夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~   作:リムル=嵐

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お久し振りです。
やっとこさ続きが書けたので、投稿です、毎回毎回待たせて申し訳ありません。


二十一話 朱司の受難

「初の坊主がくると、騒がしくなる決まりでもあるのか?」

 

案の定、朱司の母親の晦日さんが、朱司を見てパニックになったので、旦那が落ち着かせてる。

 

魅華月さんも魅華月さんで、俺にあらぬ疑いを掛けるし。

 

前回は騒がしくしなかったのに、何でそんなこと言うんだよ………………まさか朱司との喧嘩見られてた?

いや、晦日さんが聞いたのか。俺の事魅華月さんは知ってるって言ったから、確認取られたんだろ、多分。

 

「お久し振りです、里長。」

 

「大きくなったなぁ、瀬良。そっちに行っても、元気そうで何よりだ。」

 

「里長や里の皆に、未だ恩を返せていないですから。これ、お土産の団子です、沢山買ってきましたから、ご家族でどうぞ。」

 

「おお、ありがとうな、あそこの団子は家の奴ら皆好きで、喜ぶよ。」

 

すっかり二人の世界に入って会話を続ける魅華月さんと、瀬良さん。本当に過去に何があったんだか。

 

「初君、瀬良に変なことしなかった?………意外。」

 

突然耳元で言われて驚いて後ろを向くと、楓さんが不思議そうな顔で俺を見てた。

 

「初君は手が早いと思ってたのに、意外と奥手?」

 

「俺は初音一筋です!!」

 

いきなり失礼な、こんなに一途なのに、そんなにチャラくみられてたのか、俺は。

 

「……………それ、本気で言ってる?」

 

「本気も本気、俺が恋して、恋愛してるのは初音一人です。」

 

「あの女……鮎川と後、板橋君。他にもいるんでしょう?」

 

え、は?

いやいや、何言ってるんだこの人は。

 

「歩のあれは友情ですよ、それにそもそも板橋は男です。他にって言われても分かんないですし。」

 

「………朴念仁。」

 

朴念仁!?

なぜそんな事言われなきゃダメなのか、コレガワカラナイ。

納得いかねぇ、少なくとも俺はそんな、ラブコメとかラノベの主人公みたいな補正はねぇよ!

 

俺が否定しようと口を開いた時、俺達を呼ぶ声がして反射的に中断する。

 

「立ち話はなんだ、応接室で茶でも淹れさせるから、ちょっと休んでけ。」

 

そう言って頭をポンポンと撫でてくる魅華月さんに連れられて、役場の応接室に案内される。

 

俺ら三人が最後みたいで、中には出迎えてくれた人達が揃ってた………朱司がこっちを睨んでるから、朱司に笑顔で威圧する。

 

「さて、武道会の話なんだが。」

 

「こちらは俺一人が出ます。武道会の日程って、明後日でしたよね。」

 

「あぁ、ただな、大会に出る前にもう朱司に釘指したようだし、無理して出なくても大丈夫だぞ?」

 

あぁ、うん。

俺としても子供相手に闘うってのは気が引けるんだけど、正直優勝の景品が魅力的なのと、初音に出るって行ったし、格好良い所見せたいからね、仕方無いね。

 

「いや、出ますよ、期待してくれてる人が居るので。」

 

ニヤッと魅華月さんが笑って俺に一枚の紙を渡してくれた。

 

「そうか、これが申込用紙だ、手続きはこっちでやるから、名前だけ書いといてくれ。渾名とか通り名でも良いぞ。」

 

茶化してお茶を飲む魅華月さんに渡された紙にちゃちゃっと名前を書いてすぐに返す。

 

「そんなのありませんよ、今日はこれから暫く、里近くの空き家に合宿するんで、その挨拶だけだったので。」

 

「おい、待てよ。もう一回だ。」

 

俺がそのまま席を立とうとすると、朱司がこっちを睨んだまま言った。

 

「無理無理、何度やろうと今の朱司じゃ無理だよ。」

 

そのまま掴みかかりそうな勢いの朱司を、父親である白衣の人が引き留める。

 

「俺は未だ負けてねぇ!!」

 

一回目も二回目も、俺は一発も食らって無いんだけどな、その自信は一体どこからくるんだか。

 

…………まぁ、好都合だし負けん気強いのは男として良いとは思うが。

 

「お前も出るんだろ、武道会。なら決着はその時、観客の前で、白黒ハッキリとつけよう。」

 

そう俺が言っても、親の仇でも見るように睨んでくる朱司に、俺は溜め息吐いて続ける。

 

「強くなりたいんだろ?明日から空き家で特訓するんだよ、紙にも書いたけど、強くなりたいなら来い。ボロボロになるまで鍛えてやるよ。」

 

「何でお前に強くしてもらわなきゃ………ッ!」

 

「良いかもしれない。拓也の良い模擬戦相手になる。」

 

お、楓さんも味方になってくれた、朱司も言うほど拒絶してないからな、事前に紙に書いて渡したのが効果あったみたいだ。

 

この里で強くなるのは、朱司からすりゃ難しいからな。

下手な大人より強いってことは、それだけ教えられる人間がいないってことだ。

この里もこの世界の例に漏れず、強いやつが上の立場になるのは仕方無いとはいえ、それだと普通の人間は強い人に教えてもらえ無くなるんだよ。

 

朱司は普通じゃない、だけど無条件で教えを貰えるほど、特別でも無い。

 

朱司に足りていないのは経験。

ギフトが無い魔獣の朱司は、経験というモノに対して、年相応のモノしか持ち合わせていない。

だから、朱司を溺愛してる両親が、朱司を鍛えるなんて事は無理だ。

普通の説教すら出来ない親が、体罰にすらなりかねない、事故で致命傷の可能性もある実戦経験の特訓なんて無理だ。

 

「僕も賛成だね。この里だともう、朱司を鍛えられるような人はいないからね。」

 

「私は、朱司が納得するなら良いけど………」

 

「俺は納得してねぇか「面倒。」ッッッ!?」

 

楓さんの言葉と同時に、朱司がもがくように苦しみ始めた。

 

「朱司!?」

 

唐突に始まった朱司のもがき苦しむ姿に、晦日さんが慌てる、朱司の父親が症状を確認しようとした時には、朱司は気を失っていた。

 

「………酸欠による気絶だね、もう少し穏便にして欲しいんだけど。」

 

軽く症状を確認した後、何とも言えない顔で楓さんを見ながら言う朱司の父親。

 

「私のギフトだと、これが一番穏便、私達は行くけど、これはもう連行してく?後から来るなら見張り役に一人連れてきて。」

 

椅子から立ち上がりながら言うと、返事も聞かずに部屋を出ていく楓さん、あの人は何故あそこまでマイペースを貫けるんだ。

 

つか、延長でどうやって気絶させたんだろ、酸素が脳に送られる時間を延長、それとも呼吸の合間の時間を延長?

どちらにしろ、汎用性高いなぁ、殆んど万能な能力だな、羨ましい。

 

「はぁ、また気絶………朱司はこれでも里の子供の中では最強なんだけどなぁ。下手な大人より強いのに、日ノ本は魔境だね。」

 

出ていった楓さんに溜め息吐いて、朱司の父親が倒れた朱司を抱き上げる。

 

「朱司が気絶に癖がついただけですよ、それと日ノ本はそんな魔境じゃありません。異常なのが少し混じってるだけで他は普通ですから。」

 

瀬良さんが訂正するが、朱司の父親は苦笑いして魅華月さんに視線を向ける。

 

「頼常、仮眠室に連れていってくれ、姉貴も一緒にな。」

 

「………分かったわ。そこの貴方……朱司の事、くれぐれもよろしくね。」

 

万が一なんて事があったら、末代まで呪うとまで言ってきそうな目で俺を見ながら、晦日さんが頼常と呼ばれた朱司の父親と一緒に部屋を出た。

 

「初、少し良いか?」

 

俺がそれにうなずくと、瀬良さんが魅華月さんに聞く。

 

「私は、席を外した方が?」

 

「……いや、お前も関わるだろう、聞いてくれ。」

 

少し考えた後、魅華月さんがそう言って話し出す。

 

「今回の武道会、景品が災害級魔獣の子供との繋りって言ったよな?」

 

「ええ、そう聞いてます。」

 

「それなんだが、今回の武道会に、その災害級魔獣の子供が出場したいと言ってな、向こうの親………シーダが子供の結婚相手をこの際決めようって考えやがって、止めたんだが………娘と息子、一人ずつ連れてくるらしい。」

 

はぁ、つまり……………どういう事だ?

 

思考が予想外のことで停止してる俺を余所に、瀬良さんが頭を抱えてる、うん、だからどういう事だってばよ?

 

「それ、一体どう収集つけるんですか?」

 

「向こうも、別にこれで本気で決めるつもりは無いらしい。ただ災害級の子供となると、繋りが欲しくて近付いてくる(やから)が多いらしくてな、息子はともかく、娘の方が実力が無くて、一人の所を狙われる可能性が高いから、護衛と男避けに許嫁にしようって感じだな。」

 

あわよくば…………とも考えてるんだろうなぁ。

 

「本来一週間だけの関係が、一生続くかもしれない関係になると?」

 

「まぁ、そうだな。武道会で優勝すれば、一週間の間息子の遊び相手に指名される。武道会でシーダの目に留まった男は軽く調べられて、問題なければ許嫁だ。」

 

おうふ、流石災害級、穏健だ何だと言われても、結局はやりたい放題かい。

 

「それで、私達にどうしろと?」

 

「武道会で優勝して欲しい、あわよくば許嫁も引き受けてくれると助かる。」

 

「それ、運営側が言っていい台詞(せりふ)何ですか?」

 

「やむを得ん。元々息子一人の筈が、娘まで連れてくるとか、しかも息子が武道会に出たいとか、シーダの婆さんやり過ぎだ、いつも無茶振りしやがって」

 

ぶつぶつと恨み辛みを言っていく魅華月さんを見つつ、お茶を飲みながら考える。

 

災害級魔獣の子供との許嫁ねぇ……強さ正義の世界で、竜の治める里での武道会なら確かに、強い奴は集まるだろうし、その優勝者なら許嫁としても強さの合格には達してるってか?

 

息子が参加するなら、息子の強さを基準に出来る訳だし、性格も武道会って銘打ってるなら、終わるまで選手を会場に拘束してるだろうから、直ぐに確認できるだろうし、保護者との会話も簡単だろう。登録用紙に保護者名の欄がちゃんとあったし。

 

完全にお見合いとして機能するな、これ。

 

「俺、もう心に決めてる人が居るんですけど。」

 

「早熟だなおい。まぁ、シーダがお前を選ぶ可能性は低いだろう、娘の年齢は十二だと聞いたからな。」

 

それだけ離れてるなら、まぁ大丈夫か。シーダがどんな存在か分からないが、流石に半分の歳の奴を選ばんだろう。

 

「十二………可能性はあるわね。魅華月さん、それ大人の部からも選びます?」

 

「あぁ勿論、シーダは二十までなら範疇に入れてるからな。」

 

二十って、娘の方が可哀想だろ………いや、前世の戦国時代とか酷かったけどよ、それでもその娘が可哀想だな、許嫁なんて親の都合だろうに。

 

「写真とかってあります?」

 

「広告用に一枚預かってる、これだ。」

 

魅華月さんの懐から出てきた写真には、緑色の髪を肩の辺りで切り揃えた、大人しそうな女の子が写ってた、控え目に言って超が付く美少女である。歩と良い勝負だな、こっちの方が歳上だけど、背景との遠近から見てこの娘は140㎝位か。前世の時代なら歳を考えても小柄の部類だな。

 

「スゴイ可愛い、これは男避け必要ね。」

 

瀬良さんが写真を一目見て呟くと、食い入る用に写真を見始めた。

 

「正直参加者で息子の方とマトモに戦える奴は何人かいる、朱司もその一人だ。ただ性格を含めると、娘の方を任せられるのは初、お前くらいでなぁ。」

 

いやぁ、俺も多分選ばれたのは身体が反応しないからだけで…………多分、いや絶対初音以外には反応しないだろうけど、俺の周りが信用ならん。

 

板橋と冴羽を思い出して、彼奴等ならやりかねんと思うと、乗り気になれない。

 

「シーダがどんな性格か分からないけど、可能性はあるわね、素性だけなら、超が付く有料物件だし。」

 

俺自身の事はその素性に含まれてるんですかね?

確実に血筋とギフトで判定されてるだろう素性に、ちょっと辟易する。

 

「俺個人としては、坊主が十二になるまでは男避けになってくれると助かる。その位時間があれば、本人も納得のいく相手が見つかるだろう。」

 

今俺が六だから、後六年か。少なくとも学校を卒業するまでは、男避けになる必要があると。

 

「でも、俺年齢的に男避けになれませんよ、見た目顔付きの悪いガキですよ?」

 

「そこは強いから無問題、問題なのはシーダが誰を選ぶか分からないことだ。もし朱司が選ばれたら、姉さん卒倒するぞ。」

 

あぁ、うん………これは受けるしか無いのか、よくよく考えるとシーダは日ノ本にも来るんだし、機嫌損ねると色々言われそうだ、イヴとか天皇とかに。

 

「つまり、俺よりも信用できる人間が要れば良いんですよね?」

 

「言っとくが、シーダは子供が十八になるまでは男女の仲を作るのを認めないってのが基本方針だ。今回は娘が虚弱だから例外ってだけで、子供が異性と手を繋ぐのも嫌な顔する人だからな?」

 

なんつう保守的な親、十五で成人の国があって、人よりも早熟な魔獣でそれとか、子供が可哀想だろ。

 

いや、でもそれなら尚更、あいつに頼むしか無いか…………はぁ。

 

「知り合いにレアギフト持ちで特級魔獣と互角位の名家の血筋の男がいますよ。年齢的に大人の部ですが、そいつなら信頼できます。」

 

すまん前原、俺の為に犠牲になってくれ。

将来は左官が約束されたような奴だし、五馬鹿で一番異性関係で任せられる人間だし………他が酷いとか考えてはいけない。

 

「そいつは本当に大丈夫なのか?」

 

「心配なら魅華月さんも大会で確かめて下さい、人格に問題はない好青年ですよ、実力も朱司と同じ位です。」

 

「なら、そいつに大会に出るよう言ってくれないか。大人の部の賞品は円で五百万用意してる、それとシーダ婆さんの古枝で造る特注の武器だ。」

 

登録用紙と大会のチラシを俺に数枚渡して、魅華月さんが期待するような目で見てくる。

 

「説得は出来る限りします、出てくれると思いますよ。」

 

「そうか、良かった良かった!あぁ、瀬良も、興味がある奴が居たら誘ってくれないか。今の所、予選する人数もいないからな、多い方が良いんだ。」

 

瀬良さんにも登録用紙を渡して頼んでくるのを見て、魅華月さんが本気で困ってるのが分かって、前原を絶対に大会に参加させようと思った。

 

いや、何か他人事に感じないんだよね、苦労人な所が周りの大人にそっくりで。

 

「声は掛けます、参加するかは確約出来ません。」

 

瀬良さんがそう言って席を立ったから、俺も続いて席を立つ。

 

「それでも良い、何もやらないよりずっとマシだ。」

 

魅華月さんが見送りしてくれるみたいで、先導してくれた。

 

役場前まで見送りしてくれた魅華月さんに礼を言って、里を歩く。

途中瀬良さんが寄りたい所が有るらしくて、別れて行動することになった。

 

団子屋でお土産用の団子を買って廃墟に戻ると、子供達と冴羽と前原が、大量の野菜を井戸水で洗っているところだった。

 

俺も手伝うか、前原に話もあるしな!!




サブタイトル間違ってましたすみません(一ヶ月も気付かないとかorz)。
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