夫婦転生 二度目の人生を彼女と ~異世界にヲタク夫婦が兄妹で転生するらしいです~ 作:リムル=嵐
その言葉を聞いた時、最初に思ったことが、何これ何てテンプレ?だった俺は、母さんに◯声と共に◯◯れても文句は言えまい。
「麗奈は、元々軍人だったんだよ。出世する前の、まだ中尉だった頃の部下だったんだ。」
ウワーナンダッテー巫女長が元軍人とか、この国大丈夫なのか?
巫女長は、天皇の補佐役みたいなポジションだぞ、一応。
母さん、今働いてないけど。
俺が疑問に思っているのに気づかなかった父さんは、そのまま話を続けた。
「初のお母さんも元軍人で、俺の部下だったのは知ってるな?
色々、突っ込みたい所は多々あるが、まず言わせてもらおう。
「何でそんな有名人ばっか出てくんだよ!?その小隊は!」
五十嵐って言ったら、名家中の名家
長谷川 研多は有名な作家だし、妹の方は天皇付きの筆頭侍女だろ?
妹の方は異例の出世だって、新聞に載ってたぞ!?
それに、お袋の旧姓が一番やばいじゃん。
「あはは、今では皆成功してるけど、当時は一緒の任務に行くと、必ず失敗するか誰かが僕らを庇って死ぬ、なんて言われるくらい弱かった、雑魚小隊だったんだよ。」
そう言って、予想以上の意味不明さに混乱している俺に、写真を財布から取り出して見せてくれた。
そこには六人の男女が映っていた、背の高い根暗そうな青年と、明るく活発そうな青年の肩位の背丈の女性。
その横で腕を組んで隣を睨んでいる、女性と同じくらいの背丈の強面なイケメン。
その男に睨まれてるのに、物怖じせず何かを言って羽交い締めにされてる少し背の低い青年。
青年を羽交い締めにしている、青年より少し背の高い長髪の女性。
最後に、写真の端っこで、気まずそうにはにかんでいる、初音によく似た女性。
「当時は、家の力で軍に入った、七光りの餓鬼共って良く言われててね、色々あったんだよ。」
「でも毎日が充実してたわ、朝から晩まで任務で、任務が終わったら皆でご飯食べて、毎日があっという間で楽しかった。」
そう言った二人の顔は、昔のことを惜しんで哀愁が漂っていた。
「父さんたちの昔の話はすっごく気になるけど、話が逸れてるよ?何で初音に実の父親、長谷川鏡和のギフトが入ってるんだ?」
それを聞いた瞬間、母さんが目を伏せた。
父さんは、乾いた笑みを浮かべると、詳しく説明してくれた。
「お兄ちゃん、そろそろ出発だよ?」
翌日、俺たちは神社に行くために、母さんの上級魔獣に馬車を取り付けている父さんたちを、リビングで待って居た。
「分かってるって、そう急かさなくても、時間は未だあるんだから、もう少し書かせてくれ。」
もう少しで、昨日の出来事が日記に書き終わるんだから。
「そう言って、二十分も何かを書いてるじゃない!!しかも魔法で私には見えないし!?お母さんたちが呼んでるんだから速く行こうよ~」
そう言って、俺にヘッドロック掛けてこようとする初音を、熟語詠唱であしらいながら、日記を書くこと十数分。
書き終わった日記を閉じて、初音の方に目を向けると、風で乱れた髪を抑えて、涙目で抗議する初音の姿が視界に入った。
「むぅ~お兄ちゃんのせいで髪型がグチャグチャじゃない!今夜はピーちゃんの部屋に閉じ込めてやるっ!」
いやぁぁ~~涙目姿の初音も可愛いですなぁ。
写真関係の魔法を早急に考えないとな、今の写真技術は魔獣の素材を湯水のように使って、やっと使い捨てのインスタントカメラが完成してるような状況だからな。
それにしても母さんたち遅いな……もしかして。
「ごめんごめん、今日は一緒にお風呂入ろうか。」
初音なら、これで機嫌が良くなるはず。
「むぅ…しょうがないから許してあげる、ただし!約束だからね?忘れたら……今日は寝れなくなるからね?(黒笑)」
ハッハッハ、ちょっと想定外だが、間違いなく初音だな、この黒い笑みは初音しか出来ない。
しかも前に、俺が父さんにやってた、悪夢を見せる嫌がらせをやるって脅してきたし、俺の妹は強かだなぁ。
ブルッおっと寒気が。
だけど父さんたち、遅いな。
てっきり、母さんが初音に魔法で変化して、俺と一緒にリビングにいたから、魔獣が馬車を付けるのを渋って遅れたと思ったんだが。
……冗談のつもりだったけど、母さんならやりかねないな。
何かあったのかな?
まさか、魔獣が逃げ出す何て事は無いだろうけど...ないよな?
そんな事を考えていると、父さんが少し疲れた顔をして、リビングに来た。
「どうしたの父さん、そんなに疲れて、何かあったの?」
「その何かなんだけど初、狼好きかい?」
いきなり狼が好きかって、本当に何があったんだ?
初音は何か気付いて、嬉しそうに笑ってるけど、本当に何があったんだ?
良く分からないけど狼か、動物の中では好きな方かな。
「好きって言えば好きだよ、カッコ良いし仲間思いだから。」
それを聞いた父さんは、凄く良い笑顔で事情を話してくれた。
「初が狼が好きで本当に良かったよ、実はねさっき麗奈の配下の大魔狼が産気づいちゃって、今麗奈が産婆代わりになって出産中なんだ。予定だと後、一週間は先のはずだったんだけど、何かハプニングがあったみたいなんだ。しかも、六つ子らしくて時間が掛かるみたいでね。長時間の出産は母親が危険だから、麗奈がスキルをフルで使うらしいんだ。僕は邪魔だって追い出されちゃったんだけど、何か出来ることはないかと思って、産まれた子達は麗奈の配下じゃなくて、初の使い魔に出来ないかと思って聞きに来たんだよ。追い出される時、麗奈の許可も取ってるし、使い魔の登録も神社で出来るからね。後、神社に行くのは明後日に延期、幸い、僕たちは休暇は長くとってるから明後日でも問題は無いしね。」
朝からいきなり想定外の事が起こって、混乱しているのか、普段、あまりしゃべらない父さんが、長々と説明してくれた。
と言うより、家の人間は基本、あまりしゃべらないんだよね。
例外が母さんなんだけど、あの人は空気をあえて読んでない感じが……俺の母親が不思議属性な件。
それにしても使い魔か、しかも大魔狼って確か、老練(数千年クラス)の個体なら特級じゃなかったっけ?
幼い個体でも上級の魔獣なのに……母さんは怒らせないようにしよう。
その後は、三人で出産が終わるまで待機していた。
父さんから出産の話を聞いたのが8時だったのに、式紙がリビングに来て、出産が終わったと聞いたのが夕方の5時過ぎ。
9時間ほどの出産だったけど、魔獣でも六つ子でこの出産時間は凄く短いんだそうだ。
普通は12~20時間位は掛かるらしく、母さんのスキルで短くしたんだろうと、父さんが言ってた。
因みに野生の場合、その間はオスが結界を張ったり、見張りをしたりして、メスを守るらしい。
途中、父さんがおにぎりを作って母さんの所に持って行ってたり、母さんの式紙が昼飯作ってくれたり、俺達兄妹は全くの出番なし。
暇になった俺は、父さんがやりたいことが無くなり、書斎に缶詰めで仕事している間に、初音に昨日の事を話した。
一から全てを説明すると長くなるから、今回の事に関わる話だけ簡単に言うと、ガブリエルの力の応用で、初音を妊娠して八週間目だと解った母さんが軍を辞め、母さんがやるはずだった任務が全て、当時既にバラバラの小隊に別れた、92試験試験のメンバーの一人、五十嵐さんの隊の人間に割り振られたらしく、その任務でアクシデントが起こり五十嵐さんの隊が全滅したそうだ。
因みに母さんは海軍で特務大尉まで出世したらしい。
五十嵐さんの隊の人間は全員死亡。
当時五十嵐さんの隊は、軍でもトップレベルの強さを誇り、五十嵐さん自身も海軍大将と言う、軍では実質二番目の地位に居たため、当時はもの凄く混乱したそうだ。
当時既に統括元帥(元帥は三人居る)だった父さんが、五十嵐さんに言われてそうしたらしく、あの時はもっと、他にやりようがあったと嘆いてた。
そして母さんが、父さんのルシファーと一緒に手に入れたレアスキル、ヴェルサンディによって、おなかの中に居た初音に宿ったギフトが、五十嵐さんのものと同じギフト、アザゼルだと言うことが解る。
因みに母さんのヴェルサンディは秘密らしく、秘密と言っても、国の上層部は知ってるし、俺たちが自立出来たら巫女長を引退した後、公表して鑑定の仕事に就くつもりらしい。
鑑定は神社で行い、結果を国が、戸籍と一緒に管理する法律なので、明日にでも神社に行くと言っていたこと。
母さん曰く「ヴェルサンディは一回の任意発動に、最大魔力の6割を固定で消費するから、ガブリエルと併用しないと使い勝手が悪いのよ?常時発動中は最大魔力の5%を常に消費何だけどね。」だそうだ。
さらに言うと、初音を出産した瞬間にギフトが一つ、初音の中に入るのが解ったらしい。
何で出産直後にそんなこと出来たんだと母さんに聞くと、ヴェルサンディは常時発動型のギフトで、ギフトを色や形、光り方で確認できるようになるとのこと。
常時発動で解るのはレア度と状態、通常だったら青、暴走手前だったら赤、みたいな感じらしい。
レア度は、光り方で解るらしく、レア度が高くなればなるほど光量が上がるらしい。
詳しい性能や名前、他のギフトとの同時発動には、魔力を使うこと、一度魔力を使うと6時間ほど視界が変化し、使用後は、2時間程の魔力が使えない時間があると言う説明をしてくれた。
因みに説明が終わった後、母さんが俺の事を見ながら「
正直まだ聞きたい事はあるが、これ以上は明日、初音と一緒に聞こうと思う。
このことを話し終わったら、初音の様子が一気に変わった。
話す前は、俺のギフトがどんなのか予想したり、大魔狼の赤ん坊の名前を考えたり、俺が飽きないように気遣って、色んな話題を、終始笑顔で話していた初音の表情が、何かを思案しているかと思ったら、何所か虚空に目を向けて、心此処に在らずと言った雰囲気になったり、何かブツブツ呟き始めたり。
傍から見て、すんごく挙動不審と言うか、何と言うか近づいちゃいけない感じの、危ない人になってしまった。
なまじ見た目が美幼女だから、滅茶苦茶不気味な雰囲気になってるし、雰囲気に呑まれたのか何か、初音の周りの景色が歪んで見える錯覚が…ってこれ錯覚とかじゃなくて魔力だ!?
慌てて初音の顔を見ると、何かを呟いてた口は「憑依!!」と言い放ち、手は胸の辺りで『定着』と『融合』の二文字が掛かれており、字から危険な雰囲気を感じた俺が、急いで解除しようとしたが既に、魔法が発動して初音が倒れた。
「バカ!!二文字発動が安定したからって、同時発動なんて無茶苦茶なことしやがって!大丈夫かおい!?」
慌てて色々と、前世の時の口調で口走りながら近づくと、ゆらりとどこか現実離れした、まるでアニメやゲームのような雰囲気で、初音が立ち上がり、
「おい、お前誰だ?何で初音の中に居る!!?」
それと同時に感じた、初音ではない雰囲気に、後ろに下がって警戒しながら
「ハアァ、ワイは夜型だって言ってんに、いっつも昼に起こしようてからに、
一体何だこいつは?いきなりこけたと思ったら、悪態ついて、訛りもあべこべだし、もしかして初音のギフトか?
色々疑問に思い、警戒しながら頭の隅で目の前の何かについて考えを巡らせていると、何かが俺に話しかけてきた。
「そない警戒せんでもええやろ?ワイはただのギフトや、立ってないでこっち来て座り―や。」
本当になんなんだこいつは、意識があるギフト何て聞いたことないぞ?
しかもしゃべり方が変だし、初音の姿でその喋り方は違和感が凄いんだよ。
そんなこと考えながら何かの前に座ると、何かが笑いながら話してきた。
「兄ちゃんが初か、確かに隆志によく似てるのぉ?ワイの名前は『改造自立思考型:堕天使ギフト アザゼル』気軽にアザゼルって呼んでぇや。」
改造型?
誰かがギフトを改造したのか、自立思考型何て聞いたこと無いから、それで自立思考型になったのは予想出来たが、誰が何でそんなことを?
そもそも何で自立型なのに、初音に魔法で取り付いてるんだ?
それに、今まで初音が家族に言わなかったのは何でだ?
他にも聞きたい事が山ほどあるぞ、このギフトには。
「兄ちゃん聞きたいことが、仰山有るって顔やな?ええで、ほな全部言ってみ?」
~10分後~
初音の魔法に関することや、改造自立思考型とは何だと言う事、他にも思いついたことを片っ端から全て話すと、アザゼルは少し考えたような表情を見せると口を開いた。
「兄ちゃんが聞きたいことは分かった、そん中で答えられるんは今は3っつや、よお聞けよ?」
俺が頷くとアザゼルが溜息を一つ吐き、真剣な顔で訛りのない流暢な標準語を喋り出した。
「一つ目、俺を改造したのは、初音の実の父
その言葉を口にしたアザゼルは、鏡和さんの最後を思い出したのだろう、口にした言葉とは裏腹に、悲痛に満ちた顔で吐き捨てるように口にした。
「二つ目、自立型なのに初音に乗り移っているのは、自立思考の条件が満たせていないから、他にも能力の使用には条件が付いてるものが多い、所謂ハズレスキルだよ。」
そう言って、自分の事を嘲笑したアザゼルの顔は、見てるこちらが辛くなるほど、酷く歪んでいた。
「最後、俺の喋り方はキャラ付け設定だ、こうやって普通に喋ることも出来る、お前が嫌ならこれからは普通に喋るが?」
「普通で頼む、さっきまでの喋り方は色々きつい。(主に作者が)」
その後、少し話した後アザゼルは、解除の魔法を唱えて初音との融合(憑依?)を解いた。
これが、この後に「史上最強の美少女(美少女限定)」や「✝漆黒の天使✝」何て呼ばれて地面を転げまわる、アザゼルとの初めての邂逅だった。
括弧が多いと言われて改稿しました、良かったら感想お願いしますm(__)m。
展開の都合上最後のアザゼルとの会話に入る最初の部分を一部変えました。
追記:妊娠に気づいた時期を二週目から八週目に変更しました、流石に気づくのが早すぎですから、気づくのが遅れてすみません。
追記2017:4/8友人に、文がキツキツで読み辛いと言われたので、改行して行間開けました。