【更新停止】七草香澄の婚約者な優等生と炎髪灼眼の魔法師 作:魂魄木綿季
朝8時50分 七草邸付近
達也「・・・」
ふいに気になり時間を確認するがまだ予定の時間まで10分はある
達也「・・・!」
少しばかり待つと玄関から香澄が出てきたので大急ぎで向かう
香澄「達也、おはよう!」
達也「...あぁ。おはよう。」
反応が遅れたのは香澄の私服姿に見入っていたからだ
腕まくりをした青ジーンズ系のTシャツ、中に来ているのは達也を意識したのか
黒系統のスポーツ系シャツ。穿いているのは灰色系の短パン。
動き回るのが大好きな香澄らしい服装だ
出来ればスカート姿を見たいと思うのは達也のワガママなのだろう。
だが今回は移動手段がバイクだ。香澄の性格上ロングスカートは穿かないと思われる。
あとは展開は容易に想像出来るだろう
香澄「あ〜。その、似合ってない?」
ぎこち悪そうに達也の視線を伺う
達也「いや、そんな事ない。香澄らしい服装だな。」
優しく頭を撫でてやる
香澄「えへへ。」
真由美「でも危なかったわ。香澄ちゃんったら
あと少しでミニスカートで出て行くつもりだったのよ?」
達也「・・・」
真由美の言葉を聞き達也は「やっぱりか」と思う。
それと同時に一目見たかったと思うのはやはり達也も男だからだろう
真由美「ミニスカートなんか穿いたら活発的な香澄ちゃんじゃ
走ってる最中やエスカレーターに乗ってる時も気にしないで動いちゃうでしょ?
そんなのは可哀想だし、なにより移動手段がバイクだからね」
辟易した声から一点。どうやら最後の件で香澄も納得したらしい
香澄「もー酷いなぁ。達也以外に見せる気なんて無いってば
それに達也は理性で押さえ込んじゃうんだし。」
達也「それは襲ってもいいという事か?」
香澄の肩をガシッと掴み詰め寄る
香澄「ふゅえ!!??////」
真由美「・・・さっさと行きなさい!」
香澄の背中を押し達也に押し付けると半ば怒り状態で真由美は家に戻って行った。
暴走と空気を直してくれる役が居なくなったわけだ
達也「・・・行こうか。」
香澄「う、うん//」
達也「ヘルメット、忘れるなよ?」
と、座席の下から小さめのヘルメットを取り出す
香澄「うん///」
ショッピングモールに着くまでこの空気は続いた
お昼前 ショッピングモール内
香澄「達也、こんな平和が続くといいよね。」
達也「・・・そうだな。そのために俺は香澄のために戦うよ。」
香澄「そっか。達也はボクのために戦ってるのか。えへへ。」
達也はふいに笑いをこぼすが
達也「?・・・はい。俺です。」
胸ポケットに入れていた端末が電話の着信を告げる
[非通知設定]の画面が表示されるがほぼ相手に予想はついていた
香澄は達也の真剣な顔を見て黙っている
達也「魔法協会関東支部に?いえ、ですが今日は」
香澄に視線を向ける
香澄「ボクは構わないよ。行ってきなよ。重要な話かもしれないし」
達也「...すまない。すぐに戻ってくるから東棟の1回で待ち合わせよう。」
いい終えると達也は全速力で走り去る
・・・・・・・・・
魔法協会関東支部 1階 小会議室
入るなり渡された書類に目を通すと目の前の葉山に書類を返却する
達也「内容は頭に入りました。それで?この脱獄者の行動を起こすと思われる場所は?
資料には載っていなかったのですが。」
葉山「魔法協会関東支部(ココ)でございます。」
達也「なっ!」
葉山「数十分前にショッピングモール東棟付近で目撃されたとの報告も入っていま...達也様!!??」
葉山が言い終えるのも待たずに達也はドアを開け放ち元来た道を走り出す
達也「(関東支部だと?それはいい。だが)」
達也の頭の中で『ショッピングモール東棟付近で目撃された』という情報がエンドレスする
達也「(ふざけるな!香澄との待ち合わせ場所は、関東支部に面した東棟だ!!!!)」
ショッピングモール寸前の警官による検問を魔法を使い警官を飛び越えて進む
普段の達也ならありえない行為だが今はそんなことを意識する余裕はない
ショッピングモール東棟 1階
香澄「あぁ〜あ。」
ため息も出るし落胆も止まる気配がない。理由は簡単
男「ヒャハハハハハハッ!!!!」
気色の悪い笑い声を出しながら魔法で辺り一帯を焼いている男。これが香澄のため息の理由だ
香澄「まったく。達也と深雪が居れば1発なのに。・・・って熱ち!」
壁に背をつけ、徐々に徐々に気付かれないように接近する
これ以上近づくと火の粉が飛んできて自分も危険だろう
男「どうだ!!これがテメェらのバカにしてた俺の力だ!!!!」
香澄「なんか訳分かんない事言ってるし」
うへぇ。あれはどう考えても生理的に受け付けないタイプだ。
男「そうだ!これが俺の力だァ!!!!ヒャハハハハハハッ!!!!」
香澄「はぁ。ほんとに達也が深雪が居ればなぁ。
達也の【術式解散】と深雪の【ニブルヘイム】で1発なのに。
ん?【術式解散】。・・・達也ほど上手くは出来なくても、」
思い付いた作戦を実行するためにさっそく魔法式を立ちあげる
立ちあげるのはただのサイオンを圧縮しただけの弾
それをただ、相手に向けて放つ。たったそれだけ
男「あ?」
男が気付いた時には遅かった。魔法が文字通り打ち砕かれたのだ。
香澄「(よし!これで。)」
柱に隠れたままガッツポーズをとる
成功するとは思ってなかった大技が本当に成功した嬉しさ
一時的にでも被害を食い止められた喜び
愛する婚約者と同じ技を使えるという事実。それらが香澄を喜ばせる。だが
男「見いつけた」
目を見開き少し離れた位置から香澄を見ているのはさっきまでの放火魔
香澄「やっぱ達也みたいに上手くは行かないか【幻痛】を使えれば早いけど。」
もはやそんな距離ではない。香澄が知らないだけで相手は元軍人。
とっさの判断や動きは体が覚えている。
香澄「それなら。」
腰を僅かに落とし魔法を発動させる。その間も距離は縮まる。
だが、それでも香澄は対処内容を変えない
使用する魔法はただの視覚強化の魔法。動体視力を上げるだけ。
だが。それで十分。
香澄「(柳さんみたいには無理でも!)」
相手が香澄に肉薄した瞬間。相手の顔に向けてグーパンを当てる。
ただそれだっけだった。普通に考えれば体格の違いで香澄の腕が押し負ける。
それが普通の状態。だが、
男「おっオォォォォ!!??」
突っ込んできた男の方が吹き飛ぶ。それも顔にものすごい激痛を感じる
香澄「ナメないでよ!ボクだって弱いわけじゃないんだから!」
男は声の聞こえた方を見る。そこには五体満足で立ち、自分に向けて説教を垂れる少女。
男「て、テメェ。それをどこで会得しやがった!?それは、その術は。」
もと、それも数ヶ月前まで軍属だったこの男は知っている。
その技を。その技術を。今体に起きてる変化の理由も
香澄「なんだ。【転】を知ってるんだ。残念だけどボクにはこれが限界でさ
威力もこの辺が最大なんだ。でも、次は仕留めるよ。」
思い知った。魔法師としての差。経験の差をものともしないスキル。
自分よりも強い相手を前に臆する事無く立ち向かう強さ。
自分よりも年下の少女。おそらく高校生くらいだろう。そんな少女とすら
ここまでの差が出ているのだ。
男「ふっざけんじゃねぇぞぉぉ!!!!」
立ち上がる勢いを使い腰のホルスターから即座に拳銃を取り出す。
香澄「ッ!!」
香澄の脳裏でアサルトライフルをこちらに向ける軍人と目の前の拳銃を持った男が重なる
香澄「あ、あぁ...」
思わず恐怖で足の力が抜け、座り込む。情けなく足もガクガクと震える
男「は、はは。」
香澄が逃げもしない事に満足したのか一歩、また一歩と近付く
香澄「も、もう。やだ。助けて...来ないでよ。」
顔は真っ青になり、情けなく足をビクつかせ涙を流す
男「ヒヒ」
遂に目の前にたどり着き、銃口を香澄に向ける
香澄「た、助けて。達也...」
手を交差する。もちろん拳銃相手にそんな行為の意味は無い
男「ヒャハハハハハハッ!!!!」
ゆっくりと引き金を引く
『俺の婚約者(香澄)に何をする。』
男が引き金を引き終える前に婚約者の声が聞こえる
バンッ
香澄「え?」
ゆっくりと目を開ける。すると目の前には愛しい背中が見える
達也「もう一度言うぞ。俺の香澄に何をする。」
【分解】を使って弾丸を粉砕し、即座に横蹴りを放つ
男「ゴアッ!」
ただでさえ正確に攻撃を繰り出す達也のさらに怒りが乗った本気の蹴りだ。
数メートル吹き飛ぶ程度は当たり前だろう
達也「しばらく寝ていろ」
相手が咳き込み動けないのを確認すると香澄に歩み寄る
香澄「た、達也。ごめん、ボク。ボク!」
涙でぐしゃぐしゃになった顔で懸命に説明をしようとする
達也「安心してくれ。お前は良くやった。」
頭を撫でて落ち着かせてやる。
達也「ただ、その。それは不味かったな。」
気まずそうに香澄から目をそらす
香澄「ふぇ?・・・見ないでぇ!!////」
自分の身体を見直してみる。主に足元だろう。
その、先ほどの力が抜けた拍子に重大な粗相をしてしまったようだ。
達也「す、すまない!」
急いで回れ右をし上着を香澄にかけてやる
香澄「み、みられた////」
だが、達也の上着に包まれ少しばかり心が軽くなる
まぁ下半身の主に言うと股関節のあたりは大惨事なわけだが
達也「さてと。」
後ろの香澄が落ち着いたのを背中越しに確認すると視線を放火魔に向ける
どうやらちょうど立ち上がったところだったらしい。
男「テメェ!何しやがる!!」
達也「“何しやがる”?それはこちらのセリフだ。
貴様、俺の香澄に何をするつもりだった?」
言葉を言い終えると共に一瞬で達也は放火魔に肉薄し再び蹴り飛ばす
男「ッ!!テメェ、また...!」
達也「言っておくが。こんなのは序の口だぞ。
俺は香澄ほど優しくはない」
再び肉薄し今度は正面から顔に殴りかかる
男「ガッ!!」
達也「叔母上の命令は『殺すな』だ。百回は死んでもらう。」
その後は酷かった。魔法を使おうとすれば【術式解体】
銃などの火器を使おうとすれば【分解】でバラバラに解体
結果的に肉弾戦に持ち込ませ、接近戦ではワンサイドゲーム
相手が気を失うと即座に再生で傷を消す。
文字通り達也の怒りが収まるまで痛みと傷の消失を繰り返された
・・・・・・・・・
夕方 ショッピングモール屋上
達也「・・・」
現在達也の周りには音を遮断する魔法をかけてある
香澄「スースー」
あの後、流石にあの服でデートを続けるわけにも行かなかった香澄は
葉山の持ってきた服(着ていたのとほぼ同じ)に着替えて
今現在は達也の膝で熟睡中である
達也「・・・」
普通逆では?と思わなくもないが今回辛い思いをしたのは香澄だ。
婚約者とはいえ、男性の前であんな粗相をしたのだから
いや、婚約者だから尚更と言うべきか。
あの後もずっと『こ、こんな年でなんて事を。しかも達也の前で...////』と後悔をしていた
香澄「スースー」
達也「・・・」
あの後意識が崩壊寸前にまで追い込まれた放火魔は葉山が回収していった。それはいい
達也が気にしていたのは主に自分を止められなかった事だ
香澄「スースー」
『やめてよ達也!相手はもう!これ以上は死んじゃうって!!
ボクの大好きな優しい達也に戻ってよ!!』
達也「・・・」
『やめなよ!これ以上アンタがボクを守って喧嘩する必要なんてないよ!』
今の香澄も数年前の香澄も変わらない。それはいい意味でだ。
だが、「俺は変われないな」溜息をつき1つ零す。
すると全身の力が抜けたように深い眠りに落ちてゆく
香澄「んっ」
眠気が消え、目を覚ます。見渡すと既にある程度暗くなっていて
長い間眠っていた事を理解する。
ふと顔だけを動かし周囲を見る。【精霊の眼】は持っていないがそれでも
自分と達也の周囲に音を操作する魔法が張られているのは分る
香澄「そっか。ボクが起こされないように気を使ってくれたんだ」
今も昔もそうだ。達也はまず最初に香澄のことを考える。
そうゆう部分が自分が達也に惹かれた根っこの部分だろう
体を少し動かす、達也も熟睡しているらしくかなり香澄と近い位置に顔がある
達也「・・・」
香澄「ふふっ。ありがと。」
顔を達也の顔にゆっくりと近付き、頬に優しく触れる
香澄「本当は達也からして欲しかったけど。ボクが我慢出来なくなっちゃった。
出来れば唇にしたかったけど。今は、これが限界//」
赤い自分の顔を達也からゆっくりと離す
達也「その。なんだ。ありがとう?」
かなり微妙なニュアンスで達也が言葉を発する。もちろん目も開いてる状態なわけで。
香澄「ふぇ。?・・・!!!!////」
良くテレビでなるように首元から頭に向けて顔が赤くなる
達也「その。すまんな。」
香澄「そ、その。何時から?////」
達也「・・・触れる寸前?」
この触れる寸前とはおそらく達也の頬にだろう。
香澄「〜〜!!!!//////」
今日の中で一番恥ずかしい。即座に飛び退き、達也と数mの距離をとる
香澄「最ッ低!!!!達也大嫌い!////」
ふんっ!と180°回転する。だが本当の理由は赤くなった顔を見られたくないからだ。
達也「・・・」
静かに香澄に歩み寄る。
香澄の肩を掴み、同じく180°回転させる。
そして、ただ触れるだけの物。
本来の意味は恐らく成していない程度の短めの接吻をする
香澄「・・・え?//」
達也「その、なんだ。俺も我慢が出来なくなった。」
香澄「た、達也がボクの唇に。唇に...!//////」
反射的とも言える速度で達也に抱き着く
達也「香澄!?」
香澄「今はダメ!今のボクの顔は、見せたくない!!////」
達也「・・・」
見なくとも耳まで真っ赤なのだ。香澄の表情はだいたい予想がつく
香澄「達也。」
なおも抱き着いたままで呼ぶ
達也「なんだ?」
見るな。と言われていたため空を見上げつつ返す、が
達也の顔を抱き寄せる
香澄「んっ//」
恥ずかしさを抑えるため、目は閉じたままで今度は香澄の方から接吻をする
達也「!・・・。」
接吻を続け、数秒が経つ。
ゆっくりと離れ
香澄「達也、ボクは達也が好き。」
達也「俺は違う。俺は香澄が大好きだ。愛している」
香澄「そっか。でも達也のは愛じゃなく溺愛だよ」
アハハなどと笑う。いつもの香澄だ
達也もつられて笑みを零すと
達也「それじゃあ帰ろうか。香澄」
数歩分離れ手を差し出す
香澄「うん!」
手を取り強く握りながら屋上を後にする