夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~   作:リムル=嵐

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遅ばせながら、明けましておめでとうございます。
毎度のごとく更新が遅くてすいません。
今年最初は、別視点からの話にしてみました、始めての試みなので、ちょっと不安ですが…………それでは本編どうぞ


十二話 不安定な日常

~一方その頃~

 

 

初が一人、里に戻っている頃、初音は鐵咲と合流していた。

 

「ねぇアザゼル、これで良かったの?」

 

初音が誰も居ない場所に向かって呟く。

 

『あぁ、これで初は悪ガキと出会う。時間稼ぎには充分だ。』

 

「そっか、なら良かった。」

 

話があると言ってっきり、独り言をつぶやいている初音に、咲が訝しんだ目で言う。

 

「初音ちゃん、さっきから何独り言ぶつぶつ言ってるの?」

 

「あ、ゴメンね咲さん。」

 

その言葉に、アザゼルが他人には見えない状態なのを、初音は思い出した。

 

「それで、話って何?態々初君から離れて二人っきりて、何かあったの?」

 

「えっとね、咲さん。()()()()()()()()()()()()()ってある?」

 

それを聞いて、咲は思った、「今度は何に巻き込まれたのよ!!」と。

咲が確認しているだけでも、入学してから、()()()()()()()()厄介事に巻き込まれているこの兄妹に、最早同情より先に批難の眼差しを向けてしまうのは、仕方のない事なのかもしれない。

 

「今度は何したの?」

 

「今度はって、私とお兄ちゃんは何もしてないんだけど。」

 

まるで自分たちのせいで問題が起きたような言い方に、初音が頬を膨らませて抗議する。

 

「はいはい、向こうからやってきて、初君がまた動いちゃったんでしょ?で、今度は何に巻き込まれたの?それとも安請け合い?」

 

その言葉に初音は、言い返せなくて気まずそうに眼を逸らす。

 

「その、安請け合い。今度の武道会に出るって、里長と。」

 

それを聞いて、今回はまだ簡単かもしれないことに、安堵する咲。

 

「はぁ、年齢と見た目を誤魔化すってのは?」

 

「子供の部の出場条件が、五歳から十四歳までで、私も出たいから。」

 

それを聞いた瞬間に咲は即答する。

 

「却下よ。妹たちが駄々言って武道会に出たいって言ってるなら、大人の部に混ぜるけど、貴女はその状態で出られるわけないじゃない。」

 

「う、やっぱりだめなの?」

 

そう言って、諦められずに質問してくる初音に、咲は初音の魂の状態を説明する。

 

「貴方の魂はね、そっち方面に詳しく無くても、ある程度の強度の生物なら、どんなに()()()()()()分かるのよ、自覚してるでしょ?」

 

その事を言われた初音は、悲しい顔をして、顔を沈める。

 

「貴方はいつ種族進化するか解らない、今進化していないのはハッキリ言ってアザゼルのおかげよ。そのアザゼルも、今の状態を後、()()()()()()()()()()()()って状態なの。それ以上は、ギフトの成長に貴女の肉体が追いつかない。」

 

そう言われた初音は、ぽつりと一言呟く。

 

「別に、種族進化は、してもしなくても良いの。お兄ちゃんも進化してくれれば。」

 

「え?」

 

その言葉に込められた思いの強さに咲は、一瞬驚きで思考が止まる。

その一瞬で初音は、()()()()()()()()()()()()()()

 

「だって、お兄ちゃんが進化しないと、私、()()お兄ちゃんと離れなきゃダメなんでしょ!?いやだ、いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!!!」

 

余りの魔力量の高さに、初音の周囲が暗くなり、地面がまるで、そこにトンでもない重さの物体があるかのように凹む。

 

周りの木々等の、生物が、軋みを上げる。

軽い石や、木葉が初音の方に向かって飛んでは、見えない何かに押し潰されていく。

 

「!?マズい!!」

 

焦った咲は、急いで初音を止めようと近づく。

ガルダを使って向上した防御力で、無理やり魔力の壁とも言うべき、高密度の空間を超え、初音を押し倒して、()()()()()()

 

初音も錯乱状態になっているため抵抗するが、咲は無理矢理、口をふさいで薬を飲みこませる。

ガルダを発動した時に背中から生えた羽で、自分ごと初音と周囲の空間を包み込み、外に影響が出ないように抑え込む。

 

「落ち着いて、初音ちゃん。大丈夫、初君は貴女を置いていくなんてしないわ。大丈夫だから。」

 

暫く経って、初音が落ち着いてきたのか、初音の周囲の魔力が収まっていく。

 

それとともに、初音に向かっていた小石や木葉も、ひとりでに地面に落ちる。

 

「咲、さん?」

 

焦点が合ってない目で、初音が咲を見つめる。

 

「落ち着いた?」

 

その言葉に自分が何をしていたのか分かった初音は、咲に顔を見られたくないのか、目を伏せて謝る。

 

「はい、ごめんなさい。私、()()。」

 

「魂がそんな状態じゃ、精神面が不安定になっても仕方ないわよ。やんちゃな年下の世話は慣れてるから、気にしなくて良いわ。」

 

慣れた様子で、薬の入った瓶をしまう咲に、初音は顔を伏せたまま言う。

 

実際、魂と精神は密接な関係にあり、ギフトの出力でさえも、精神と関わりがある。

ギフトの進化条件の多くは、精神的な成長が必要な場合も多い。

 

そういう面ではやはり、初音は魂に精神が引っ張られる形で、不安定になっている。

 

「ありがとうございます。咲さん。」

 

お礼を言った後、何か言いたげに言葉を切った初音に、咲は続きを促した。

 

「ん、何?」

 

「私、武道会に出るの止めます。」

 

「それが良いわ。どうせなら男全員出場させて、女の子は男の応援でもしてましょう?」

 

そう言って、初音の頭を撫でる咲に、初音は気まずそうに笑った。

 

「はい、皆で応援します。優勝賞品も豪華ですし。」

 

その初音の言葉に、咲が食い付いた。

 

「優勝賞品?何それ、何が出るの!?」

 

思いの外食い付いてきた咲に、初音が戸惑い気味に話す。

 

「えっと、私も詳しく聞いてないんですけど、優勝したら、災害魔獣シーダの子供と、繋がりが持てるらしいですよ?」

 

「それ、ホントに?詳しく調べないと、里に初君迎えに行きましょう!!」

 

そう言って、直ぐさま駆け出そうとする咲に、初音が待ったをかけた。

 

「ちょっと待ってください。今、お兄ちゃんはお使いに行ってるんです。だから、行き違いになると面倒何です。」

 

「む、それもそうね。仕方無い、廃虚で待ちますか。因みに何を頼んだの?」

 

迎えに行くのを諦めて、廃虚に向かおうとする咲に着いていく初音。

その光景は、まるで歳の離れた姉妹の様だ。

 

「お団子、みたらしと餡子に胡麻を、十二本ずつです。」

 

「結構頼んだわね、お金大丈夫かしら?」

 

初音の言葉に驚きつつ、初音が歩きやすい様に道を魔法でならす咲。

 

「お父さんに生活費以外でも、沢山貰ってるから、大丈夫だと思います。魔獣の素材を取引して、稼いでたみたいですし。」

 

まだ少し、ふらついてる初音を見て、咲は強引に手を繋ぎながら会話を続ける。

 

「なら大丈夫かしら、計算出来るから、無理して買おうとしないだろうし、ちょっと速めのおやつね。飲み物は井戸が廃虚近くにあるから、そこで汲んできましょ。魔獣がよく使ってる安全なやつだから。暫くは私たちの貸し切りだけどね。」

 

鬱蒼としている樹海を、利き手で空中に魔法発動の文字を書きながら、初音の歩く速さにあわせつつ、会話をするという、器用な事をする咲に、初音はその凄さが全く分かっていない様子で、てくてくと後を付いていく。

 

二人が暫く歩いている頃、里の方から、大きな魔力同士のぶつかり合いが起こっていた。

初が喧嘩し始めたのだ、初音は気付かずに、咲は長年森で生活していた事もあり気付いたが、初なら平気だと無関心を決め込んだ。

 

雑談しながら樹海を歩き続け、里から二十分程の距離で廃虚にたどり着く。

里までは、咲が道をならしたお陰で、街道と同じとは言えないものの、歩きやすい道が出来ている。

 

「里との道はこれでよし、ちょっと休憩して、お掃除再開しましょうか!」

 

そう言って廃虚を見つめる咲。

咲が見つめる廃虚は、ちょっとしたお屋敷位の大きさの、とても一日で掃除が終わる大きさではないのだが、初音はやる気充分らしい。

 

「重たいものは全部お兄ちゃんに任せるとして。私、お兄ちゃんと二人で魔獣と交渉してたんで、何処から掃除するのかとか、分かんないよ?」

 

「この廃虚は、二階建てなんだけど、二階の掃除はもう終わったから、大丈夫よ。後は一階なんどけど、一階が一番大変なのよね。」

 

「一階?部屋数とかが多いの?」

 

なんとも的外れな事を言う初音に、咲は笑いながら答える。

 

「いや、部屋数は二階より少ないのよ。ただお風呂場とか台所とか、水場が多くてね。」

 

それを聞いた瞬間初音の顔が歪む。

まるで、明日は休みだと勘違いして、翌日の朝、遅刻ギリギリに気付いたような顔だ。

 

「そんな嫌な顔しないでよ、私だって進んでやりたい事じゃないんだから、一緒に頑張りましょ、ね?」

 

そう苦笑いしながら言って、咲は初音の頭を優しく撫でる。

 

それでも渋る初音に、咲は膝を折って、目線を合わせて喋る。

 

「このお掃除が終わったら、明後日から皆でここで合宿なのよ?当日はまた皆でお掃除するけど、事前にある程度やっておかないと、当日大変なの。皆で楽しく過ごす為だから、ね?終わったら初君と三人で、今日はここで一泊しても大丈夫なのよ?鮎川さんと板橋君には話してあるから。」

 

その言葉にやっとやる気が出てきたのか、初音は渋々といった感じで、女性ものの可愛らしい見た目の鞄から、人形の紙束を取り出す。

 

「私、今日はお兄ちゃんとお風呂入る。」

 

そう言って式神を大量に呼び出す初音に、クスクス笑いながら咲が言う。

 

「ここのお風呂広いから、お掃除大変よ?」

 

試すように聞いてくる咲に、更に大量に式神を呼び出す事で答える初音。

 

「何事も数よ、数があれば何とかなるの!」

 

そう言って初音は、およそ種族進化していない、純粋な人間が出せるほぼ最高数の式神を出して、一気に掃除を始めた。

 

一気に大量の魔力を使い果たし、フラフラしている初音を、咲は優しく抱き止める。

 

「流石、巫女長の愛娘なだけは有るわね。暴走して魔力を半分以上使って直ぐに、これだけの量の式神呼べるなんて、天皇様も素直に褒める訳だわ。」

 

初音は魔力の酷使で疲れてしまい、寝てしまったが、呼び出された式神は魔力不足で帰る事もなく、延々と掃除を続ける。

 

それを見ながら咲は、近くの倒木を魔法で切り、形を整えた後に初音を抱っこして座る、初音は膝枕だ。

 

「初君の方はボロボロに言ってたのに、妹の方はべた褒めなんだもの、天皇様も厳しい人よねぇ。ま、私は眼中にすら入ってなかったみたいだけど。」

 

そう呟いて咲は、寝ている初音の事を起こさないように、頭を優しくそっと撫でる。

 

「それにしても、この量の式神を魔力の自然回復力のみで賄えるとか、才能に溢れ過ぎじゃないかしら?」

 

咲は改めて口に出すと、初音のやっている事がどれだけおかしい事か理解し、末恐ろしくなり思わず表情が堅くなった。

 

「下手しなくてももう、仙人の領域に手を掛けてるわ。初君の方も、特化してる所は下手すればそれ以上………本人達に力量と自覚が無いだけで、ここまで違うものなのね。はぁ。」

 

堅い表情で独り言を呟いた後に、溜め息を吐いて仕事を続ける式神を見る咲。

 

圧倒的物量によって、一階を掃除した式神は、序でとばかりに二階や屋根、廃虚の周りを掃除し始める。

 

「働き者な式神ねぇ。式神は元になる性格とか人物とかがいる場合が多いけど、こんな働き者な性格の人とか、天皇様が暇潰しに作った人物相関図に、あったかしら?」

 

あっと言う間に屋敷の掃除を終わらせる式神を尻目に、咲は手持ち無沙汰になっていた。

 

 

「ま、でもいたずら者(プレインク)だしね、前世の記憶ってやつかしら?ホント、凄い子達よね、時間軸って概念の外に居る神様から、選ばれた存在何だもの。一つの星どころか、鮎川さんはこの子達とは別の星の産まれだそうだし、無限に近い中から選ばれる、それだけでも英雄って人種よね、後は神子かしら。」

 

「大概、そういう神に選ばれたって人間は、この世界だと、ろくな人生歩んで無いんだけど、この子達はどうかしらねぇ。それにしても、」

 

そこで区切って、咲は大きな欠伸をした。

朝から掃除をした後に、暴走した初音を止めたのだ、流石に仙人でも疲れたのだろう。

 

「私も、眠くなってきたわ、少しお昼寝しましょうかしら。ちょっとそこの式神、私と膝枕交代してくれる?」

 

屋敷の周りを、掃き掃除していた式神の内の一体を、咲は呼び止めて初音の膝枕役を交代させる。

 

「さてと、この木も長椅子にしちゃいましょうか、それ!」

 

両手で複数の文字を書き、無音かつ、震動も風も殆んど起こさずに、倒木を簡素な長椅子に仕上げる。

 

「ふふん、どんなもんよ、日曜大工は得意なのよね~」

 

等と呟きながら、長椅子に寝っ転がって、スヤスヤと寝息を立てる。

この間僅か一分、速攻の寝落ちと言えるだろう。

 

「そう言えば、何で私に薬を渡したのかしら、鮎川の考えは分かんないわ」

 

眠る直前、そう呟いたのを、聞き取れる者は居なかった。

 

 




今年も去年と変わらなく、亀にも抜かされる遅速更新ですが、皆さまの退屈しのぎになれるような、そんな作品を目指していきますので、今後ともこの作品をよろしくお願いいたします。

追記:誤字報告ありがとうございます!!最初見たとき「あ、疲れてんだな自分」とか思いましたが、確認して本当だと気付いたときメッチャテンション上がりました!!いや、誤字があることを反省しないと駄目なんですけど、読者様を一番実感出来るのは、感想や誤字報告なので、もらえると嬉しいんです、はい。
これからは誤字脱字無いよう気を付けますが、何分、駄文 稚拙 意味不明 と三拍子そろってる作品ですので、バンバン誤字報告してくれると助かります。
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