夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~   作:リムル=嵐

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ども、作者です。
お待たせしました最新話


十四話 魔法の薬です

白衣を着た人物に、思わずため息を吐いたのは、無意識に近かった。

 

「君が息子に勝ったっていう、少年か。名前は?」

 

…………がぁぁぁぁ!!!

今度は父親かよ!?

 

何時になったら俺は団子を買いに行けるんだよ!!

初音が待っているんだぞ!

お腹を空かせてなぁ!!

 

「今前初、妹との約束があるので、速くして欲しいんです。」

 

「初君か、すまないね、傷が無いか確認させてくれ。かすり傷でも、息子は毒持ちだから油断出来ないんだよ。」

 

な!?

そんなの初耳だぞ、何で晦日さんは言ってくれなかったんだ!

 

「初耳何ですが、竜って毒持ってるんですか?」

 

この人が魔術を使って、俺の身体を確認してる。

別に確認するのは良いんだけど、この後どうなるんだ?

 

うちの親は今海外だから、親御さんに連絡とか、謝罪とか言われても、紫陽花さんしか呼べないし、紫陽花さんに知られたら……………身体が出来て無いのに修行とか言いそうだなぁ、嫌だなぁ、謎理論で出来た時空間ねじ曲がった場所に放り投げられたり、明らかにヤバイ位強い魔獣とガチンコ勝負させられたり、霊力を鍛えるとか言って、霊力をガンガン使って模擬戦してきたりとか、特に最後は全部避けないと、下手すりゃ気絶じゃすまないのがなぁ。

 

霊力を使ってくるから、魔術も物理も壁にならないのが一番辛い………………この世界、霊力を使えると滅茶苦茶有利になる世界何だよな。

種族進化すれば耐久力が上がるとはいえ、種族進化した存在何て全体から見てとんでもない位貴重な存在、戦うのを想定するのが間違ってるんだけども。

 

魔獣は人よりも頑丈らしいけど、それも種族進化を重ねた人類よりは効くらしいし、そもそも個体差が激しいから、あんま参考にならないんだよな、種族別なら未だ少し、参考になるのかもしれないけど。

 

「いや朱司はまだ竜じゃないよ。蛇だよ、まだね。」

 

は?

魅華月さんって、竜だよな、この里の人達も、竜が大半って咲さんに聞いたぞ?

 

魔獣って片親の種族になるのか?

 

ならこの人が蛇の種族?

 

 

「まだって、蛇から竜に成るんですか?」

 

「あぁ、うん。特定の種族はなれるよ、他にも蜥蜴とかからなる種族もある。」

 

何と、どういう事だってばよ、意味が分からない。

 

「人も、ギフトの進化で、種族が変わる事があるだろう?あれは厳密には種族が変わるって訳じゃなくて、例えるならそうだな…………蛹から成虫に進化が、一番分かりやすいかな?」

 

なぜ虫に例えたし、分かりやすいけど、何か複雑だ。

 

「何となく分かりましたけど、虫で例えないで下さい。」

 

「あ、ゴメンね、そういうつもりじゃないんだが。まぁ、その進化は魔獣にも言える事で、歳を重ねることで、種族が変わる種も有るんだ。」

 

「朱司はその種族と?」

 

「そうだよ、妻と同じ種族だからね、強くなるよぉ朱司は、魅華月と同じ天竜だ……………ん、傷は無いみたいだね、本当に無傷で抑えたのか、スゴいな。」

 

こりゃ良いこと聞いたな、種族的にも強くなる種族か、才能溢れてて良いねぇ、紫陽花さんの所に放り込むのも考えとくか。

 

「もう終わりですよね、一つ良いですか?」

 

あいつを武道会に参加させないと、ダメなんだし、武道会に参加させるのを、頼んでみるか。

 

「実は魅華月さんから、武道会で自分の甥を倒すように言われてまして、朱司を武道会に参加させてくれないでしょうか。」

 

「魅華月さんからなら、武道会に参加するよう説得してみるけど、妻が良いって言うかな?今回の事で、変に過保護になるかもしれないし。」

 

うげ、面倒くさ。

自分の奥さんなんだから、説得お願いしますよぉ、本当。

 

俺が初音に云々って言われると、言葉に詰まるけども。

お互い尻に敷かれてるんだなって、悲しくなるわ。

 

ま、それで良いとも思ってるけどさ、俺結構暴走癖あるみたいだから。

 

「お願いします。魅華月さんには、こちらからの話しを通してもらっているので、魅華月さんの頼まれ事は、出来るだけ応えたいんです。」

 

魅華月さん良い人だったから、出来るだけ期待には応えたいんだよ、頼むよ白衣の人!

 

「分かったよ、出来るだけ頑張ってみよう。ただ、約束は出来ないからね、そこは分かってくれ。」

 

うぅん、旦那に言われれば、晦日さんも折れるだろう多分。

後は、あいつに渡した紙の事だな。

 

「ありがとうございます。もう一つだけ、良いですか?これで最後なので。」

 

「ん、言ってみなよ、言うなら只だからね。」

 

「朱司が、武道会前の数日、居なくなるかもしれないんですが、その時は、俺たちの宿泊場所に居ると思います。あいつに、強くなりたいなら数日前に来るように、紙に書いたものを渡したんです。」

 

言った後、白衣の人が頭押さえて深い溜息をする。

あ、うん、親からすればそうなりますよね、はい。

 

でも本人の為にもなるし、最後はアイツの自由意思、俺は選択肢を提案しただけなので、そこは分かって欲しいです。

 

「……………はぁ、分かっているのかい?朱司が行方不明になった場合、最初に疑われるのは君たちになるよ?それでも良いのかい?」

 

行方不明なら、初音の式神と魔術の人海戦術で解決するだろう。

俺も式神なら、結構出せるし。

式神が使えると、本当に便利だからな、本人の適正によるところが多いらしいけど。

 

俺は獣型の式神に適正があって、人型は無いに等しいが、初音はその逆。

人型に規格外の適正があって、それ以外はまるで無いみたいだ。

猫の式神出そうとして、何度も失敗してるのを見たからな。

それでも、人型に対する適正が規格外だから、あんまり困んないだろうけど、俺は獣型以外は魔力消費が割に会わないから、使えないし。

 

「良くないです。でも、あいつが腐ると魅華月さんが困ると思うんです。」

 

こっちを少し怒気を込めて見てくる白衣の人に、まっすぐ視線を合わせながら言う。

 

見ず知らずの人間に頼むほど、本人は困ってたわけだし。

そんなに甥の事を考えるなら、甥が腐ったら悲しむんじゃない?

 

いや、里長として考えてたら、この考え自体意味無いんだろうけど、話した限りだと、情にほだされやすい人だと思うし。

里長から見ても、朱司の伸び代は無視出来ないはず、自分と同じ実力になれる可能性があるんだから、手綱を握れれば、強力な戦力になりえる。

 

実力が高い者が尊ばれるこの世界なら、今の時点で暗躍して、亡き者とするのは里の人達の支持を逃す。

今の時点でも、結構上の方らしいし、きっと将来の事を考えて、朱司を恐れた臆病者って言われる。

 

正面から挑んで来るなら殺害はもっと悪手。

そんなことしたら前述の問題もあるし、相手は姉の子供だ。

里の人達じゃなくて、家族から狙われる事になる。

 

腐るともっと厄介だ。

可能性があるのに、腐ったせいで伸び代は期待出来ない。

 

それでもそれなりに使えるだろうけど、やっぱりそれなり止り、里長の家族としては、前評判通りに強くなって欲しいのに、本人は腐ってる。

 

これじゃあ周りが…………特に母親が何するか分からん。

朱司以外の同年代の奴らを消して、朱司を同年代で一位にするか、はたまたさらに黒い事をして、腐ってる朱司を、里の中枢に起きたがるか。

 

どっちにしろ、今まで朱司の暴走を止めなかった人だし、ろくな事にならない。

あの様子と実力を見るに、朱司よりは断然強い筈だし、止めようとすれば止められたはずなのに、止めなかった訳だ。

子供を溺愛してるって言うか、子供に甘過ぎるって言うか、何ともなぁ。

 

白衣の人が、諦めたように首を振って、椅子から立つ。

 

「はぁ、息子と年が近い子に、こんな子が居たとはなぁ。こりゃ息子の教育サボり過ぎたかな。日ノ本は皆君みたいな子なのかい?」

 

「いや、俺はちょっと特殊でして、朱司が普通だと思いますよ。実力はちょっと高過ぎる気もしますが。」

 

そう言うと白衣の人は苦笑いして、部屋の奥の棚から、小瓶を取り出して、俺に渡してきた。

 

「君はその高過ぎる息子を、無傷で気絶させたんだろう?」

 

「いや、その……………えっと、これは?」

 

言い辛い事言われて、咄嗟に話題を変える。

さらっとこう言うこと言える人って、何か頭良いなって思うよなぁ。

身近だと、初音とか咲さんとか……………何か途端に頭良く無い気がしてきた、二人とも頭良いのに、何故だ!?

 

「それは、今回の件のお詫びだよ。ここの薬は僕が調合してるからね。それは呼吸によって体内に取り込まれる魔力の量を、整える成分の薬だよ。一日二回朝と夜に、一錠飲むんだ。飲めば少しの間………五時間位かな?魔力の自然回復力を整えて、回復力を向上させる事が出来る。精神安定剤の効果も有るからね。興奮した時とか、眠れなくなった時に飲むのも良いよ~。」

 

ん?

意外とスゴい薬では?

魔力の自然回復力が上がって、精神安定剤効果も有るんだろ?

睡眠前に飲んで、眠りやすくする効果もあると…………………修行後に飲んで睡眠をとれば、直ぐに魔力が回復するな、この薬なら、ちょっと無理した修行も出来るかもな、女性陣と五馬鹿に朱司を模擬戦って言って突っ込ませたりとか。

 

「この薬、凄く高いんじゃないですか?俺、そこまでされること、してないつもりなんですけど。」

 

そんな凄い薬なだけに、何で俺にくれるのか分からないんだけど。

 

「お詫びだって言ったろう?息子に殺気まで向けられて、息子を許して殺さないでいてくれたんだ、仕掛けたのはこちら側だって本人が言ってたしね。本当は直ぐにでも、保護者さん辺りに謝りにいかないと駄目なんだけど……………君、親御さんにこの事言いたくないんだろう?」

 

うへぇ、こっちの事お見通しですか、俺って初対面相手にここまで分かりやすい人間だったっけ?

これからは気を付けよう、何かあってからだと、遅いだろうし。

 

「妹さんと約束があるんだろう?妻には行っておくから早く行きなさい。お互い女性には苦労しそうだしね。」

 

何この人メッチャ良い人じゃん!!

特に女性に苦労してるところが良い!!!!

 

何だろう、同族意識っていうか、仲間がいるってうか、とにかく安心するわぁ。

 

「ありがとうございます。」

 

お礼の言葉を言って、直ぐに部屋から飛び出す。

廊下にはもう誰もいなくて、窓が半開きの状態になってた。

 

一々下まで降りて、晦日さんとかに反応するのが面倒くさいから、窓から失礼することにする。

 

窓枠を壊さないように、力を一回だけ使って脚力を強化、空中で動体視力と視力をさらに強化、着地寸前でテューポーンを一瞬使って着地、その後は脚力の三倍掛けに変えて、全力疾走。

 

後ろから何か声が聞こえてきたけど、無視して走る。

白衣の人が何とかしてくれるだろう、話すって言ってたし。

 

朱司と兎って人は知らん、そこはもう運に任せる、考えるのが面倒くさい。

 

しばらく走って、息が切れてきて、速度が落ちてきた辺りで、やっと団子屋についた。

 

はぁ、はぁ………長かった、長かったぞここまで!!

 

「いらっしゃい。」

 

中に入ると暇そうに時計を見てる若い女の人が一人だけ、硝子棚には団子が三角に積まれてる。

 

店の中はボロいし、女の人以外に店員が見えない。

店間違えたなぁ、何て思うけど、今は速さ優先だから、注文して待つことに………値段は安いんだな、学食の団子の六割位か、量は見た目変わらないっぽいな。

 

「御手洗と餡子に胡麻、十二本ずつ下さい。」

 

「はいはい。御手洗七百二十、餡子七百二十、胡麻六百、全部で二千四十だよ」

 

硝子棚から出した団子を、おっきい葉っぱで小分けにくるんで、紙袋に入れながら、ぶっきらぼうに言う女の人。

 

何か気不味いなぁ、何て思いながら、財布からお金を出して渡す。

 

「三千からね。はいお釣りの九百六十、ありがとうございました~」

 

お釣りをもらって直ぐに店を出る。

あの店、団子不味かったら安くても絶対にいかねぇ。

雰囲気が苦手だ、疎外感とか、そういうのが感じた。

何て考えながら初音と別れた所に行くと、初音がいない。

 

「ありゃ、長かったしもう、咲さんの所に行ってるのかね?取り合えず廃墟の方に行きますか」

 

最近一人言多いな俺、ん?

ここら辺道が均されてる、咲さんの仕業かな?

あの人午前中は、掃除に回るって言ってたから。

 

時間的にそろそろお昼過ぎだから、もう昼御飯食べてるかねぇ。

いやはや、まさか昼御飯抜きになるとか、そんな事になったら悲しすぎる。

そろそろ廃墟が見えるけど、頼むから昼御飯残っててくれよ?

初音が未だ怒ってたら、俺の分食べられてそうなんだけど。

 

「…………何だこれ」

 

廃墟の周りをせっせと掃除する大量の式神に、初音を膝枕してる式神、木の長椅子に横になって爆睡してる咲さん、何これどういう事だ。

 

 

 

 

その後、昼御飯が玉木のおやっさんのお弁当で、皆で旨すぎて無言でひたすら食べたり、俺が団子屋に行く時に喧嘩して、それにひたすら説教されて日が暮れたり、結局廃墟に泊まる事になって、初音が風呂場に乱入してきたり、団子がメチャクチャ旨くて初音が気に入っちゃって、次の日また団子屋に帰り道寄ることになったり。

 

そんなこんなで、慌ただしく休日を過ごした俺らが、学校で聞いたのは戦時下における非常事態宣言、それに伴う夏期長期休暇と、学校の要塞化だった。

 

 

 




サブタイトルに話数入って無かったので、入れておきました。
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