魔法少女リリカルなのはvivid×仮面ライダーキバ 〜戦いの運命〜   作:NAGI

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第11楽章 over play 人間

合宿が終わってから二週間が経過した。ファンガイアは常にピリピリとしている。聖王教会となんとか協力に漕ぎ着け、有事の際にはバックアップをしてくれる事を約束してくれた

 

D&Pの上役達は不満そうな顔をしていたが一応は一族の危機という事で協力するようにさせ、誓書を書かせた

 

嶋とは会談とは名ばかりの話し合いをして、今まで通り協力してくれるらしい。他にも対レジェンドルガの武器を開発するらしく、3つの会談の中で一番簡単に終わった会談だろう

 

それはともかく、ワタルは戦いへの準備を進める。しかし、学業を疎かには出来ないので学校には通っていた

 

 

 

 

 

アインハルトはチャイムが鳴り、HRが終わると帰る準備をしているみづきに近付く

 

「みづき!一緒に帰りませんか?」

 

「ごめんね!今日は約束があるから・・・」

 

「そうですか・・・」

 

「本当にごめん。じゃあ、明日ね」

 

申し訳なさそうにしながらも急いで教室を出るみづきを見送る。誰と約束があるのかなどアインハルトは分かっていた。だって合宿から帰ってから一緒にいる事が多いのだから。それに文句を言うつもりはない。しかし最近は全く一緒にいられず、彼の話ばかりしているみづきにアインハルトは不満を抱いていた。それが爆発するのは近いだろう

 

 

 

 

 

ワタルは校門の前で携帯を弄りながら待っていた。リュウヤはイクサの点検があるとかで早く帰っているので今は一人だが、待ち人がいる事を考えると先に帰ってくれたのは都合が良かった。彼なら必ず揶揄ってきただろうから

 

やがてワタルにみづきが走って近付いて来る。これだけで注目される事にワタルは人間は変だなと思う。何故男女が揃うだけで騒ぐのか理解出来なかった。とはいえ周りの人間に興味は無いので放置する。また、あらぬ噂を流されるのだと思うと少々気が滅入るが

 

「走って来なくてもいいのに」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「謝らなくていいよ」

 

「・・・ごめんなさい」

 

最近、こんな会話が多い。幾つか原因は推測出来るが確かめはしない。そうすると落ち込むのが目に見えているからだ。それはともかくワタルは遠くに車があるのを確認する。そこまでみづきの手を引いて歩き、ドアを開ける

 

「乗って。移動するよ」

 

ワタルはドライバーに近くのカフェに行くよう指示を出した。それに頷いたドライバーは最短ルートでカフェまで行く

 

 

 

 

 

 

カフェに入り、注文をする。ワタルはドリンクに口に含み、喉を潤すと話しを切り出す

 

「今日呼んだのはみづきちゃんに護衛をつけたいからなんだ。もちろん、出来るだけプライバシーには配慮させる」

 

「えっと、何で護衛を?」

 

みづきが困惑するのも無理はない。今回の話が唐突だったからだ。だからこその質問だったのだが、それにワタルは少し苦い顔をする

 

「最近は敵対勢力の動きが活発なんだ。僕に関わった人間が襲われる可能性がある。その為の対策だよ」

 

合宿から帰って来てから動きが活発になり始めたのでレジェンドルガも無関係ではないだろう。しかし、それよりも味方がどれだけいるのかという事がワタルは気になっていた

 

「うん。そういうことなら」

 

みづきは少し考えた後に了承する。そんな事は無いと思うがワタルの好意を無駄には出来ない。そう思いみづきは了承した。するとワタルは小さな赤いボタンがついたスイッチを渡す

 

「それじゃあこれを。危なくなったら押して。これを押すとみづきちゃんの場所が分かる仕組みになっているから」

 

ボタンを押すとボタンの電波を母機であるワタルの携帯が受信して居場所が分かる仕組みになっている。この電波は母機の方からシャットアウトするしかないのでもう一度ボタンを押したところで無意味なのだ。つまり、敵が気付いても意味は無い。破壊するにも一度場所が分かれば探すのは幾らか楽だ

 

「う、うん」

 

緊張した様子でそれを受け取るみづき。それから二人はワタルの奢りで会計を済ませると店を出て商店街を回る。周りから見ればデートだと勘違いするであろう雰囲気だったとこっそり後を尾けていたドライバーは語る。ドライバーはカフェから出て少しの間尾行していたが気付いたワタルに睨まれて車に戻った

 

夕方になってワタルはみづきと共に車に戻った。車の中でワタルはある事を思い出し、バックを開ける

 

「ああ。後これ渡しとくよ」

 

ワタルがみづきに渡したのは赤色の携帯だった。目を丸くし、次の瞬間には顔を青くして受け取れないと言うみづきだがワタルは彼女に持たせようとする

 

「携帯⁉︎う、受け取れないよ」

 

「大丈夫だよ。全然生活には影響ないから。それに連絡は出来た方が良いでしょ?」

 

ゆっくりと頷き、震える手で携帯を受け取るみづきは意外に嬉しかったりする。まあ、生まれて初めて他人からプレゼントを貰ったら誰でも嬉しいだろう。嬉しさを隠し切れずワタルに笑われ、顔を赤くするみづきにドライバーは思った。この人がクイーンだったら最高だと

 

ワタルは普段笑わない。というより仏頂面。基本的にリュウヤと側近以外には笑顔を見せないし、D&Pの会社の上役と話す時は常に殺気だっている。だが、みづきの前では側近といる時以上に柔らかい。むしろ優しい雰囲気がありすぎる。そんな訳で彼女がクイーンになって欲しいと願うが人間という壁がある以上は無理だろうなと一人で自己完結していた

 

 

 

 

 

時間は6時半。ワタルは車から降りてみづきを見送る。それに暗い顔をするみづきを不審に思う

 

「じゃあ、またね・・・ってどうかした?」

 

「な、何でもない」

 

ここは追及しない方が良いだろうと思ったワタルは信じる振りをする

 

「・・・そう?気を付けてね」

 

あからさまにホッとしている様子のみづきが気になったワタルは嫌な気持ちを振り払う為に歩いて帰る事にして、ドライバーにその旨を言って帰路につく。近くで二世が見ていたが物思いにふけていて気付いていなかった

 

「(絶対に何かある。多分、家庭内の問題だから首は突っ込めないけど・・・調べてみた方が良いかな?)」

 

少し考えてワタルは近くに会いたくない者の気配を感じ取る。確か家がすぐ近くだったと思い出し、車で帰れば良かったと後悔していた。ワタルの近くをアインハルトが通る。彼女にワタルは会いたくなかった。一族の問題もある。しかしそれ以上にみづきと一緒にいる度、見つめてくる彼女にうんざりしていた

 

「こんばんは。トレーニングの帰りですか?」

 

「はい。貴方こそどちらへ?」

 

「えっ、ああ。みづきちゃんを家に送って来ただけですけど」

 

「そうですか・・・」

 

アインハルトが面白くなさそうな表情をしていたがワタルにとってそれはどうでもいいことだ。更に言えばワタルの意識はアインハルトを尾けていたのだろう自身の一族に向いていた

 

「囲まれてるな・・・・・・6体か」

 

「え?」

 

アインハルトはキョトンとするが同時に6体のラットファンガイアが二人を囲む

 

『おい!覇王の末裔だ‼︎男はどうでもいい!あいつのライフエナジーをもらうぞ‼︎』

 

「ファンガイア‼︎」

 

すぐに武装形態になって構えるアインハルトを尻目にワタルは考える

 

「(雑魚だけか。なら、僕を知らないのは当然か。僕の存在は奴等に認められていないしね。だけど、誰なんだ?裏にいるのは)」

 

考えられるのは上役の者達だ。しかし、彼らなら自分がキングである事を敵にバラすだろうと思うが他に思い当たる人物はいない

 

「貴方は下がって下さい!ここは私が」

 

囲まれている状況で啖呵を切れるなんて実力差を理解しているのかとワタルは思う。ワタルの評価では人間がファンガイアに生身で勝つのは難しい。ナカジマギンガ、スバルの二人なら可能かもしれないがアインハルトでは不可能だ。人間がファンガイアに挑むなら遠距離からの魔法弾による攻撃などしかない。キングの書いた本にはイングヴァルトはファンガイアとやり合ったとあるから自分も戦えると思っているのだろうかと考え、切り捨てようかと思ったがみづきの存在が頭にちらつく

 

「一人でやるよりも二人の方が良いと思うけど。彼らはどこか危険な感じがしますし」

 

結構、甘い奴になったなと自嘲するが警戒心は捨てていない。アインハルトにもラットファンガイアにも

 

「分かりました。ですが無理はしないで下さい」

 

「はい(その気になればこいつら殺せてるんだけどね。まあ、黙っとこう。絶対に正体がバレる)」

 

ワタルは殺すつもりは無かった。聞きたい事があるからだ。裏に誰がいるのか。それを知りたいのである。とりあえず一匹だけ生かしておけばいいと判断したワタルは近くにいた一体を蹴り飛ばす。彼らは下級のファンガイア。しかしワタルは現在のファンガイアの中でもトップレベルにはある。ただ、力を扱い切れない為に中・上級のファンガイアとやり合うとなると苦戦するのが殆どだが。それでも、下級を倒すのは生身でも十分だ

 

「覇王断空拳‼︎」

 

アインハルトをチラッと見ると今はそこそこ出来ているようだ。しかし、傷が多いからそろそろリタイアするだろう事は予想出来た

 

「まずは一匹(制裁の雷使っていいかな?早く終わらせたいんだけど)」

 

ワタルは足蹴りにして一体を倒す。それに驚愕したのはラットファンガイアだけではない。アインハルトも無傷で一体を倒したワタルに驚いていた

 

『くそっ‼︎てめえ、何者だ‼︎』

 

「ただの学生です(そうは見えないだろうけど)」

 

『嘘つけ‼︎』

 

そんな会話をする間にもワタルは敵を蹴り、殴り追い詰めていく

 

「本当ですよ(ファンガイアのキングという事実を除けばですけど)」

 

『く、くそっ!こうなったら、逃げるぞ!』

 

勝ち目が無いのが分かり、ラットファンガイアは逃亡を図る

 

「(逃がそうか。五体も殺すとなると肉弾戦だけじゃキツイ。最近は身体が変だし)」

 

ワタルは追わず、アインハルトが追いかけようにもそのダメージでは追う事など出来ない。そもそも何故そこそこ大きな傷を負ったのに引き止めようとするのか。見逃してくれるというのだから喜べばいいのにとワタルの疑問は尽きない

 

「待ちなさい‼︎」

 

「大丈夫ですよ。彼らはまた現れます。貴方を狙って」

 

しかし、そんな考えはおくびにも出さず、アインハルトに言う

 

「貴方は何者なんですか?」

 

「貴女が知る必要はありません。もし知るとしてもそれは貴女が死ぬ時です」

 

アインハルトは先程の戦いで確信に近い疑問を抱いていた

 

「貴方もファンガイアなのですか?」

 

「だとしたら?」

 

ワタルは否定をしなかった。それにカッとなったアインハルトはワタルに突きを繰り出す

 

「私は貴方を倒します!」

 

アインハルトの拳を受け止めたワタルは人間の骨を砕きはしない程度の力で握り締める。ワタルは溜め息を吐くと同時にある事を思いつく

 

「野蛮な人間だ。キングの言う通り、人の話を聞かないようですね」

 

「誰がファンガイアの話など・・・」

 

アインハルトは自分がキングだと気付いていない。ならば一般のファンガイアの振りをして自分の考えを言うのも一興だろうと

 

「貴女の行動一つで我々の動きが決まる。今はまだ殆どが人間に溶け込んでいます。人間を害するのは掟に反するから。実際に人間を殺したファンガイアはキングによって裁かれる」

 

目を見開いたアインハルトにワタルは話しを続ける

 

「キングは4分の1ではありますが人間の血が流れているから彼は人間を守ろうとしている。しかし、貴女が善良なファンガイアを倒そうとするならばキングは人間を殺すでしょう。キングにとって人間はペットと同じ。懐くならば大切にするが懐かないのなら必要ない」

 

少し大袈裟な表現だが実際にワタルが最優先するのは一族の安全。人間の安全は二の次だ

 

「勝手な・・・」

 

小さく呟いたアインハルトにワタルは鋭い目を向ける

 

「だから言っているのです。気を付けろと。キングは人間に友好的でも人間とファンガイア。どちらを取るかと聞かれれば彼は必ず後者を取る」

 

「貴女も気を付けて下さい。これは警告です。貴女がキングに牙を向くのならばそれが人類の答えと取られるでしょう。そうなれば世界中に潜むファンガイアが人間を食らい尽くしてしまうでしょう」

 

まあ、反体勢力に許可すれば喜んでライフエナジーを吸うだろうなとワタルは思う。アインハルトは怒りと恐怖で震えていた。それを見てワタルは彼女の手を離すとアインハルトを素通りして帰路につく

 

 

 

 

 

 

少し歩き、完全に彼女が見えなくなると二世がワタルの肩に乗る

 

「素晴らしい演じっぷりだったぞ」

 

「あれでバレてないかな?」

 

実際に人間を襲わせる気は無い。だが、どちらの命を取るかと聞かれればファンガイアだ。人間を守るつもりはあってもそこまで必死に守りたいという訳ではないのである。一応、リュウヤ達への義理を通す為に守っているだけ。他の人間を守るのは掟があるからという理由とリュウヤ達一部の人間を守るついでの意味合いが強い

 

「少し怪しかったがまあ、餓鬼には分かるまい」

 

「なら、大丈夫かな?あれで抑えられるかは分からないけど」

 

「なに。動きを鈍らせるぐらいなら出来るだろう」

 

ワタルは彼女があれで抑えられるとは思っていない。元々、イングヴァルトの記憶を介してキバを知り、憎しみをぶつけてきた。彼女の中にあるのはオリヴィエをキバに殺されたという憎しみとオリヴィエを守れなかったイングヴァルトの自身への怒り。この二つが彼女の視界を狭めてしまっている

 

「面倒だね。人間って。悲しいぐらい真っ直ぐで愚かだ」

 

 

 

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