夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~ 作:リムル=嵐
毎度のごとく更新が遅くてすいません。
今年最初は、別視点からの話にしてみました、始めての試みなので、ちょっと不安ですが…………それでは本編どうぞ
~一方その頃~
初が一人、里に戻っている頃、初音は鐵咲と合流していた。
「ねぇアザゼル、これで良かったの?」
初音が誰も居ない場所に向かって呟く。
『あぁ、これで初は悪ガキと出会う。時間稼ぎには充分だ。』
「そっか、なら良かった。」
話があると言ってっきり、独り言をつぶやいている初音に、咲が訝しんだ目で言う。
「初音ちゃん、さっきから何独り言ぶつぶつ言ってるの?」
「あ、ゴメンね咲さん。」
その言葉に、アザゼルが他人には見えない状態なのを、初音は思い出した。
「それで、話って何?態々初君から離れて二人っきりて、何かあったの?」
「えっとね、咲さん。
それを聞いて、咲は思った、「今度は何に巻き込まれたのよ!!」と。
咲が確認しているだけでも、入学してから、
「今度は何したの?」
「今度はって、私とお兄ちゃんは何もしてないんだけど。」
まるで自分たちのせいで問題が起きたような言い方に、初音が頬を膨らませて抗議する。
「はいはい、向こうからやってきて、初君がまた動いちゃったんでしょ?で、今度は何に巻き込まれたの?それとも安請け合い?」
その言葉に初音は、言い返せなくて気まずそうに眼を逸らす。
「その、安請け合い。今度の武道会に出るって、里長と。」
それを聞いて、今回はまだ簡単かもしれないことに、安堵する咲。
「はぁ、年齢と見た目を誤魔化すってのは?」
「子供の部の出場条件が、五歳から十四歳までで、私も出たいから。」
それを聞いた瞬間に咲は即答する。
「却下よ。妹たちが駄々言って武道会に出たいって言ってるなら、大人の部に混ぜるけど、貴女はその状態で出られるわけないじゃない。」
「う、やっぱりだめなの?」
そう言って、諦められずに質問してくる初音に、咲は初音の魂の状態を説明する。
「貴方の魂はね、そっち方面に詳しく無くても、ある程度の強度の生物なら、どんなに
その事を言われた初音は、悲しい顔をして、顔を沈める。
「貴方はいつ種族進化するか解らない、今進化していないのはハッキリ言ってアザゼルのおかげよ。そのアザゼルも、今の状態を後、
そう言われた初音は、ぽつりと一言呟く。
「別に、種族進化は、してもしなくても良いの。お兄ちゃんも進化してくれれば。」
「え?」
その言葉に込められた思いの強さに咲は、一瞬驚きで思考が止まる。
その一瞬で初音は、
「だって、お兄ちゃんが進化しないと、私、
余りの魔力量の高さに、初音の周囲が暗くなり、地面がまるで、そこにトンでもない重さの物体があるかのように凹む。
周りの木々等の、生物が、軋みを上げる。
軽い石や、木葉が初音の方に向かって飛んでは、見えない何かに押し潰されていく。
「!?マズい!!」
焦った咲は、急いで初音を止めようと近づく。
ガルダを使って向上した防御力で、無理やり魔力の壁とも言うべき、高密度の空間を超え、初音を押し倒して、
初音も錯乱状態になっているため抵抗するが、咲は無理矢理、口をふさいで薬を飲みこませる。
ガルダを発動した時に背中から生えた羽で、自分ごと初音と周囲の空間を包み込み、外に影響が出ないように抑え込む。
「落ち着いて、初音ちゃん。大丈夫、初君は貴女を置いていくなんてしないわ。大丈夫だから。」
暫く経って、初音が落ち着いてきたのか、初音の周囲の魔力が収まっていく。
それとともに、初音に向かっていた小石や木葉も、ひとりでに地面に落ちる。
「咲、さん?」
焦点が合ってない目で、初音が咲を見つめる。
「落ち着いた?」
その言葉に自分が何をしていたのか分かった初音は、咲に顔を見られたくないのか、目を伏せて謝る。
「はい、ごめんなさい。私、
「魂がそんな状態じゃ、精神面が不安定になっても仕方ないわよ。やんちゃな年下の世話は慣れてるから、気にしなくて良いわ。」
慣れた様子で、薬の入った瓶をしまう咲に、初音は顔を伏せたまま言う。
実際、魂と精神は密接な関係にあり、ギフトの出力でさえも、精神と関わりがある。
ギフトの進化条件の多くは、精神的な成長が必要な場合も多い。
そういう面ではやはり、初音は魂に精神が引っ張られる形で、不安定になっている。
「ありがとうございます。咲さん。」
お礼を言った後、何か言いたげに言葉を切った初音に、咲は続きを促した。
「ん、何?」
「私、武道会に出るの止めます。」
「それが良いわ。どうせなら男全員出場させて、女の子は男の応援でもしてましょう?」
そう言って、初音の頭を撫でる咲に、初音は気まずそうに笑った。
「はい、皆で応援します。優勝賞品も豪華ですし。」
その初音の言葉に、咲が食い付いた。
「優勝賞品?何それ、何が出るの!?」
思いの外食い付いてきた咲に、初音が戸惑い気味に話す。
「えっと、私も詳しく聞いてないんですけど、優勝したら、災害魔獣シーダの子供と、繋がりが持てるらしいですよ?」
「それ、ホントに?詳しく調べないと、里に初君迎えに行きましょう!!」
そう言って、直ぐさま駆け出そうとする咲に、初音が待ったをかけた。
「ちょっと待ってください。今、お兄ちゃんはお使いに行ってるんです。だから、行き違いになると面倒何です。」
「む、それもそうね。仕方無い、廃虚で待ちますか。因みに何を頼んだの?」
迎えに行くのを諦めて、廃虚に向かおうとする咲に着いていく初音。
その光景は、まるで歳の離れた姉妹の様だ。
「お団子、みたらしと餡子に胡麻を、十二本ずつです。」
「結構頼んだわね、お金大丈夫かしら?」
初音の言葉に驚きつつ、初音が歩きやすい様に道を魔法でならす咲。
「お父さんに生活費以外でも、沢山貰ってるから、大丈夫だと思います。魔獣の素材を取引して、稼いでたみたいですし。」
まだ少し、ふらついてる初音を見て、咲は強引に手を繋ぎながら会話を続ける。
「なら大丈夫かしら、計算出来るから、無理して買おうとしないだろうし、ちょっと速めのおやつね。飲み物は井戸が廃虚近くにあるから、そこで汲んできましょ。魔獣がよく使ってる安全なやつだから。暫くは私たちの貸し切りだけどね。」
鬱蒼としている樹海を、利き手で空中に魔法発動の文字を書きながら、初音の歩く速さにあわせつつ、会話をするという、器用な事をする咲に、初音はその凄さが全く分かっていない様子で、てくてくと後を付いていく。
二人が暫く歩いている頃、里の方から、大きな魔力同士のぶつかり合いが起こっていた。
初が喧嘩し始めたのだ、初音は気付かずに、咲は長年森で生活していた事もあり気付いたが、初なら平気だと無関心を決め込んだ。
雑談しながら樹海を歩き続け、里から二十分程の距離で廃虚にたどり着く。
里までは、咲が道をならしたお陰で、街道と同じとは言えないものの、歩きやすい道が出来ている。
「里との道はこれでよし、ちょっと休憩して、お掃除再開しましょうか!」
そう言って廃虚を見つめる咲。
咲が見つめる廃虚は、ちょっとしたお屋敷位の大きさの、とても一日で掃除が終わる大きさではないのだが、初音はやる気充分らしい。
「重たいものは全部お兄ちゃんに任せるとして。私、お兄ちゃんと二人で魔獣と交渉してたんで、何処から掃除するのかとか、分かんないよ?」
「この廃虚は、二階建てなんだけど、二階の掃除はもう終わったから、大丈夫よ。後は一階なんどけど、一階が一番大変なのよね。」
「一階?部屋数とかが多いの?」
なんとも的外れな事を言う初音に、咲は笑いながら答える。
「いや、部屋数は二階より少ないのよ。ただお風呂場とか台所とか、水場が多くてね。」
それを聞いた瞬間初音の顔が歪む。
まるで、明日は休みだと勘違いして、翌日の朝、遅刻ギリギリに気付いたような顔だ。
「そんな嫌な顔しないでよ、私だって進んでやりたい事じゃないんだから、一緒に頑張りましょ、ね?」
そう苦笑いしながら言って、咲は初音の頭を優しく撫でる。
それでも渋る初音に、咲は膝を折って、目線を合わせて喋る。
「このお掃除が終わったら、明後日から皆でここで合宿なのよ?当日はまた皆でお掃除するけど、事前にある程度やっておかないと、当日大変なの。皆で楽しく過ごす為だから、ね?終わったら初君と三人で、今日はここで一泊しても大丈夫なのよ?鮎川さんと板橋君には話してあるから。」
その言葉にやっとやる気が出てきたのか、初音は渋々といった感じで、女性ものの可愛らしい見た目の鞄から、人形の紙束を取り出す。
「私、今日はお兄ちゃんとお風呂入る。」
そう言って式神を大量に呼び出す初音に、クスクス笑いながら咲が言う。
「ここのお風呂広いから、お掃除大変よ?」
試すように聞いてくる咲に、更に大量に式神を呼び出す事で答える初音。
「何事も数よ、数があれば何とかなるの!」
そう言って初音は、およそ種族進化していない、純粋な人間が出せるほぼ最高数の式神を出して、一気に掃除を始めた。
一気に大量の魔力を使い果たし、フラフラしている初音を、咲は優しく抱き止める。
「流石、巫女長の愛娘なだけは有るわね。暴走して魔力を半分以上使って直ぐに、これだけの量の式神呼べるなんて、天皇様も素直に褒める訳だわ。」
初音は魔力の酷使で疲れてしまい、寝てしまったが、呼び出された式神は魔力不足で帰る事もなく、延々と掃除を続ける。
それを見ながら咲は、近くの倒木を魔法で切り、形を整えた後に初音を抱っこして座る、初音は膝枕だ。
「初君の方はボロボロに言ってたのに、妹の方はべた褒めなんだもの、天皇様も厳しい人よねぇ。ま、私は眼中にすら入ってなかったみたいだけど。」
そう呟いて咲は、寝ている初音の事を起こさないように、頭を優しくそっと撫でる。
「それにしても、この量の式神を魔力の自然回復力のみで賄えるとか、才能に溢れ過ぎじゃないかしら?」
咲は改めて口に出すと、初音のやっている事がどれだけおかしい事か理解し、末恐ろしくなり思わず表情が堅くなった。
「下手しなくてももう、仙人の領域に手を掛けてるわ。初君の方も、特化してる所は下手すればそれ以上………本人達に力量と自覚が無いだけで、ここまで違うものなのね。はぁ。」
堅い表情で独り言を呟いた後に、溜め息を吐いて仕事を続ける式神を見る咲。
圧倒的物量によって、一階を掃除した式神は、序でとばかりに二階や屋根、廃虚の周りを掃除し始める。
「働き者な式神ねぇ。式神は元になる性格とか人物とかがいる場合が多いけど、こんな働き者な性格の人とか、天皇様が暇潰しに作った人物相関図に、あったかしら?」
あっと言う間に屋敷の掃除を終わらせる式神を尻目に、咲は手持ち無沙汰になっていた。
「ま、でも
「大概、そういう神に選ばれたって人間は、この世界だと、ろくな人生歩んで無いんだけど、この子達はどうかしらねぇ。それにしても、」
そこで区切って、咲は大きな欠伸をした。
朝から掃除をした後に、暴走した初音を止めたのだ、流石に仙人でも疲れたのだろう。
「私も、眠くなってきたわ、少しお昼寝しましょうかしら。ちょっとそこの式神、私と膝枕交代してくれる?」
屋敷の周りを、掃き掃除していた式神の内の一体を、咲は呼び止めて初音の膝枕役を交代させる。
「さてと、この木も長椅子にしちゃいましょうか、それ!」
両手で複数の文字を書き、無音かつ、震動も風も殆んど起こさずに、倒木を簡素な長椅子に仕上げる。
「ふふん、どんなもんよ、日曜大工は得意なのよね~」
等と呟きながら、長椅子に寝っ転がって、スヤスヤと寝息を立てる。
この間僅か一分、速攻の寝落ちと言えるだろう。
「そう言えば、何で私に薬を渡したのかしら、鮎川の考えは分かんないわ」
眠る直前、そう呟いたのを、聞き取れる者は居なかった。
今年も去年と変わらなく、亀にも抜かされる遅速更新ですが、皆さまの退屈しのぎになれるような、そんな作品を目指していきますので、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします。
追記:誤字報告ありがとうございます!!最初見たとき「あ、疲れてんだな自分」とか思いましたが、確認して本当だと気付いたときメッチャテンション上がりました!!いや、誤字があることを反省しないと駄目なんですけど、読者様を一番実感出来るのは、感想や誤字報告なので、もらえると嬉しいんです、はい。
これからは誤字脱字無いよう気を付けますが、何分、駄文 稚拙 意味不明 と三拍子そろってる作品ですので、バンバン誤字報告してくれると助かります。