緋弾のアリアNo name   作:ロリss

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武偵になった永二がとうとう初仕事!アリアが用意してくれた仕事にはなんと協力者がいて…?そして永二が極限状態に追い込まれるとき頭の中に『声』が聞こえ…。永二覚醒の3弾目!!



3弾「『僕』が死んで『僕』が生まれる」

 

 僕は…暗闇の中にいた。暗闇というよりも…自分の意識がまだ戻ってないのだろう。

 

あれ?僕は…何をしてたんだっけ?……ああ…遠山さんと戦ったんだ。結局、僕は負けたのかな?スタンガンらしきあの銃を受けてから記憶が無い。まぁ、意識が途切れたから記憶もクソもないし。

 

 と、自分の頭の中(?)で思考にふける。すると何か声が聞こえてきた。

 

?「おい―――。お前には今から―――――という目的で―――の武偵高に行ってもらう。そして―――――をはたせ。」

 

 これは…僕の無くなっていた記憶か?誰かに話しかけられた記憶みたいだが…肝心なところがわからない。なんて言ってたか思い出せない。でも、自分がやっぱり何かの目的で武偵高にいたことはわかった。

 

?「そしてこの銃を持っておけ。この銃から出るのは電流だがスタンガンではない。これの

 

用途は――――――してお前の――――を―――させる機能がある。」

 

 クソ…!なんで大事なとこがわからないんだ。今は1つでも情報が欲しいのに…!

 

?「そしてこの銃はお前が何者かと戦闘を行う時、頭に――――」

 

 頭に…なんだ?クソ!なんで…

 

 そして僕がそうやって思い出せるかもしれない記憶の断片と戦っていると…意識が引っ張られる感覚があった。きっと肉体が失っていた意識を取り戻したのだろう。そして次に目を覚ました時、僕は…拘束具をつけられ、あの綴と出会った拷問部屋に入れられていた。

 

永二「あれ?ここは…あの拷問部屋?なんで…僕、拘束されてるんだ?」

 

 最初の疑問はそこだった。僕の記憶の最後は遠山さんからスタンガン(スタンガンじゃないらしいけど)を食らったところだ。なぜ、こんなことに?

 

綴「目が覚めたか。」

 

永二「あ、綴……先生」

 

 綴が来た。やっぱりここはあの拷問部屋だ。

 

永二「あの…僕、なんでここに?しかも拘束されて。」

 

綴「何も覚えてないのか?自分がどうなったか。」

 

永二「僕が…どうなったか?どういうことだ?僕、遠山さんから電撃食らってそこで…」

 

綴「マジで言ってんのか?嘘はわかるから心して喋れよ。」

 

 と言って綴はじろっと見てきた。マジかこの人、嘘がわかるとか人間ウソ発見器かよ。でも今回僕は嘘なんてついてないので問題ない。

 

綴「嘘は…ついてないみたいだな。じゃあお前に何があったのか教えてやるよ。これを見ろ。」

 

 すると自分の前にテレビのような物が運ばれてきた。そこには…

 

綴「これはお前の試験を録画したものだ。見ろ。ここだ。」

 

永二「え?な!?なんで僕が…こんな…。」

 

 テレビ画面に映っていたのは修羅のように遠山さんを攻めたてる僕の姿だった。

 

綴「お前は負けた。だが、こんな動き、素人が1週間特訓してできるものではないだろう?お前いったい何なんだ?」

 

永二「僕にも…さっぱり。正直、僕が聞きたいくらいですから。」

 

 今、見た映像がまだ信じられない。まさか意識を失っていた裏でこんなことがあったとは。あの強くなった遠山さんと同等に戦えてるなんて…。まぁ、負けちゃってるけど。

 

綴「じゃあ、質問を変えるぞ。これは何なんだ?」

 

 綴が出したのは…やはりあの例の銃だ。

 

綴「私の目にはお前がこれから出た電流を受けた後からこんなことになってるように見えるんだが?」

 

 綴は今回の核心とも言える部分を聞いてきた。

 

永二「それに関しても…まだよくわかりません。でも、『それ』が僕を変貌させたのは…確かです。」

 

綴「やっぱこれのせいか…。なぁ、この際だから言ってやるよ。お前の体のことなんだけどな。」

 

永二「僕の体?」

 

 そこから僕は綴からとんでもない話を聞いた。僕の体のほとんどが誰かから移植された物だということ。僕の…片方の藍色の目に普通ではない『何か』があると思われること。

 

永二「僕の体が…。そんなことって…」

 

綴「はぁ…結局謎が深まっただけかよ。もういい。ほら、放してやるよ。」

 

 そう言って綴は拘束具を外してくれた。謎が深まって困っているのは僕だって一緒だ。自分のことだからなおさらショックだ。しかも体が移植されてるなんて話はぶっとんでる。

 

綴「そういえば…試験合格だってよ。よかったな。武偵ランクはDだってよ。」

 

永二「ほっ…よかった。って僕武偵ランクDですか。なんか微妙ですね。」

 

綴「アホか。異常だっての。何回も言うがお前みたいな素人が1週間特訓しただけで武偵になれるわけないだろが。しかもそんなやつがEからスタートじゃなくてDからとかありえねえよ。」

 

 そ、そうなのか。でもそう思うと自分のことを誇らしく思えるな。

 

綴「と言っても最後のお前の暴走は採点に入ってないからな。」

 

 で、ですよね~。最後ちょっとだけでもあの遠山さんと良い戦いしてたらしいから少しは期待してたけど。いや僕自身その時、気を失ってたけどね!?

 

綴「あと…いい加減そのスタンガンの銃の名前決めねえか?」

 

 名前か…。たしかにいつまでも『拳銃のようなスタンガン』は嫌だし言いづらいし。しかも、今は『本当はスタンガンじゃないらしい拳銃みたいなスタンガン』になっている。もう意味が分からない。

 

永二「そうですね…何がいいでしょうか?」

 

 思いつかなかったので綴にふってみた。僕の『エイジ』といい考え方は中々良いのだ。最後を適当にするクセあるけど。

 

綴「あ~、スタン銃(ガン)とかどうよ?」

 

 ダサッ!ってかダジャレだし。

 

永二「却下ですよ。」

 

 この人に聞いた僕がバカだった。『エイジ』という名前が変な名前になってなくて本当に良かったと思う。

 

綴「じゃあ…ってかおい!名前書いてるじゃねえか!その銃に!」

 

永二「あ、ほんとだ…。『L―ブレイカー』って…。なんかゲームの武器みたいですね。恥ずかしいなぁ。」

 

 まさかそんな名前だとは…。そもそも存在自体が変なのに名前まで変ってもうダメだこれ。

 

綴「しゃあねえだろ。そう書いてあるんだから。勝手に『ガバメント』って名乗るか?」

 

永二「いや、それはマズイでしょ。」

 

綴「じゃあ『L―ブレイカー』で決定な。ああ~恥ずかしっ!」

 

 おい…最後…言うなよ。気にしてるんだから。

 

 

 

 

 なんやかんやあったが、こうして無事(?)に僕は武偵になれた。防弾制服やら色々もらいこれで僕も武偵と名乗れる。

 

アリア「あ!あんた出てきたのね。心配したわよ。あんた試験中に急に暴れてたから。」

 

 外に出るとアリアさんがいた。ううっまさかあんな姿を見せてしまうなんて…

 

永二「うっ!すいません。あんな体たらくで。」

 

 なんかアリアさんに申し訳ない気持ちが出てくる。1週間、僕を鍛えてくれたのに。

 

アリア「何言ってんのよ。最後はともかく途中まで動きはしっかりしてたわよ。素人ってことを忘れたぐらいよ。そうねえ…ランクはDってところじゃない?」

 

永二「当たりです。」

 

 さすがアリアさんだ。読みがいいなぁ。

 

アリア「上出来よ。じゃあこれでエイジは武偵ってわけね。じゃあ依頼を受けましょう。」

 

 お、今アリアさんから武偵っぽい単語が聞こえた。

 

永二「たしか…実際に事件の調査だったり護衛だったりの仕事を受けられるんですよね?」

 

 僕はさっそく武偵っぽいことがやってきて少し胸がワクワクした。

 

アリア「そういうこと。あんたには…え~と、そうねえ…。」

 

 2人で歩いていたらアリアさんは外にあるクエストボードの前に立ちどまり数ある依頼の中から僕に合いそうな物を吟味してくれた。

 

アリア「あ!これなんかどうかしら。」

 

 (行方不明になった我が子を探してほしい。探偵科、強襲科 0.2単位)

 

永二「あの~これって強襲科いります?」

 

 なんだか探偵科だけでいけるような内容に思えた。なぜに荒事専門の強襲科も受けられるのか。

 

アリア「う~ん、正直言うといらないわね。まぁ、そういう依頼は誘拐っていうのがほとんどなの。実際、探偵科の人も戦えたりするけど保険をかけて強襲科もっていう側面があるのよ。相手の誘拐犯の拠点が見つかったら突入するためとかね。」

 

永二「でも…それにくらべて単位少なすぎません?」

 

 僕は思った疑問を言った。まだ武偵としての考え方が身についていない僕だが…凶悪な犯人と戦って0.2単位て

 

アリア「たまに…ただの迷子でしたっていうのがあるのよ…。」

 

 なんか武偵の苦悩が見えた気がした。たまに何でも屋と言われる武偵だが、わかる気がしてしまった。

 

アリア「でも、この依頼は3日前にあったやつだから誘拐犯の可能性大ね。」

 

永二「? なんで3日前って知ってるんですか?」

 

アリア「ああ…それはね。」

 

 アリアさんが何かを言おうとした時、横から…

 

あかり「ああああああ!アリア先輩が最近かまってくれないと思ったら~!あなたのせいだったんですね!!」

 

永二「え?」

 

 見知らぬ女の子が声を上げた。誰だこの子…?身長すごいちっちゃいけど…。あ、ちなみに僕の身長は175で年齢は覚えてなかったんだけど綴が見たところ17だって。なんで見ただけでわかったのかは知らないけどそれもあの人がプロの尋問科の武偵ってことで納得がいく。まぁ、一応2年生。なんでアリアさんや遠山さんに敬語なのかというとやっぱり武偵としては先輩にあたるからだ。でも、アリアさんが言うに1年生には敬語は使わないことって言われている。上下関係が大事だかららしい。

 

アリア「あかり…!」

 

 やっぱりアリアさんの方の知り合いか。じゃあ僕には関係ないよな。

 

アリア「その…エイジ。あたしがその依頼にした理由はもう1つあってね。実はこの依頼、何人で受けてもいいのよ。それでね、この子がこの依頼受けてるから…協力して解決できたらなぁって…」

 

 僕に関係ありまくりだった。なんとこのチビの子もこの依頼を受けているらしい。たしかにこんなちっちゃい子が誘拐犯がいるかもしれない依頼を受けているなんて心配だよな。しかもどう見ても強襲科じゃなくて探偵科だろうしな。あんまり戦いそうなイメージできないし。ん?アリアさんはどうなのかって?チビはチビでもアリアさんは例外中の例外だろう。それにアリアさんにチビなんて言ってみろ。即風穴だ。

 

永二「なるほど。この探偵科の子と強襲科の僕で協力して事件を解決するべきだってアリアさんは言いたいんですね?」

 

 僕は意図が読めたというドヤ顔でアリアさんを見たんだが…

 

アリア「は?あかりは強襲科よ?」

 

永二「えええええええええええ!!こんなちっちゃい子が強襲科!?」

 

あかり「失礼な――――――――!」

 

 あかりという子はメチャクチャ怒った顔で僕を見てきた。

 

あかり「それにちっちゃいで言ったらアリア先輩とあたしもそんなに変わらないし。」

 

永二「まぁ確かにな。って………あ…。」

 

 今更になって失言に気付く僕とあかり。アリアさんを恐る恐る見ると…そこには般若のような顔していたアリアさんが立っていた。

 

アリア「あんたらねぇ…人をちっちゃいだのどうだの…ずいぶん度胸があるじゃない…。」

 

 ま、まずいですよ!アリアさんメッチャキレてるッ!

 

永二「あかりちゃん…君が油を注いだんだからどうにかしてくれよ。」

 

 と僕はアリアさんには聞こえないぐらい小さい声であかりに話した。すると、あかりちゃんは…

 

あかり「ああ~!今この人、あたしに小さい声で『アリアさんって貧乳だよな』って言ってきました!」

 

 は?僕そんなこと一言も…。こいつ…僕を売ったのか!?こんなあっさり!?

 

アリア「うるさい!うるさい!あんたらどっちも風穴よ!風穴!」

 

 その後、僕とあかりはアリアさんに1時間ぐらい追い回された。 

 

 

 

永二「はぁ…さっきはなんであんなこと…!」

 

 僕はあかりにさっきのことを問い詰めようとするが

 

あかり「せ、先輩が悪いんです!あたしからアリア先輩を奪おうとしたんでしょう!!」

 

永二「な、なんだよ奪うって…」

 

 僕は突然のあかりからの意味の分からない言葉に困惑する。

 

あかり「そ、その…あなた…アリア先輩のことが好きなんでしょう!それで二人きりになるのに邪魔な『戦妹(アミカ)』のあたしから1週間アリア先輩を遠ざけてたんでしょう!」

 

 なんだかあかりは何か勘違いをしているようだ。というかこの子がアリアさんの『戦妹』だったのか。勉強してどういうものかは知ってるしアリアさんも「手のかかる戦妹がいる」って言ってたけど…

 

永二「それは僕の特訓を見てくれてたからだよ。好きだなんて…恐れ多い。それにアリアさんは遠や―」

 

 『遠山さんのことが好きなんじゃ』と言おうとしたけど…やめておいた。アリアさんにも悪いし。

 

あかり「じゃあ先輩はアリア先輩の何なんですか!」

 

 なんだこの子さっきから先輩に向かって失礼だな…。まぁ、武偵としては僕の方が後輩なんだけどね。

 

永二「そうだなぁ…アリアさんの…弟子?」

 

 う~ん、友達って感じではないし弟子が1番近い表現だと思う。

 

あかり「な~んだ!じゃあ、あたしと一緒じゃないですか!え~と、先輩は1週間前からだったから…あたしが姉弟子ですね!」

 

 すごいことを笑顔で先輩に向かって言うなぁこの子は。何度も言うが一応、僕が先輩……ま、いっか。アリアさんには上下関係がどうのって怒られると思うけどこの子も悪気あって言ってる感じじゃない。どっちかって言うと「この先輩よりあたしの方がアリア先輩に近しい存在!」って分かって安心してる感じだ。

 

永二「ところで、あかりちゃんが強襲科なら探偵科の武偵はどうするの?」

 

 さすがにこの依頼は探偵科がいないとキツそうだ。

 

あかり「あたしの友達が探偵科で一緒にこの依頼を受けてたんです!今、ここに呼びますね~。」

 

 なるほどね。つまり僕が加わる前はあかりちゃんとその友達の子で依頼を受けてたってことか。どんな子なんだろう?そしてあかりちゃんが電話をかけると

 

(………? なんか近くにある草むらから結婚式を連想させる音楽が聞こえる。なんだろこれ?この感じ…携帯の着メロかな?)

 

あかり「あ!志乃ちゃん!今、クエストボードの前に来れる?」

 

 と、あかりちゃんが言うと…その近くの草むらから

 

?「あ、大丈夫です!今すぐそちらに出ま…ゴホン!向かいます。」

 

 こんな声が聞こえた。あかりちゃんのセリフと噛み合っているのは偶然だろうか?

 

 そう僕が思っていると草むらからガサガサと黒髪ロングの可愛い女の子が出てきた。この奇行で台無しだったけど。この時、あかりちゃんは別の方向を向いていたのでこの奇行を見ていなかったが僕はバッチリ見てしまった。するとその女の子は…

 

志乃「あ、あかりさん!奇遇ですね!私もちょうどこの近くにいたんですよ!」

 

あかり「志乃ちゃん!わ~すごい偶然だね!」

 

 え…?この志乃って女の子、今そこの草むらから出てきたよな?奇遇というより…初めからそこにいたみたいな…

 

あかり「この先輩があたしたちの依頼に加わってくれたの!あたしと同じ強襲科だよ!」

 

永二「あ、七子永二って言うんだ。よろしくね。」

 

 とりあえず相手は後輩だから敬語は無し。でも、威張ったりはしない。こんな感じならこの子からの印象も良いんじゃないかな?

 

志乃「…………チッ!」

 

うん?僕の気のせいだよな?今舌打ちされたような…?

 

志乃「せっかくあかりちゃんと2人だけで依頼を受けていたのに…(ボソボソ)」

 

 すごい小さい声だったから聞こえなかったけど今この子ものすごい嫌そうな顔してる。

 

永二「あ、あの…僕嫌われてる?」

 

志乃「! いえ、なんでもありません。1年の探偵科、佐々木志乃です。あかりさんには良い交際をさせていただいています。」

 

あかり「志乃ちゃん!?」

 

志乃「うふふ…冗談ですよ。冗談。…………今は(ボソッ)」

 

あかり「もう~志乃ちゃんったら~」

 

 なんか佐々木さんからところどころ怪しい言葉が出ているような。まぁ、あんまり考えるのはよそう。それでも気になるのは…

 

永二「あの…佐々木さんさっきそこの草むらから―」

 

佐々木「はい?何か言いましたか?」

 

 なんだ!?『草むら』という単語が出た瞬間、すごいプレッシャーを放ってきた!これは…殺気!?まるであかりちゃんの前で言ったら殺すと言わんばかりのこの感じ…。あの…一応、僕先輩なんだよ?

 

あかり「じゃあ、さっそく聞き込み調査に行ってみよう!」

 

志乃「はい!!」

 

永二「はい……」

 

 もうすでに体力や精神を削られダウンしそうな僕であった。

 

 

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あかり「う~ん、あんまりこれといった情報が入らないね。」

 

 僕たちは依頼人の子供を最後に見た公園の周辺で聞き込みをしていたが情報は全然集まらない。

 

志乃「こういう時は二手に分かれた方がいいですね。あまり3人で固まっても効果は薄いと思います。ってことで私とあかりさんの2人、そして先輩1人の二手に分かれましょうか。」

 

 佐々木さんから探偵科らしい提案があったのだが、なぜその分け方なのか?それなら…

 

あかり「え?でも、あたしとエイジ先輩は強襲科で捜査は不向きだから2人でやった方が良いと思う。情報は携帯で言い合えばいいし。」

 

 あかりちゃんにそう言われて佐々木さんはガーン!という落ち込んだ顔になった。

 

志乃「ぐぬぬ…わかりました…それでいきましょう。」

 

 そして僕たちは二手に分かれて捜査を始めた。

 

 

永二&あかりside

 

 僕とあかりちゃんは依頼人である行方不明になった子の母親に話を聞くことにした。

 

永二「あの、思い出すのは辛いかもしれませんがあの日はどういう感じに息子さんがいなくなられたんでしょうか?」

 

 母親はすごく辛そうだった。目も泣いた後なのか腫れていた。

 

依頼人「はい…。あの日は公園で息子を遊ばせていました。そして私が少しお手洗いに行って、帰って来た時に…息子の姿は…もう…」

 

 依頼人は耐え切れずに泣いてしまっていた。僕もこの事件は絶対解決したいと決心がより固まる。けれど情報が少なすぎる。一応、佐々木さんに今の話を伝えておく。

 

永二「じゃあ、あかりちゃん、僕たちは聞き込みを続けよう。」

 

あかり「はい!」

 

 

 

志乃side

 

今、七子先輩から依頼人の話を聞きましたが…それだけでも十分な情報です。探偵科は少ない情報からでも様々な情報を読み取れます。

 

例えば、今回の事件の最も濃厚な誘拐の線で考えればわかることがあります。それは…手際がよすぎる…速すぎることです。普通、誘拐を初めて行うような人間というのは親が子から離れてチャンスが訪れても迷いが生じ失敗したり、やっぱりやめたりなどがあったりするものです。

 

 今回の事件では母親がお手洗いに行ったわずかな時間の間に誘拐を完了したということであれば、その者は初めてではないということがわかります。

 

志乃「そこから導き出される答えは…」

 

 犯人は必ずもう一度どこかで誘拐を行うはず。さすがに同じ場所では行わないと思うのでここから1番近い子供集まる場所は…

 

志乃「ゲームセンターですね。」

 

 う~ん。でもここの近くでゲームセンターと言えば…あ!そういえば遠山先輩がアリア先輩一緒に行ったとかいうゲームセンターにでも行ってみましょうか。アリア先輩もさっさと遠山先輩とくっつけばいいのに。そうすればあかりちゃんを独り占め…ぐふふ…。

 

 と邪悪なことを考えながら自分が推理した場所へと足を運んだ。

 

 

志乃「たしか…ここですね。」

 

 そしてゲームセンターに着いたんだが…さっそく目についたのが

 

かなめ「ねーねーお兄ちゃん!あたしにもレオポンとってよー!」

 

キンジ「お前もうレオポン持ってるだろ。それにジャンヌとワトソンは欧州で戦ってくれてるんだぞ。俺はこんなところで遊んでいるわけには…」

 

かなめ「お兄ちゃんからレオポンをもらいたいの!それにこういう時こそ妹とイチャついて英気を養っておかないと。妹と何もしないのは非合理的だよお兄ちゃん♪」

 

 かなめはキンジの腕に抱きついた。キンジはすごく嫌そうな顔をしていた。何かに耐えるような顔だった。

 

キンジ「お、おい。あんまりくっつくな。周りから…その…変な誤解を受けるだろう。」

 

かなめ「あれ?妹のこと意識しちゃった?や~ん、お兄ちゃんが妹を性的な目で見る~背徳~」

 

 武偵高でもいろんな意味で有名な遠山兄妹がゲームセンターに来ていた。

 

志乃「…………見なかったことにしておきましょうか。」

 

 別に大した理由というわけではないがアリア先輩にでも知れるとまた荒れそうなので口から出ないように記憶から消去しておこうと思った志乃であった。

 

 そうして少し時間がたち、遠山兄妹も満足して(妹の方だけ。兄はゲンナリしていた)ゲームセンターを出て行った後で怪しい人物が入口近くにいたことが分かった。

 

志乃「あのフードを被っている男、怪しいですね。普通、ゲームセンターの入り口前で立ち止まるなんて待ち合わせくらいしか無いと思いますが…誰かを待ってる風には見えませんし。」

 

 そしてそこから男に動きがあった。ゲームセンターから出てきた1人の男の子に声をかけて一緒にどこかへ行こうとしていたのだ。

 

志乃「ここは…尾行した方が良さそうですね。本拠地に連れて行ってもらいましょうか。」

 

 そして志乃が尾行して着いたところは…廃工場だった。取り壊されもせず放置されていた工場だ。その中を覗いてみると…

 

 なんとそこには手足を縛られて喋れないように口も封じられている子どもが何人もいた。食事は与えられているようだがかなり弱っているように見える。さっきの子供も手足や口を封じられた。

 

志乃「ここで一体何を…?」

 

志乃が思惑を見破ろうと思考にふけっていると

 

男「おい嬢ちゃん、ここで何してるんや。」

 

 見つかってしまった!さっきの尾行していた男の服装とは違い、スーツを着ていた。この感じは…

 

志乃「ヤクザですか?」

 

男「ほう…。嬢ちゃん鋭いねえ。でも、そういう君は武偵だろ?制服でわかる。」

 

 志乃はすぐに臨戦態勢に入りサーベルを抜いた。そして常人では目に追えないほどのスピードで剣を峰で振るった。

 

ヤクザ「ぐっ!いやぁ、速いねぇ。武偵ってのはみんなこんなに強いのかい?」

 

志乃「私たちは訓練していますから。あなた方のような人たちと戦うために。」

 

 

ヤクザ「そうかい。でも…こういう場面を切り抜ける訓練は受けているの?」

 

 志乃は一瞬、ヤクザの男が言っている言葉の意味が分からなかったが…すぐに気づいた。自分が3,4人ほどに囲まれていることに。

 

志乃「まさか…あなたの組の方全員がこの件に関係しているんですか…?」

 

ヤクザ「まぁ、そんなとこだ。ざっと30人ほど。『登竜会』つってなぁ。組自体の人数はもっといるんだが、この件に関係してるのはそんくらいだ。武偵1人や2人くらいじゃ止まらねえよ。」

 

 (これはやられましたね)

 

 非常にマズイ状況ということに気付き、志乃はあかりにメールを送ろうと考えた。武偵高生は携帯でいろんな文面を暗号式で1,2つのキーだけで送れるようにしてある。例えばE4と打てば敵は4人という風になる。そして志乃は隙を見てあかりにメールを送ることに成功した。

 

ヤクザ「さてと…君もあの子供たちの所に加わってもらおうかな。」

 

志乃「くっ!…………あかりさん、七子先輩、気を付けてください…。」

 

 そして志乃はヤクザに捕まってしまった…。

 

 

永二&あかりside

 

あかり「あ!志乃ちゃんからメール!」

 

永二「何か情報を掴んだのかな?なんて?」

 

 探偵科からの情報だ。きっと重要な情報だと思う。これで捜査も進展する。そう思って見た内容は

 

(E30、CN、IL)

 

 これだけだった。だがこれは…敵は30、来てはダメ、自分は捕まったという暗号だ。

 

あかり「そんな…志乃ちゃんが!?」

 

 佐々木さん…相手の人数を読み違えたのか。1人でいけると判断してしまったのだろう。

 

永二「これは…行くべきではないね。今は仲間を呼ばなきゃ。仲間が来るまで待っていよう。」

 

 場所は佐々木さんの携帯の位置情報で分かっている。だからいつでも行けるのだ。だが、

 

あかり「すみません先輩。あたしは…行きます。」

 

永二「な!?」

 

 無茶だ。相手は30人、1人で倒せる人数じゃない。捕まるのがオチだ。でも、あかりはその場所に1人で行くという。

 

あかり「先輩は仲間を呼んでください。あたしは志乃ちゃんを助けに行かなきゃ…」

 

永二「あかりちゃん。行っても捕まるだけだ。やめるんだ。」

 

あかり「でも!今この時だって志乃ちゃんが苦しんでるかもしれない!大切な友達なんです!大丈夫です…時間をかせぐだけですから…」

 

 ダメだ…。あかりちゃんは考えを変えない。こうなったら仕方ない。

 

永二「わかったよ。じゃあ僕も行く。2人なら少しはマシになるだろうから。」

 

あかり「ご、ごめんなさい…」

 

 そして僕はある武偵に場所と状況のメールを送っておいて、あかりちゃんと共に佐々木さんの救出に向かうことになった。

 

 

 

 僕たちは敵の本拠地と思われる廃工場に着いて、あかりちゃんに作戦開始を伝える。

 

永二「よし。ここからは隠れながら行くよ。準備は良い?」

 

あかり「は、はい。」

 

永二「よし行こう!」

 

 そして僕たちは2対30の無謀な戦いに挑むのだった…

 

 

志乃side

 

志乃「あなた方は私や子供を使って何をするつもりなのですか?」

 

ヤクザ「あん?」

 

 この男はお喋りなので狙いを喋ってくれると思い聞いてみました。

 

ヤクザ「今からお前らは売られるんだよ。知ってるか?内臓や目やらは何百万と売れるんだ。子供は捕まえやすいからなぁ。それに嬢ちゃんなんか別路線でも売れそうだなぁヒャハハ!」

 

 普通に喋ってくれました。ですが気持ち悪い目で見られるので不愉快ですね。

 

志乃「気持ち悪い目で見られるので不愉快ですね。」

 

 あ、声に出てしまいました(笑)

 

ヤクザ「テメェ…今の自分の立場がわかってんのか?商品だから手は出さねえが俺らはいつでもテメェを殺せるってことを忘れんな。」

 

 こうやって相手を怒らせることで冷静な判断を無くしたり、視野が狭まったりするのです。仲間が来るまでの軽い援護射撃といったところですね。

 

 と、そんなことを思っていると…

 

(あれは…あかりさんと七子先輩!?仲間を呼んで一緒じゃないんですか?まさか私の救出を優先して…!嬉しいですがそれは作戦上、最もしてはいけない「私情」の行動。来てしまった以上はもう止めることはできません。武運を祈ります。)

 

 

 

永二&あかりside

 

 僕たちは工場の中に入り物陰に隠れた。だがここで予想外の出来事が起こった。

 

あかり「う、うわ!」

 

ドテッ!

 

 あかりちゃんが…コケた!音も盛大に出し声まで出してしまっていた。もちろん敵にはバレバレ。僕たちの作戦は開始5秒ほどで失敗した。ああもう!仕方ない!

 

永二「武偵です!全員武器を捨てて子供たちを解放しろ!」

 

あかり「そ、そう!あたしたち!武偵!」

 

 コケたのが相当恥ずかしかったのかカタコトになっているあかりちゃん。大丈夫なのか?

 

ヤクザ「ぷっ!ははははははは!おいおい!この人数差見て分からねえのか?どっちが優位な立場かってことをよ!!」

 

 そして男たちは銃を抜いた。

 

 この感じは…ヤのつく自由業の方ってところかな?なら遠慮はいらない。アリアさんから借りたガバメント(返すの忘れてた)でいきなり発砲する。

 

 それがうまくヤクザの持っていた拳銃に当たった。

 

ヤクザ「うおっ!クソが、やっちまえ!」

 

 そしてここからはまた物陰に隠れて撃ったり近づいてきたやつをあかりちゃんと2人がかりでボコったりで5人は倒した。その時だった。

 

ヤクザ「あ、組長!!」

 

組長「お前らぁ!武偵ごときに何を手こずってるんや!おい、武偵のガキ共!これを見ぃ!」

 

 ヤクザの組長が出てきた。その方向を見てみると…手足を縛られた佐々木さんに銃が向けられていた。

 

あかり「志乃ちゃん!」

 

組長「おっと近づくんじゃねえ!近づいた瞬間、こいつを撃つ。」

 

 クソ…!一番恐れていたことが起こった。

 

組長「まずはお前らの銃をよこせ。」

 

永二「……わかった。」

 

 そして僕とあかりちゃんはガバメントとマイクロUZIをヤクザに渡した。だが僕は念のため、あの『L-ブレイカー』とかいう銃は持っておいた。

 

組長「次はそうやなぁ…。おい、男の方の武偵。お前、チビの女の方のやつを首を絞めて殺せ。」

 

永二「なんだと!?」

 

 僕があかりちゃんを…!そんなことできるわけないだろ!!あかりちゃんも顔が真っ青になっていた。言うことを聞かなければ佐々木さんが死ぬ。自分の命と天秤にかけられているからだ。

 

組長「おい、たらたらすんな!どうせ、お仲間呼んでるんやろ。時間稼ぎなんかさせん。10秒以内にそいつの首を絞めろ。もし10秒経ってもやらなかったら即撃つ。」

 

 仲間を呼んでいることまでバレている。どうすれば…いいんだ!

 

組長「10~9~8~」

 

 何か…何か無いのか!?この状況を打開できる何か…

 

あかり「エイジ先輩、もういいです。あたしを…」

 

 (ダメだ、これは罠だ。ここであかりちゃんをどうこうしてもより不利な状況になるだけだ。)

 

組長「7~6~5~」

 

永二「うっ!なんだ?頭が…痛い…!」

 

 極限状態に追い込まれた僕の頭にあの時、聞いた失った記憶の声が蘇った。

 

(?「そしてこの銃はお前が何者かと戦闘を行う時、頭に――――」)

 

 なぜ、今これを思い出すんだ…頭に…その先は何なんだよ!

 

組長「4~3~」

 

(?「そしてこの銃はお前が何者かと戦闘を行う時、頭に向けて――」)

 

 なんだ?急に先が思い出せるようになった。頭に…向けて…?嘘だろ…まさか!?

 

組長「2~」

 

あかり「先輩!」

 

(?「引き金を、引け」

 

組長「1~!」

 

永二「マジかよ…ははは…まさかそんな使い方なんてな…」

 

 そして僕は隠していたL―ブレイカーを出した。

 

組長「おいテメェ!銃を隠し持ってやがったな!この女を殺すぞ!!」

 

 組長は僕が銃を隠し持っていたことに怒っている。

 

永二「安心しろよ…これはこうやって使うんだから。」

 

あかり「先輩…?」

 

 僕はそう言ってL―ブレイカーを自分の頭に向けた。

 

組長「は…?ははは!そういうことか!この選択に耐えられなくなって自殺するのか!面白いじゃねえか、やってみろ!!」

 

あかり「どうしちゃったんですか先輩!?」

 

 あかりちゃんが心配してくれている。でも大丈夫だよ。

 

永二「何か勘違いしていませんか?僕は自殺なんかしませんよ。」

 

組長「あぁ?」

 

 組長は意味が分からないといった顔をする

 

永二「ただ……『僕』が死んで『僕』が生まれるだけです。」

 

組長「なに意味の分からんことをゴチャゴチャと…」

 

永二「さようなら。」

 

 僕はそう言って0距離で頭にL―ブレイカーを放った。

 

バチイイイイィィィィィ!!

 

 スタンガンよりも高い電流の音を出して…僕は倒れた。

 

あかり「エイジ先輩…そんな…」

 

組長「なんだ?スタンガンだったのか?にしても、マジで自殺しやがった!面白れぇ!そいつに免じてチビ女の方は殺さないでおいでやるよ。ま、売るけどなぁ!!おい、その死んだガキも回収しとけ!死体でも売れるところはたくさんある!」

 

ヤクザ「へい!」

 

 そして1人の部下が七子永二に触ろうとした。その時、

 

 ボキッ!ゴキャッ!

 

ヤクザ「は?え?うわああああああ!俺の指がああああああ!俺の、俺の人差し指と中指が…折られたあああああ!!」

 

 その部下は突然、悲鳴を上げる。

 

組長「何言ってやがんだ。そいつは死んで…何!?」

 

 なんと死んだはずの七子永二はむくりと起き上がった。そして永二の右目は藍色に輝いていた。

 

永二「また…会いましたね。」

 

あかり「先輩!!」

 

 あかりは死んだと思っていた永二が生きていたことで驚いていた。

 

組長「どういうことだテメェ…0距離であんなスタンガン以上の電撃を食らって生きてるわけねえだろ!どんなマジックを使いやがった!」

 

 組長はあまりの驚きに声を荒らげる。

 

永二「死の淵から生還しましたとか?………なんてなぁ!!」

 

 永二はそう言った瞬間、ヤクザ達に向かって目にも止まらぬスピードで駆けた。

 

組長「う、撃てぇ!」

 

ズガガガガガガン!!

 

 永二に一斉掃射が始まったが永二にはまったく当たらない。というよりもうまく当たりそうな弾だけ障害物などを使い防いでいた。そして永二がヤクザに近づくと…

 

ボキッ!バキッ!

 

「ああああああ!こいつ…俺の指を!」

 

 とてつもないスピードですれ違いざまに相手の指を折っていった。

 

永二「こうする方が無力化しやすいからな。楽だし。」

 

組長「ふ、ふざけんな。なんだその動きは!速すぎる。テメェどうなってやがる!」

 

 今、自分の身に起こっていることに関してはもうわかった。だから親切に説明をしてやる。

 

永二「説明してやろうか?今の俺はあの銃から発せられる特殊な電流を頭…脳に受けたことで体のリミッターっつうのかな?それを強制的に外したんだ。」

 

組長「リミッター…だとぉ?」

 

 組長はこれでも分かってないみたいなので

 

永二「こんな話を知らないか?そもそも筋肉などの体の機能は人間が壊れないように性能を100%出せないようになってるんだ。たしか筋肉で出せる限界がたった2%らしい。」

 

 丁寧に説明しようと試みる。

 

組長「ってことは今のお前は…」

 

 おっ!やっと理解できたか。

 

永二「理解が早くて助かるよ。今の俺は体の機能を100%出し切れる。あぁ、持続時間は15分くらいで体に相当なダメージがくるけどな。」

 

 詳しく言うと今の俺は、体の機能に限って100%出せる。脳やら神経やら内臓やらの能力は100%出せない。まぁ、力が100%ってだけでも十分すぎる。だがこれの欠陥として体に無理をしているということだ。ゲームみたいに魔法の力でパワーが上がったとかじゃない。体に無理やり力を出させているんだ。だから正直、今でも体への痛みがある。

 

組長「マジかよ…あとよぉ、お前さん、性格も変わってねえか?まるで別人だぜ。」

 

永二「そうか?」

 

 あの電撃を受けた瞬間から『もっと闘いたい』、『もっと相手を壊したい』と思うようになった。さっきまでの自分には考えられないことだ。これは…どこか懐かしい感じがする。もしかしてこれが…昔の自分なんだろうか?思い出すのが怖くなる。けど、今はそんなことどうだっていい!

 

組長「いい気になるなよ。人質がいること忘れんな。ちょっとでも近づいたら撃つぞ!」

 

永二「別に近づかねえよ。」

 

 そう言い七子永二は弾倉から銃弾を1つとった。口調も昔の自分のものなのか乱暴になっている。

 

組長「撃つのか!?いや…拳銃は持ってねえはずだ!ハッタリか?」

 

永二「ハッタリなわけないだろ。」

 

 そして永二は100%に解放された力で銃弾を思いっきり投げた!そう、ただ投げたのだ。だがそのスピードはマッハに届くスピードだった。

 

ヒュッ!!バツッッッッッッン!!

 

組長「ぐわっ!俺の銃が!?」

 

 投げた銃弾は組長が持っていた拳銃に見事当たりバラバラに砕け散った。

 

永二「これの名前何にしよう?遠山さん風に言うと…『銃弾投げ(バレット)』とか?まぁいいや。ほらどんどんいくぞ!避けてみろよ!!」

 

 そして次に割れて落ちていたガラスの破片を指の間に1枚ずつ合計3枚持ち『銃弾投げ(バレット)』で投げる!!

 

「ぐああああ!肩が!」

 

「ひいい!銃弾となんら殺傷力が変わらねえぞ!」

 

 物凄いスピードで飛ぶガラスの破片が相手の皮膚を切り裂いていく。

 

組長「チッ!危ねえ!」

 

 組長はなんとかギリギリで避けていた。

 

組長「おい!人質を連れていけ!ここから出るぞ!」

 

 もう相手は逃げ腰だった。

 

永二「おいおい。『人質』っていつの話をしているんだ?

 

組長「なんだと?」

 

 すると組長の後ろで部下の1人が叫んだ。

 

「おい!この武偵の女のロープ誰が解いたんだよ!」

 

 なんと志乃の手足のロープが何者かに切られていて自由になっていた。

 

組長「誰がやりやがった!」

 

永二「いちいちリアクションの大きい人だなぁ。俺だよ。」

 

組長「お前が…?」

 

 その言葉を聞いてさっきからいちいち俺の言葉に驚く組長はまたもや驚いていた。

 

 そう。俺がガラスの破片を投げた時、1枚は佐々木さんのロープを切る軌道で投げていた。こんなこと言うとアレだけど、だからあの組長は避けることができたのだ。だって狙ってなかったから。そして自由になった佐々木さんも戦いに参戦する。しかし、

 

永二「佐々木さんは子供たちを守っていてくれ!」

 

 佐々木さんにはまだロープが解けていない子供たちを守っていてもらわないとダメだ。流れ弾だって当たったら大変だし、また人質にされたら大変だ。まぁ、今の俺ならまた『銃弾投げ(バレット)』で銃壊せるけど。

 

組長「何人がかりでもいい!とにかくそのイカれた男を殺せ!」

 

 すると組長の命令で残りの25人ほどが俺に襲いかかってきた。俺は1人1人を確実に倒していく。全てどこかの部位の骨を壊して。ヤクザの男達は悲鳴を上げて倒れていく

 

志乃「先輩、後ろです!」

 

 2人ほどが後ろから拳銃を向けてきた。だが…

 

「な!こいつ背後からの銃弾を避けやがった!」

 

「人間じゃねえだろ…」

 

 俺は背後からきた銃弾を見向きもせず回避した。実はこれは俺のなぜか藍色に光っている右目のおかげだ。L―ブレイカーに体のリミッターを外す機能があるって記憶だけ戻ったけど、この右目についての記憶は戻っていない。だがどうやらこの目は超能力(ステルス)的な力で空間把握力を向上する力があるみたいだ。

 

 例えば後ろから狙われてるとか銃弾の通る道や投げた物がどういう軌道で飛んでいくかも分かるという感じだ。まだ別の機能があるのかもしれないけど今のところは分からない。

 

永二「あれ?もう終わりか。」

 

 そして気づいた時には25人全員が指、腕を折られ横たわっていた。

 

永二「さて…最後は…」

 

組長「ひぃ!」

 

 組長はメチャクチャ怯えていた。まぁ、右目が藍色に光ってるやつが自分の部下全員を数分で倒してるところ見たら、そら誰でもビビるわな。だが拳銃をまだこちらに向けていたので諦めていないと見える。

 

あかり「これで終わり!!」

 

 あかりが組長に攻撃をしかけた。その繰り出された技にあかりの才能の一端を垣間見た気がした。

 

 あかりは息を整えると体が地面と平行になるように飛んで回転しながら相手の拳銃に向かっていった。そして、あかりの指が拳銃に触れると…

 

バガッッッッッッン!!

 

 派手な音を立てて拳銃が砕け散った。俺の右目では見えていたがあの時あかりが使ったのはパルスというものだ。人間に普通にある微弱な電流みたいなものだ。それを回転のジャイロ効果で増幅させ相手にぶつけるという技なのだろう。中々むごい技で、あかりがそんな技を使ったことにビックリした。今の俺でもとても真似できない凄まじい技だ。だが、相手はすんでのところで拳銃を離していた。そのせいで余剰のパルスが相手に当たっていなかった。

 

組長「このチビ女がぁ…!テメェだけでも死ね!」

 

組長が最後の抵抗にナイフを取り出しあかりに振り下ろそうとしていた。

 

あかり「!! あ…!」

 

志乃「あかりさん!!」

 

あかりはワイヤーを取り出そうとしたが足を滑らせまたコケてしまった!佐々木さんも距離的にあかりを助けられない。仕方ない…

 

俺はリミッターを解放された脚力で一瞬のうちにあかりの前に出た。しかも佐々木さんよりも遠い位置から。ちょっと力出し過ぎて足の指が1本折れたかもしれないけど…

 

 そして振り下ろされたナイフを…!

 

バシッ!!

 

志乃「え…?」

 

あかり「う、うわわ…」

 

 人差し指と中指の二本だけで掴んで止めていた。

 

永二「大丈夫か?あかり。」

 

あかり「え…は、は、はい…」

 

あかりはなぜか真っ赤な顔で返事をした。熱でもあったのか?戦闘前に体調を整えておくのは常識だぞ。

 

 そういえば話は変わるが遠山さんがこれと同じ真剣白刃取りをしたってアリアさんに聞いたことがある。え~と、『二指真剣白刃取り(エッジ・キャッチングビーク)』とか言ってたっけ?でもやってみてわかる。これメチャクチャ指痛い。遠山さんってやっぱスゴイなぁ。けど、今回はここからさらに…

 

永二「よっと!!」

 

バキン!!

 

 俺はその掴んだ二指だけでナイフを折った。これもリミッター解放のおかげだろう。まぁ、遠山さんでもやろうと思えば出来そうな技だな。とりあえず名前は『二指刀剣折り(ブレイク)』って名づけるか。

 

 そしてその組長は1発殴ったら気絶した。え?こいつ弱っ!……とりあえずこれで事件は解決した。

 

 

 

アリア「あんたたち大丈夫!?」

 

 あ、アリアさんだ。俺がメールを送った武偵とはアリアさんのこと。やっとのご登場だ。

 

永二「アリアさん…。」

 

アリア「あ、あんたが…これ全部やったの?」

 

 アリアさんは信じられないといった感じで俺を見ていた。

 

永二「まぁ…はい。ほとんどは俺がやりました。」

 

 俺は褒められると思った。だがアリアさんは周りの惨状を見て気づいたことがあった。

 

アリア「なんで…全員の指や腕の骨が折れてるのよ?しかも折れてるだけじゃない…強い力で骨が粉々に潰されてる…これはどういうこと?」

 

 実は俺は骨を折っていく中で力加減をミスりほとんどのヤクザの骨を握りつぶしてしまっていた。それで骨が粉々になったんだろう。

 

永二「いや…こうすれば相手は拳銃が握れなかったりナイフを持てなかったり…」

 

アリア「そこまでする必要無いじゃない!!相手だって人なのよ!仕方なく折れたならまだしも故意に折るなんてダメよ!それにここまでやったらもう完全には治らないのよ!!」

 

 俺はアリアさんに怒られた。でも『今』の俺にはそれが正しいとは思うことが出来なかった。『今』の俺には…

 

 そうして制限時間の15分が経ったのか、俺は気を失った。

 

 

 

 気を失ってる間、また誰かに話しかけられている記憶を思い出した。

 

?「君には今作戦では記憶消去措置をとらせてもらう。しかし、この『L―ブレイカー』はリミッターを外す以外にも時間内だけ過去の失った戦闘技術の記憶を取り戻す機能もあるから問題はない。」

 

 戦闘技術の記憶…?なるほど。だから僕は無意識に銃弾投げたりナイフを二本指で折ったりしてたのか。過去の僕に悪いことしたかな?勝手に技の名前付けてしまった。

 

?「しかし、同時に過去の自分の性格や思考も時間内だけ蘇らせてしまう。口調なども過去の自分のものに変わる。過去の自分を初めて見て今の自分との違いに『自分』という人間が信じられなくなるかもしれないが、そこは君に任せる。」

 

 たしかに僕は驚いた。過去の僕が善人だったのか悪人だったのかが分かってしまったような気がした。

 

?「あとL―ブレイカーは必ず頭に打て。それ以外のところに打つと電流がうまく脳に伝わらず我を忘れるように暴走してしまうぞ。」

 

 遠山さんとの戦いのあれはそういうことだったのか。

 

?「そして君の右目のことだが…これは私が特別に――――」

 

 クソ!ダメだ、これ以上は思い出せない。

 

 

 そして目覚めたら僕は病院のベッドの上だった。

 

永二「なんかここのところ気を失って目覚めるの多くないか僕…」

 

 と、独り言を喋っていると

 

アリア「目が覚めたのね。」

 

永二「う、うわ!なんだアリアさんいたんですか…」

 

 ドアの前にアリアさんがいたことに気付かなかった。独り言聞かれたの恥ずかしいな。

 

アリア「失礼ね…。あんた、何があったか覚えてる?まさかまた『記憶がありません』とかじゃないわよね…」

 

 僕が前回、気を失って記憶が無かったことからアリアさんはそこを心配する。

 

永二「覚えて…います。でも、実感が無いんです。僕がやったってことは分かってるんですが…あの時…自分が自分じゃないみたいな…今でもなんであんなことをしたのか信じられないんです。」

 

アリア「なによそれ?あんた二重人格なの?」

 

永二「そうではないと思います。あれが…昔の僕だと思います。」

 

アリア「昔のあんた?」

 

永二「はい。あれが…『七子永二』である前の僕…じゃないかって。」

 

アリア「なるほどね。それであの時、雰囲気変わってたのね。自分のことも『僕』じゃなくて『俺』って言ってたし。」

 

 さっき思い出した記憶で言われたとおり口調も変わってたってことか。

 

永二「アリアさん…僕…怖いんです。昔の自分が一体どういう人間なのか今回で分かった気がして…あんな酷いこと…ううっ…僕は、記憶は取り戻したいけど!昔の記憶を全て取り戻すのがたまらなく怖いんです!!」

 

 僕は涙をボロボロと流しながらアリアさんに言った。僕が記憶を全て取り戻したら『七子永二』ではなく、人を簡単に傷つけるような人間になると考えると心が押しつぶされそうになる。

 

アリア「大丈夫よエイジ。あんた、あかりを助けたそうじゃない。その『昔の自分』ってのにも優しい心はあるってことよ。だから…気に病むことないわ。あんた自身はこんなに優しい人間じゃない…。」

 

 アリアさんは『僕』というよりも『七子永二』を見てくれている気がして僕はさらに涙を流してしまう。

 

 アリアさんは僕が泣き止むまでずっと僕の近くにいてくれた…。

 

 

 

あかり「ね、ねぇ志乃ちゃん…。」

 

志乃「はい!なんですかあかりさん。」

 

 今、私とあかりちゃんは2人でリーフパイを食べながらお勉強中です。ああ、なんて幸せな一時でしょう…!

 

あかり「あのね、志乃ちゃんに…相談っていうのかな?聞いてほしいことがあるの。」

 

志乃「なんですか?」

 

 きゃああああああああ!!あかりちゃんが私に相談!これも信頼がなせる業!恋人になるまでもう一歩ですね…ふふふ…この進展は白雪お姉さまに報告しなくては…!

 

あかり「エイジ先輩のことなんだけどね…。」

 

志乃「え」

 

 あかりちゃんの様子がおかしい。顔が赤くなっている…。しかもそこで出てきた名前は『志乃ちゃん』ではなく『エイジ先輩』ときた。

 

あかり「あの時、助けてくれた後から…すごく気になるっていうか…こう、胸がドキドキするというか…。」

 

志乃「は!?ドキドキ!?」

 

あかり「この気持ちって何かな!?志乃ちゃん!」

 

志乃「な……………!?」

 

 とんでもない相談だった。私のあかりちゃんがあかりちゃんがあかりちゃんが!!そんな…。

 

 あまりの衝撃に食べていたリーフパイを落としてしまった。

 

あかり「ねぇ志乃ちゃん…って志乃ちゃんどうしたの!?なんで急に白目むいて倒れちゃったの!?泡も吹いてるし!」

 

 この日、佐々木志乃はこの歳で人生最大の絶望を味わったのだった…。

 

 

 

 

 

~GO For The Next!!!~ 「決戦は彼の地にて」

 

 

 

カツェ「おいおい!トオヤマは欧州に来ねえじゃねえかよパトラ!」

 

 カツェは眷属が一堂に揃っている食堂でパトラに怒鳴った。

 

パトラ「おかしいのう…占いの結果でトオヤマキンジはかなり高い確率で、ここ欧州に来るというのが出たんぢゃが…。どこかで結果が変わる『何か』があったのぢゃろうか?」

 

カツェ「けっ!どうせ占い外しただけだろ。あ~あ~!面白くねえ~!」

 

 カツェは最初から信じてなかったという感じでパトラに言った。この言葉にパトラもムッとする。

 

パトラ「なんぢゃと!妾の占いは約7割当たるのぢゃぞ!」

 

カツェ「じゃあ約3割は外れるんじゃねえか!」

 

 カツェとパトラは喧嘩を始める。周りの眷属メンバーは誰も止めようとしない。呆れる者もいるほどだ。

 

イヴィリタ「はいそこまで!喧嘩はよしなさい。作戦を変更する!」

 

 眷属の一同は黙ってイヴィリタの次の言葉を待つ。この『眷属』の場ではイヴィリタが仕切っているようだ。

 

イヴィリタ「欧州に来たジャンヌとワトソンは倒した。だが、今回の目標としていた『遠山キンジ殺害』は失敗どころか遂行すらできなかった。」

 

 パトラも一応、申し訳なさそうな顔をした。

 

イヴィリタ「V2改を撃つのも中止。そこで私たち欧州の眷属で日本を攻めるというのはどうだろうか?」

 

 日本―それはバスカービルを中心とした『師団』の本部みたいなものだ。そこに乗り込むとなると眷属に最も被害を与えた『哿エネイブル』遠山キンジとの戦闘は避けられないからだ。

 

イヴィリタ「だが安心してほしい!遠山キンジの対抗策はすでにある!」

 

 そう言いイヴィリタはその場にいたこの場では珍しい日本刀を二本と拳銃を二つ下げた黒コートの男を見た。

 

イヴィリタ「遠山キンジはお前に任せていいのよね?」

 

静刃「何度も言わせるな。遠山キンジは俺がやる。あんたは金のことだけ考えておけ。」

 

 その男はぶっきらぼうにそう言った。この異常な集団の前でもこの傭兵として雇われた男はまったく動じていなかった。彼自身もまた普通の人間の類ではないのか…。だがイヴィリタにとってそんなことはどうでもよかった。

 

イヴィリタ「2億だったかしら?それで遠山キンジを倒せるなら安いものだわ。」

 

 眷属一同はそれぞれの反応を見せる。

 

カツェ「う~し!決まりだな!ワクワクするな~!日本は同盟国だけど…今回は仕方ねえよな。」

 

パトラ「はぁ…日本か…キンイチは今ごろ何をしとるかのう?」

 

セーラ「………。」

 

リサ「こんなに皆さんに警戒されるなんて遠山キンジというお方は凄いお方なんですね。」

 

閻「う~む。盛り上がっておるところ申し訳ないが…『鬼払結界きばらいけっかい』とやらはどうするのだ?」

 

イヴィリタ「大丈夫。それも考えがあるから。……反対意見は無いわね?では私たち『眷属』は日本に進軍することをここに宣言する!」

 

「おおおおおおお!!」

 

 

 

 とある地で1人の美女が物憂げに立っていた。

 

カナ「どうやら私の『条理予知(コグニス)』の結果と違ってキンジは欧州に行かなかったみたいね…いくら不完全な『条理予知(コグニス)』と言ってもここまで推理を外すのは初めてだわ。」

 

 カナは数時間前にメーヤから自分の推理と違った結果を聞いて驚いていた。

 

カナ「でも、このままじゃ眷属は間違いなく日本に進軍する。日本が戦いの地になってしまう…。そうなると緋緋神も…。」

 

 カナはこのままでは自分が考えていた最悪の結果になることが推理できていた。

 

カナ「私も決戦の前に色々と準備しなきゃね。」

 

 カナは何かを決心したように再びどこかへ歩き出した。

 

                           Go For The Next!!!

 

 

「完全忘却の屍(ノーメモリー・アンデッド)」終了。

 

 

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