夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~   作:リムル=嵐

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六話 入学祝いの宴

「えっと、皆のギフトの効果ですか、初さん。」

 

犬神が困惑した顔でこっちを見ている。

 

今居るのは、学校の近くにある定食屋『止まり木』。

 

雰囲気がのんびりした良い所で、五馬鹿達と、入学祝に夕食に来ていた。

 

この店は元々、一条先生が言ってた店で、学校帰りに先生に教えてもらった場所だ。

 

よくお忍びでイヴが来る店らしい。

 

先生お勧めのメニューは、『特選:止まり木定食』と言われる定食で、内地が多い関東地方で、基本的に物価が高い生魚を、贅沢に使ったお刺身と、二日酔いの味方シジミの味噌汁、おかわり自由のご飯に、追加料金で卵も付いてくる。

 

お値段八百五十円

普通だったら千五百円は超えてるお値段、その訳とは。

 

「おう、止まり木定食二つ、お待ち。」

 

「あ、ありがとう、おやっさん。」

 

俺の言葉に笑って、台所に戻って新しい料理を持ってきたこのおやっさん、玉木 竜牙(たまき りゅうが)は、百鬼夜行の一人。

 

元海軍中将で、今は名誉中将、趣味で店を出してる人だ。

 

百鬼夜行は、軍属と元軍属の准将から父さんの統括元帥までの、百名で構成されていて、一人一人が単独で特級魔獣複数体と互角の、文字通りの人外集団。

 

そんな人が毎朝、産地まで自分の足で走って行ってるから、わざわざ行商や大手の市場で割高のモノを買わないで済むし、趣味だから店員は玉木さん一人、人件費も最低限だ。

 

全部、先生からの受け売りだけどな。

 

料理の腕は抜群だし、入り組んでる所にあるから、込んでることも少なそうだ。

 

イヴが入り浸るのも分かる気がする。

 

「はい、海鮮丼にちらし寿司、それと寿司・梅な。」

 

うわ、高いのばっか頼みやがって、寿司・梅何て二千円もすんじゃねぇか、父さんから小遣いで毎月、結構貰ってるから良いものの、そんなに余裕ある訳じゃないんだぞ?

 

「おっちゃん、ありがとう。」

 

「ありがと、おっちゃん。」

 

五馬鹿がお礼言ってる間にちらっと伝票を確認。

 

しようと思ったらおっちゃんが、割烹着のポッケに突っ込んだ?

 

「今日は入学式だったんだろ?前今元帥から自慢話散々聞かされてたからな。今日は俺の奢りにすっから、好きなもん頼んで良いぞ。」

 

!?

マジで!!

 

「「「「「いよっしゃー!!」」」」」

 

「ありがとおやっさん!!」

 

作戦会議何て後だ後!

 

今は上手い飯を食うのだ!!

 

 

 

~一時間後~

 

「「「「「「ご馳走様でした!」」」」」」

 

「お粗末様。」

 

そう言っておやっさんが、乾いた笑みを浮かべた。

.....やっぱり、食い過ぎたかね?

 

「ふぅ、食った食った。」

 

「こんなに食ったの、咲の手料理以来だな」

 

「今日だけで一週間分は食った気分だ。」

 

「もう、入んねぇ。」

 

「僕、食べ過ぎでお腹キツイ。」

 

「お前ら、遠慮ないな。俺もだけど、うっぷ。」

 

俺らの机の上には、空になった皿が漫画みたいな積み方で、積まれていた。

 

いやぁ、途中からギフト使って消化能力強化して、滅茶苦茶詰め込んだからな。

 

それにしても、俺達いくら位食ってたんだ?

 

玉木のおやっさん、呆れてるんだけど。

 

「ハハハ、良い食べっぷりだったなボソッ店の売上一月分飛んでしもた。」

 

聞こえちゃった、何かすんません。

 

「あ、そうだ、初さん。おやっさんにも相談できませんかね?」

 

あ、その手があったな。

 

「良いな、おやっさん相談があるんだけど、良い?」

 

百鬼夜行の意見聴けるなんて、貴重な機会、逃す手は無いだろ、うん。

 

「ん、何だ?料理でも教えてほしいのか?」

 

いや、料理も興味はあるけど。

 

「実は.........」

 

 

~説明中~

 

「ふむ、仙人級一人にレアギフト級四人、お前ら軍に喧嘩でも売ったのか?」

 

おやっさんが呆れて、お茶飲んで溜息吐いてる。

 

あぁ、やっぱり、普通そう思うよね、この戦力は。

 

「この二人の家族なんだよ、国外に住んでた孤児のまとめ役。」

 

「国外の孤児のまとめ役なぁ。そいつ、ちょっとヤバイ奴かもしれんな、名前は何て言ってた?」

 

おやっさんが深刻そうな顔して、名前を聞くだと!?

 

本当に、何者なんだ、この鐵の姉貴は!!

 

「鐵 咲です。俺の姉貴分の名前は。見た目は」

 

鐵が、咲さんの説明していると、段々と空気が重くなっていき。

 

あ、おやっさんの目の色変わった。

 

何か最近、こんなのばっかしだなぁ。

 

()()()若造と良い勝負した、ガルダの嬢ちゃんか!?」

 

いや、本当、咲さんは一体どうやって百鬼夜行に名前知られたんだろ。

 

「良い勝負したって、咲さんは何やらかしたんです?」

 

「その鐵の嬢ちゃんはな、うちの...百鬼夜行の新入りの天草 贋哉(あまくさ がんや)海軍准将と、引き分けたんだよ。」

 

!?

 

叔父さんいつの間に百鬼夜行入りしたんだよ!?

 

「えっと、俺の叔父さんで合ってますよね、その人。本当に引き分けたんですか?」

 

つか、そうなると、その戦闘、そんなに日にちが経ってない出来事なんじゃ。

 

最近の出来事か、一体何やって叔父さんと戦闘したんだよ。

 

「情けない話、贋哉はウチの戦闘要員で一番火力が無くてなぁ。まぁ、あいつは能力付与の後方支援型だから、火力は要らんけどなぁ。防御面は堅いし、搦め手や補助が得意なんだが。お互い千日手になってな、引き分けだ、本当情けない話やけども。」

 

いや、あの戦闘力で後方支援?

 

軍は化け物集団か何かなのか?

 

つか、聞いてれば知り合いばっか出てきやがって、世間が狭すぎるだろ、ハードモードの癖に知り合いで溢れてる世界とか、バッドエンド不可避だろ、最悪やん。

 

「俺も前、叔父さんとは喧嘩したことあるんですけど、手も足も出ませんでしたよ。本当に後方支援型なんですか?」

 

「あいつのギフトは、能力付与に特化しておるからな。それに、種族進化もしてへん奴に、負けるような馬鹿はウチにはいねぇよ。」

 

そうおやっさんは言い切った、本当にそんな奴は居ないと信じ切ってる感じだ。

 

やっぱり、種族進化はそれだけ絶対なのか。

 

これ、勝つの無理なんじゃねぇの、勝たないで仲直りさせる方法でいくしかないのかな、結局。

 

「ま、お前らも中々の粒ぞろいやし、何とかなるかもしれんの、相手のギフト、知ってる奴だけで良いから、教えてみ。お前らのギフトもな、安心せい、無闇矢鱈に話すことはせんよ。」

 

おやっさんがそう言うなら、大丈夫かね?

 

一応、百鬼夜行なんだし、強敵対策は慣れてるんだろうな。

 

「瀬良はゴッズ・エフェクトのベヒモス、楓はミラクル・エフェクトの延長です。」

 

犬神が二人のギフトの名前を言うと、鐵が続いてもう、二人の名前を言った。

 

「綾女は、自己紹介の時のは嘘で、ファンタズム・エフェクトの魔法使い、咲は仙人でガルダ。」

 

「前衛のベヒモスに壁役のガルダ、後衛の魔法使いに邪魔役の延長。綺麗に役目が分かれてるな。お前たちのは?」

 

そっすよねぇ、バランス良すぎっすよねぇ、勇者パーティかよ、理不尽!!

 

そう考えると俺らはさながら、悪の大魔王とか、そんなんか?

 

実態はただの五歳児何だけど。

 

「俺はテューポーンと、力。鐵が亜空間操作、転移や、拡張とかのギフトです、視界内に居る人間を、認識している場所に転移させたり、印をつけた場所に転移したり、逆に手元に転移させることも可能です。」

 

最初戦った時に射出してたように見えたのは、鐵の特技の罠作成で、ボウガンみたいに武器を射出出来る装置を、遠隔操作してたから、らしい。

 

それも、二十ヶ所全てに仕掛けた仕組みで、頑張ってたとの事。

 

鐵君、因みに鍛冶も出来るらしく、前世は某企業の刀鍛冶だったとのこと。

 

若くして刀鍛冶と研師の資格を持ってた、結構な有望株だったっぽい。

 

前世の死因は、タタラの資格取得試験の時に、暴発事故が起きて死亡。

 

そんな事故る仕組みしてないと思うんだけど.....まぁ、素人が口出す領域じゃないからな。

 

「これまた汎用性の高いギフトやな、印の数は?」

 

「鐵」「国内の距離なら、二十までなら余裕です。一つの印で半径百mまでなら、範囲内です。」

 

流石、レアギフトは格が違う。

 

俺の力の何倍の出力が有れば、そんな事出来るんだか。

 

「犬神は、獣身化、身体能力を一時的に、自分の知ってる魔獣と同じ性能に出来ます。」

 

「変化出来る魔獣は?」

 

「中級までなら何でも、上級は未だ、護森牛と大魔狼しか試してません。どっちも二時間までなら、完全に能力コピーできます。」

 

俺はテューポーンのギフト、フルで使ったら一時間しか持たないのに、この燃費の良さよ、理不尽。

 

え?

特級と殴り合えるギフトと比べんなって?

良いんだよ、気持ちの問題だ(キリッ

 

「どっちも優秀なギフトだな、前衛は前今で、犬神が補助、鐵が後衛か。数が足りないな、そっちの三人はどうした?」

 

それを聞いて三人が喋ろうとするのを、鐵が遮る。

 

「こいつらは関係ないです、おやっさん。これは俺と犬神の不始末だ、初さんには頭下げて頼んだけど、ダチに迷惑は掛けたくない。」

 

困ったな、三人も戦力に数えてたんだけど、ダメか、どうすっかなぁ。

 

「何水臭いこと言ってんだよ、ダチだろ?」

 

お、ナイス前原、良く言った。

 

そうだそうだ、水臭いこと言ってないで、頭下げて手伝ってもらえよ、友達だろ?

 

「前原、お前、高橋さんの部屋によく行くよな。」

 

犬神にそう言われた瞬間、前原の表情が固まる。

 

「な、何関係ないこと言ってんだよ、今はお前たちの問題を解決するのが一番だろ!」

 

雲行が怪しくなったのか、板橋が話題を戻そうとする。

 

だが、そう上手くは行かなかったらしい。

 

鐵が笑いながら喋る。

 

「板橋、お前、最近部屋に俺達入れなくなったよな。女性陣とも仲良さげだし、何か隠してるのか?」

 

そう言われた板橋の表情が、恐怖に固まる。

 

な、流れが完全に変わった!?

 

そのまま流れに身を任せて二人して、板橋に耳打ちした。

 

「「なぁ、夜中お前の部屋からたまに聞こえる声。俺達、隣の部屋だから、聞こえちゃってさ。ニタァ」」

 

あかん、見た目JCを脅迫してる男子高校生だ。

 

じ、事案だ!!

 

「わ、分かった!!僕達は関わらない、だからばらすな!」

 

一体何を聞いたんだ!?

 

怖ぇよ、この二人。

 

何でそこまでするし、どんだけ関わってほしくなかったんだよ!!

 

何で俺は巻き込むのに躊躇いなかったのに、こいつ等が関わるのは嫌なんだよ!?

 

「「と言う訳で、俺達と初さんの三人で攻略します、おやっさん。」」

 

「お、おう、わかった。」

 

おやっさんもたじろぐレベルかよ、恐ろしい。

 

「でも、攻略って言っても、向こうは四人、こっちは三人。しかも仙人が相手なんだぞ?どうやって攻略すんだよ。戦う場所も決まってないのに。」

 

「戦う場所は、俺が見つけちゃる。決まったら鐵の坊主に印を付けさせるから、安心せい。」

 

「分かったよおやっさん。」

 

「ありがと、おやっさん。」

 

「戦闘はどうする?役目的に瀬良さんと咲さんは、俺が受け持つのかな?」

 

テューポーンに力の重ね掛け、魔法強化もして、この前母さんに習って作った、強化が掛かるミサンガ付けて、どうすっかなぁ、未だ足りなそう。

 

でも、流石にこれ以上の強化は出来ないし。

 

「その二人相手はキツイやろ、ガルダは防御特化のギフトや、攻撃力はさしてねぇから、ベヒモスに集中せい。ベヒモスは確認されてる進化方法で、リヴァイアサンとバハムートを通って進化するのが正常進化や、種族進化せずに特級と殴り合える能力だからな。それにバハムートの電気、リヴァイアサンの流体の操作能力も持ってる。油断できんぞ。」

 

なにそれ、俺のテューポーンより強くね?

 

いや、こっちもケルベロスとか、キマイラの能力は使えるけど、テューポーンの劣化版過ぎて、使い道がね。

 

あぁ、ヒュドラの能力の毒は強かったな、ヘラクレスの死因だし、ギリシャ神話最強の毒だし。

 

でも、今回の戦闘では使わないからなぁ、解毒方法も良く判んねぇし、使う事じたい無いだろ、多分。

 

「分かりました、努力はしますよ。」

 

「犬神は楓って子を狙え、鐵は綾女って子や。二人とも、相性自体はそんなに悪くないはずや、気張れよ。」

 

「「はい。」」

 

二人とも気合入ってるねぇ、俺は何とも憂鬱だよ、本当。

 

初音が知ったら何て言うかねぇ、また巻き込まれたのかって呆れられそうだけど。

 

「?お兄ちゃんたちも、このお店に来てたの!?」

 

「ああ、今は皆で作戦かい....初音!?」

 

声がした方を見ると、初音と鮎川に、新庄さん達の何時もの面子六人に、知らない顔五人が店の中に居た。

 

何でここに!?

 

「あぁ、すいません、気付かないで。今席に案内しますんで。」

 

おやっさんがそう言って席を立って、初音達を案内してる。

 

おやっさんは向こうも只にするつもりらしく、初音達の席で歓声があがってる。

 

おやっさんはこれから忙しくなりそうだし、人数的にあの中にイヴが混じってそうだし、俺達はもう寮に帰らないとな。

 

「おやっさん、俺達もう行くよ。ご馳走様、美味しかったよ、また来る。」

 

「「「「「ご馳走様でした!」」」」」

 

「おう、おまけ付けっから、またいつでも来い!」

 

結構長い間店に居たから、外は真っ暗だ。

 

「板橋、今何時?」

 

「午後の八時回ったとこですね、どうします?寄り道しますか?」

 

え、何お前ら、未だ食い足りないの?

俺もう腹いっぱいなんだけど。

 

「真っ直ぐ帰ろう、未だ荷解きもちゃんと済んでないだろ。」

 

「それもそうですね、僕、二〇一号室だったんですけど、初さん何処でした?」

 

マジか。

 

「俺も二〇一号室だ、これからよろしくな。」

 

そんな事言ってると、鐵たちも部屋番号を教えてくれた。

 

「俺と犬神は二〇二号室です。」

 

「俺と冴羽は二〇三ですね、皆二階みたいだ。」

 

移動が楽そうで安心だな。

 

寮は男女で分れていないから、階ごとに分かれてんだろうな。

 

それにしても、部屋の事なんて考えてすらいなかったなぁ、咲さん達の対策考えてるだけで精一杯だったわ。

 




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