【更新停止】七草香澄の婚約者な優等生と炎髪灼眼の魔法師 作:魂魄木綿季
4月23日 放課後 第一高校講堂
有志同盟と真由美との討論は予想以上に順調に運んだ。
それもそのはず、有志同盟は似たような事を繰り返すばかりで真由美はその都度
内容は違くとも矛盾のない言葉で返していたのだから。
もはや壇上は真由美の独壇場となっていた。
ー魔法競技系の部活には非魔法競技系よりも明らかに予算が割り振られていますー
ーそれは各部活動の実績を元にしてる部分が大きいためですー
達也「・・・頃合だな。行くぞ香澄」
壇上の袖で討論会の行く末を見計らっていた達也が静かに口を開く
香澄『...分かった。』
講堂の内の達也とは別の位置で見ていた香澄から耳の通信機を通じて連絡が入る
ー残念ながら生徒会には差別する制度が一つ残っています。
それは生徒会長以外の役員の使命に関する制限ですー
ー現在の制度では...ー
達也「外で落ち合おう。摩利さん、それじゃあここは任せま...!?」
ーそれ以外の事でできる限りの改善策に取り組んでいくつもりですー
真由美の言葉が終わり拍手がなり始めた瞬間だった。
真由美「いけない!みんな窓から離れて!外から何かが――」
パリィィィィンッ
ガラスの割れる音ともに講堂の真ん中に落ちてきたのは、
達也「(手榴弾、催眠グレネードか!?)」
服部「煙を吸い込まないように!中条!」
既に煙を吐き始めていたグレネードに煙が逆戻りしその後
窓の外まで逆再生のごとく出た後、魔法によって撃ち抜かれる
中条「フゥ。四葉君、大丈夫ですか?」
壇上の前にはCADを下ろす中条がいた
達也「(服部先輩が収束系で煙を封じ込めて外に出し、中条先輩が撃ち抜いたのか)
えぇ。おかげさまで。ご心配ありがとうございます」
バタンッ!
講堂の扉が複数人のガスマスク装備の武装集団に蹴開けられる
摩利「テロリストか生徒かは知らんが、これ以上好き勝手はさせん!」
途端に武装兵が苦しみ出す
達也「(あれはMIDフィールドか。ガスマスクの密閉空間を窒素で満たしたんだな。)」
深雪「お兄様!!」
達也「...摩利さん!予定はズレますが俺達は爆発のあった実技棟の加勢後に図書館の方へ向かいます!」
摩利「分かった。ここは私と真由美に任せろ!気をつけろよ!」
摩利「それにしても、いくら予測出来てたとしても落ち着いているな。達也くんは」
真由美「・・・」
摩利「真由美?」
真由美「摩利、お願いがあるのだけど。講堂の周辺を警戒してる十文字君と合流してちょうだい。
ここは私とはんぞーくんで持たせるわ。」
摩利「...?分かった。ここは任せるぞ!」
そう言って摩利は外へ向かう
真由美「(達也君、深雪さんがあれだけ慌てるくらいに焦ってたって事は...)」
真由美はかなり昔の達也の言葉を思い出す。
ーえ?香澄をどう思ってるか、ですか?ー
ーうん。お姉ちゃんとしてそれくらいは知りたくてー
ー・・・俺の全て、ですかね。命を掛けてでも守りたいと思っていますー
ーそっか。ー
・・・・・・・・・
第一高校 実技棟付近
達也「深雪、俺の予想では香澄は催眠グレネードの投げ込まれた頃には何らかに気付いて
予定より早く図書館に向かったと思っている。
そして今俺からの通信に出ないのも交戦してるからだと考えている。」
何時に無く落ち着きのある冷静な兄の声。
だがこの声は達也が自分を律するために使う声だと深雪は知っている
深雪「お兄様、香澄はお兄様の婚約者です。その香澄を信じないのは失礼かと。」
達也に負けず劣らずの冷徹な声ですぐ隣を走る兄に声をかける
達也「・・・お前が妹でよかった。深雪」
一瞬深雪の言葉に目を丸くする達也だが次の瞬間には心を入れ替える
深雪「...お兄様!」
深雪の指さした先には3人に囲まれながら乱闘するレオ
レオ「おらぁ!」
蹴り技で1人を一旦離すがほか2人は既に魔法の準備に入っている
深雪「ここは私が――」
レオを囲む3人をまとめて衝撃系の魔法で数mほど飛ばす
レオ「達也!」
達也「レオ、テロリストが校内に侵入した。」
レオ「!ぶっそうだな。オイ」
エリカ「レオ!CAD持ってきたわ...ってなんだ片がついてたのね
かなり派手にやってるけど、これは達也くんの仕業?」
深雪「いいえ、私よエリカ。この程度の輩にお兄様の手を煩わせるだなんて勿体無いもの。」
エリカ「はいはい。さすが深雪ね。」
達也「エリカ、裏はどうなんだ?」
エリカ「アッチはとりあえず先生達が鎮圧しきってる。ヤバかったのはこっちだけ。」
達也「そうか。なら俺達は図書館に向かう。2人にも加勢を頼んでもいいか?」
レオ「おうとも!任せな!」
CADを装着し終えたレオが応えた
エリカ「・・・達也くん、これってバンバカ倒しても怒られない?」
達也「生徒でなければ殺さないのを条件に手加減無用だ。」
エリカ「うしっ!乗ったわ!」
レオ「うっへー。お前戦闘狂の気があるな?」
達也「そんな話は後にしよう。今はとりあえず図書館に向かう」
?「待って!四葉くん。」
出発しようとした達也達を止めたのこの学園のカウンセラー
『小野はるか』だった。と言っても達也自身書面で知っていただけだが
達也「突然何の用ですか?こんな交戦状態の中でカウンセリングとは言わないでしょう?」
達也の言葉には棘と焦りがあった。だがそれに気付くのは今は深雪のみ
小野「その、私は今日四葉君に頼みがあって来ました。私の頼みは1つ。
『壬生紗耶香さんに機会を与えて欲しい』の。彼女は今、図書館でテロリストと一緒に居るわ。
でもそれは彼女の意思じゃないの、魔法実技と剣道の実力の差で出来た彼女の心の溝は
今回の平等を謳うテロリストに感化されてしまった。だから!『甘いですね。』!?」
達也「そんな話を聞く時間はありません。行くぞ深雪。」
深雪を連れその場を離れる達也だが
レオ「おいちょっと待てよ達也。そりゃあまりにも冷めてねぇか?」
レオの言葉に足を止めた
達也「レオ、戦場では甘さが原因で死ぬのは自分だけじゃ済まないんだぞ?
『利用できる甘さ』と『利用できない甘さ』の判断はするべきだ。」
今度こそ深雪を連れ走り去る
エリカ「レオ、悪いけど私は達也くんの意見に賛成よ。
10人を一度には救えない。1人を犠牲にしてでも9人助けた方が能率的だわ。」
エリカは達也達を追うように走り出した
レオ「・・・死ぬのは俺だけじゃねぇ。か。」
レオも決意を決めたように走り出す。
そこに残ったのは達也の言葉の意味を考え続ける小野だけだった