逆襲のオーク ~オーバーロード~   作:脳筋プレイ

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オークが土地を奪還するより前の話である。


ミノ国

小さな村があった。

そこに住む者もまた人のようであって人ではない。

身体は人だが首から上が人の()()ではなかったのだ。

 

牛頭人(ミノタウロス)と呼ばれる彼らは数十年前に大陸の中央にある牛頭人(ミノタウロス)の国のから西に逃げてきた人々である。

彼らの国は大国であり、同じ大国であるビーストマンの国と日夜戦争に明け暮れていた。

元々彼らが住む土地は牛頭人(ミノタウロス)の国の中でも激戦区にもかかわらず長年守り続けた場所であり、過去に王直々に力を振るった土地でもあるため、国からの信頼厚く王から珍しいアイテムを下賜されることもあった。

しかしビーストマン達の攻勢により、国と分断されてしまう。

彼らはそのまま滅ぼされるぐらいならと、大事な物だけを持って逃げた。

竜王国を抜け、法国を進み、彼らは僅かな数で逃げたのだ。

形はどうあれ一度国を捨てた身である彼らは祖国に戻ることはできず、遠く離れた土地に根を張り少ない同族での生活が始まった。

 

不運にも国から孤立した彼らは幸運にも隣人に恵まれた。

群雄割拠の亜人紛争地帯の()()にあって隣人は数少ない話の通じる種族だった。

元々思考回路が似ていたことや牛頭人(ミノタウロス)の偉大な王による教えもあり、隣人とは協力関係とまではいかないまでもお互い敵対せず不干渉を貫こうという考えでお互いが一致した。

 

口約束だけであり人の社会のように書面や担保といったものは存在しない。

しかしそこにはお互いが信じる義があった。

 

片方は自分たちの神と祖霊に恥じぬため。

もう一方は自分たちを導いてくれた偉大な王の教えを守るため。

 

そしてその協定は長年崩れることはなく、お互いがそれなりに繁栄したと思われた時、協定は破られた。

意味を成さなくなったと言ったほうが正しいのか、一方が巨大な存在に喰われたのだ。

話では西に逃げたとも聞いたが確かめたわけではない。

その巨大な存在は牛頭人(ミノタウロス)|の国にとっては歯牙にも掛けない存在であったが、そこの牛頭人(ミノタウロス)|にとっては脅威となりえる存在である。

 

隣人が喰われた今、次は自分たちではないか。牛頭人(ミノタウロス)|はそう考えた。

また逃げたほうがいいのではないか。そんな考えがよぎった。

しかし望まず祖国を捨ててしまった彼らにとって新しいその村は小さいながら彼らにとって間違いなくそこは()である。

偉大な王によって国とはどういうものか教えられてきた。

その教えを元に自分たちで一から作った国を今度は自ら望んで捨てることはできなかった。

今度こそは国と供に……。そんな思いを胸に彼らは戦いに向けて準備をしていた。

 

そしてある日……。

 

「急報!急報です!」

 

牛頭人(ミノタウロス)|の村の族長にそんな声が届いた。

 

「とうとう、トロール達が攻めてきたか。」

「いえ違います!」

「ではどうした。」

「そのトロール達が……敗走しました。」

「なんだと!」

 

牛頭人(ミノタウロス)|の族長は驚きのあまり叫んでしまった。

それもそのはず、その地に住んでいたオークは全滅、噂では西に逃げたとも聞いたが我らも彼らと同じくトロールを1匹足りとも倒せる術をもっていない。

そしてその地の北にはアベリオン丘陵があり、ダークドワーフが住むというが彼らは自らせめて出ることはまずない。

東は元々トロールの支配地であるがそこより更に東は人間の国だ。

 

「もしや人間が攻め滅ぼしたのか。」

 

彼らが知る人間は以前までは食料となる存在でしかなかった。

しかし偉大な王の教えとここに辿り着くまでに自分たちを遥かに凌ぐ個体が生まれる存在であるということを知った。

 

「いえ、それが……オーク達が攻めた模様です。」

 

信じられない報告であった。虚偽ではないかとすら疑った。しかし西へ逃げたのならばさらに西に聖王国なる国が存在する。そこの力を借りたのならばありえない話ではない。

 

「どれだけの規模で打ち勝ったのだ?」

「正確な数はわかりませんが50人も居なかったようです。」

「マジックキャスターやオーク以外の強力な種族は居なかったか?」

「いえ、居なかったようです。見事に緑一色であり全員近接で直接攻撃を行うか矢を打っているだけでした。しかも……オーク側に被害はでなかったと報告があがってきています。」

 

ありえない。

 

そんな言葉しか思い浮かばなかった。

 

「ただひとつ、オーク全員を指揮する者が居たという情報が入っています。それもとても統率された指揮だったと。」

 

以前は一方的に喰われ滅ぼされる寸前までいったにも関わらず再びオークのみで打ち勝った。

しかも知能が低いオークに指揮する者がおり、被害は0。

 

だがここに至って一つの可能性に思い至った。

 

「もしそうならば……確かめねばなるまい。」

 

牛頭人(ミノタウロス)|の族長はそう言うと再び斥候を出すよう指示をだし自室へと戻っていた。

 

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