、こーゆーコトもありますよ」

 

笑顔で…!


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