夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~   作:リムル=嵐

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どうも、お久しぶりです。最新話です


二十話 合宿当日

朝からずっと食べずに動き回って、夜になってドカ食いして、準備が未だ終わってない事を思い出して、準備に追われててんやわんやな一日を過ごした翌日、俺達は朝から出発して、昼前頃に合宿用の廃虚に着いた。

 

廃虚と言っても天井に穴とか、壁がボロボロとかって訳じゃなく、毎年咲さん達が使ってるだけあって掃除する前でも、ある程度整備されてたし、屋根の瓦の一部や壁紙の交換とか、後は水道の整備くらいで、他は空家と何ら変わらなかった。部屋数も多いし、これなら快適に過ごせるな~とか思ってたら、玄関の方が騒がしくて見に行くと、ちっちゃい子供達が身体にあわない大きなカバンを持って、玄関でわいわい騒いでいた。

 

「あら~、もう皆来れたのね!ちゃんと戸締りはしてきた?」

 

咲さんもリビングから出てきて、子供達を見付けると近所のオバチャンが子供に飴あげるみたいなノリで、子供達に近寄って抱き締めてる。

 

「咲ねぇちゃんだ!!」

 

一人が声を出すと、皆騒ぎだして止まらなくなるのを、どうしていいか解らず見ていると、他の面子が玄関に集まってきて、更に訳が分からなくなってきた。

 

「お姉ちゃん久しぶり!!」「あ、瀬良ねぇと綾女ねぇもいる!!「げ、兄ちゃん達も居るぞ……」「拓兄、外のお話聞かせて?」「私楓さんにお料理教えてもらうの」「銅次兄さん、まだあの女の所にいるの?」「そうだ、兄ちゃん達いつ戻って来てくれるんだ!?」「そうだそうだ!」

 

「もうちょっと待っててな、こっちでお前達が住める場所探してるんだ。」

 

「後数年は、無理かもなぁ。」

 

「そんな~」「すむ場所なんてどうでもいいじゃん!」「そうだそうだ!!」「拓兄ちゃん、アタシたちのことキライになったの?」「姉ちゃんたちよりアイツにホレたのかよ!!」「本当なの拓兄!?」「見損なったぞ銅次兄ちゃん!!」

 

「何バカ言ってんだ!!」

 

「いて!?」「兄ちゃん達がキレた!!皆逃げろ~!!!」

 

からかわれて怒った二人が、主犯の十歳位の男子二人の頭を軽く叩くと、蜘蛛の子散らすように子供が玄関から外に飛び出したのを見て、二人は溜め息吐いて、いかにも怒ってるぞって感じの演技をしながら外に飛び出した。

 

「悪い子はいねぇかぁ!!」「食っちまうぞぉ!!」

 

なんとも子供騙しな演技だなおい、ひっきりなしに聞こえる騒ぎ声から、外で仲良く遊んでるのが分かったから、咲さんが俺といつの間にか隣にいた初音に、済まなそうに謝ってきた。

 

「二人とも置いてけぼりでごめんなさいね、あの子達元気だけが取り柄みたいなもんだから。」

 

「慣れてます、それよりあの子達は一体?」

 

「もしかして、国外に住んでた時に?」

 

「ええ、皆私の妹と弟よ。今は週末に交代で、私と楓と瀬良が、様子を見に行ってるの。」

 

そう言ってリビングに入っていく咲さんに、皆でついていく。

楓さんは子供達が置いていった荷物を、二階の大部屋に運ぶようだ。

 

「大人は?」

 

「居ないわ、今は一番上の朱里(あかり)が、皆の面倒見てくれてるの」

 

「朱里、まだ十一なのに兄さんに色目使って、今日のお風呂で女の怖さってものを教えて………いたッッッ!?」

 

そんな感じにぶつぶつ呟いて怖い雰囲気になる瀬良さんを、咲さんがデコピンした。

 

「何バカ言ってんの、貴女が妹いじめるなんてゆるさないわよ?」

 

「妹が拓に惚れたなら、悪い虫に騙される心配がなくなったと言うこと、素直に喜ぶべき。」

 

いつの間にか椅子に座ってお茶を飲んでる楓さんに驚いてると、お茶を勧めてきたので受けとる。

 

「緑茶あなた達も飲む。」

 

唐突に渡されてそのまま受け取った俺達を放置して、今しがた部屋に入ってきた、前原、冴羽、板橋の三人にもお茶を無表情で配る楓さん。

この三人、さっきのドタバタしてる間も二階にこもってて、一体何してたんだ?

二、三時間歩いてただけで、疲れるような鍛え方なんて紫陽花さんがしてるはずないだろう、多分。素の身体能力だけじゃなくて、魔術による能力の強化も学んでるはずだし。

 

それにしても、妙に三人ともそわそわしてるし、何かみられたくない事でもしてたのか?

板橋なんて顔赤いし、何か服の裾を引っ張ってズボン隠してるんだけど、お前今日短パンなんだから止めてくれ、それすると下履いてないように見えてヤバイ。ラフなYシャツで裾引っ張ってて、何か絵面が裸Yシャツみたいでヤバイ、主に楓さんと初音からの雰囲気が。

 

「どうも。」「ありがとうございます。」「………ッコク」

 

緑茶を三人も接点があまり無いからか、何となく余所余所しい。それと板橋、せめて一言は喋ろう、頭下げるだけとかコミュ障じゃねぇんだから。

 

そういえば何か、三人組を見る楓さんの態度がおかしい、まるで腫れ物に触るような雰囲気を感じる。あくまで雰囲気だけだが。

 

「瀬良も、お茶飲んでいったん落ち着くべき。」

 

「…………むぅ、分かった。」

 

渋々お茶を飲む瀬良さんを尻目に、楓さんは自分のカバンからお茶請けの煎餅を出して、ボリボリと食べ始めた。この人、何か雰囲気が独特というか、電波だよな、性格って言うか個性が。

 

「これからどうしようかしら、外で子供達が遊んでいる間、夕飯の支度はするとして……………」

 

皆咲さんの言葉に何か意見する素振りがない、この場は咲さんが仕切るので決まりみたいだ。俺はそもそも何かを決めるとか苦手だから、楓さんが無言で差し出してきた煎餅をかじる。

 

「そうね、里の方に顔を出して貰えるかしら、私と初音ちゃんで夕飯の支度するから、楓と瀬良に初君の三人でお願い出来る?この家を維持してくれてるの、里長の魅華月さんだから、挨拶しなきゃ失礼だから。」

 

あぁ。煎餅が旨いなぁ。

…………って、今咲さん何て言った?

 

まさかそんな、ほぼ知らない相手と…………例えるならファミレスの客と店員位、余所余所しい会話しかしたことのない間柄の二人と、何時間も仲介役が居ない中行動しろと?

 

「俺らはどうしましょうか?」

 

そんな混乱してる俺をほっといて、どんどん話は進んでいく。

 

「残りの男子は、森で食糧調達でもお願いしようかしら。」

 

え、本当に楓さんと瀬良さんと三人?

冗談キツいぜ咲さん、コミュ力が竜球の○ル編のヤム○ャ位しかない俺に、ギ○ューに挑めと言うのか。え、微妙なキャラ選やめろ?………知らん、そんなことは俺の管轄外だ。せめて男から一人は道連れにしなきゃ割りが合わん。

 

「僕たちは構わないですよ。」「兎でも捕まえてきますか。」「久し振りの狩りだなぁ。」

 

三人はやる気十分で、肉を獲ってくる気満々みたいだ。これ、誰か一人こっちに来いって言える空気じゃねぇな、この森の危険度からして、二人だと不安だし、三人には頼れないか、チクセウ。

 

後、狩りは女の子多いから、どっちかと言うと果物の方がよろこびそうなんだけどな、そこら辺は咲さんが何とかするかね。

 

「私、お兄ちゃんと一緒に行きたい。」

 

「初君に手料理食べてもらうきか「精一杯お手伝いします!!」………………ボソッ扱い易くて少し心配ね。」

 

あ、初音が買収された、何か前世よりチョロくなってる様な気がする。

 

「それじゃ、お使いお願い出来る?」

 

「私は平気。」「私も、大丈夫だけど…………」

 

二人がこっちを見てくるので、俺も頷く。

 

「俺も大丈夫です、俺だけ手持ち無沙汰は嫌ですから。」

 

「なら、よろしくね。」

 

その言葉が切っ掛けに、俺らは各々別れて行動を始めた。

 

里に顔出しねぇ、となると里長の魅華月さんの所に挨拶だろうから、どうするかねぇ。

 

「手ぶらで行けませんよね、多分。」

 

「あの人は、確か甘党でしたし、お菓子が良いかもしれませんね。」

 

俺が溢した独り言に、律儀に反応してくれた瀬良さん。この人、拓也が関わらなかったら、真面目な子っぽいんだよなぁ。

 

「適当に、ここら辺に自生してる果物じゃダメ?」

 

あいも変わらず、電波な発言をする楓さんに、思わず力が抜けそうになる。

 

「楓姉さん、それは流石に論外です。」

 

「瀬良が辛辣、初君は私の味方?」

 

「俺も、今の意見はちょっと……」

 

俺の言葉に、心外だと言うような表情で外に出た楓さんを、瀬良さんが呆れたように見る。

 

「楓姉さんは自由人過ぎますよ、全く。」

 

「これから、どうします?」

 

「楓姉さんは放っておきましょう。私達は里に行きますよ、あまり遅くても迷惑ですし。」

 

「そうですね、甘いものは里で手にいれましょう。」

 

その後、一時間程瀬良さんと二人で里に向かって歩いてたんだが、瀬良さんがマジメで中々話が膨れない。少し続いても「そうですか」「はい」「すみません、よくわからないです」で止まるのだ、辛い。

 

「魅華月さんって、もう里長をして長いんですか?」

 

「さぁ、私がこの里を知った時から、里長みたいでしたけど、最低でも六年以上ですかね。里長の任期は終身までみたいですから、私達が種族進化しない限り、多分里長が変わることは無いと思いますよ。基本的に竜は、無病息災と長寿が特徴の種族ですから、下手な植物魔獣よりも長生きな存在もいるみたいですし。」

 

ぬおっ、いきなり饒舌になったなぁ、早口でまぁよく喋り始めたよ。何、竜が好きなの?

 

その後も続く、瀬良さんの里に関する話題に、適当に相槌を打ってると、里の入り口の門が見えてきた。この入り口から里長の所まで後三十分程、里の中心よりも、門よりの場所に役場は立っている。

 

「随分詳しいですね、竜が好きなんですか?」

 

「あ、いえ…………少し前に、この里で暮らしてた事があったので。」

 

そう言って瀬良さんは、感慨深そうな表情で里を見渡した。

 

つか、その歳で少し前って、この人本当にいたずら者(プレインク)じゃ無いんだよな?

そんな事を瀬良さんの隣で考えていると、離れた場所から突如として吹き出した魔力に、力で危機管理能力を底上げして警戒する。

 

直ぐにこちらに向かってきた存在に、テューポーン一割で殴る。

取り合えず殴っとけば良いだろ、こういう登場の仕方は基本的に敵だし。

 

殴り飛ばされた奴は周りに被害が行かないよう打ち上げるように殴ったので、遥か上空まで空の旅だ。

 

「死ねぇぇぇぇ!!!!!」

 

殴り飛ばされた奴の声が遅れて聞こえてくる。

この声、里長の息子の朱司じゃ?

魔力の節約の為に、テューポーンを解除して、力で視力を強化して打ち上げた奴を見ると、気絶せずに未だ未だ元気な様子で俺を憤怒の形相で睨む疫病神こと、ライバル候補の朱司がいた。

 

あ、あいつ竜のくせに空飛べないのか、悔しそうに俺を睨んでるだけだ、そりゃ雲より高く打ち上げたからな、戻ってくるのも一苦労だ。そういえば今はヘビだっけか?

 

「えっと、あの人は?」

 

「俺のこと、なんか気にくわないみたいで、会う度に殺気を向けられるんですよ。」

 

気にくわない理由は分かってるし、会ったのはこれ含めて片手で数えられる位しか無いけど、嘘は言っていない。

 

「うーん、ちゃちゃと意識落として、親御さんに引き渡しましょっか?」

 

楓さんが魔力を高めながら言う。

ちゃちゃっと気絶って、そんな事出来んの?

あいつ未だ空の上なんだけど、俺あそこまで飛べる程力加減出来る自信無いんだけど。

 

「俺はあいつが落ちてきたら出来ますよ。」

 

「じゃあ、私が気絶させますから、落ちてきたのを受け止めて下さいね。」

 

そう言って楓さんが朱司を睨むと、朱司から感じていた殺気と敵意が消えた。睨むだけで気絶とか、どんな能力だよ。

 

「リヴァイアサンの能力で、血液中の酸素濃度とこの子の周辺の空気の酸素濃度を下げたんです。酸欠で気絶してもらいました。」

 

「スゴい能力ですね、殆んど無敵じゃないですか。」

 

テューポーンを発動すれば、呼吸の必要が無くなる俺とかみたいな、特殊な能力持ち以外相手なら、格上相手でも勝ち筋があるってスゴいな。

 

「こんな手品、ゴッド・エフェクト持ちには基本効きませんし、強いって訳じゃ無いですよ。」

 

楓さんに相槌を打ちつつ、落ちてきた朱司を受け止めて、俺が殴った場所を確認すると、アザになっているだけで、大事には至って無さそうだ。

 

「これは、アザになってますね、寝かせて下さい、手当てします。」

 

え、こいつを手当てすんの!?

驚いて楓さんを見ると、持ってきてたカバンからタオルケットを出して地面に敷くと、空気中の水分を氷に変換して、革の水筒を取り出して氷嚢をつくってた。

準備早いな、本当にこの子未だ子供なのか?

 

「早く、親御さんに説明する時に、手当もしてないじゃあ、話にならないでしょ?」

 

「あ、はい!」

 

急かされたから、タオルケットの上に朱司を寝かせる。

 

「道具を持ってきてて良かったです。まさかこんな事になるなんて…………初君、これからは襲われそうな原因を知ってるなら、ちゃんと教えてくださいよ?」

 

「う、すみません、気を付けます。でも、そいつ襲ってきたんですよ?」

 

手当てなんて、そいつの親医者っぽいし、丸投げしても良いんじゃね?

 

慣れた手付きで患部を包帯で圧迫して、上から氷嚢を包帯で固定して、処置を終わらせる楓さん。

 

「何言ってるんですか、腹部は重要器官が多い場所何です、大事には至って居ませんけど、手当てはしないとダメですよ。それに未だこの子は子供じゃないですか、あなたはいたずら者でしょう?歳上とか関係なく、子供は子供ですからね!」

 

ビシッと俺に指を指しながら言う楓さん。

楓さんといい咲さんといい、本当にいたずら者じゃないんですよね?

何で十と少しの子供がここまで精神的に成熟してるんだよ…………俺と初音とか、周りのいたずら者達が一気に子供っぽくなったぞ。

 

「それで、この子の親御さんに心当たりあります?」

 

「えっと、里長の甥なんです、こいつは。」

 

それを聞いた楓さんの慌てっぷりがヤバかった、それはもう慌ててた、年相応にどうしようどうしようって頭抱えて涙目になってた。そりゃまぁ、前世で言うなら市長とか区長の家族に、手をあげたって事になるからなぁ。

 

何とか宥めて、当初の目的に従って里長の所まで行くことになった俺達は、朱司を式紙に運ばせて役場まで歩いた。途中で団子屋で団子を手土産に買って、町役場を目指す。

 

役場の入り口に人込みが出来ていて、あの中を行くのかとげんなりしてると、人込みが割れて人込みの中が見えた。

 

「朱司!?」

 

「二人とも、遅い。」

 

「まぁ、あんな形相で行けばそうなるよねぇ。」

 

「俺の甥が迷惑をかけて、二人ともすまない。」

 

これ、俺達どうすりゃええのん?




来月も月末投稿です、月一で遅くてすみません。
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