Fate×Gate = Gate Order =   作:No.20_Blaz

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おまたせしました。

チャプター3の二話目です。

今回はいよいよ参考人招致の開始。その少し前も交えています。

順番は原作通り伊丹、レレイ、テュカ。そしてロゥリイを少しとなっています…

ええ。気力とページの都合上、身勝手にロゥリイは前後半にしました。
そして後半、つまり次回にロゥリイと蒼夜を行う予定です。


皆さん、1.5章は楽しんでいますか?
自分はガチャをしたら新宿のアーチャーが出ました。
…実はエミヤオルタ狙いでしたけど。
え。新宿のアヴェンジャーとアサシンですか?
…アヴェンジャーが欲しいです(オイ

それでは、チャプター3の第二話、お楽しみください。


チャプター3-2 「現代停滞地『日本』 = 質疑開始 =」

 

―――夢を見た。

 

あの日に見た影は大きく、そして広い、まるで一本の大木のような背は、今も少年の中で鮮明に色を残す。

 

ただその背が一体だれのだったか、少年の幼い記憶の中には色濃い影でしか残らなかった。

鮮明ではあるが同時に年かさねによる過去の記憶としての忘却が容赦なくその記憶すらも消してしまう。

黒い影の向こう側で、どんな顔でどんな声で、どんな姿で、そしてどんな言葉を自分に言ってくれたのか。その時であれば絶対に思い返せただろう。しかし記憶にはその部分だけが綺麗に抜き落ちてしまい、言葉の一片すらも思い出せない。

 

少年は今になってそれを恥じた。その時に一体なんと言ってくれたのか、今だったらその意味を考えることが出来たのにと。幼き日の自分が、それを知ることはできないと知ってしまったがために、その姿は言葉ともに忘却の彼方へと消え去った。

 

 

 

 

 

―――それでも、少年は僅かに覚えていた。

 

その背が広く、そして勇ましい男のものであったことを。

男の顔をみていた自分が、ひどく落ち着いていたこと。泣きじゃくっていた筈の自分が、その言葉に憧れ、そして夢見てしまったのだ。

 

 

―――いつか、俺も「―――」のような奴になりたい。

 

 

理由も、その意味も解らないというのに少年は憧れを持ってしまった。男の顔がその言葉を聞いた途端に暗く悲し気であったことに気付けずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずんと重たくなった体に意識が通る。暗い闇の中だというのに、嫌に感覚だけは鮮明で四肢の感触も感じられる。眠っていた意識と共に感覚器官が作動しはじめ、魔術回路と共に体を点検し起動準備を行う。

血管の中の血が体を通い、暖かな血流が人肌程度に体を温めてくれる。血の流動が命を動かし、体を少しずつだが正常に復旧させる。

引き上げられた意識とともに蒼夜はゆっくりと目蓋を開いた。

 

 

 

「――――――。」

 

乾いた目蓋を開くと知らない天井が見えた。肌寒さから外かと思っていたが、どうやらその冷たさと身の窮屈さは仕方のないものらしい。まだ意識がはっきりせずどういった状態なのかと周りの状況が分からないが、そのことについて教えてくれる人物が、ひょっこりと顔をのぞかせた。

 

「…先輩? お目覚めですか」

 

「マシュ…俺、どれだけ寝てた?」

 

眠りから覚めた蒼夜は、凝り固まった体を伸ばし体調を確認する。魔術回路による簡易的な健康診断のようなもので全身に魔力を少し通して状態をスキャンする。

基本的健康。体調に若干の不安はあるが問題はなし。しいて上げるなら睡眠不足か。

 

「二時間…といったところでしょうか。バスでの移動時間が思ったよりも渋滞で増えてしまいましたので」

 

体調確認をした蒼夜に、マシュが手元に置いていた腕時計で時刻を読んで答える。

支給品であるらしく自衛隊らしい耐久性の高そうなデジタル時計だ。コンマのズレもない正確な時刻を刻むだろうその時計はマシュも使い心地がいいのか嬉しそうな顔を彼の前で見せている。

 

「二時間…まぁ、まずまずだな」

 

「ええ。ぐっすりと睡眠ができたようでよかったです」

 

蒼夜の記憶が正しければ、昼前には議事堂に着く予定だ。だがマシュの報告で渋滞にハメられたということで若干の遅れの可能性もある。

あれから二時間。ゲートを潜り、現代にやってきた蒼夜たちは若干時間の余裕があるということで、蒼夜本人は仮眠をとっていたので何もしなかったが、その間に伊丹たちが審問会前にと色々と準備をしていたのだ。

 

「…バスの中…誰もいないな」

 

「皆さん、先に降りてお店に入りましたからね。私はここで先輩を防え…もとい、見守ってましたので」

 

「…清姫、なにもしなかったか?」

 

「大丈夫です。ハイ」

 

寝起きの状態なので頭が少し痛む蒼夜は最後尾の座席から起き上がると、最前列の運転席に至るまで誰もいない車内の様子に素っ気なく答える。彼にとってはそれ以上に安眠の邪魔をされなかったかという事が重要で、この後の審問会のことを踏まえると今の仮眠がどれだけ重要なことなのかは嫌でも分かってしまう。

それが満たされたのであればさして気にもしなかった蒼夜は、ふと窓を見ると冷たい風が吹いているだろう冬の東京の様子にしばらくその景色を眺める。

 

(…そういえば東京は十二月だったな)

 

うっすらと起きていた時に耳にした不確かな情報だが、目の前に映る装飾されたツリーやクリスマスということでバーゲンセール等をしている店の広告から一目でわかる。

 

「体のほうは大丈夫ですか、先輩」

 

「ああ。ちょっと頭痛がするけど…しばらくしたら治まるだろうし大丈夫だよ」

 

寝ていた環境もあるが、睡眠時間がたったの三時間というので睡眠不足になるのは当然だ。体調は完璧とはいえないが審問会に出るには十分な状態であると考えた蒼夜は、マシュに心配をさせまいと平静を装う。

 

「そうですか…すみません、マスター。本来ならドクターのバイタルチェックが必要だというのに」

 

「気にするなってマシュ。ドクターじゃなくてもコレ位は自分で管理しないと。まかせっきりっていうのも悪いしさ」

 

レイシフト時は常にロマニことドクターロマンが彼のバイタルチェックをしているので、万が一問題があれば常に彼の方から報告があった。しかし今回、最初に事故で通信機が故障するという事態に陥ってしまい、カルデアとの通信は不可能になった。向こうとの通信不可は聖杯探索の面で言えば大きくマイナスだ。向こうとの連携があってこそ、今までの探索は成功したと言ってもいい。

それでも蒼夜がこうして生きているということは、通信はできなくても少なくともカルデアとのつながりはあるということ。後に蒼夜たちも知ることになるが、いわゆるタイムトラベルをした蒼夜たちがその時代で活動できるのはカルデアの方で彼の存在証明を行っているからだ。

 

「兎も角、今は目の前のことに集中しよう」

 

「…はい。そうですね」

 

カルデアとの通信は確かに急務だが、それは今日の出来事を終わってからでも十分に対策を考えられることだ。

少なくとも今、蒼夜がこうして存在証明がされているということは、カルデアは具体的な情報はつかめなくても存在は確証しているということ。ロマンたちの方でも対応はしている筈だと、彼らのことを信じ蒼夜はまずサーヴァントたちの様子を見に行く。

 

「…そういえばマシュ。みんなどこに行ったんだ?」

 

「あ、はい。実は―――」

 

 

 

腹が減っては戦はできぬ。よく言うことわざがある。

空腹であっては戦うこともできないというのは、戦であれば確かに常識だろう。戦国時代しかり戦いの時には常に兵糧も重要視され、籠城に至っては兵糧で兵の士気が左右されるといってもよかった。

が。今はそのことわざがどうしても悪い意味で聞こえる蒼夜は、この時ばかりはそのことわざを脳裏に浮かべ顔を引きつった。

 

「………は?」

 

赤い看板。中がほとんど見える窓の構造。看板のマークには牛が描かれている。

安く、早く、そして旨い。肉をがっつりと食べられるというサラリーマンなどのニーズに答えた飲食店。

つまり、牛丼屋だ。

 

「…なんでさ」

 

「さぁ…?」

 

 なぜ現在、牛丼屋で食事をしているのだろう。そもそもどうして牛丼なのか。

 蒼夜の中で巻き起こる疑問の数々に脳内がパンクしそうになるが、店内を見るとサーヴァントたちの姿があった。大方、ライダーとランサーの二人が引っ張ったのだろうと考えつつ、その光景を見てため息をついた蒼夜はマシュに困り気味な顔を向ける。

 

 「…仕方ない。俺たちも入るか」

 

 

 

 蒼夜が眠っている間、バスを使い議事堂まで移動する予定だったが時間にまだ余裕があることや、そもそもの問題があるらしく伊丹は先にスーツ店に足を踏み入れる。

 興味津々に東京の街並みを見ていた三人。その中で特にテュカの服装があまりに場違いで、セーターを着こんでいるとはいえシャツにジーパンは失礼ではないかという事で、彼女用のスーツを見に行ったらしい。スタイル自体が整っているので、スーツも問題なく着こなし耳を隠せばさながら出稼ぎに来た金髪の外人だ。

 

 「…で、その後にここに来たと」

 

 その後。まだ時間に余裕があったということで、軽食をとるため更に移動する。まだ時間もあるということで飲食店をと予定していたが、参考人招致では費用はそこまで出ないらしく、一人五百円という遠足にでも行かされているかのような費用では、そこらにあるまともな料理店で一品食べられるだけでも怪しい。

 そこで。時間節約も兼ねて比較的安価、そしてある程度の旨さは保障できるということで牛丼が選ばれた。

 

 

 

 「お。起きたか」

 

 「お陰様で」

 

 カウンター席で自衛隊員三人が並んで食事をしている風景は、蒼夜の世界でも見る事の無かった光景だ。その三人がそれぞれ頼んだ牛丼をつつき、さらに食べながら箸を持った手であいさつをするなどのやり方はまるで自宅で食べているかのようだ。

 

 「二時間、ばっちりと寝かせてもらいました」

 

 「そりゃよかった。向こうで寝られちゃ、流石に困るだろ」

 

 「…そうッスね」

 

 蒼夜に向けて放った言葉であるのは、彼自身も分かっていた。肝心の本人が寝ていては伊丹たちも困るだろう。だがそれ以上に蒼夜たち自身が困ることも確かだ。肝心の中心人物が睡眠不足で爆睡するかマトモに答えられないのであれば餌になるのは目に見えている。

 皮肉のつもりか、それとも別の意味でか。少なくとも蒼夜にとっては前者に聞こえていた。

 

 「食べれるか? この後、審問会で食べるのはかなり後になるぞ」

 

 「…んじゃ俺たちも食べるとしますか」

 

 どの道、空腹なのは事実。腹が減っては何とやらということで、蒼夜は何処か適当に開いている席を見つけマシュと二人で座る。

 近くのテーブル席には先に食事をしていたライダーたちの姿があり、その手前にはランサーとアーチャー、そしてセイバーと清姫の姿があった。

 

 「おう、坊主。目ぇ覚めたか」

 

 「ん。まぁ取りあえず赤っ恥をかかない程度にはな」

 

 全国の前で恥をかくのは確実だが、それでも事実は事実だ。せめて言い訳をしたりできれば一人でも信じて欲しいというのが正直なところ。そうしなければ、蒼夜たちの行動は今後さらに制約が課せられる。

 ならば赤っ恥を覚悟で特攻するしかないというのが、蒼夜の考えだ。

 

 「オイオイ、最初っから負けるの前提か?」

 

 「まさか。負け確定の戦いなんてのはゴメンだ。特に、公衆の面前では絶対に嫌だ」

 

 「下手をすれば、私たちは世間から笑いもの…ですもんね」

 

 それが自分の肩にかかっているとなると…考えるだけで蒼夜は幻覚の頭痛に悩まされる。この参考人招致がカルデアの、ひいては自分たちの今後の行動がかかっているのだ。失敗すればどうなるか。最悪、野盗崩れと同格の扱いをされる可能性だってある。

 もしくはそれが無くても政府の言いなりにされる、という可能性もなくはない。なにせ金と権力が取り柄の政治家が多い場所だ。

 

 「笑いもの…で、済めばいいんだけどなぁ。あの手の連中はロクでもないことには頭が回るから」

 

 「ま、今は食って腹ごしらえしねぇとな。その手の連中にゃ頭を使わねぇと」

 

 「頭っていうより悪知恵だけどな」

 

 薄いメニューを手に取った蒼夜は、目を流して読むと直感的に食べたい牛丼をチョイスする。行き慣れているようでメニューを開けてから牛丼を選ぶまでは一分とかからなかった。

 しかしこの手の店、ましてや外界と接することが一度もなく、それが現代であれば完全無縁だったマシュは蒼夜の目の前で硬直していた。

 

 「えっ…あ…」

 

 「…? どうした、マシュ」

 

 手渡されたメニューを受け取ったはいいが、ガチガチに固まってしまっているマシュに蒼夜は首をかしげる。ただメニューを渡しただけで、ほかには何も余計なことは口にしていない筈だ。

 だがそれでも彼女が固まってしまったことで、何か異常があることは確か。原因にまだ気づけていない蒼夜は疑問符を頭の上に浮かべていた。

 

 「…もしかして肉、食べられな―――」

 

 「あ、いえそういうわけではなくて…」

 

 あまりに大量の肉ということで食べられないのかと気遣うが、彼女が「マシュ・キリエライト」であることを忘れていた彼はついに本人から説明をさせてしまう。

 

 「私、そもそも飲食店自体が初めてですから…」

 

 「あ………」

 

 失念していたことに今になって気付く。そもそもマシュは一度もカルデアの外に出た事がなかったのだ。レイシフトによってある意味での外出は増え、最近ではオガワハイムの時に近代都市に行ったが、あの時はマンションに入っただけでその他の場所に行くことは出来なかった。

 つまり。今回の特異点でマシュは事実上初の現代都市デビューというワケだ。

 

 「ゴメン、マシュ…色々と分からない事だらけだったよな…」

 

 「い、いえ、これも勉強です! 現代都市の文化に触れ、少しでも世俗を知っておかねば…」

 

 「…あ、うん。兎も角は…」

 

 

 

 「楽しそうにしてんな、坊主たち」

 

 「お前は不愉快か? 女でもあるまい」

 

 「俺の時代じゃ女も怖かったっつーの」

 

 アーチャーの言葉に苛立つランサーは口に爪楊枝を加えて露骨な嫌悪の顔を見せている。二人の席には他にもリリィと清姫が居るが、二人は会話には混ざってこない。

 その後ろにはライダーとキャスターの二人が席に座り、孔明は食事を終えたが不服そうで、葉巻も吸えない状態から別の意味で苛立っていた。

 

 「つかよ。お前ホントーに慣れてんな。この時代に」

 

 「悪かったな。一応、神秘とは無縁の時代出身なものでな」

 

 「だからお前の筋力はDなんだよ」

 

 「おっと心は硝子だぞ」

 

 「素早く受け答えすんなや」

 

 持ちネタのように軽々と受け返すアーチャーに思わず突っ込む。どこかで聞いたことのある内容だったが気のせいだろうと深くは考えなかったランサーはちらりと自分の隣の席に目をやった。アーチャーの隣にリリィが居るのに対し、ランサーの隣には…

 

 

 

 「―――――随分と楽しそうですわね、マシュさん」

 

 「お義母さま…」

 

 「お義母さま!?」

 

旦那(蒼夜)を寝取られたような顔で怒りをあらわする清姫。彼女の顔は宝具発動の一歩手前。その顔が現在、蒼夜の真上にあるのだ。対面にいるマシュはそれを直視せざるえない。

 顔は笑顔だが、その顔の奥には燃えるような炎の一片が見え隠れしている。たとえるなら福笑いの顔の面の向こうから漏れる煉獄の炎。

 

 「清姫おちつけって!?」

 

 「お断りします。旦那様がマシュを選ぶのであれば「いたりか」を燃やします」

 

 「無関係な町を燃やさないで!?」

 

 「というかそんな事で燃やされてはイタリカの人たちが酷い迷惑―――」

 

 「なにか言いました?」

 

 「なんでもございません、お義母さま」

 

 「だからなんでお義母さま!?」

 

 その後、無事にマシュも食事にありつけたのだが蒼夜は清姫を宥めるのに時間がかかり、食事にありつけたのはマシュより少し後になった。

 

 

 「…なんか、凄い話をしてる気がするんですが」

 

 「そう? 私はなんか…女の愛憎を」

 

 「栗林、聞かれたら怖いから無視してなさい」

 

 助け船でも出してあげようかと考えていた伊丹も後ろから聞こえてくる愛憎と黒焦げの危機に手を伸ばすどころか顔を振り向くことさえもできず、見捨てるかのように断じた。厨房に目をやると若い店員があまりの怖さに怖気づいて奥に隠れているほどで、言い訳としてガチャカチャと音を立てて食器を洗っている。

 

 (俺はそれ以上に…)

 

 

 神秘、時代、現代。文化に触れる。初めての事。

 今まで考えていた事が、伊丹の中で音とともにいつの間にか崩されていた。目の前にある現実は真実を普段の日常と同じように何気ない時に放り投げて来たのだ。構えもしていなかった彼の耳には多少の漏れはあったものの確かに脳裏に刻まれた。

 まるで自分たちとは別の時代から来たような発言、レレイやロゥリィたちといった特地の面々と同じような事を言う。

 その中でマシュだけは自分たちと同じ近代人であると思っていたが、その予想も違っていた。

 

 (少なくとも、蒼夜は現代人だ。雰囲気だけじゃなくて振る舞い方が馴染んでる。けど問題は…)

 

 他のサーヴァントたちが一体なにものなのかという疑問を今までは適当にはぐらかされていたが、改めてその疑問が目の前に現れ、浮かび上がった。何気なく今も日本語で話しているが、だからといって彼らが日本人ではなく、日本語を話せる外人で済ませられるわけもない。

 それは恐らく今日の参考人招致で分かるだろうと思い、無駄な詮索はしないようにしていたが、彼の中で本当にそれでいいのかと疑っていた。

 

 (嫌に気になるなぁ…なんでだ?)

 

 自分でもわからない疑問に頭を抱えるが、それを今は考える時ではないと頭痛を抑えるために手元にあったお冷を口につけた。

 

 

 

 軽食を終えた一行は、いよいよ日本の中枢機関である国会議事堂へと向かう。軽い食事で腹を満たされたことでまた少し仮眠をとっていた蒼夜は満腹の顔で眠りについていたが、今度はそれなど長い移動時間でもなく、一時間もしない間にバスは目的地にたどり着く。

 

 「ほう、これがこの国のか」

 

 「映画じゃよく破壊されているがな」

 

 バスの窓から見える石製の外見に興味を持つライダーは懐かしい我が家を見ているように眺めている。彼の時代だと丁度石造りの建造物が主流の時代で、見慣れた感じがあるのだろう。しかし隣に座るキャスターは見てても面白くないのか、眼鏡の奥にある目を閉じて両腕を組んで座り込んでいた。

 確かに特撮やら映画やらで破壊されることもあるが、彼はそれほどに日本が嫌いなのかとマシュは苦笑する。

 

 「それに、お前が思うほど中は外見と一致しない。ロクデナシの集まりだからな」

 

 明らかな宣戦布告ともとれる言動を次々と並べていくキャスターに、マスターが起きていればどんな顔をしていただろうかと考え、その当人の寝顔を窺う。まだ起きてはいないようですやすやと寝息を立てているが、きっと目が覚めていれば彼の胃もまた虹霓剣の如く抉られていただろう。

 

 「私たち…本当に戦いませんよね?」

 

 「だ、大丈夫のハズです…」

 

 既に先行きが怪しく思えて来たリリィがおろおろと訊ねてくるが、同じく不安でしかないマシュも今はそう願うしかできないと諦めていた。

 

 「あと…そろそろ着くのでいい加減離れてください」

 

 いつの間にやら蒼夜に抱き着いていた清姫を睨むが、当人は腕に固着して離れそうにもない。このままだとまた悪夢にうなされるかもしれないと無理やりにでも引きはがそうとするが、清姫は中々はなれようとはしない。

 あの牛丼屋での出来事をまだ根に持っているのか、時折マシュを見る目が妬ましい。散々向こうでいい思いをしているのだからと、顔で話すが目は明らかに蔑んでもいた。

 

 「旦那様の容態を管理するのは妻の役目です」

 

 「その妻のせいで寝不足になったんですが」

 

 あまりに横暴な清姫にマシュも怒りの沸点に達しかけたが、タイミングよくバスが停車しドアが開いた。ひと悶着おきる直前にバスが着いたことにホッとした伊丹は割って入るほどの声量で呼びかけた。

 

 「そこまでだ。議事堂についたから、降りてくれ!」

 

 「………!」

 

 「…嫌だと言いましたら」

 

 子どものように剥れる清姫にサーヴァントたちは不意にある一人の男に顔を向ける。こういう困った時には、彼が一番の適役だからだ。

 要約して言えば面倒事を押し付けるという形だが、それでも彼以上の適役はいないだろう。

 

 「…オイ。アーチャー」

 

 「…なぜ私だ」

 

 「アーチャーだからだ」

 

 「斬り殺されたいか貴様」

 

 困った時には自分に放り投げろみたいな雰囲気と決まりのよう空気に呆れるしかないが、だからといって否定できる要素がなかったアーチャーはそれ以上なにも言えず、押し黙ってしまう。やがて彼が折れる形で清姫に交渉とは名ばかりに説得を試みた。

 

 「…仕方ない。が、事実だ。き…バーサーカー、ここは大人しく従え」

 

 「分かっています。ですが…」

 

 「ですが…なんだ」

 

 「せめて私がマスターを抱きかかえて―――」

 

 「君、筋力Eだろ」

 

 行かなければならない事は承知していたが、やはり諦めきれなかった清姫は最後の悪あがきとばかりに我が侭を言うが、アーチャーは間髪を入れずに事実だけを叩きつけた。

 

 「狂化を使えばEXに…」

 

 「嘘をつくな。そこまで上がらないだろ」

 

 「つかお前、他人にゃ嘘だめなのにテメェは嘘つくのかよ」

 

 「嘘ではありません。これは愛の力で」

 

 「分かったからもう行くぞ。このままだと本当にマスターの足手まといになる」

 

 これ以上は清姫が駄々をこねるだけだと見て、強引に話を切り上げたアーチャー。最後は言葉の力づくだが、これ以上言い訳をされるよりはマシということで止む得なく蒼夜を叩き起こす。

 揉め事は二人のどっちかが連れて行くかになっていたので、当人を起こして行かせればその問題点も解消される。ただ快眠していた彼を起こすということで多少抵抗感はあったが、この場合はそうせざるえない。

 なお、この時の清姫の言葉は本人いわく「嘘ではなく、事実と可能性を述べたまで」らしく「嘘」にはカウントされないとか。だがこれが明らかに屁理屈であることは、その場の全員が満場一致していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 蒼夜を起こし、バスを降りる一行。その中にはピニャたちも紛れようとしていたが、念のための確認として富田たちに降りていいかを尋ねる。

 

 「妾たちもここで降りるのか?」

 

 「いえ。自分たちは別の会場に向かいます。公では殿下は日本に来ていませんので」

 

 世間では特地からの参考人として三人の少女たちが呼ばれたというだけで、ピニャの存在自体はまだ向こう側に居ることになっている。狭間陸将か、彼女たちが来日すると事前に内閣の方には話を通していたので、現在ピニャとボーゼスの二人が日本に来ていると知っているのは、内閣の中枢面々と陸将。そして伊丹たちといった同行者たちだけだ。

 

 「このままもう少しバスに乗っていてください。次の目的地が会談の場所です」

 

 「分かった。頼む」

 

 富田と栗林、二人を護衛にピニャとボーゼスを乗せたバスはドアを閉じる。目的地であるホテルに向かい発車したバスは反転して入って来た門へと進む。

 窓の向こう側からもう少しコンクリートの都市の様子を眺めていたピニャは、ふと降りた蒼夜たち一行の姿を目に映すと直ぐに違和感に襲われる。

 

 (…一人多い……?)

 

 後ろ姿だが、紫の変わった服装と長髪の髪を揺らす人物。最初はキャスターだと思っていたが、その服装の違いと何より本人がライダーの隣を歩いていたことから彼ではないと分かる。

 今まで見たことのない人物がまた一人増えていた。一瞬だが見えたその姿を鮮明に焼き付けたピニャは姿を思い返す。

 

 (変わった服装をしていた。それに…あの背に掛けたのは…剣、か?)

 

 さぞ名のある剣士なのだろう。

 議事堂から離れていくピニャは、その後ろ姿だけを見て考えていたが「この世界」では名のあるどころの話ではない人物であることをこの時はまだ知らなかった。

 

 

 

 

 

 参考人招致は議事堂の中にある会場の一つで行われる。テレビでよく見かける政治家たちの論議の場。長い歴史と共に進むも戻るもない、停滞しかないような場所はお茶の間に彼らの醜態をさらし時には奇跡ともいえるような出来事を見せてくれる。果たして、それが良き出来事か、それとも悪い事なのかはさておき。今では日常の中、テレビのニュースでも偶に映る場所だ。

 今回特地から連れて来た三人に対し、向こう側での生活や自衛隊に関しての質問等が行われる。そんな場所で行うことかと言われればそうだが、今回は外国ではなく、異世界、とかも魔法の類が確認されている世界なので異例ともいえる。

 さらに今回は各国にもライブ中継が行われ、アメリカ、ロシア、中国といった列強国も今回の参考人招致には一定の興味があった。

 一部の国にとっては目的は別にあったが、その為の情報収集として今回の参考人招致は意味のあることだ。

 

 

 

 「…で。今回は二回に分かれると」

 

 「そうらしい。最初は彼女たちと交えて。そして二度目は…」

 

 「俺たちについて…か」

 

 避けられない現状に蒼夜とキャスターは俯いている。

 会場の扉の前では、蒼夜たちカルデアのメンバーが集まり最後の打ち合わせを行っていた。扉の前には伊丹たちが既に入る用意をしていたが、その少し後ろに彼らは陣取り普段着ともいえる戦闘服に姿を変えていた。ただし、マシュだけはカルデアの制服のままで彼女もまた蒼夜のサポートとして今回の質疑に加わる。

 

 「最初に至っては深くは追求されないとして、問題は二度目か」

 

 「連中、根掘り葉掘りや追求は得意だがカウンターは不得意だからな。出来るだけ向こうに優勢を装わせるしかあるまい」

 

 「…一応、イタリカで準備は進めたから、ある程度の手札はそろったけど…向こうは現実逃避だからなぁ…マジで」

 

 「現実から逃げるというよりも、現実に逃げる(・・・・・・)…という意味でしょうか」

 

 「あたり。向こうは現実主義気取ってるけど、中身は保身第一だからな。そこが弱点だけど」

 

 そもそもカルデアの組織自体がこの世界には存在しない。向こうからすれば蒼夜たちは嘘っぱちを話しているということになるが、彼らからすれば組織も状況も全てが事実。

 人理焼却と人類滅亡。そのカウントダウンが刻一刻と迫っている。

 しかしだからといってそれをイキナリ受け入れろというのは、いささか無理がある。特地には魔法があるということを出会って直ぐに信じて欲しいと言っているのと同義だ。

 加えて蒼夜たちの世界では現実の世界に裏側に魔術師たちの世界が存在し、その世界ではかつての英霊たちを現界させられる魔術がある。そして彼の周りにいるサーヴァントたちがその英霊、つまり英雄たちであるということを果たして彼らは信じるだろうか。

 

 「とにかく。最初は俺とマシュ、それとキャスターで行くから。みんなはここで待っててね」

 

 「大丈夫か、坊主。お前らだけで」

 

 ライダーありきで今回の参考人招致を乗り切る算段だというのに、前哨戦は彼を除いた三人が参加する。カリスマスキルで信憑性を高めるという計画だが、それを今すぐに行うほど焦る状況でもない。

 

 「ああ。まずは様子見。それからでもライダーに頼るのは遅くはない筈だ。それに、こっちには「先生」がいるからな」

 

 「お前なぁ…」

 

 にひひ、とにやける蒼夜にキャスターは青筋を浮かべる。つまり困った時はキャスターに押し付けるという、なんともアーチャーが同情しそうな結論だ。が、彼がいるからこそライダーを温存できると言っても過言ではなく、ある意味今回の中で重要なポジションに彼はついていた。

 

 「…余程の時以外は手を貸さんぞ」

 

 「分かってる。それに今回はマシュも居るし」

 

 「はい。出来るだけ先輩のサポートをしてみせます」

 

 肝が据わっているマシュもいることもあって、幾分か政治家たちからの嫌味も捌ける。見た目に反して弱気ではないのが彼女の長所だ。以心伝心まではいかないが、彼女とは意思が通じ合ってるようなもので、蒼夜に対して色々とアドバイスや助言、相談もするので捌くことも円滑にできるだろう。

 

 「き…バーサーカーは俺が嫌味を言われてるからって炎とかを使わないように」

 

 「むぅ…」

 

 ついて行く気満々だったが、先に蒼夜に説得されついて行けない清姫は頬を膨らませて剥れた表情で彼を見ていた。私も付いて行きたいと言わんばかりの顔で、今にも彼が逃げ出してしまいそうだと妄想しているが、別に彼がどこに逃げるほけでもなく、さりとて浮気するわけでもない。自分たちにかけられた疑いを晴らし、今後の行動に影響させないために彼は政治家たちのもとへと行くだけなのだ。

 だが自制心の弱い彼女にとっては、それを分かっていても我慢はできなかった。

 

 「…せめて霊体化させてください」

 

 「だーめ。清姫がここに居ないと、それこそ疑われるし、霊体化自体ここじゃ怪しまれる」

 

 「それは…そうですけど…」

 

 それは彼に迷惑をかけてしまう行為であることは清姫も分かっていた。それでも彼を思い慕う気持ちと願い(狂った愛)が強くなってしまう。

 

 「大丈夫だって。万事先生がなんとかしてくれるし」

 

 「結局、全部わたし頼みか!」

 

 完全にキャスター任せであることに怒りを爆発させたが、今さら後に引き返すこともできない。そもそも彼が令呪をもってそんな事をさせてくれないだろう。

 

 「そう怒るな。坊主もお前だからこそ頼っているのであろう」

 

 「頼るというより、完全に押し付けだろうが」

 

 「失礼な。簡単な受け答えは俺がして、困った時からは常に先生が…」

 

 「同じ意味だろうが」

 

 ライダーに宥められるキャスターだが、本心ではライダーも行きたかったはずだ。すまんな、と口元で手を立てた蒼夜は小声で謝罪する。

 だがライダーはそれに反応はせず軽く彼の背を叩いた。もっとも、それが軽くという勢いなのかは人によるものだったが。

 

 「ホレ、始まるぞ」

 

 「…ライダー。すまん」

 

 「なにを謝る必要がある。自ら先陣を切るとマスターが豪語したのだ。であれば、余は時が来るまで待つまでよ」

 

 「………」

 

 ライダーの存在は今回の中では重要なものだ。

 それを次にまで取っておけるか。それが蒼夜の腕の見せどころでもある。下手な受け答えで相手に不信感を持たせるか。それとも一定の信頼は勝ち取れるか。

 正直、彼にとっても全ては彼らの反応次第だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 

 ―――変に重苦しい、そこはフラッシュバックの嵐だった。

 

 会場に一歩入ると、その間に数百回というほどのカメラのシャッターが切られ、眩い光を各所から照らす。嫌に眩しい光に目を細めてしまうが、フラッシュバックに慣れていた蒼夜にとってはさして気にするものではなかった。

 問題は視線だろう。至る所から見られているという視線は、周りに人が居るからという意味で当然のこと。だがそれとは別に、さらに何千万、下手をすれば何億という人間に見られているという無意識から来る視線に蒼夜は耐えることが難しい。会場には百人から二百人程度はいると思えるが、それ以上に感じる視線というのは、なにもその場にいる者たちからではない。

 会場の二階にある無数のカメラとTVカメラ。そのTVカメラの向こう側から、何千何億という視聴者が自分たちの姿を見ているのだ。これに直ぐに慣れろというのも無茶な話で、蒼夜の内心は緊張の高まりで破裂寸前だった。

 

 

 「…ダメだ。緊張で死にそう」

 

 「ま、マスター…意識をしっかりとしてください!」

 

 (やれやれ…前途多難だな)

 

 しかしそれが今に始まった話でもない。議事堂に入ってからというもの、常に視線を感じていた彼は今までには感じなかった現代人からの視線に慣れず、入る直前からそわそわしていた。今は格好をつけなくてはいけないので冷静を装っているが、内心は彼の小声の通り死にそうなほどの緊張感に圧迫されている。

 

 

 斯くして。今にもロボットのようにカチコチに硬直してしまいそうな蒼夜たちも加え、参考人招致は幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ここで、改めて参考人招致の内容を説明する。

 といっても、そこまで難しくもなく加えて前に説明した通り、単純に向こうでの出来事や特地から来訪した三人に質問をするというのがおおまかな概要だ。特地での生活、自衛隊に保護されるまでは何をしていたか。生活の云々。

 そして自衛隊員である伊丹には、その間の出来事を報告するとともに質疑を行う。

 ただ質疑とは名ばかりで、実際は自衛隊の弱みを見つけてはつけ込みたいというのが本音だろう。

 

 

 「―――単刀直入に言います。特地甲種害獣、通称「ドラゴン」によって自衛隊の保護下にあった村の住人、約百五十名が犠牲になったのは何故なのですか?」

 

 

 白い女性用のスーツを来た女性議員「幸原みずき」が、先陣を切り最初の話題を切り出した。自衛隊によるコダ村の住人の犠牲。その原因である炎龍との戦闘。自衛隊が保護していたというのに、という他人事な結果だけを突きつけてくる。

 ご丁寧にフリップまで用意されており、しかもそのフリップを持つ顔は余裕げだ。これを見るや露骨に嫌な気分を見せた蒼夜とマシュ、そして辛い表情を見せたテュカは話題そのものにいい気分にはなれない。

 

 「………」

 

 マイクを通し、名指しで伊丹の名前が呼ばれ彼による回答が行われる。普通ならここで適当な言い訳をして逃れるというのが政治家たちの大抵の返答だ。

 が。自衛隊で、ましてこのような場に来ること自体が初めてな伊丹にとってはそんなことは関係はない。彼はただ、あるがまま、見て知った事を元に返答をした。

 

 

 

 「そりゃあ……ドラゴンが強かったからじゃないですかね?」

 

 それ以外になにがある。まるでそう言いたげな伊丹の返答は、その場、そして政治家たちにとっては意外すぎる返しだった。

 これには幸原も一瞬戸惑ってしまい、自分の回答が分かっているのかと彼の正気を疑うが、伊丹や蒼夜たちからすれば逆に彼女たち政治家の方に正気を疑う。

 

 「ッ……そ、そんな他人事な…!」

 

 「けど事実です。本当に強かったですし、無力さを感じました。ゲームやアニメ、漫画とかで自分も「あー強いのかー」程度にしか考えていませんでしたからね」

 

 「百五十人の尊い命が失われたのですよ!! 責任も罪悪も感じないんですか?」

 

 話を理解しているのかと、フリップを叩きながら声を張る幸原に対し伊丹の表情は冷静。そしてどこか脱力しており淡々とした様子で話を続けていく。

 

 「犠牲になった人、そしてその家族の方に対しては残念に思っています。それにそれだけの人を救えなかったという事の、自分たちの無力さも感じています」

 

 「…それは、自衛隊の非を認める…と受け取っても?」

 

 「いえ。不足していたのは銃の威力です。あと、まとめて言うなら火力ですかね」

 

 隙ができたと思った瞬間、次に飛んできた伊丹の斜め上な発言にまたも呆気にとられる幸原は、彼が一体なにを言っているのかと口を開けてしまう。

 しかしこれが実際のあの出来事での反省点の一つであることもまた事実だ。

 

 「小銃…7.62mmとか機関銃とかじゃ豆鉄砲みたいで、ドラゴンは痛くも痒くもなかったですし。目に当ててやっと嫌がる程度。しかもマトモにダメージを与えられたのが二発しかないロケットランチャーですし」

 

 炎龍に対し目に銃撃を加えたが、実際ダメージはなく伊丹の言葉通り嫌がる程度にしか効果はなかった。その後、やっと対戦車榴弾で腕をもいだだけで炎龍を完全に倒すことはできなかった。これが尾を引くのではないかと、話題を切り出された時にふと思い返す。

 

 「もっと威力のある武器があれば…と心底思いましたね。荷電粒子砲とかレールガンとか、多連装ミサイルとか重粒子兵器とか、核融合炉搭載兵器とかビーム兵器とか…」

 

 完全にアニメの世界の話をしている伊丹に対し、幸原だけでなくその後ろにいた野党議員たちも彼が一体何を言っているのか、そもそもそんな話をする場ではないと彼の言動に苛立ちを見せていた。

 これには短気だったのか、それとも彼の言動に意見したかったのか幸原が直ぐに反論をする。

 

 「貴方ね、ふざけているんですか!?」

 

 「ふざけてはいません。まぁ…たとえ話については私の妄想であると取って下さって結構です。

 ですが、さっきも言った通り、ドラゴン…特に我々第三偵察隊がエンカウントしたようなタイプに対しては本当に火力が足りませんでした。ぶっちゃけて言えば、あの場でドラゴンが逃げ帰ってくれなければ、我々の全滅だってあり得ましたし」

 

 その場合はどうなるか。そんなことは誰の口から語るまでもない。

 場の空気が悪くなったところに議員の一人が挙手し間に入り、一枚の資料をもとに報告をする。

 

 「い、委員長!」

 

 (沸点低いなぁ…)

 

 「特地から持ち込まれた「ドラゴン」のサンプルですが、タングステン並みの強度を持つ鱗を全身に覆い、超高温の火炎を吐くということが解析と分析の結果判明しました。火炎については伊丹二尉たちが実際に目にしたということで信憑性も高く、その防御力も合わせればいわば空飛ぶ戦車…いや要塞と言っても過言ではありません」

 

 しかも火炎放射の効果範囲が広いのであれば、戦略爆撃機と言い換えてもおかしくはない。それだけの火力と防御力を併せ持つ生物自体、彼らの世界には存在しないのだ。

 言い過ぎではないかと思う議員たちも居るが、それが全くの事実であることは伊丹たちが良く知っているし、その証拠もあるので言い返すことはできなかった。

 

 

 「加えて、高い機動性を持っていたとも言います。それにそもそも、ドラゴンと戦うこと自体彼らにとっては初めての出来事です。相手の出方だけでなく生態も分からない相手に犠牲者をなしにするというのは無理難題ではありませんか?」

 

 せめて相手がもう少し弱いワイバーンであれば、確かに被害ゼロは出来ただろうが、伊丹たちが相手にしたのは炎龍。並みのドラゴンとは比べ物にならない強敵だった。

 これを相手に犠牲者をゼロにしろ。というのは当然ながら無茶なことだ。

 が。それでもあきらめきれないのか、幸原はまだ粘り続ける。

 

 「ですが、先ほどの話では伊丹二尉の部隊には対戦車榴弾…いわゆるロケットランチャーがあったと聞きます。それで倒せたのではないですか?」

 

 伊丹の話から自分たちに有利になるだろう部分だけを掬い取る幸原だが、それを聞いた伊丹たちはマズイ以前に呆れるしかない。

 

 「…確かに第三偵察隊にも対戦車榴弾はありました。ですが、だからといってその時持っていた二発だけで倒せる…なんて今でも思えません。第一、一発目はドラゴンに防がれた形で致命傷は負わせられませんでしたし。二発目を使ったところで、果たして倒れていたかも怪しいほどです」

 

 これを好機とみていた幸原も自分のやっていることが悪あがきであることは分かっているが、それでも引けない理由が彼女にもあった。といっても、それが政治家や議員にとっては重要なだけで、ほかの人間それこそ目の前に伊丹たちにとっては至極どうでもいいこと。政治家としての面子だろう。

 

 「それに偵察隊はそもそも未開の地と言える特地の地理や地形を知るために編成された隊なんで、武装も最低限。支給された武器も旧式でした。戦闘なんて視野には入れてませんでしたし、対戦車榴弾も先ほど言った通り二発だけ。一発だけでも馬鹿にならない値段ですし…あんなドラゴンが居るなんて自分自身信じられませんでした」

 

 

 ファンタジー、魔道の世界があるのだからドラゴンという生物はいるのではないかと考えてはいた。が、今回の炎龍のような大型のドラゴンが居るとは思いもしなかった伊丹たちは必死の抵抗でドラゴンを撃退した。

 結果として見れば犠牲はあるものの人民を救い、生還したということは称賛するべきことである筈だ。むしろ、それを罵倒と批判で返すのはあまりに酷なことだ。

 

 「………」

 

 これには幸原も流石に下手を踏んだと思ったのか重圧か重石を背に乗せられたかのように重心を下げ、顔をひくつかせたが沈黙の後に大人しく引き下がることにした。

 

 「…いいでしょう。では、次にレレイ・ラ・レレーナ参考人にお訪ねします」

 

 順はレレイ、テュカ、ロゥリィの順でその最後に蒼夜たちが参加する。そもそも彼らの存在自体がイレギュラーなので、急遽後ろに入れたという感じだ。

 最初の参考人としてレレイが指名され、伊丹は台から離れるとレレイに行くように指示する。

 

 

 「日本語は分かりますか?」

 

 「…はい。少し」

 

 前に出て来たレレイに興味を持つ議員たちのざわめきの声が小さくだが聞こえてくる。年若いというのもあるが、彼女の見た目や持っている杖、そして服装も彼らの世界ではまず見たことのないものだ。コスプレであればファンタジーものとして作られるだろうが、彼女の服は最初から衣類として作られたものだ。

 

 「結構です。今は難民キャンプで生活をしていますが、なにか不自由や不満などはありませんか? 小さなことでも構いません」

 

 「…不自由の定義が理解不能。自由でないという言語の意味であれば人は生まれながらにして自由ではない」

 

 「………」

 

 簡単な質問のハズが返って来た言葉に頭を抱える。まさか一で投げた質問を十にして返してくるとは思ってもなかった幸原は言い方を変えて再度質問を投げかける。

 

 「…言い方を変えましょう。現在の生活で不足、または不満な点はありませんか?」

 

 「…問題はない。衣食住職霊の全ての必要最低限は満たされている。私たちの立場上、質を求めることは傲慢。質を求めていたらキリがない」

 

 遠回しだが否定したレレイに、その言葉だけで彼女の知識力を思い知らされる議員たち。恐らく、その場にいる誰よりも知識人だろう。淡々とした受け答えはそれ以上の追撃を許さない。

 

 「…分かりました。では最後に、先ほど伊丹二尉にも質問したことですが、自衛隊保護下にある村人百五十人が犠牲になったことについて、彼ら自衛隊に問題はありませんでしたか?」

 

 「…ない」

 

 返答が簡潔かつ短いことから、これ以上は何も聞き出す事はできないと察した議員たち。レレイの回答はどれも知識的ではあるがシンプルなもので、全てYESかNOかで答えていた。この手の性格の相手からは聞き出すことはできないと見た幸原は深追いはせずに引き下がる。

 まだあと二人居るんだ。つけ入る隙や証拠は絶対にある筈だと、この時はまだ期待していた。

 

 

 「次は…エルフ?」

 

 二番手として出て来たのは、唯一スーツ姿に身を包んだテュカ。金色の髪をゆらし整ったスタイルをしている彼女を見て恐らく幸原の後ろにいる議員たちは鼻の下を伸ばしているだろう。そんな変態どもに嫌悪感を持ちつつ通訳を務めるレレイと共に彼女の姿を観察する。エルフと言えば、人間に近い姿を持っているが耳がとがっているのがファンタジーで特徴。それはテュカの例外ではないようで、彼女の耳も金髪の髪からはみ出ていた。

 

 

 

 「えっと、失礼ですが…その耳は本物ですか?」

 

 軽い自己紹介とあいさつをするテュカに念のための確認として訊ねてみる。エルフであるということを疑うわけではないが、変に気になってしまい思わず考えも無しに口にしてしまった。

 

 「はい。自前ですよ、触ってみます?」

 

 二つ返事とともに金色の髪の中から出されたエルフ耳をテュカは自分の体の一部であることをアピールするようにひくひくと動かす。正真正銘のエルフであることに会場は騒ぎ立て、沈静化していたカメラのフラッシュが一斉に切られる。ファンタジーや二次元でしかなかったエルフが目の前にいるのだ。是非とも目に焼き付け、写真にしておきたかったのだろうが、問題は議員たちも携帯を持ち出してドサクサに紛れて写真撮影をしていた。これには委員長が制止をマイクで呼びかけるほどで、ほぼ全方位からのシャッター音は蒼夜や伊丹を苦笑いさせる。

 

 「オイオイ親父ども…」

 

 静粛にとマイクで言う声の中、降り注ぐシャッターの嵐に一瞬だが驚いた様子のテュカ。当然の反応だが、それが過剰になった原因として、まさか議員たちまで写真撮影をするとは思っても無かった蒼夜は呆れるしかなく、ため息をつく。

 

 

 「…改めて。ドラゴンの襲撃時のことですが、自衛隊の対応に問題はありませんでしたか?」

 

 聞けば、テュカもまた被害者であると聞く。であれば少なからずの情報はある筈だ。自衛隊に対しての材料を手に入れたかった幸原はレレイの時と同じ質問を彼女に行う。

 しかし、レレイやロゥリィと違い襲撃当時、ただ一人気絶していた彼女にとっては真偽はともかくとしても、その時の事は全くと言って覚えていない。

 

 「…覚えていない。その時、気を失っていた。ただ自衛隊に助けてもらったのは事実だし、私も途中で起きていたけど、自衛隊は勇敢にドラゴンと戦っていた」

 

 俯いた表情で答えるテュカだが、その言動は何処か嬉しそうにも見える。彼らのお陰で一矢報いれた、自分の村を焼いたドラゴンに痛手を負わせられたからだろうと蒼夜は彼女の後姿から声だけで予想した。

 

 「………いいでしょう。分かりました」

 

 一方で、気絶していてしかも逆に自衛隊を称賛する結果になってしまったことに、苦い表情になる幸原はテュカを下がらせるとため息をつく。

 ここまでマトモな成果が何一つとしてないのだ。レレイは簡潔かつつけ入る隙はなく、テュカは当時気絶していてしかも覚えているのは自衛隊がドラゴンに勝ったという場面だけ。

 別に自衛隊をここで称賛すること自体がダメなわけではないが、特地の世界で一体なにをしているのか全く分からない彼らについて頭に来ているのは少なくとも幸原だけではない。彼女の後ろで圧迫している議員たちもその為の証拠、または材料が欲しいのだ。

 だが結果は現在ツーストライク。どちらも自衛隊への不満は何一つないと言っていい。

 

 

 (ここまで来て二人とも自衛隊の不満や不安を垂らさないとは…まぁ所詮は向こう側、中世時代の人間だからとは思ってたけど…どうにかして向こう側に関する情報か失態が欲しいわ)

 

 このままでは崖っぷちに立たされる。いや、既に崖っぷちの状態である彼女にとって蒼夜を除けば最後の一人が望みだ。

 その最後の一人、と言えば…

 

 

 「…ん?」

 

 

 「次、ロゥリィ」

 

 「ああ。私の番ね」

 

 三番目、順当にいけば残っているのはロゥリィだ。いつも通りのゴスロリ服…という正装を纏った彼女だが武器には黒い包帯が巻かれ、顔には布が一枚掛けられている。彼女の服装が正装であることを知らない幸原は服装はさておき、その見た目に着目する。

 黒い服と顔に掛けられた布。日本でいうなら、思い当たるのは一つだけだ。

 

 (黒い…ゴスロリ服? それにアレは…ベールね。つまりは…)

 

服装を見て口元を釣り上げた幸原は、ロゥリィが黒い幸福の女神のように一瞬だが見えていた。黒い服と顔に掛けられたベール。熟年の女性が顔に掛けるものと同じで、彼女だけでなく議員たちからもその姿が葬式の参列者に見えてしまう。

 

 

(これはチャンスね…)

 

好機と見た幸原は小さくせき込みをして息を整えると、前の二人と同じように名前から訊ねる。

 

「それでは、お名前を」

 

「ロゥリィ・マーキュリーよ」

 

「貴方は別の理由で保護されたと聞きます。難民キャンプでは何をしていますか?」

 

隣にいるレレイに目を動かし、何と言っているのかと通訳を頼む。小声で分からないが、特地の言葉で通訳しているのだろう。

通訳を聞き終えるとロゥリィは甘い妖艶の声で返答する。

 

「単純よ。朝に目を覚ましたら生きる、祈る。命を頂く。祈る。そして夜になって眠る。それだけよ」

 

「………」

 

下手をすればニートとも呼ばれかねないような単純な一日の生活を話すロゥリィに議員たちは呆気にとられる。特地の世界であれば普通のことだが、日本の議員たちからすれば祈り以外は自堕落な生活にも聞こえてしまう。

 

「祈り…ですか」

 

「ええ。エムロイの神官としては当然のことよ」

 

「命を頂くというのは…」

 

「言葉通りよ。食べる事。殺す事。全て、命を頂くという行為。全てはエムロイへの供儀よ」

 

時折出てくるエムロイについて知らず、彼女が一体何者であるかさえ分からない幸原は、彼女が中二病かなにかの妄想好きであると勝手に断定すると、話題を切り替える。

無論、ロゥリィは全て事実を話しているのだが、どうやら議員たちにとっては絵空事にしか聞こえないようだ。

 

(神官? まぁファンタジーの世界だからあり得ることでしょうけど…どうせ大切な人が死んで混乱しているのでしょう。相当無理やりに連れてこられたかしらね)

 

(エムロイって度々あの子から名前が挙がってたけど…戦神かなにかか?)

 

(恐らくは。もしくは生死をつかさどっているのかもしれませんね)

 

「…質問を変えましょう。見たところ、貴方は親族か大切な方を無くされたと見えます」

 

「………」

 

「親族、知人、そういった方たちが無くなった原因は自衛隊に問題があったからだとは思えませんか?」

 

もう破れかぶれになりかけている姿に呆れるどころか本気で言っているのかと疑ってしまう蒼夜は幸原の正気を疑う。今までは質問だけだったのが、今度は無理やり自分たちの意思に同意させようとしているのだ。

完全に自衛隊が悪いことをしているという証拠を教えて欲しいと言っているその言動に彼の姿勢は崩れ、眠気すら感じさせる。

 

「…阿保か」

 

「全く」

 

これにはキャスターも目を閉じており、揃ってみるに堪えない様子だった。

質問をされているロゥリィはレレイからの通訳を聞き、小さく首をかしげる。彼女にとってはそもそもそんな事は関係はないことだ。

 

「………?」

 

「質問の意味が解らない。そもそもロゥリィの家族は―――」

 

「結構です。そのお姿を見れば、大体のご事情は察せます。自衛隊が保護していた貴方のご親族が亡くなられたという事実。これは由々しきことだとは思いませんか?」

 

「………」

 

(あーあ…)

 

レレイの言葉を無視した幸原は、水を得た魚の様に次第に言葉を次々と並べ始める。どうやら彼女の目と耳からはロゥリィの姿が伊丹たちへの反撃のチャンスに見えたらしい。

 

「ドラゴンの襲撃によって四分の一の村人の方が亡くなり、重軽傷を負いました。なのに、自衛隊は被害どころか傷一つなく戻って来たと聞きます。

おかしくはありませんか? 人民を守るために存在するハズの自衛隊が、そもそも人命を守る以前に自分たちの命を優先したという結果がここにあるのですよ?」

 

…そんなものはある筈がない。次第にロゥリィも一人爆走している彼女の姿を見て、何を言っているのかと目が座り出している。

レレイも通訳をしているのに突っぱねられたので、少しすねていた。

 

「…何を言っているのかしら?」

 

「さぁ…」

 

 

「守るべきは人命、村人たちだったハズ。それなのに彼らは自分たちの命を最優先にした! その結果、多くの命を奪った!! そうでしょう!!」

 

「………」

 

「話を聞いていない…」

 

「あ。やっぱり伝えていないのね」

 

「あの様子だと多分そう」

 

 

勝った。

何も言い返さないロゥリィの様子(実際は布のせいで見えていない。彼女は隣のレレイと話をしていた)を見て、図星であると見たのか、幸原はエンジンに火をつけて口を動かし始める。

実際は大きな勘違い、空回りであると知らずに。

 

 

「さぁ!! お話してくださいよ、自衛隊の、彼らの本当の姿。貴方の見た醜態を!!!」

 

勝利を確信した幸原は一気に攻める。これで後はロゥリィが自衛隊の悪を洗いざらい吐いてくれると見ていた彼女の表情は既に勝利に酔いしれていた。

マイクを通した慢心と自信たっぷりの言葉が会場内に響き渡り、その所為なのか室内は完全に沈黙してしまう。元々静かな状態でもあったが、それ以上に彼女の振る舞いや言動、パフォーマンスがあまりに典型的であったことからの呆れと落胆もあった。

冷めきった会場。勝ち誇る議員たちを見て目を丸くしていたロゥリィは小さくため息をつくと、そのまま息を吸い

 

 

 

「貴方、おバカぁ?」

 

 

 

腹の奥底から大声を吐き出し、ロゥリイの声は会場に大きく、そして反響音と共に響き渡った。音は広く、先ほどの幸原の時以上に広がり、甲高い音が会場いっぱいに広がったお陰でその場にいた全員が耳を塞ぐほどだ。

 ロゥリイもマイクのことについて知らないので力加減なしに叫んだのだろうが、それとは別に彼女の幸原への見方もその声には混ざっていた。

 

「っ………い、いま…なんて…」

 

「なんても何も、「貴方はおバカ(・・・)ですか」って訊いたのよぉお嬢ちゃん(・・・・・)

 

ロゥリイの甘い声からの言葉に呆気にとられる議員たち。同時に今まで優勢であったよなという妄想が、この時点で既に霧散していた。

彼女の言葉に優勢と勝利を確信していたという偽りがここで崩れはじめたのだ。

布の向こう側から見せた、誘惑するかのようなロゥリイの顔は幸原たち質問側の議員たちが予想していた顔とは違っていた。予想では頭が真っ白になり言葉が出ない彼女は泣く泣く事実を語る。もしくは逃げる。

だがそれはあくまで幸原の語ったことが全て「正しいこと」であるならの話だ。

そもそもレレイの通訳を無視した時点で、議員たちは既に間違いを犯していた。

 

 

「お……お嬢ちゃん…?」

 

自分が何を言っているのか分かっているのかと青筋を浮かべる幸原だが、その怒りはむしろレレイたちがするべきことだ。通訳である彼女を無視し一方的な自分の押しつけをするだけして、反論されれば子どものように怒る。そんないい加減なことに我慢ならないのはむしろ彼女たちの方だというのに、レレイたちは青筋を浮かべている幸原とは違い嫌な顔をしていない。

 

(嬢ちゃんっつーか…)

 

(婆さんだな。ありゃ)

 

(口にはするなよ、マスター、それとランサーも。そんなことを言ってしまったら私たちの身が危険になる)

 

 

「そんなに聞きたいのなら…聞かせてあげるわよ。伊丹たちが向こうで何をしたのか。何をしていたのか。…もっとも。それが貴方の思うものなのかは、保障できないけど」

 

これから語られるのは全て嘘偽りのない話。全てが真実。虚実はなく全てが本当に起こった出来事。

血を代価にして得た、亜神からの贈り物だ。

 

 

「さぁ。語ってあげるわ。真実を―――」

 

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