「なあ」
「はい」
「俺が生を受ける前までに10万人もの人間で実験を行っていたのか?」
「はい」
「その人たちは今どうしているんだ?」
「はい、全てお亡くなりになりました。」
「そうか・・・本当に俺だけしかいないんだな・・・
じゃあさ、当時のことでも教えてくれよ。どんな町とか国だったんだ?
俺が今住んでるような環境を人数分用意でもしたのか?」
「はい、いいえ。マスターの認識は間違っています。
マスターはシュミレーターから現実へ意識を移されましたが、10万人の皆様は全てシュミレーター内で人の一生を終え、脳を初期化し、またシュミレータ内で一生を過ごされることを繰り返していましたので、この星を使用されたのはマスターで5人目です。」
「・・・何回くらい繰り返していたんだ?」
「はい、1千年分を基本ラインとして選別し、個別に決められていました。個体によっては、基本ラインのみの場合や数千年分を10歳程度で繰り返される方もいました。」
「ちなみに俺は何回繰り返したんだ?」
「はい、マスターは今世のみとなっている為、初期化は一度も行っていません。」
「俺とその10万人の違いはなんだ?なぜ俺だけ・・・いや、俺を含めた5人だけこの星を使用することが出来たんだ?」
「はい、10万人の皆様はマスターが使用されていたシュミレーターを作成する為に必要な情報を集めることに使われました。マスターはシュミレーターのチェックを行う役割を担っていましたので、その成功報酬ということになります。」
「・・・他の4人もか?」
「はい」
俺がチェック用の端末だと・・・
俺以外は皆死んでるだと・・・
俺はおれはおれはおれはおれはおれおれおれおれおれおれおれ・・・・
まあいいか
だってここは俺にとっちゃ天国だ。
ここはあの世なんだから。
現実があの世だとはな。
「・・・10万の中に下2桁の40人は入っているのか?」
「はい、いいえ。他の10人は計画初期段階に標本として展示されています。他の20人は遺伝情報から先祖の生物を再現するために改変されました。他の5人はチェック用の人間のチェックをする為に意識をフィードバックさせ、分解しました。他の5人はチェックに失敗しました。」
「・・・今日はもう寝ることにするよ」
「はい、良い夢を」