夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~   作:リムル=嵐

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遅くなってすいません。
未だ全然書き溜め出来て無いんですけど、落ち着かないんで投稿します。


十一話 厄介事の気配

汗が止まらなくなってきた七月の始め、俺達兄妹は咲さんの手伝いでここ、『出多摩樹海(でたまじゅかい)』に来ていた。

 

「ふむ、汝等の話は分かった。この里のモノにも、話はしておこう、土産も旨そうだしな。」

 

そう言って上機嫌に笑ったこの御方は、特級魔獣である天竜の魅華月(みかづき)さん。

咲さんが言うには、ここ『出多摩樹海』に居る魔獣と、人との仲介役だそうで、竜の里『安土(あづち)』の里長だ。

 

基本的に常識のある魔獣で、話してみた感じ、人の常識を無視する事が多い魔獣の中でも、特に良心的な人なのだ。

 

お土産の御菓子も気に入ってくれた様で、これならここら辺一体の安全は確保したも同然。

 

里長だけあって、魅華月さんはこの森でも屈指の実力派だから、この里の近くの廃墟を宿に使う俺達の安全も大丈夫そうだし、これで魔獣関係は問題無いだろう。

 

「ありがとうございます、これで安心して友人を連れてこれます。」

 

「ガハハハハ、さっきも言ったがそんな畏まる必要は無いぞ、この里は細かい事は気にせん、もっと楽にせい。」

 

「は、はぁ、分かりました。」

 

良い人なんだけど、でも何か調子狂うんだよな、この人と話してると。

 

何だろう、見た目が英国紳士なのに、中身はガテン系みたいなこの違和感、滅茶苦茶もやもやするんだけど。

 

「本当にありがとうございます、魅華月さん。私達の友達、喧嘩っ早い子が多くて、厄介事が少なくなるのは助かります。」

 

そう言って初音が苦笑い。

 

ホントネー、何故か喧嘩っ速い人が多いんだよねぇ、特に女の子。

男は鮎川と新庄さん達が頑張ってくれて、お陰で直ぐに手を出す様な事は無いんだけど。

 

五馬鹿は元々、直ぐに手を出す感じじゃなかったみたいだし、神社の時は、友達が刑務所送りにされた元凶の親が居たから、はっちゃけたみたいだし。

あの五馬鹿も、当時の状況調べずに決め付けてたみたいだし、何ともなぁ。

 

当時と言えば多嘉山さんの子供、何か多嘉山さんが家に引っ越す時に揉めに揉めて、鮎川の父親が仲裁に入って今は、何故か鮎川の家に住んでるんだけど、多嘉山さんも、なら私もって言ってたけど、子供の方が拒絶したって言ってたっけ。

 

子供の方の考えがさっぱり分かんないんだけど、どうして鮎川の家に行ったのかとか、何で母親を拒絶したのかとか、俺は踏み込めないんだよなぁ。

 

これは父さん達、大人の問題だからなぁ。

子供の俺がしゃしゃり出ても、迷惑にしかならんのよ、この話題は。

ままならないな、本当。

 

「そうかそうか、そんなに元気が良いなら、今度の催し物に参加してみんか?ちょうど時期が被るんでな。」

 

「催し物、ですか?祭でもするんですか?」

 

にんまり笑って、こっちを試すような笑みを浮かべる魅華月さんに、ちょっと初音が引き気味に話を合わせる。

 

「おう、樹海の中は存外平和でな、皆刺激を求めてるんだなぁ多分。毎年何かやってるんだが、今年は武道会になってな。」

 

あ、嫌な予感してきた。

初音も笑顔のはずの顔が引き攣る。

 

「会場はもう、この里の近くに造った。後は参加者を決めるだけなんだがな、何分武道会は初でよ、皆観戦側にまわって、参加者が少なくてなぁ?」

 

魅華月さんは言いながら、俺達を意味深に見つめる。

……………こんな子供が参加しても平気なのか?

 

「あの、自分達は未だ子供で、そんな大きな大会には、すいませんが。」

 

そう言った俺に声を被せる様に魅華月さんが言った。

 

「ガハハ、何安心せい!!子供の部がある!そっちの方が集まりが悪くて困ってたんだ。お前達と友達で十人居れば御の字だが、どうだ?勿論参加費は無料で優勝すれば賞品が出るぞ?」

 

何それ、都合良すぎない!?

 

つか、初めてなのに子供の部と大人の部で二つもやるなんて、準備不足からの中途半端が、目に見えてる様なもんだろ、大丈夫なのか?

 

「何、子供の部は一日で終わるし、出店も出る。商店街でも大会にあわせて、祭り市を開くらしいからな、里に来るだけでも楽しめるぞ。大会の出場は当日の昼前までなら間に合うからな。場所は会場裏手の選手用入口からだ。」

 

ま、祭り市ね、それなら戦わせちゃダメな女子はそっちに誘導するしか無いな。

 

「そう言うことなら、友達と相談してみます。当日は友達も連れて里に来ますので、その時に何人かは参加してくれるかもしれません。」

 

特に犬神と鐵の妹二人、あの二人は絶対ダメだ、大会に出る他の子供が死ぬ。

 

手加減なんてあの二人は未だ無理だ、今迄は模擬戦何て身内の壊れ性能としか、していないって言うし。

 

「優勝賞品って、もう決まってるんですか?」

 

俺が考え事してる間にも二人は話を続けている。

 

「今度、十月に神成り祭が日ノ本で有るだろう?」

 

「ええ、有りますけど。神成り祭で何か有るんですか?」

 

さて、女性陣には祭り市を楽しんでもらわないと困る。

その間に道ずゴホン、生にん゛ん゛、男には俺と一緒に大会に出てもらおう。

 

祭りで女性陣と行動するとか、地獄そのものだからな、ただでさえ厄介事多いのに、これも全部転生する時に変な縁を付けた月詠のせいだ。

 

「その神成り祭に出る来賓にな、この国に居る間の、子供の遊び相手が欲しいってことを、ちょっとした知り合いだから頼まれてな、それが優勝賞品だな。」

 

個人的な頼み事を、賞品にして良いんだろうか?

 

「えっと、その来賓って一体?」

 

「災害級魔獣シーダ、俺の親代わりになってくれた人だ。」

 

!?!?

……………………()()()()()()()()

 

「それって、災害級魔獣の子供の遊び相手って事ですよね、失礼なんですけど、安全なんですか?」

 

ナイス初音!!

 

「普通はそう思うよな、人間は。まぁ、大丈夫だ、シーダさんはこの島最古の生物で、魔獣の穏健派筆頭。人との融和を目指してる御方でもある、子供相手に手荒な事はしないさ。期間は一週間だが、俺も手助けはする、安心してくれ。」

 

実質、災害級魔獣との繋がりが優勝賞品か、強さが重要視されてるこの世界にしては、大盤振る舞いな気はするけど、戦争関連での話を聴けるかもな。

俺は中立の立場だし、大会に出るのも良いかもしれん。

 

でもな、そんなに良い条件なら、

 

「それだけ良い条件なら、参加者が殺到すると思うんですけど、何かあったんですか?」

 

お、初音がもう思い付いてたみたいだな、さっきからずっと二人で会話してるから俺が空気だなぁ。

 

「実はな、この里で結構有名な悪ガキっつうか、いたずらっ子が参加するってなってな。この里は基本竜とかが住んでる、この樹海でも結構な強者が多い里何だが、その里でも手に負えない悪ガキというと、他の樹海の連中が尻込みしちまってなぁ。」

 

あぁ、なるほど、あそこで手に負えない奴が出るなら俺達に勝ち目なんて無いだろって思考回路なのね、納得。

 

「えっと、その悪ガキって、結構な強さ何ですか?」

 

俺が聞くと、魅華月さんは気不味そうに目を逸らす。

 

思わず二人して睨むと、魅華月さんは苦笑いしながら答えた。

 

「滅茶苦茶強いぞ。まだ十一だが、最上級位にはなってるな。」

 

うげ、五馬鹿と同じ位か、俺は問題無いけど、あいつらは少し鍛えれば大丈夫かね。

 

格上との戦闘だけじゃなくて、同格との戦闘も想定しないとダメか。

 

当面は模擬戦をやらせるとして、仕上げは妹組との試合か、負けたら飯抜きとか言えば、頑張るだろ、うん。

 

「お気遣い有り難うございます。その位なら、参加できる友人に心当たりがあります。」

 

「お?本当か!?子供の部は五歳以上十四歳以下の条件だぞ?」

 

う、その条件だと五馬鹿は無理だ、あいつら今年成人だったな、そう言えば。

 

そうなると妹組が出られるけど、これは論外。

手加減出来ない人間に、格下を相手させられるかよ。

 

となると俺が出ることになるわな、しゃあないな。

 

「ええ、一人だけ、滅茶苦茶強い人くるんで、期待してください。」

 

そう言って俺が笑うと、魅華月さんは驚いた後にニンマリ笑った。

 

「そうかそうか、あの悪ガキに灸を据えることが出来るのか、それは良かった。」

 

そう言って、深く何度も頷いてる魅華月さんに、その悪ガキについて気になったから、聞いてみる。

 

「その悪ガキって、そんなにいたずらしてるんですか?」

 

「はぁ。最初は些細な事だったんだがな。段々と酷くなってきて、この前怪我人が出たんだよ。」

 

疲れた顔して、溜め息を吐きながら喋る魅華月さんは、酷く、哀愁漂った雰囲気を醸し出している。

 

「えっと、親御さんとかは、止めなかったんです?」

 

ちょっ、初音!?

何聞き辛い事ズバッと聞いてんの!!

 

ほら、魅華月さんも困った顔してんじゃん!

 

「えっとだな、その、俺の姉貴何だ。」

 

ちょ、何言い淀んでんの?

まさか、あれか、姉や兄貴に強く言えない人なのか、身内には遠慮する人か?

 

………………………分かる、分かってしまう!!

前世で嫌と言うほど経験した!

 

姉や兄貴に限らず、親戚の年上の人とか、怖くて何も言えないんだよな、うん。

 

「それなら仕方無いですね、身内なら言えませんよ、はい。」

 

まぁ、それでも里長としては、甥っ子のことを止めないと、ダメなんだろうな。

実際に実害が出てる位何だから、本当は姉に止めるよう言わないと、駄目なんだろうけど。

 

「ガハハハハそう言ってくれるか、ありがとよぉ坊主。」

 

俺が励まそうとしてると思ったのか、魅華月さんは笑いながら俺の頭を荒っぽく撫でる。

 

ぐお、結構痛いよ、手加減してくれてるんだろうけど、六歳児にはまだ足りないぞ!?

 

「えっと、私達これから宿の掃除なので、ここら辺でそろそろ失礼させていただたいです、すいません。」

 

流石初音、良い所で助け船出してくれたぜ!

頭を撫でられて首がかなり痛い、視界がメッチャ揺れて、少し酔いそうだ。

 

「おお、そうかそうか、大会の事は、期待してるからな?合宿頑張れよ。」

 

そう言って魅華月さんは、部屋にある事務机で作業をし始める。

 

「ありがとうございます。失礼しました。」

 

「失礼しました。」

 

二人して挨拶をした後に、部屋を出る。

 

里の役場を出て暫く、雑談をしながら里の出口を出たところで、二人揃って立ち止まる。

 

 

「「スゥーハァー」」

 

「「どうしてこうなった(のよ)!!!?!?」」

 

兄妹の気持ちが一つになった瞬間だった。

 

「お兄ちゃんのバカ!!何で安請け合いするの!?」

 

唐突に妹に怒られる理不尽。

 

「仕方無いだろ!特級魔獣のお願いとか、無下に出来るわけ無いだろうが!!」

 

しかも、こっちがお願いしてる立場なんだぞ?

ある程度は、相手の希望も持たないとダメだろ。

 

「だからって、何でお兄ちゃんしか出れないような大会に出るのよ!それじゃ合宿の意味無いじゃない!!」

 

ぐっ、仕方無いだろ、それが一番波風立たない解決案何だから。

 

「ぐぅ、なら皆にも参加してもらうか?男連中だけでも、大人の部に。」

 

「私は応援に徹するんですね、分かります。」

 

そう言って初音は、不機嫌そうにそっぽ向いて歩きだした。

 

ええい、初音め、自分が参加出来ないのが不満なのか!?

 

「分かった分かった、今回は俺が悪かった!」

 

「串団子、御手洗と餡子、一ダースずつ。」

 

どんだけ食べんだよ!?

この甘食魔人が!!

 

「そんなに食べたら夕食入んな「何か言った?」直ぐに買ってくる!!」

 

ええい、初音め、此れ見よがしに甘いもん要求して、そんなんじゃ直ぐに太rサクッ

 

「ぬおっ!?危なっ!!」

 

急に足下に飛んできた苦無に驚いて、初音の方に顔を向けると、笑顔でこっちを見てた。

 

笑顔なのに目が笑ってない、俺の妹は器用だなぁ~。

 

「変な事考えてない、お兄ちゃん?」

 

「何も考えて無い!考えて無いから!!」

 

「そっか、なら良かった。あ、胡麻も追加でお願いね?」

 

うぅ、お金が、小遣いが!

 

「返事は?」

 

「了解であります!!」

 

くそっ、こんなんじゃ、今月の食費が直ぐに無くなるぞ、今月は母さんの誕生日だから、貯金したかったのに!!

 

初音に急かされて、急いで里に戻って団子屋を探してると、近くの通りで悲鳴が聴こえた。

 

無視して通行人に団子屋の場所を聞くと、悲鳴のあった方向にあると言われ、渋々行くことに。

 

「はぁ、何でこんなお使いしなきゃならんのだ。晩飯は絶体割り勘か、咲さんに奢ってもらお。」

 

そんなこと呟きながら、急いで通りを抜けようとした時、丁度大通りの道の真ん中辺りで、横から思いっきり誰かがぶつかってきた。

 

「ぐっ!?痛てぇなおい!目ぇ付いてんのかうすのろ!!」

 

向こうの方が体格が良かったらしく、景気良く跳ね飛ばされる。

それでも向こうは癪に触ったらしく、こっちに思いっきり罵声を浴びせてきた。

 

こっちは妹のパシリにさせられて、気分悪いっつうに、テメェこの野郎、しまいにはキレるぞ?

八つ当たりで、海まで光速で殴り飛ばしてやろうか、あ!?

 

そんな感じで、ちょっとだけキレ気味になって、ぶつかってきた相手を見ると、俺より四、五歳位上の、元気の良い野性味溢れる感じの坊主が、ぶつかった腕をさすりながら、こっちに向かって怒りの視線を向けてくる。

 

ほうほう、年下にそんな怒声浴びせて、あまつさえ殺気まで漏れ出てるとか、これは駄目だ、我慢出来ん。

 

一回意識飛ばした後、縛って説教だな。

その後は役場に引き渡そう、でもまぁ、その前に少しだけ。

 

「テメェの方こそちゃんと前向けや!その目は飾りか?あ!?」

 

俺が怒鳴ったら、相手の堪忍袋がキレたらしい。

 

顔真っ赤になって、魔力を撒き散らしてる。

 

ありゃ、最上級位の魔力あるな、周囲の景色が歪み始めてる。

テューポーン使うか、出力は三割弱で、一回様子見だな、力は未だ使わなくて良いだろう。

 

「死ねや!!!」

 

む、音速超過してるな、避けてから声が聴こえてきた。

こいつ念話使えないな?

 

音速以上は念話必須なのに、こりゃ能力をもて余してるお子ちゃまだ、これなら音速超過を視認出来る二割で充分。

 

「ッ!?………ッ!!ッ…………!!?!?」

 

ほれ、軌道が素直だな、すいすい避けられる。

この感じは、こいつ苦戦したことない人種だな?

アマちゃんめ、こちとら三歳の時から中級上級相手に、木の枝一本で渡り合ってた男だぞ、経験が違うのだよ経験が。

 

どれどけ動きたくても、自分の意思で動けずに全て自動操作される気持ちが分かるか?

戦場だと地獄も生温い位の、恐怖訓練だよ、一歩間違えなくても廃人確定のな。

 

そんなこと考えながらもはい、腕掴んで間接捻って、後ろ向きにして裸絞め。

 

「ッ!!!カハッ!?!!?」

 

お、落ちた落ちた。

未だ未だ鍛練あるのみだな、落とすのに二十秒は長すぎる。

こいつが魔獣ってこともあるけど、やっぱ五秒以内を目指さないとな。

 

「はい、終了。」

 

ドサッ!!

 

気を失った坊主を地面に寝かして、周りに被害がないかを見る……………うむ、特に無いな、あるとすれば俺たちの動きで出来た風で、少し砂ぼこりが舞ってるだけかね?

 

「朱司!?」

 

辺りを見回してる、俺の後ろの方の道から、デカイ女性の声が聴こえてきたから振り返ると、何か既視感を感じる女性が、こちらを驚いた顔で見てた。

 

…………………あ、ご家族の方ですか?

 

 




次は来月ですかね、書き溜めが出来てないので、すいません。
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