魔法少女リリカルなのはvivid×仮面ライダーキバ 〜戦いの運命〜 作:NAGI
ワタルとリュウヤは皆より少し離れた場所でヴィヴィオとアインハルトの試合を見ていた。しかしその最中、リュウヤがある場所に目をやると目を見開き、ワタルに耳打ちをする
「ワタル・・・」
「うん。見てるね」
二人がチラッと目を向けた先には眼鏡をかけた男性 墨田が。墨田はヴィヴィオとアインハルトの試合を表向きは真剣に見ている。だが二人は知っていた。あれは過激派のファンガイアだと。彼はワタルが生まれる前に起こった戦いで破れ、6年前に牢獄で死んだと思われていた
だが今、二人のすぐ近くにいる。目的はおそらく、ヴィヴィオかアインハルトのライフエナジーだと推測したワタル。それは聖王と覇王。その血を受け継ぐ二人のライフエナジーはかなり価値が高いと言われるからだ
通常、ライフエナジーの摂取は食事という価値でしかない。しかし例外として古代ベルカ時代に存在した王の血を引き、力か記憶を受け継いでいた者からライフエナジーを摂取した場合、進化を遂げたファンガイアが少数であるが存在する
もっともこれを知る者はチェックメイトフォーと次郎たち アームズモンスター、そして高位に位置するファンガイアくらいなのだが墨田は下級のファンガイア。それを知る事が出来るほどの力があった訳でもなく、そもそも過激派にはそういう情報が入らないようにビショップが動いていた筈なのだ。つまり、考えられるのはそれを知る誰かが墨田に教えたという事になる
だが一体誰が?
深い思考にはまり掛けていたワタルだったがそれを遮るようにリュウヤが話しかける
「で、どうすんだ?」
ワタルは我に返り、すぐにどうするかを考え出す
ここで戦うという案は却下だ。そもそも墨田は人間社会では何もしてないので傍から見たら、喧嘩を売ったようにしか見えないしキバに変身して戦うというのもリスクが高すぎる。下手をしたら管理局が敵になるので駄目
見逃すも却下。見逃したら他の魔族に危害を加えるかもしれないのでそんな選択肢は無い
あとは泳がせて、捕らえる。まずどちらが標的なのかを知り、襲って来たところで適度に攻撃して捕まえ、情報を聞き出す。まあ、情報は聞き出せなくても仕方ないので、聞き出せるなら聞き出すという形にしよう。ワタルは瞬時にそう決めた
「正体がバレるのは避けたい。それに戦えば被害は大きいし、ファンガイアは悪という印象を与えかねない」
それは今、この世界に生きるファンガイアたちの人生を奪う事になりかねない。人間と共存するファンガイアの中にはその人間に全てを話している者もいるのだ。そんな事はキングとして到底許容出来るものではないし、大勢の前で戦っても損しかない
「大丈夫なのか?」
そしてそれは逆も然り。正体がバレれば人間から攻撃されるのは間違いないだろう。墨田は気付いていないが魔導師だけでなく、ファンガイアのキングがいる。魔導師だけでも手こずるのだ。ワタルに気付いていなくてもそれでも戦おうとしない筈。やるとしたら僅かな人数になった時である
「奴としてもバレるのは避けたい筈だから、ここで暴れる事はないよ。やるとしたら少人数になった時だね。俺たちで片方を守って、もう片方はティアナさんたちに任せよう。勿論、密かに部下の護衛をつける」
「分かった。じゃあ、ヴィヴィオは一緒に帰る事を口実に護衛するか。アインハルトはティアさんたちに任せて」
「そうだね。ストラトスさんとは接点がないし。あの程度なら魔法を使って戦えば十分に対処出来るから大丈夫だろうしね」
墨田は実力は高くない。魔法を使えば手こずるが必ず勝てる相手だ。その為、ティアナたちがいれば大丈夫だろうとワタルは考えた
「なら、ティアさんには俺から言っておく」
「うん。よろしく」
「(上手くいけば、確かめられるからね。彼女がどっちを持っているのか)」
夕方頃 ワタルとリュウヤは落ち込むヴィヴィオと一緒に帰り道を歩いていた。アインハルトと戦ったヴィヴィオは自分が不真面目に闘っていたと思われたのかもしれないと先ほどからずっとこの調子だ
確かに遊びと趣味の範囲内だったら十分強い
そう言われたら落ち込むのも無理はないだろう。ただ、そのせいで三人の周りだけ暗いオーラが漂っていた
「あんま落ち込むなって」
リュウヤがそう言うもののヴィヴィオは相変わらず落ち込んだまま
「・・・うん」
それにまた会話が途切れ、ますます空気が重くなるかと思いきや、珍しくワタルがフォローに回った
「リュウヤの言う通り落ち込む事はないよ。次戦う時にはヴィヴィオちゃんの気持ちが届くように頑張ればいいぬんだから」
「ワタルさん」
「ああ!落ち込む暇あったら練習した方がいいんじゃねえのか?アインハルトにお前の気持ちが届く為にな!」
二人の言葉に笑顔を見せたヴィヴィオ。
「うん!ありがとう!リュウヤとワタルさん!」
それを見た二人はホッと息を吐いた。
一方で夜。ティアナはスバルとアインハルトを乗せ、車を走らせていた。帰る前にリュウヤから少し話を伏せながらではあるが墨田の事を聞いたティアナは帰り道に襲われるかもしれないので、護衛の為に車で送っているのだ
しかしその途中、ティアナたちの前にマントを羽織い、指輪を幾つも着けている男が現れた。いきなり前に立たれた事に驚きつつもティアナは車に急ブレーキをかけ、何とか止まると車から降りて
「あんた!危ないじゃない!」
男に注意する
「覇王の末裔がそこにいる筈だ。渡してもらおうか」
しかし彼は全く取り合わずに命令するような物言いで話す
「(まさか、こいつがリュウヤの言っていた奴?でも聞いていた特徴と全然違う)」
彼がアインハルトを狙っていると分かるとティアナはデバイスを展開しようとする
「まあ、いいわ!」
「渡すつもりは無いんだな?なら」
その行動でティアナがアインハルトを渡す気は無いと理解した彼の顔にステンドグラス模様が浮かんだかと思うと次の瞬間、虎の意匠を持つタイガーファンガイアに変身した
「なっ⁉︎」
「力尽くで奪うまでだ」
その姿にティアナは目を見開く。明らかに人間とは違う姿。彼が何者なのか。それを知りたいと思うがアインハルトを守る事が重要だと気を引き締め、自身の相棒と言うべきデバイス クロスミラージュを構える
そしてそれを見ていた者たちがいた。人数は男が三人に女が一人
「キング。S級犯罪者 ドウコが対象と接触しました。いかがなさいますか?」
一人の男がインカムを着け、ワタルに確認を取る。今、自分たちが行った方が良いかもしれない。だが自分たちでは1分もかからずに倒されてしまうだろう。その為、上司であるワタルに確認を取った。勿論、戦えと言われたら戦い、死ぬ覚悟はある
『今向かってる。判断は任せるよ』
「分かりました」
だがそうは言われなかった。ならば自分たちが命を捨てるのならば、奴が油断しきった時か、アインハルトたちの誰かが彼にやられそうになった時だ
そう決めた彼らは密かに戦いを見守っていた
数分後 蛸の触手で三人は拘束されていた。ティアナたちはタイガーファンガイアの隙を突き、逃げようとしたのだがオクトパスファンガイアという予想外の敵が現れてしまう。そのせいで触手に身体を拘束され、引き寄せられようとしている。ティアナとスバルは管理局の陸戦魔導師として、足腰を鍛えている為に今は大丈夫だがアインハルトはそうもいかない。まだ12歳という年齢である為に足腰を鍛えられていないのだ。現に今、アインハルトはゆっくりとオクトパスファンガイアたちの方へ引き寄せられていた
それには静観していた彼らも不味いと思ったようだ
「おい!」
「不味いな。我々も参戦するぞ」
彼らの頰にステンドグラス模様が浮かび、ファンガイアに変身しようとする。しかし一人の男がある一点に目を向けると他の者を止めた
「いや、待て‼︎」
男が見た方向にはワタルと二世の姿が。ゆっくりとティアナたちの方に歩くワタルはおもむろに右手を身体の前に出す
「行くよ。二世‼︎」
「ああ‼︎任せろ!」
二世は出された右手に近付き、噛み付く
「ガブリ!」
するとワタルの身体に変化が起こる。魔皇力が活性化された事で首筋から頰にかけてステンドグラス模様の痣が浮かび、腰に複数の鎖が巻き付いたかと思うとそれは左右にそれぞれ三つの笛の形をしたフェッスルと呼ばれる物を装鎮した黒いベルトが
「変身!」
強い決意を持ってそう叫んだワタル。それに応えるように二世が逆さ吊りでベルトに収まるとワタルを中心に緑色の波紋が広がる
それが弾けるようにして消えるとワタルは闇のキバという一族に伝わる最強の鎧を纏っていた
蝙蝠を彷彿とさせる姿、緑色の複眼に黒いマント。そして血を思わせる赤い真紅の鎧
闇のキバの鎧はかつて古代ベルカの時代にナイトとポーンという双子によって作られた鎧だ。純度の高い魔皇石は使用者の力を最大限に引き出す事を可能にし、その力を持って魔族を滅ぼして来た恐怖の象徴であるがリスクも存在する。大き過ぎる力はその者の身を滅ぼすと言われるように力を制御出来なくなり、暴走する可能性がある。その為にダークキバに変身するのを避けたがる傾向にあるワタル。しかし本当に変身しなければならない時にしない程彼は愚かではない。変身した時にはキングとして敵を滅ぼす、現代のキバだ
「ハアッ‼︎」
ダークキバは彼女たちの方へジャンプすると、アインハルトとオクトパスファンガイアの間に入り、触手を解く。突然の事で驚いているのか、固まった動けないオクトパスファンガイアにダークキバは構う事なく、二人を拘束していた触手も解き、オクトパスファンガイアを蹴り飛ばす。勢いよく吹き飛んだオクトパスファンガイアを追撃しようと走るダークキバ。しかしそんな中、アインハルトはギュッと拳を握る
更に追撃しようとしたダークキバの前にタイガーファンガイアが現れる
「まさか、キング自ら現れるとはな」
その声は震えていて動揺しているのが分かる程だった
「ふん。貴様ら重罪人を他人に任せるつもりは無い。俺、自ら裁いてやる」
口調を変えて喋るダークキバはタイガーファンガイアが繰り出したパンチを軽く流し、逆に右ストレートを叩き込む。一歩、二歩とよろめくタイガーファンガイアに攻撃しようとする。それを見たダークキバは早く戦いを終わらせようと両手を広げ、波動結界を発動しようとした
しかし、そこへ武装形態によって成人女性の姿となったアインハルトがダークキバに拳を向ける
「キバーーーーーー‼︎!」
「貴方は何をしたのか分かっているのですか⁉︎」
「あいつの先祖がお前の先祖に何をしたのか俺は知らない。だけどあいつはお前に憎しみを向けられる理由は一つも無いんだ。同じ鎧を着ていてもお互いに違う存在だから思う事も性格も違うんだ」
「しばらくは闇のキバになるのは禁止だ」
「僕はキングだ。キングとして一族に仇なす輩は排除する!」
「王の名の元に貴方を処刑する‼︎」
次回『over heat キングの判決!」