ダンガンロンパカウントダウン 人の数だけ絶望がある   作:和沙

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プロローグ 私達は未来の花…なのか?

プロローグ1

 

都会のど真ん中、まるで成功の象徴かの様に堂々と建って

いる。

そんな建物が建っていたら本来なら悪い意味で注目されそうなものだ。

 

だがしかし、『私立希望ヶ峰学園』にはそれが許された。何故ならそこは…

 

未来の活躍が著しく期待できる生徒を育てる学園、即ち『希望』を育てる学園なのだから。

 

ただし条件は2つある。『超高校級』と呼ばれるレベルの才能を持っている事と、現役高校生である事だ。

 

 

 

そんな所に私、入木美智は『超高校級の同人作家』として入学する事になった。

こんな大層な肩書き、私に相応しいのだろうか…?そんな事は置いといて。

このドキドキを紛らわすと思って、回想でもしてみるか。

 

 

 

 

そういえば初めて評価されたのは、中学の時だった。運動もできなければ意識高い文化部が続くとも思えない。そんな私が消去法で選んだ部活が文芸部だった。

 

その部活は、私が部活というものに対して抱いていた悪いイメージを払拭してくれた。正直他の部活だったら何処かに沈められそうな失礼を働いても、皆優しく受け入れてくれていた気がする。

 

そんな大切な場所が、廃部という形で私が中二の時に奪われそうになった。

先生方曰く、大した功績も無い部活に出す部費がもったいないんだと。

 

だったら功績を作れば良いじゃないか!

 

私はそんな風に言われた時、真っ先にそう思った。成果を出せばあいつらは文句を言わないだろうに、色々な言葉で引き留めてくる人達が不思議で仕方なかった。今思えば私の方が変だったんだけどね?

 

その時ふいに、私の中で二次創作を文章にする事を思い付いた。とにかく書きたいものを書きまくった。私は絵が書けないから文章で何とかするしか無くて、必死だった事だけは覚えてる。

 

私の学校は少し変わっていて、中学なのに高校みたいに金銭の発生する文化祭だった。

そこで私達文芸部は、発行した分を全て売り切る必要があった。予定では80部の筈が、8000部を売る羽目になった。

何でも、印刷を頼んでいた子が印刷中に私達のアンチ的教師に嫌がらせを受け、数を間違えたらしい。

その時の犯人の顔ったらない。ニヤニヤして、そういう約束だっただろ?って言ってた。

その瞬間大事な所を蹴りたくなったけど、止められた事だけは覚えてる。

 

そんな嫌がらせにも負けず、何と私達文芸部は8000部を無事に売り切った。この結果が切っ掛けとなり、私は同人作家として活動する事になった。何でも、大体の人が私の書いた所目当てで買ってくれたらしい。マイペースに好きなものを書いていただけなのに凄い所に招待されたので、正直な所とても私は緊張していた。

 

じゃなきゃこんな実況混じりの回想をする訳が無い。

 

さてと、そろそろこの目の前の大きい門を潜りますか。

ファイトだよ!なんて自身に言い聞かせ、このどでかい門を潜った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筈だったんだ。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「んー………あれ?何で私地面で寝てんだ?」

私が目を覚ますと、何故か私は地面に寝ていた。ちょっと意味が分からない。

しかもこれどう考えても廊下あるあるなタイルじゃないし…

 

もしかして、此処希望ヶ峰学園じゃない?

 

いやー、まさか!私地図あれば目的地に行ける子だし、方向音痴なんてやらかしてる訳ないよ!!

 

ん…?待てよ、そもそも私何で寝てたんだっけ?

確か学校の門の前でよく分からない回想おっ始めて、門潜ろうとして……

 

あれ、こっから記憶が無いなぁ。何でだ!?

自分の記憶の事なのに、気持ち悪………

 

取り敢えず今の居る所を見てみるか。まず私の後ろはめっちゃ固そうな観音開きの扉。霊長類最強でも割れなそうな固さだよね、多分。

そして天井にはカメラ、カメラ、カメラ。どう考えても監視カメラじゃん。何で?芸人のドッキリじゃあるまいし…

物によっては銃も横にくっ付いてる。あれ?そろそろおっかなくなってきたぞ。

それに窓らしい所も全部鉄板で塞がれてるし。ふざけてる場合でもないな………

これらの設備に一抹の不安を覚えて立ち上がろうとした時、誰かが走ってくるのが見えた。

 

「おーい、お前も此処に倒れてたクチか?」

その走ってきた人はそう話しかけて来た。お前も?ちょっと気になるな…

「そうだけど………お前も、って何?」

「あぁ!変な言い方してごめんな。俺も此処で倒れてたみたいなんだ。そういえば自己紹介まだだったよな?俺は朝尾未来。一応“超高校級の怪談作家”って言われてる。まぁ宜しくな!」

「そうなんだ。私は入木美智。“超高校級の同人作家”。此方こそ宜しくね!…でも二人共倒れてるって不穏だね」

「そうなんだよ。他の奴もそうだったみたいでさ………今講堂らしき所に居るんだ。一緒に行こうぜ?」

「う、うん」

怪談作家…どっかで聞いた事あるぞ?あぁあ、突っ込みたい!でもその前に、他に人が居るなら会ってみる方が先だよね。

 

 

 

その怪談作家さんに連れられて、私も講堂に足を踏み入れた。すると…

 

「あれっ?まだ人居たの!?」

「…お前で最後っぽいな」

「私達のお仲間さんかなー?」

 

今居る全員を数えると、何と16人居た。意外と多いな…

って、あれ?知った顔がある。

あのちょっと位置の離れてる、黒髪お団子………間違いない!

「おっ入木!入木も希望ヶ峰に来るのか!?」

「おぉ舞沙!来る来る!久し振り〜」

まさかあっちから声を掛けてくるとは。何だか嬉しいぞ!

今声を掛けてきたお団子男子は茅園舞沙。“超高校級のプロデューサー”で来るらしい、と風の噂で聞いた。マジだったんだね…

 

「あの………2人で話完結されてもよく分からないんだけど、知り合い?」

「すまん東之木!俺とこいつ、入木は中学からのダチなんだよ。でも会うの久々だからつい興奮しちまって」

「成る程ね…それならいっその事、これで全員揃った事を前提に自己紹介を始めないかい?」

「渡辺…お前話の展開が早ぇよ。まぁ良い提案だと思うけど。誰からする?」

と、朝尾…先生でいこう!それっぽいし!!が呆れた様に言っていた。確かにトップバッターは大事、ってお爺ちゃんが言ってた。

 

「じゃあ俺からいこうかな!俺は谷崎ロア。“超高校級の経営者”だよ。ホテル谷崎共々宜しくね〜。好きに呼んで良いよ!」

「じゃあロアちゃんって呼んでも…」

「おい入木!馬鹿野郎!!」

「別に怒ってないから大丈夫だよ〜。俺が男って事だけ分かっててくれればそれで呼んでも大丈夫です!」

「だってさ舞沙!…って男子、だと!?」

「どう見てもそうだろ。もう好きにしてくれ…」

だってさ〜白髪に黄色い目の綺麗め男子だよ?そう呼んでも仕方なくない?あ〜、この子が二次元のキャラだったら創作してた〜。

「確か谷崎はそのホテルの他に色々やってるんだよな?」

「あ、そうそう。後はスーパー銭湯とかやってるよ。それと懐石料理とか…一家で色々やってます!贔屓にしてね〜とか言ってみたりして」

そういえばそうだったよね……谷崎グループっていったら、色々手広く経営してて、今のトップが高校生って…確か顔は一切非公開だった気がする。もったいないのー!

 

「もう良いか?次いかせて貰う。」

「…はいはいどうぞ」

「あれれ〜?谷崎君ムスッとしてな〜い??」

「してないから」

「はいはいピエロ!茶化すな!大里、続けてくれ」

「すまぬな、茅園。我は大里美海々。“超高校級の茶道部”だ。宜しく頼む」

この子は割と有名だよね。確か自分の高校に茶道を広めたって。体育会系な部活しか無かった彼女の高校で、茶道がどうしてもやりたかった為に1人で茶道部を作って盛り上げたって話。そして入部希望者殺到中という。流石ロリ体型。ちっちゃくて可愛い〜!

「おいキミ、何か失礼な事を考えなかったか?」

「いやいや気のせいだよ!そう見える?」

「あぁ見える。君の顔は邪心でいっぱいだったぞ」

「うちの入木がどうもすいません」

「信じて舞沙!断じて違う!!」

やばいぞ、あの子に悪印象だぞ?汚名返上どうすっかな〜…

 

「じゃあ次良いかな?僕は東之木條。“超高校級の靴磨き”です。あんまり流行とか分からないけど、それでよければ宜しくして欲しいな。」

おお、これまた大きい体だ〜。ぷよぷよしてそう。でもこの体型で、サラリーマン街で靴磨き始めて今や売れに売れてるっていうんだから驚きだぜ。しゃがみにくくないのかな?

「おお、宜しくな〜!でも靴磨きって凄ぇな!!想像できねぇ…」

「そんなに難しくないよ。茅園君が良ければ一緒にやる?」

「相手による」

「堂々と人間失格発言止めようね〜」

舞沙も時々本音ポロって出るよね。

 

「じゃあ今の内に自己紹介しちゃおっかな〜。私は尼寺鉄子。てっちゃん、か尼寺、って呼んでね。“超高校級のラクロスプレイヤー”です!」

うわっ、出ましたパンピ。こういう人種苦手なんだよな〜…でもラクロスっていうチームスポーツでダントツで活躍して希望ヶ峰に呼ばれるってのは凄いと思う。自分の名前嫌いっぽいけど。

「どっちの方が良いの?」

「えーと、入木さんだよね??女子ならてっちゃん、が良いな」

「じゃあそうするね。」

地雷をわざわざ踏みに行くのはやめておこう、うん。

 

「次俺良いか?てかする!俺は原口敦。“超高校級の俥夫”だ。宜しくな!!」

原口君ねー…彼は観光地で人気があるんだっけ?確か官僚とかのお偉いさんまで魅了しちゃうんだとか。私も一回乗せて貰いたいぜ。

「あー、人力車の実物があれば俺の実力をお披露目!とかできたんだけどな…悔しいです!!」

「待て待てそれどっかで聞いた事あるぞ!?」

「そのネタ非常に危ないですねー!止めよう」

変顔しながらやられると止めるの大変だわ…待って、本当に笑えてきた。

 

「は〜い、私は広井甘奈。“超高校級のヒロイン”で〜す。基準って何だろうね?希望ヶ峰学園潰れそうなのかな??」

「そういう事を言うのはやめて差し上げろ!」

「茅園君反応が早い!私には真似できないなぁ〜」

「最近のヒロインってこんな頭緩かったか…?」

ヒロイン…これ確かによく分からないんだよね。聞いた事あるのだと、不良高校の更生に活躍したとか、逆ハーレムを無自覚に築いたとか………本当かな?

 

「次良いか?さっさとすませてぇ。愛原映太。“超高校級の幸運”。」

「ん?そんだけ??」

「なんだよ茅園。必要な事言ったんだから別に良いだろ」

「そうだけどよ…」

「あのさ、そこまで言わなくても良くない?」

「はいはい黙れば良いんだろ?あー、うざい」

私と舞沙に何の恨みがある訳?初対面じゃん。本当意味分かんない!超高校級の幸運って第一なんなの??抽選仕事してください!!

 

「そこまでカリカリしないの〜!ボクの顔見て皆元気出して☆ボクはDJラビュー。“超高校級のピエロだよ☆」

「DJなのにピエロ!?え、どっち?」

「だから〜ピエロだってば〜信じてよ入木さ〜ん。まぁそう言っても、ボクが居なくても幸せな奴には芸しない主義なんでよろしこ☆」

「演者が客を選びやがった!?」

あ、思い出した。確かDJラビューってこんな感じだわ。ラビューが不幸せ、と判断した人には全力の芸を見せるけど、幸せ、と判断した人には死んでも何もしないっていう。へー、本当だったんだ…

 

「俺も始めて良いか?つか始めるわ。俺は西條佳南。“超高校級のサバイバー”とか言われてっけど気にしないでくれ。まぁ宜しく頼むな」

「サバイバー…無人島で生活させられたりとか?」

「入木わかってんじゃねぇか。まぁそんな感じだな。後はハイジャックに巻き込まれたりとかしたし…」

「それしれっと言える事かな!?」

「たまたま俺の運が悪かっただけだろ?」

「それは違うんじゃないかなー!」

あんまり聞かないな、何だろうと思ってたらそういう事!?どんな状況でも生き残る、って事なのかな?強そう…

 

「なかなか面白い人達だな…私も負けない様にしないと。私は渡辺蘭丸。“超高校級の義賊”だ。何卒宜しく頼む。」

「待って待って、義賊ってこんな堂々と顔出して大丈夫なの?」

「何も悪い事はしていない、いや、権力者や犯罪者にとっては悪い事かな?」

「義賊ってもっとひっそりしてるもんじゃないの!?」

「何故私達がこそこそしなければならない?こっちは良い事をしているんだから、大丈夫だろう」

そういう問題じゃない気がするんだけどなー…義賊ってもっとこう、正体不明の正義の味方感あったけど、実際こうなのだろうか…?

 

「じゃあそろそろ俺も自己紹介しとくか!俺は朝尾未来。“超高校級の怪談作家”だ。宜しくな!」

「ペンネームって何て名前なの?」

「俺は…モーニングテール、って名前でやってるな」

「………ダジャレじゃねーか!?」

私がペンネームを聞いてみると、先生はすぐ答えてくれた。あっ、思い出した!確かそんな理由でペンネーム付けた、って何かの雑誌で見た!!私も舞沙と同じ反応した記憶ある…

「色んな場所の七不思議を創作した七不思議シリーズの作者が、ダジャレ野郎だったなんてよ…」

「あれ確か大ヒットだったよね〜。累計何万部〜とか言って」

「そこ覚えてねぇの!?累計300万部!良かったら覚えといてくれな?」

うん、頭に入れる余裕があったら入れておこう。それにしても、何故か先生呼ばわりしちゃうな…貫禄ってやつ?ちっちゃいのに。

「………何か俺も失礼な事考えられてる気がするんだけど?」

「気のせい気のせい!次の人自己紹介お願いします!!」

何で此処の人は人の心を読もうとするんだ!怖いお…

 

「じゃあじゃあ!いくね!!穂乃田砂夜!“超高校級の愛猫家”!!猫ちゃん大好き!宜しくね☆」

「猫か〜。俺は犬の方が好きだな」

「いきなり何言ってんのォ!?空気読んで!」

「あはは、気にしないで〜。見る目が無いって認識するだけだからさ☆」

「思いっきり気にしてんじゃねーか!?ごめんな!」

愛猫家ってやっぱり凄いな…確か家には108匹猫が居るとか居ないとか。真相は不明らしいから、誰か暴いて欲しい。

「後々、私が載ってる“猫ちゃんの気持ち”も宜しくね☆」

「確か毎月載ってるんだっけ?」

「そうそう、知っててくれて嬉しいな〜!ありがとう!!入木さんは見る目があるね☆」

「まぁそこの人とは違うんで…」

「おい、口が滑っただけだろ!?」

猫が好きな人に向かって堂々と犬が好き、って言うのはなかなかいい度胸してると思うよ………

 

「もふもふか…アタシももふもふは好きだ。あ、アタシは藤井美信。“超高校級のレディース”何て言われてるが、まぁ気にしないでくれ」

気にするな、っていう方が無理でしょ!?だって悪く言えばヤンキーだよ!きつい…

「お前サラッと言うのな………」

「別に恥ずかしい事じゃないからな。アタシが恥ずかしいって言ったら、仲間の事まで恥ずかしいって言ってる事になるだろ」

「それもそうだよな!藤井これから宜しくな!!」

「あぁ、宜しく。それにしても同じ友人でもこうも態度が違うんだな?」

「あの、それ私に言ってます…?」

「そのつもりだが??まぁ無理する事も無いか」

「入木もな、悪い奴じゃねーんだ!人見知りでコミュ症なだけで!!」

「それフォローになってなーい!?」

でもさ、実際問題レディース伝説的なものには確実に藤井さんのチーム?って居た訳でしょ?ついでに治安を維持までやってのけた、っていう…慣れるまでまだまだ時間が掛かりそうだよ………

 

「んじゃ、俺も改めて自己紹介しておくか!俺は茅園舞沙。“超高校級のプロデューサー”だ!!何か困った事があったら言ってくれ。」

「フー!まっちゃんカッコイー!!」

「そうやってふざけるのは止めよう」

「え、何?武勇伝したい??」

「それ色々とギリギリだからやめとけな?」

「はーい…」

でも舞沙って何だかんだ世の中には必要な人なんだよね〜…

今売れっ子のアイドル達のプロデュースしたのも大体舞沙だし、そのアイドル達って果てしなく人数居るみたいだし、かといってプロデュース失敗何て無いみたいだし。会えない間に色々調べたんだぜ?

「おーい、何考え込んでんだ??さては自己紹介で緊張してるな!?」

「し、してないから!」

「それなら良いんだけどよ。ま、色々考え過ぎんな。俺はいつもの入木に会えて嬉しいから、そのままで良いと思うぜ?」

「舞沙がそう言うなら………」

確かにいい加減自己紹介やらなければ…それに、

 

何気に気にしてくれて嬉しかったな。

 

「えーと、私は入木美智です。“超高校級の同人作家”やってます。宜しくお願いします。」

ヤバい、人見知り全開。舞沙の紹介に悪ノリする時とのテンションの差な?

「…もしかして伝説の8000部の??」

「伝説かは分からないけど、多分そうです」

「あら〜!そのお話本当だったのね〜。凄いわぁ」

「アタシも聞いた事あるな………今度何か書いてくれ」

「入木って小説書いてるんでしょ?すごーい!時間あったら何か読ませてよ!」

あれ、もしかして私案外歓迎ムード?何か嬉しいな…

 

「どうせ煩悩にまみれているんだろう?気味の悪い………」

「ねーねー、やっぱりヒッキーなの?ねぇねぇ教えてよー!」

「僕にはちょっとよく分からないかな…」

こういう否定派も居ますね。うん、知ってた!此処でSNS使えたら皆刺してる!!

 

「…そろそろ僕も紹介させて貰うとするよ。僕は杜若俊雄。こんな事を言うのもなんだけど、僕は今一切の記憶を無くしているからお手柔らかにお願いします」

「えっと、何処から何処まで記憶が無いの?」

「全部」

「うん、もっかい良い??」

「だから、全部。自分自身が生まれた時から今この瞬間まで記憶が無いんだ」

え、そんな事ってリアルにある?でもこんな所で嘘言ってもしょうがないしな…

そんな風に考え込んでいたその時、愛原君がポツリと呟いた。

 

「なぁ、それって本当なのか?」

 

「ちょっと愛原君何言ってんの!?」

「尼寺、よく考えてみろよ?普通に考えたら怪しさ満載だろこいつ。んな都合良く記憶無くすか?普通」

「君の普通が何を指しているのかよく分からないけれど、僕は本当の事しか言ってないよ?」

「でもでも〜、ボク的には確かに怪しいのも分かるな〜」

「いやいや…お前には言われたくないだろ!?」

ちょっと待って。何かめっちゃ皆混乱してる………誰か止めてくれないかしら…

そんな事を考えていたその時、

 

バンッ!

 

と、大きな音がした。どうやら大里さんが手で床を叩いたらしい。

 

「キミ達!変な疑いを1人に掛けるのもいい加減にしろ!!杜若が困っているのが分からないのか!?」

 

その一言は、完全に杜若君を好奇の目で見ていた私達を反省させるには充分だった。

私も見てるだけで止められなかったし。この子凄い勇気があるなぁ…小さいけど。

あ、睨まれた気がする。やめまーす。

 

そんなこんなで自己紹介を終えたその時。

 

ジリリリリ!

 

と、目覚ましの様なベルが鳴った。学校ならチャイムを鳴らそうぜ?

 

「…何だか僕の現状と同じ位不穏な音だね?」

「確かにゴキブリと同じ位鬱陶しいよね☆」

「2人のその例え何とかならない!?」

 

何てザワザワと周りが煩くなる。私も大分モヤモヤしてるし。

 

「オマエラ、おはようございます!これから入学式だから、そのままこの講堂に居てね!!学園長のおな〜り〜!!」

 

学園長?は??こんな腑抜けた感じなの?え、何それ!?

 

なんて思っててもソイツは待ってはくれない。

 

絶望の魔の手が、私達を待っていてくれる訳がないのだった。

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