夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~   作:リムル=嵐

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お待たせしました、最新話です。
三話連続投稿です、はい。


四話 入学式

四月

 

寒く厳しい冬を越え、暖かくなり、冬眠から動物たちが目覚め、野生が活気付く時期。

 

俺達兄妹は国立日ノ本総合技術学園(こくりつひのもとそうごうぎじゅつがくえん)の、軍教育学部特殊技能教育科の入学式に出ている。

 

この学校、学部ごとに敷地がわかれており、入学式も年間行事も全部別々なのだ。

そして校舎も、特定の地域に密集している訳ではなく、国中に校舎が造られている。

 

生徒は全員寮生活、下は三歳から、上は上限無しで、試験に合格できれば入学出来る。

試験と言っても、二桁の四則演算と、簡単な読み書きが出来れば、入学出来る仕組みだ。

 

学費も、学科試験の成績で上位五十に入れば、簡単な面接をして、人格に問題なしと判断されると、特待生扱いで、全額免除される仕組み。

だが、免除されると言っても上位に入れればの話。

 

実際の学費は、今まで教育に金を掛けていなかった、この国の人間からすれば高かったらしく、予想より数は集まらなかったらしい。

 

確かに、いきなり学校何てものが創られて、今まで地域の大人で教えていた事を国が教えるなんて、直ぐに信用しろという方が難しい。

 

おかげで入ってきたのは、コネを作るために入ってきた商人と富裕層の子供たち等の、学ぶ以外を求めている人達や、何らかの理由で、大人に教えを乞う事が出来ない子供等、訳ありばかりの生徒が集まった。

 

「次は特待生一組 赤羽 隆志(あかばね たかし)。」

 

お、初音のクラスの紹介が始まった。

 

今は、校長からの話とかその他諸々が終わって、体育館で生徒一人一人の名前を読み上げている所だ。

あらかじめ体育館の後ろに、一塊に生徒全員が集められており、読み上げられた生徒は、呼ばれた組の区画に居る教師の所まで行き、寮の鍵と教本を貰い、指定の教室まで行くんだ。

 

今前 初音(いままえ はつね)。」

 

特待生は学科ごとに五十人、俺と初音が入った軍教育学部特殊技能教育科も、五十人の特待生を一組十人の五組編成で、寮も他の生徒とは別になっている。

 

俺と初音はイヴからの指示で、偽名を使って学校に登録してある。

 

御三家で学校に来ているのは、俺達以外にも居るが、四菱の血も引く俺や、色々ギフト性能がヤバイ初音。

 

いたずら者(プレインク)ってだけでも問題が起きそうなのに、血筋まで問題持ってくると、イヴの眷属としても仕事が出来なくなる。

 

そのため、偽名を使えとの事らしい。

 

「次は特待生二組 今前 初(いままえ はじめ)。」

 

呼ばれたので先生の所に向かって!?

 

「神主さん!?何でここに!」

 

イヴ大好きな創世神主の神主が、教員用のジャージ着て、名簿片手に五組の場所に居た。

 

「イヴに言われたんだ、仕方ないだろ。ほれ鍵、後これ、生徒手帳と教科書。教室の場所は生徒手帳に書かれてるから、それを見てくれ。ほら、次来たから行け。」

 

「え?ちょっま!」

 

そのまま神主は俺の言葉を無視して俺の後に呼ばれた生徒と話をしてる。

 

釈然としないけど、行くしかないか、生徒手帳に書かれた地図通りに進む。

 

つか、この生徒手帳分厚くね?

三百頁位あるぞ、もう手帳じゃなくて本だろ。

 

サイズも大判の漫画位の大きさだし、持ち歩きにくいことこの上ない。

 

つか、神主が教師になるなんて聞いてないぞ。

それに、何で俺と初音が別の教室何だよ、おかしいだろ?

 

あぁ、もう、一つに不満が出ると他の事にも不満が爆発する。

考えないようにしないと。

 

そんな事考えながら校舎の廊下を歩いていると、鮎川に会った。

 

鮎川も、最近は大分女らしい口調になってきた。

母親と会える時間が伸びてきたのが、精神安定に繋がって、肉体と霊体の結びつきが強くなった結果だと俺と初音は予想してる。

 

初音も俺も、精神が肉体に引っ張られてるし、信憑性はあるだろう。

 

まぁ、単純に新庄さん達の教育の賜物ってのもあるだろうけど。

 

「あ、初か。何組になった?家だともったいぶって教えてくれ無かったし、いい加減教えてよ。」

 

「私は初音と一緒の一組、新庄さん達もいっしょだよ。」

 

そう言って鮎川は自慢げに胸を張った。

 

「俺はあの五馬鹿と一緒だ、つか特待生教室、身内多過ぎないか?」

 

教室の半分が身内って、それでいいのか国立よ。

 

「あ、あ~、それは仕方ないよ?全員試験に合格して特待生になったんだから。」

 

それはそうだけど。

 

「つか、あの五馬鹿が合格できたのが、驚きなんだけど。」

 

あんな残念な奴らなのに、頭は良いらしい。

まぁ、前世で中学までの計算が出来れば、後は歴史の暗記だけだし、覚えるだけなら、あいつらでも出来るか。

 

「それは、紫陽花さんが張り切ってたし。夜鷹さんも赤ん坊達に教えるついでにって頑張ってたから。」

 

あ、そういう事なのね。

でも、何で初音や鮎川じゃなくて、あの五馬鹿と同じ教室何だよ。

 

「でも、分け方偏り過ぎだろ?」

 

「それこそ私が知る訳ない、抗議はイヴ様か初の両親にしてよ。」

 

「何であの三人が出てくるんだよ。イヴはともかく、父さんと母さんは……まさかね。」

 

あの二人が関わってるとか、考えたくないんだけど。

今は人魔戦争のことで海外に、七大巫女と百鬼夜行から数人連れて、出張してるはずだから、こっちの事は関わってないはず。

 

この世界、特に日ノ本は周りを海に囲まれ、船か飛行魔法で移動するしかないんだけど、魔獣の住処や縄張りばかりの国外に、たった数人で旅するなんて無茶。

それこそ七大巫女や百鬼夜行クラスの猛者じゃないと、あっという間に死んでしまう。

 

「そのまさかをするのが、初の両親じゃないか。まぁ、流石に教室の分け方は不自然だと思うけども。」

 

そう言って鮎川がため息を吐いた。

はは、うちの両親が申し訳ない。

 

「まぁ、俺が抗議したところで変わんないよ。それより、そっちの教室は担任は誰なんだ?」

 

「落ち着いて聞けよ?いいな、絶対驚くなよ?」

 

鮎川が若干苦笑いしながら言った。

 

「イヴ様が変装して教師になってる。」

 

!!?

 

「ぶっ!?まじかよ!!」

 

あいつ何やってんの!?

 

「あ、驚くなって言ったのに、餡蜜一個な。」

 

「何で奢んなきゃいけねぇんだよ、年上何だから、鮎川が奢れし。」

 

「女にたかんな、みっともない。それより、初は誰が担任なんだ?」

 

「俺は男女平等主義だ。担任は解んねぇけど、鍵貰ったのは神主からだったな。」

 

おう、その何言ってんだこいつみたいな顔やめぇや。

 

神主はイヴに言われたからとか言ってたけど、神主としての仕事とか、あるんじゃないのか?

そこらへん部下に丸投げとか、何かうちの両親見てるみたいだ。

 

この世界は上司が鬼畜らしい。

 

「本当に神主なのか?この学校の教師陣、面子おかしくないか?」

 

そう言って鮎川は顔を強張らせる。

殺されかけた相手だし、子供相手に容赦なく尋問するし、鮎川が苦手なのはすんごくわかる。

分かるだけに、神主が担任なのが残念だ、イヴが良かったんだけどなぁ。

 

まぁ、鮎川の話には同意見で、未だ二人だけど、嫌な予感がプンプンする。

こう、知り合いが教師みたいな予感が。

 

「そうなんだよな、まだまだ濃い人が居そうで怖いんだけど。」

 

「まさかな。そんな人ばっかりとか、学校として成り立たなくなりそうだから、流石にないだろ。」

 

そう言って鮎川も力なく笑う。

 

その後も、他愛ない雑談で十数分時間を潰すと、流石に教室に行かなきゃいけない時間になってきた気がするので、鮎川と別れることにする。

 

「じゃ、俺そろそろ教室行かなきゃいけないから。」

 

さっきから、同じ特待生と思わしき生徒が廊下を歩いてるし、そろそろ教室に行かないと、担任が来る。

 

「そうか。じゃ、私も教室戻るわ。」

 

「じゃな。」

 

「おう。」

 

そう言って鮎川と別れる。

 

鮎川と別れて少し廊下を生徒手帳を見ながら歩くと、扉に≪特壱・二≫と書かれた教室に着く。

 

これからこの教室に六年間お世話になる。

そう思うと緊張してきた。

 

深呼吸して、気持ちを落ち着かせてから、扉を開けた。

 

そう、ここから俺は、新たな友人を見つけ、新たな生活が

 

「あ、初さんじゃないっすか、おはようございます!!」

 

「「「「おはようございます!!」」」」

 

見知った面子しかいなかった。

 

教室の大半がしってる奴とか、何故だ!!

しかも、黒板に書いてある名前見ると、俺ら六人以外は女生徒らしい、教室に華があるのは良いけど、何か嫌な予感。

 

しかし、予想してたとはいえ五馬鹿が頭下げて挨拶してる光景を見て、おもわず苦笑いしてしまう。

 

「おはよう。お前らの他に生徒来てないのか?」

 

見渡して、こいつ等以外に人が居なかったので聞いてみる。

 

「それが、初さん。」

 

五馬鹿の一人、もやしっ子みたいな見た目の冴羽が、口ごもる。

 

 

「何かあったのか?」

 

まさか、何か問題起こしてないだろうな?

そんな目で五人を見ると、見た目ロリの五馬鹿の中で最年長の板橋が、説明してくれた。

 

こいつ、見た目ロリの癖に中々に凶悪なギフト持ってんだよな。

一人称新庄さん達に矯正されてたけど、僕っ娘に見えるから放置してる。

 

「実はですね。四人とも犬神(いぬがみ)(くろがね)の知り合いでして、何か喧嘩別れしてたらしくて、二人の顔見るなり、教室飛び出していったんですよ。僕ら、二人に仲直りするように言ったんですけど。」

 

そこまで言って板橋は件の犬神と鐵に目を向ける。

犬神と鐵は孤児で、国境付近の森で仲間の孤児たちと生活してたらしい。

 

そこを鮎川に拾われたとも聞いた。

因みに、最初初音に気絶させられたのが犬神で、鐵は金髪で色んな武器を射出して攻撃してきた奴だ。

 

最初は皆口が悪かったな、俺の事を親の仇の様に睨んでくるし、正面から喧嘩売ってくることもあれば、不意討ち闇討ち上等で、奇襲してきたときもあった。

 

その度に返り討ちにして、紫陽花さんに引き渡して修行コース。

今では五人で来れば苦戦する位には、強くなってる。

 

皆、並の上級魔獣とも互角以上に戦えるようになったし、藤原や鐵何て、母さんの護森牛こと、シン君とも互角に戦えるようになった。

 

シン君は、母さんの上級魔獣の中でもトップの実力を誇る魔獣で、人型にもなれる魔獣だ。

赤ん坊達全員相手にしても、余裕のあるシン君相手に、互角の戦いが出来るレベルは、軍の中佐並みの強さだと言う。

紫陽花さんの修行の賜物だと言えるだろう。

 

俺?

俺は夜鷹さんや鮎川相手に模擬戦や、五馬鹿相手に集団戦ばっかだから、准将級らしいぞ?

それより上はハッキリ言って、種族進化してる人間じゃないと挑む資格すら貰えないから、、ここら辺が人の限界だと思う。

 

光速駆動したり、空飛べるのが人扱いなら、だけど。

 

まぁ、鐵は犬神と一緒に、居心地悪そう目を逸らしてるけども。

 

「二人とも、そうなのか?」

 

「それは、」

 

「えっと、その、」

 

歯切れの悪い言葉に、板橋の言ったことが本当だと確信する。

思わず溜息を吐いた。

 

「はぁ~。」

 

こいつら学校に行かなくても軍に入るぐらいだったら、余裕なのに、皆が行くって言ったら、俺達にも行かせてくださいって言ってさ。

 

最初は皆軍に行くと思ってたんだけど、『自分達は常識を知らない、礼儀も分からない。戦う力ばかり磨ていた。だから、学ぶ機会を下さい』って五人で言ってきた時は、紫陽花さんや新庄さんが、感涙してしまった位の衝撃だった。

 

人は認めることで成長するって聞いたことあるけど、まさにその通りだと思った瞬間だったな。

 

「喧嘩別れしたのは事実なら、謝ってこい。謝るまで、家の鍵渡さないからな。一人で無理なら、鮎川に頭下げて付き添ってもらえよ?」

 

こいつ等は合鍵持ってないので、俺の持ってる鍵を使って軽い脅しをしとく。

ついでに初音に念話して、女性陣にも話を通しておいた。

 

嘘は魔法使えば分かるし、鍵は女性陣に話したから俺以外に貸してもらうことは無理だ。

国境付近の森は、喧嘩別れしたため、そっちに戻ることも出来ないだろう。

 

これで謝る以外の選択肢は無いわけだ。

二人もそれが分かったらしく、顔を青くして、口を開けてる。

 

あれか、その四人はそんなに怖いのか?

それとも、謝っても許してくれないとか、話を聞かないタイプとか、そういうのか?

 

「は、初さん、お願いです、付き添いしてください!」

 

犬神がそう言ってその場で頭を下げる、放っておくと土下座しそうな勢いだから、慌てて止める。

 

「おいおい、俺より鮎川の方が良いんじゃないか?それに、何で俺なんだ。」

 

「初さん、自分も、付き添いしてください!」

 

俺が犬神に困惑してると、鐵が犬神と同じ様に頭を下げた。

 

一体何なんだよ!?

 

驚いてる俺を余所に、鐵が説明を始める

 

「実は、喧嘩別れしたのは、俺達の姉貴分や妹分でして、鮎川さんが俺達を誘ってくれた時、反対した人達なんです。俺達が当時、皆の中でも弱い方だって事は、知ってたし、それでも頑張った結果が、今のギフトなんです。鮎川さんは俺達の救いの神なんですよ。だけど姉貴達は、俺達を危険な事に巻き込んだ鮎川さんを嫌ってて、ロクに話すらさせて貰えないまま襲い掛かる事も有ったんです。だから、鮎川さんは巻き込めません。けど、俺たちだけじゃあの四人には勝てないんです。絶対に、模擬戦とか実力を見せろとか言ってきて、多分戦うことになるんです。初音さんは無関係なんで、巻き込みたくないんですよ。だから、お願いします!!」

 

途中、つっかえそうになりながらも、最後まで言って俺に頭を下げた鐵に、仕方ないとため息吐いて、覚悟を決める。

 

「はぁ、分かったよ。付き添ってやる。」

 

俺の言葉に驚いて、喜んでる五人がおかしくて、つい苦笑いしてしまった。

 




来月は十五日から投稿になります。
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