不健全鎮守府   作:犬魚

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勝ち残るとは屍を越える事だ…決して美しい事じゃない、むしろ残酷な事なんだ、それでも頂点に立ちたいと言うのなら ……鬼になれ!

【登場人物】

提督(変化A)
球種は全てファックボールのみの生粋のファックボーラー、7人連続デッドボールで退場した

速吸(球速S)
MAX163キロ右の豪腕、足も結構早い




提督と速吸と春シーズン開幕

「よぉしいいぞォ!イイ感じだあっ!」

 

「ありがとうございます!かなりイイ仕上がりみたいです!」

 

列島を震撼させたヤキュウ……いや、ベースボールの祭典も終わり、当基地でも来週からいよいよシーズンが開幕する、“国宝”とよばれる豪腕ピッチャー速吸クン擁する大鯨ホーエヌスは開幕から古鷹さん率いる殺天エンジェルスと3連戦

前シーズン、夏に肘を痛めて戦線離脱を余儀なくされたエースである速吸クンだったがアメリカで最先端医療を受けて無事に完治したらしく、今日は俺とキャッチボールをしていた…

 

「今年は開幕から全開で投げれますね!」

 

「いやいや、いきなり全開は……まずは様子を見つつになるじゃあないかなぁ」

 

万年Bクラスである大鯨ホエヌーズが存続できるのもこの速吸クンと言う国民的スター選手がいるからである

 

…しかし、開幕戦の相手は盤石の強さを持つ殺天エンジェルス、かつては国産重巡のみで構成された古き良き硬派さを持っていたが近年はMAJORからの電撃移籍も受け入れており、安打製造機と呼ばれるMAJORの安打職人ヒューストンくんや頭脳的リードで打者をキリキリ舞いにさせる捕手のノーザンプトンくんが加入し、今やモンキー並みの知能指数しかなかったバカどもとは言えなくなっている

 

「まぁでも、たしかに、開幕戦で速吸クン対古鷹さんのエース対決はギャラリーが望むものではある」

 

「ですよね!」

 

速吸クンの100マイル超えと古鷹さんの44ソニックの投げ合いは互いに点が入らない事に定評がある

 

「ま、ムリしない程度でガンバってくれたまえよ」

 

「はいっ!」

 

俺の投げた球を軽くキャッチし、ありがとうございましたー!とキチンと頭を下げてお礼が言える速吸クンはナイスガッツ体育会寄りなのだろう…

 

朝のキャッチボールを終え、タバコでも吸うかとベンチに座って速吸クンから貰ったスポドリをガブ飲みしていると、グラウンドの向こう側から軽巡集団が走って来た…

 

「ハァ…ハァ………ウゲェ!」

 

「ヒィー…!ヒィー!」

 

「阿武隈ァ!!鬼怒ゥ!ガッツが足りてないよガッツが!ガッツがあればまだ辛くない!」

 

誰よりもナイスガッツ溢れるナイスガッツの化身、ナイスガッツ陸上部のナイスガッツ長良主将のアツいナイスガッツの鼓舞が響く中、走り込みと言う名のナイスガッツトレーニングをする長良姉妹…

 

「あ、長良主将!」

 

「ん…?速吸!!アナタもトレーニング中?いいね!」

 

「あ、いえ、私はテイトクとキャッチボールしてて…」

 

「そうなの!!それは健康的ね!」

 

相変わらず声デケぇな、長良主将は…

まるでナイスガッツの精神が形になったようだ…

 

長良主将が立ち止まってくれたおかげか、鬼怒と阿武隈はここぞとばかりに前のめりに倒れ込み、自然な流れで休憩する高度なテクニックを使用したのは俺じゃなきゃ見逃していただろう…

 

「大丈夫か?オマエら、何時から走ってた?」

 

「……………4時」

 

「タスケテ……オネガイ………タスケテ…」

 

4時かぁ〜…長良主将はめっちゃTOUGHやし、誰でもナイスガッツさえあれば大丈夫と心の底から信じているせいか、加減と言うものが無い

 

「速吸クン、彼女たちに冷たいドリンクを」

 

「あ、はいっ!」

 

速吸クンはベンチに置いてあるクーラーボックスからキンキンに冷えたドリンクを取り出し、長良主将とグラウンドに倒れた鬼怒と阿武隈に手渡してやった

 

「キンキンに冷えてるわ!!」

 

「長良クン、名取クンと五十鈴さんと由良さんは周回遅れかね?」

 

「名取は朝ごはんの用意するからって25キロでアガりました!五十鈴と由良はなんか対潜希望の子に指導があるからって今日は不参加ですね!!」

 

…声デケぇなオイ、っーか五十鈴さんと由良さんは体良く逃げやがったな

 

「そうかね」

 

「テイトクと速吸も一緒に走りませんか!!」

 

「いや、提督は既に全身がズタズタなのでヤメておくのだよ、速吸クンも来週からシーズン始まるし…」

 

「そうですか!!」

 

長良主将はアツく返事をしてドリンクをイッキに飲み干し、さあ!まだ今日の走り込みは終わってないぞと鬼怒と阿武隈にアツいナイスガッツを奮い立たせ!とまるで三人四脚のように立ち上げてアツく走り出した…

 

「タスケ……タスケテ……」

 

タスケテと力無く手を伸ばし引きずられてゆく2人の姿を見て、俺が無意識にとった姿は敬礼だった、声はかけなかったが無言のナイスガッツがそこにはあったのだろう

 

「…あの、さすがにちょっとヒドくないですか?」

 

「ヒドくはない」

 

…4時からか、そろそろ名取クンの作ってくれた味噌スープが冷めちまうんじゃあないだろうか?

 

「速吸クン、マミー屋で軽く朝食でもどうかね?」

 

「そうですね」

 

◆◆◆

 

基地と言う暗闇の中に存在する煌びやかな別世界、日々疲れた旅人(オトナ)達が命の水を求めて辿り着く場所、倶楽部HO-SHOW…

 

「でよぉー!今年の速吸クンから打つのはよぉー!」

 

「フーッ〜………へぇ、そうさね」

 

愛用のやたらと長いキセルのケムリを吐き出し、棚に置いてあるラジオを叩くビッグ・ママはまた壊れたかねとケムリを吐いた

 

「ババア、景気づけにシャンパン開けよーぜ!シャンパン」

 

「誰がババアだい、ったく…いつまでも口の減らない若僧(BOY)さね」

 

「誰が若僧(BOY)だ、テメーこそいつまでもガキ扱いしてんじゃねーよ」

 

「フーッ〜………あ、そうそう、そういや新聞に古鷹んトコ、新しい外人が入るとかなんとか書いてあったね」

 

「外人?またMAJORかよ」

 

「なんて名前だったかねぇ…たしかタスケテーナとタスカルーザーとか…」

 

なんだよ、その中日あたりに居そうな新外国人みてぇな名前…

 

「ま、外人さんのコトはよくわからんさね」

 

「それな!ギャハハハハハ!」

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