夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~ 作:リムル=嵐
「ハァァァァ!!?このおっさんが母さんの弟ぉ!?初音、年齢が合わないだろ?」
あの後、この老け顔のおっさんと喧嘩になりそうな所を初音と鮎川の二人に止められ、皆で近くにある喫茶店で休憩してるところだ。
鮎川の母親の面会が三時からということも有り、皆で喫茶店で休憩してるところだ。
なんでこの自称母さんの弟が居るのか、さっぱし分んないんだけども。
つか、見た目だけなら母さんの父親で違和感ないぞ?
このおっさん。
「誰がおっさんだクソガキ、俺は今年23のお兄さんだ!!バカな事言ってんじゃねぇ!」
カッチ~ン、頭にきた!
「誰がクソガキだ!俺には初って名前があるんだよ、おっさん!!」
「るっせぇ、テメェ何かはクソガキで十分だろうが!」
ブチッこの野郎、何度もクソガキって言いやがって!!?
「さっきから聞いてりゃ、クソガキクソガキって、頭に来た!!」
「あ!?頭に来たから何だよ、未だ十も生きてないガキが何すんだ!?あぁ!!」
「上等だおっさん!喧嘩だ!!表に出ろぉ!!!」
俺の事クソガキって呼んで良いのは、俺を産んでくれたお袋だけだ!!
…………本当、お袋も見た目と性格がチグハグな人だったな。
「良いぜクソガキ、言葉遣いから教育してやる!!」
睨み合う俺達をよそに、幼女二人は頭を抱えていた。
「どうすんのよこれ、お兄ちゃん怒った時って、昔から手ぇ付けらんない位怒り狂うのよ?家ではお父さんが模擬戦で、気絶するまでお説教するらしいんだけど。」
「はぁ、いざとなったら私が止めっから、その間に初音は初音の母さんに連絡だな。ったく、これじゃあ、私たちのこと言えないだろうに。」
「全くよ、「はぁ~。」。」
喧嘩しようにも、街中じゃ迷惑が掛かるから、近くの森に移動した。
幸い、鮎川の母親の居る隔離病棟は、町のハズレにあり、俺達の家もこの森から三十分掛からない距離だ。
喧嘩の後でも十分面会には間に合う。
「謝るなら今のうちだぞ?クソガキ。」
ビキビキ、絶対ぇ許さねぇ、泣いて謝るまでボコってやる。
「そっちこそ、歳何だから無理すんなよ?おっさん。」
「テメェ、俺は23だって言ってんだろ!?大体姉さんに息子は居なかったろ?再婚したって言ったけど、お前連れ子か?前今元帥にはちっとも似てないが。本当に初音の兄貴か?」
………怒りで頭が真っ白になる事ってあるんだな、 もう無理だ、神社で首跳ねた時あったけど、あんなん比じゃない位に今、怒ってる。
流石に手加減なんて出来ないぞ?
「あ?テメェ今何てった!!俺が初音の兄貴じゃない!?ふざけんのも大概にしろよ!!!」
「思った事言っただけだろうが。それにテメェ、さっきから聞いてりゃ舐めた口のききかたしやがって、大人舐めてんじゃねぇぞ!!!」
あ、もう無理だわ。
殺す。
「オッケー、テメェは全力で殺す、嬲り殺しとかじゃなくて一瞬だ、速く俺の前から消えろ!!」
テューポーンと力を重ね掛けして、光速と同じ速度で殴る。
光速を超えると視界が効かなくなる。
目に頼らない戦い方は未だ教わってないから、これ以上は速度を出せない。
拳の衝撃波によって、周りの森が地面ごと衝撃で捲れ上がり、クレータになった地面に、俺と、
「テメェ、何だその鎧、めんどくせぇもん着やがって。」
「テメェもやるじゃねぇか、クソガキ、あの速さで移動してんのに、何で目が見えんだ?」
テューポーンの身体能力舐めんなよ?
光速なんて、宇宙を焼く雷撃を放つ神と身体能力だけで戦ってきた化け物だぞ?
目視余裕に決まってんだろ。
………………何か、戦闘の時毎回、テューポーンの自慢してる気がする。
「んなん、どうでも良いだろ、さっさと死ね。」
今度は身体強化の魔法も重ね掛けだ!!
速度を上げる目的じゃなく、思考速度の上昇、免疫力の上昇が主だ。
植物が出たなら、毒を警戒しなきゃいけないからな。
この状態は、魔力がフルでも30分維持できない、それでも一時的に、身体能力だけなら、戦闘技能持ちの仙人に並べると、自負してる。
ただし今の魔力じゃ、3分が限界だ。
だから、その前にこいつを殺す。
「っらぁぁぁぁぁ!!!!」
全力のラッシュだ、光速のスピードの攻撃に、衝撃波が起こり、周囲を巻き込んでいく。
周りはもう、爆心地みたいな様相で、つい数秒前は森なんて、信じられない光景になった。
「こなくそぉぉぉぉぉ!!!!」
俺の、父さんから習った体さばきから繰り出される、光速攻撃の数々を、おっさんは全て何処からか出した、木製の盾で防ぐ。
「初~、そいつ仙人級だ、気をつけろ~。」
ふぁ!?
嘘だろ!!
俺、格上に喧嘩売ったのかよ!?
くっそ、言うのおせぇよ鮎川!!
「はっ、あの嬢ちゃん、何で俺がどの位なのかが解んだよ?」
「俺だって、その能力、今知ったんだよ!!」
ちくしょう、あの盾、俺の攻撃食らってびくともしない。
多分、特級クラスの魔獣の素材の武具だ。
…………!?
いや、あの盾見えない様にして、大量に文字が掛かれてる!?
しかも、あの楯に使われてる部分、多分幹じゃなくて、枝の部分だ。
となるとあの魔獣は、軍の開発された魔獣!?
「おっさん、その盾、綿花か?」
この国で入手可能な植物魔獣の素材と言えば、軍が育成してる魔獣しかない。
それを持ってるってことは、軍人か、知り合いに軍関係者が居るってところ。
母さんの弟って事は、父さんと知り合いって事だろ?
なら、持ってても不思議じゃない。
お、おっさんの表情が変わった。
装備の情報を得る為に、戦闘しながらおっさんと、会話をする事にした。
「お兄さんだ!!でもよく分かったな、クソガキ。だが、分かったからって何か出来るのか?」
例え植物魔獣の素材が強力だとしても、巨大な綿花の枝の部分を盾にするとか、頭おかしいんじゃないか?
まぁ、攻略法はあるな。
力の能力を、脚力に2身体能力に1の割合で振る。
この力は、指定範囲が狭いほど、効率が良くなるんだ。
リソースが出た分を、全部身体強化の魔法に注ぎ込んで、無理矢理速度を上げる。
「んなもん、馬鹿正直に正面からいくかよ!」
後ろに回り込んで回し蹴りを入れる!!
「んなもん対策済みだ、大人舐めんな!!」
ちっ、背部の装甲が厚い!?
もしかしなくても、鎧全部、植物魔獣製かよ!?
成金装備かこの野郎!!
なら、関節の部分狙って、な!?
「対策済みだって言ってんだろ、おりゃ!!」
首に向けて放った蹴りを肩の装甲で無理やり受け止められて、そのまま投げ飛ばされた。
「な!?おわっ!!」
ギリギリのところで受け身をとって体制を立て直す。
「!?!?っがぁっ!!?」
おっさんの方を見るともう姿が無く、急いでその場から離れようとするが、後ろからの強烈な衝撃に、数百メートル、木を薙ぎ倒しながら吹っ飛ばされる。
「ちょっと強いギフト持ってるからって、いきがりやがって、ギフトの使い方全然なっちゃいねぇな。」
衝撃があったところから声がしたと思ったら、俺は空に蹴りあげられてた。
「!!?っかはぁっ!?!?」
間髪入れずに二発の強烈な衝撃に、脳が耐えきれず、一瞬視界がホワイトアウトする。
意識が戻った時には、背中側から声が聞こえて、規格外の魔力に大気が震える。
チッ、こうなったら、ギフトを暴走させて、一発だけでも!!
「これが正しいギフトの使い方だ。死なねぇから安心しな。」
魔力やギフトを全て防御力に回して、次の衝撃に備えた瞬間、後ろから頭を
「なっ!?姉さん?!!?」
「二人とも、
あ、これ死んだわ。
~1時間後~
あれから1時間、俺とおっさんは、女性陣三人にお説教されていた。
「まさか、出会ってすぐ喧嘩するなんて、私思わなかったわ。がんちゃんも初君も、次は無いからね。」
グフッ母さんの言葉が心に響きますなぁ。
いや、本当、この人は怒らせちゃダメ、今回身に染みて分かったわ。
「叔父さんも、お兄ちゃんも、今度喧嘩したら、私とむ~ちゃんで二人に制約掛けるからね!!」
そう言って初音がそっぽ向いた。
鮎川も異論ないようで、呆れた目で俺らを見てる。
誓約はマジで勘弁してください。
流石に二人が本気で掛けると、行動制限どころか感情制限や、思考制限まで掛かる。
それは辛いんで、マジで勘弁してください。
おっさんもそう思ってたのか、偶然同じ行動をとってしまった。
「「誠に、申し訳ございませんでした!!」」
俺とおっさんは声を揃えて土下座する。
声もポーズも完璧に揃ってしまった、何だ、意外と似てるのか俺、このおっさんと?
なんだ自分で言ってて、スゲェ釈然としないんだけど。
「お兄ちゃん?」
「絶対喧嘩しません、はい!!」
やっぱ、心読めてるだろ。
俺の妹に隠し事が出来なくて辛い。
………ラノベのタイトルかな?
あ、そうだ。
「母さん、そう言えば父さんは一緒じゃないの?」
「あぁ、りゅう君なら病院に行ってるわ。歩ちゃんのお母さんに未だ、説明出来て無いからって。」
あぁ、そういうことね。
「麗奈さん、私たちも病院行く予定だったんだ。麗奈さんも一緒に来てくれませんか?もしかしたら、母さんの病気、治せるかもしれないから。」
ううむ、確かに母さんなら何でもありだけど、治るなら鮎川の父さんが、父さんに頼み込んでるような気がする。
多分、母さんでも直せないんじゃないかな?
「ごめんなさい、私でも病気は治せないの、傷は治せるんだけど、貴方のお母さんの病気は、外傷じゃなくて後天的な障害だから、本当に申し訳ないけど、私じゃ力不足だわ。」
「そう、ですか。無理言ってごめんなさい。」
そう言って鮎川は押し黙った。
状況把握できてないおっさn「お兄ちゃん?」
……………………………叔父さんは、今初音に簡単に質問して、状況把握してるところだ。
「そう言えば二人とも、自己紹介ちゃんとしたのかしら?仲直りの印に、改めて自己紹介ね?」
思い出したかのように言って、俺と叔父さんの方を向いた母さん。
有無を言わせぬ無言の圧力に負けて、しぶしぶお互いの方を向いて、自己紹介をする。
「天草贋哉、今年23の海軍大佐のお兄さんだ。好きなものは姉ちゃんで、嫌いなものはこどゴホンッ!!自己中な人だ、同族嫌悪で嫌いだ。」
何だよその自己紹介、まるで意味が解らんぞ。
「前今初、今年で5の初音の兄貴だ。好きなものは初音で、嫌いなものは、自分の尺度で決めつける奴、同族嫌悪で嫌いだ。よろしくな叔父さん。」
そう言って手を出す。
叔父さんの辺りでこめかみピクピクさせてたけど、握手には全力で応じてくれた。
勿論、俺も全力で応える。
「よろしくな、初。」
ギチギチ、ビキビキ
ふん、力でフル強化した腕力に付いてくるなんて、筋肉お化けめ、流石職業軍人。
つか、痛いんで離さない?
あ、離したわ、露骨にならないように、出来るだけ自然に手を後ろに回す。
..........何か叔父さんも同じことしてんだけど。
はいそこ三人、こっち見てにやけない、初音と母さん何て、腹抱えて笑ってるし、鮎川が反応に困ってるからやめなさい。
「あ、あははははは!……プッ駄目っ、ツボ入ったっ、ちょ、まっ、あはははははははは!!」
「だッ駄目!無理っ、ヒッ、さっきまで喧嘩してたのが、プフッこんなシンクロするとか、クッ、あははははははは!!」
おう、笑い過ぎだぞ初音、母さんも笑いすぎだ、何だこれ?
さっきの説教よりぐさぐさ心に刺さってるんだけど。
何かすんごい虚しい気持ちになって、叔父さんの顔をみる。
叔父さんもこっちを虚しい顔で見てた、こっちみんな。
そんな事念じたら叔父さんが気まずそうに、二人に声を掛ける。
「あ、あぁ~、初音も姉さんも、そろそろ行かないか?義兄さんもいつまでも面会してないだろ。」
鮎川が叔父さんをキラキラした目を向けてる。
………どんだけ居づらかったんだよ。
そんなこと考えてたら、二人がやっと落ち着いた。
「はぁはぁ、二人ともシンクロし過ぎ、私の死因が笑い死になるわ。」
「はぁはぁ、けほっこほっ、も、もうダメ、腹筋攣っちゃった。お兄ちゃん、抱っこ。」
な、俺、魔力もう一気に四割近く使って、今すんごい倦怠感があるんだけど、歩くだけで精一杯だ。
「うへぇ、俺喧嘩で魔力使い過ぎて、今力入らないんだけど。」
そう言って俺が、疲れた表情で首を横に振ると、母さんが初音をおんぶしながら言った。
「しょうがないわねぇ、私がおんぶするわ、ガンちゃんに任せると、ポカしそうだし。」
そう言って、母さんは片手で初音をおんぶして、鮎川と手を繋ぎながら歩いて行った。
………男組がナチュラルに無視られてるんだけど、三人ともお喋りしだして、ワイワイしてるし、何これ、疎外感が凄い。
「俺、姉さんにだけは信用ねぇな。」
そんな事ぼやいて、肩を落として俺の横歩いてる叔父さんの煤けた姿に、無性に同情したくなるのをグッと堪え、俺達は移動した。
来月の更新ですが、諸事情があり、活動報告の方に詳細をのせますので、そちらをご覧ください。