逆襲のオーク ~オーバーロード~   作:脳筋プレイ

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理由

拠点では宴の準備をしている間に勲司は外で待機しているノエミに会いに行くためムルグに一言告げてから拠点の外の向かった。

 

「周辺はどうだった?」

「はい、特に変わりありません。ここを中心とした周辺を調査しましたがトロール達の姿が見えませんでした。」

「となると、やつらも逃げてここまできたということか。」

「おそらくは。本来トロールが居る地域はもっと西だと聞き及んでいました。しかしここより西を簡単ではありますが探索したところ、支配者となるような者は確認できませんでした。」

「ではここより西は空白地帯、もしくはまだ見ぬ別種族がいるということだな。」

「仰る通りでございます。」

「トロールを追ったという人間と接触したかったが……これでは下手に動けんな。」

 

何者かがいればその者と友好関係を結んで安全に通してもらうという手もとれた、もし敵対するのであれば腰をすえて道を作ればいい。

だが未知の場所では手探りで進むしかなくもしその者たちから横っ腹を突かれる形になれば非常に危険である。

 

「ところで勲司様。疑問に思ってたことがあるのですがよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「なぜオーク達を戦わせたのですか?ゴブリンやオーガを恭順させた理由もわかりかねます。もちろんホームを守らせるためという考えはわかります。ホームとこの辺りを守るだけならあれぐらいの人数でも十分であり、トロールさえ亡き者にしてしまえば奮起させるまえのオークでも十分維持できたのではないでしょうか。」

「そのとおり、奮起させなくても恐らくだがこの周辺を守るだけというのは簡単だっただろう。しかしゴブリンの攻撃をわざと受けたときのことを思い出してほしい。」

「初めて戦闘をしたホームでの出来事ですね。」

「そうだ。あのとき俺はゴブリンから僅かながらダメージを受けた。HPを数値化した場合ダメージ1といったところだろうな。」

 

どんな低Lvが相手でも攻撃が当たればダメージを1与えられる。例外としては『上位物理無効化Ⅲ』や『上位魔法無効Ⅲ』でも取っていれば別だが結局0か1かの違いしか出ないため、無効化する意味がない。非ダメージ10%減少との選択でわざわざあっちを選ぶ人は気合の入ったロマンビルドの人しか居ないだろう。

 

「極端な話ではあるが例え相手がLv1の相手が私のHPを上回る数で全く同時に攻撃を仕掛けてきた場合、回復する暇もなく私は殺されるだろう。」

 

ゲーム時代であればそれだけのMOBがひとつのエリアに集まることもありえない、GvGでも最大規模でも1500人までしか動員されたというのを聞いたことがない。

しかしエリア内に収まる人数の上限というものがないこのリアルな世界では一つのエリアに10万20万という人数が集まることも十分あり得ない話ではない。

 

ましてや勲司は100レベルプレイヤーの中でも強化魔法や装備に頼らなかった場合、個では最弱のビルドと言っても過言ではない。恐らく相性が悪ければレベル80にも勝てないかもしれない。

メイジ職にも関わらず取った魔法はバフ、デバフ、DOT、HOTを中心とし、

ビルドも種族レベルを伸ばし、|職業()()()もカリスマなど味方を強化するためのものばかり直接戦闘能力は極めて低い。

ましてやフルで補助魔法をかけるにはオークはMPが低すぎる。そこでMPの低さを補うため、オークの特性である高いHPを低いMP代わりに使用して魔法を使うということをするのだが仲間がいなければHPが減った状態での戦闘を余儀なくされてしまうのである。

装備とバフデバフを駆使すればいい戦いぐらいはできるが狩りクランだったこともありPvP経験が乏しく勝率もよくて1割強といったところだろう。

 

「俺は弱いんだよ。」

「そのようなことはございません。」

「いいや、フォローは必要ない。俺は個では弱いが仲間が居ればどこまでも強くなれると思っている。そういう存在を目指したんだ。それに弱いと自覚しておくのは強者と出会ったとき選択を間違えずに済むからな。」

「ではオーク達は勲司様の盾であると。」

「身も蓋もない言い方をするとそうだな。盾であり、剣でもある。彼らを助けた理由はそれだけではない。広場でも言ったように誇りを取り戻して欲しいという気持ちは嘘ではない。」

 

ユグドラシルを始めたとき多くの種族の中から敢えて人気のないオークを選んだのはでかく、力強く、逞しい。だけど仲間想い。そんな種族に憧れたからだ。

この世界のオークにもそう会って欲しいという我儘が彼らを手助けすること一番の動機になったのかもしれない。

 

「それは……ただの感傷だな。」

「……。」

 

ノエミからは言葉はない。その答えになにを思ったのだろうか。表情の変化に乏しいノエミから読み取ることはできなかった。

 

「では、責任を最後まで果たすということでよろしいですね。」

(責任?ああ、オーク達を炊きつけたことか。地盤が固まるまでは協力してやるか。)

「ちゃんと責任は取るさ。」

「では及ばずながらお力添えさせていただきます。」

 

そこでふと勲司は言わねばならぬことを思い出した。

 

「それよりすまないな。」

「なにがでしょうか?」

「お前に裏方のようなことばかり押し付けてしまっている。」

「主人の命を忠実にこなす。それこそ従者の喜びでございます。」

「それだけではない。このあとの宴でもお前を参加させてやることができなくて申し訳なく思う。」

「それには及びません。陰ながら御守いたします。」

「そうか……助かる。」

 

村に入ったときハガンも含め何人かのオークにノエミの姿は見られてはいるがオークの村の問題に他種族が深く関わることは今の段階では問題を起こしかねない。あくまで()()()()()で取り返したという認識が大事なのだ。

 

「ただ一言だけ忠告させていただきますがよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「宴とはいえあまり()()を外し過ぎないようにお願いいたします。」

 

それはよくある酒の席での定型文でもあった。

 

「ああ、わかった。」

「それでは私はこれで。」

 

そういうとノエミは再び姿を消し陰へと消えた。

 

「さて、そろそろ準備も終わったかな。」

 

そう言うと勲司は再び拠点へと戻った。

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