Fate×Gate = Gate Order =   作:No.20_Blaz

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お待たせしました。
最新話の投稿です(汗

今回で多分、今年の投稿はラストになる…かなと思っています。
来年もまた、よろしくお願いします。

そして。今年ラストの話はいよいよ日本に行く前夜までになります。
かなり話を端折ったりしていますが、そこは生暖かい目でお願いします。ええ。

そしてマスターの皆さん。いよいよ22日には最終決戦ですよ。
―――石と絆は十分か。


それでは、お楽しみください。




チャプター2-5 「二つの世界 = 前夜のアルヌス =」

 

とっぷりと暗くなった夜の世界。だが時計の針は三時になり、少しずつ夜明けへと近づいていた。

夜の時間が終わり始め、周囲からマナの光が消え始める。あふれ出ていた光が徐々に消えて行くのは、もうその光が必要ないからだろうか。幻想的だった風景は次第にありきたりな夜の殺風景さを見せ始め、西へと進んで行く月は夜の終わりを告げようとしていた。

そんな夜更けと夜明けの狭間の時間の空をランサーは一人、屋敷の屋根に腰をおろして眺めていた。

 

 

「…もう夜明けか」

 

誰も居ない屋根の上でポツリと呟いたランサーの言葉は、本心にも思っていない言葉で彼の頭の中ではそれとは別の考えがあった。この世界のこと。出会った者たち。そして炎龍。

 

「………ハッ」

 

不意に出て来た小さな笑い吹かしに自分でも可笑しく思える。

だが、彼の中ではそんな事もまんざらではなかった。特に炎龍と出会った瞬間。彼は本当に可笑しくて笑いが止まらなかったのだ。

 

「影の国でもあんなのは居なかったな」

 

そもそも彼の時代にドラゴンの類が居なかったこともあるが、ランサーにとって炎龍のような巨大な敵自体も生前経験のないことだった。彼が本格的に竜や巨大な敵との戦いを経験するようになったのは英霊となって、蒼夜の下に来てから。魔神柱や巨大なドラゴンは勿論、ワイバーンもこの時が始めてだ。

まだ見ぬ敵と相対する日々。これがどれだけ刺激的で飽きも落胆もないか。彼にとっては、毎日が飽きることはないだろう。

 

「そういや、次は坊主たちと”日本”っつー場所に行くんだっけか」

 

英霊として聖杯から一定の知識を得ているが、その知識はあくまで聖杯戦争中の行動に困らない程度のもの。専門的な知識や聖杯戦争と無縁の事物に関しては当然ながら持ち合わせていない。サーヴァントはあくまで聖杯戦争に呼び出される存在であって、その他の使い魔のような長期的な活動を目的としたものではない。なので、もたらされる知識は最低限、活動するにあたって必要なものだけだ。

 

「そういや、前の聖杯戦争じゃのんびりできなかったからなぁ…坊主に頼んでみるか…」

 

過去に一度、そして蒼夜の下に来てからもう一度、第四次聖杯戦争の時代に渡ったことがあるが、一度目はマスターの問題から。二度目は早期に聖杯戦争を終わらせ、聖杯を手に入れるということから長居することができなかった。

三度目の正直というが、果たして自由に行動できる時があるだろうか、という事にランサーは蒼夜にその時間を作れないかと相談しようか考えていた。

彼も久しぶりの現代ということもあって、時間は作りたいはず。であれば、と。

 

 

「………ん?」

 

ふと耳を澄ませると、夜の世界に乾いた音が一つ鳴り響き、同時に誰かの悲痛な声も響き渡った。

 

 

 

 

 

 

時は少し巻き戻り、蒼夜たちカルデアのメンバーが集まる部屋には新たな来訪者が立っていた。

 

「…というわけで、昼にアルヌス帰還。翌朝、我々は日本へと向かう予定です」

 

「分かった。こちらも明日に戻れるように準備しておこう」

 

伊丹の部下である富田は日本に行くまでの予定を話し、明日の朝には向かうと説明する。今は日を跨いだ深夜三時。明日の朝ということは、そこから更に一日。つまり今日一日は比較的自由に活動で出来るということだ。

話を聞いていたキャスターは相槌と合わせて返事を返すと、それまではある程度自由な行動ができるぞと、アイコンタクトで蒼夜に伝える。話から分かっていたが、改めて具体的な時間を知ることができた蒼夜は小さく笑みを作った。

 

「ありがとうございます、富田さん」

 

「いえ。それじゃあ、自分たちは隊長の部屋にいますから。何かあったら部屋に来てください」

 

必要なことを伝えた富田は、直ぐに部屋を後にする。軽い敬礼と共に帰っていく姿は平静を装っているが、目が多少泳いでいたのはアーチャーやキャスターだけが察していた。

ちらりと目を動かすキャスターは、念のためにマスターに体調を訊ねる。

 

「ということだが…体は問題ないな?」

 

「うん。寝起きは少し気分悪かったけど、今はもう平気」

 

蛇足や質問も無かったことに多少の違和感があったが、それは今訊ねるべきではないのだろうと思っているだけ。なにをすることもなく去って行った後ろ姿に警戒心を持っていたが、恐らくそう思っているだろうと想像しつつ遠のいていく足音に蒼夜たちは今後の行動を話し合う。

その中で最初に不安を打ち明けたのはアーチャーだ。

 

「いよいよ明日の朝には日本か。無事に戻れるといいのだがな」

 

「何かがある、ということは確実ですからね…できるだけ日本政府が穏便に済ませてくれることを願うしか…」

 

「それは無理かもしれんぞ。なにせ、我々の他にも特地の二人の少女と亜神の神官がいる。連中にとっては最高の交渉材料であり、宝の山の鍵のような存在だ。喉から手が出るほどのものをみすみす逃すとも思えん」

 

特地で友好関係を持ったレレイ、テュカ、ロゥリィの三人。彼女たちが門の向こう側の国々にとって大切な存在()であることは言うまでもない。その存在自体が現代の世界にない存在、種族であることも確かだが、彼女たちは特地の世界について彼ら以上の知識を持っている。資源や技術といったものが山のように眠っている宝の山の在処を知る者たち。

 

「加えて、彼女たちにはそれぞれ現代にはないもの(・・)を持ち合わせている。魔法、種族、亜神。どの特徴も神秘がほとんど失われた現代では財宝にも等しい」

 

レレイは魔法知識。テュカはエルフという人類と別の種族。そしてロゥリィは亜神。いずれは神になれるという存在で、不老不死だと聞かされている。

魔法知識はそもそも厄除け程度しかない彼らの世界にとって、使いようによっては様々な物に転用できる。

エルフは人類種とは別の種族なので人にはない能力、身体を持ち合わせている。研究される可能性もなくはない。

そして亜神。いずれは神になるということもあるが、その使徒が友好的なのだ。彼女の主である神と関係を持てば強大な力になる。

つまり。

 

「とどのつまりは力ですか…」

 

「残念だがね。今の国家は権力と金と軍事力、それとポストしか頭にないのが大半だからな。彼女たちは特地への鍵であると同時に貴重な資源でもある。十中八九、主要国家からの手が伸びてくるだろうな」

 

その中に確実に自国である日本も名を連ねているのだろうと思うと、蒼夜の心労は更に増え頭を抱えて盛大なため息をつく。

これには清姫も純粋に彼のことを気遣う。

 

「ああ、お気を確かにマスター…」

 

 

「ですが、現代…神秘がほとんど失われた世界で特地の魔法が役立つでしょうか?」

 

「…無理だろうな。ただ一つ。その魔法を扱ってる奴を除けば」

 

意味深な言葉をキャスターは呟く。魔法の原理は基本、彼らの世界とほとんど変わりはない。大地などに存在するマナと体内のオドを使った原理。しかし、現代の世界は科学技術と豊かさを優先するあまり自然との共存や神秘を棄てて来た。結果、彼らの世界でもキャスターの世界でも、神秘は秘匿するべきものとして扱われている。

が、仮に魔法が使えなくても彼らにとって、まだレレイのような魔導師たちに利用価値がある。

 

「彼らはいわば科学者のような存在だ。魔法を研究し、解明し、次の研究を行う。飽くなき探求心と好奇心。そして頭脳。想像力もあれば、いよいよその手で利用されるだろう」

 

学者としての要素は十分に持ち合わせている。ならば、彼らに満足させるだけの設備や資料を整えて延々と研究を繰り返させればいい。強要されるということで反発はされるだろうが、それは口八丁手八丁でどうとでもなる。

 

「特地の魔導師たちにとっても現代の科学技術、それによって解明されたことは十分研究にも成り得る。だから抱き込めば協力して研究する気にもなるヤツが出てくるだろう」

 

「まぁ…人によってはという点もあるだろうけど…レレイも興味津々だったからな」

 

レトルトでさえも彼らにとっては研究対象に成り得る。技術と文明の差が研究を行わせる意欲にもなるだろう。

 

「んで…亜神の場合は単純な力か」

 

「ロゥリィさんの能力や認知度を見る限り、信仰もあるようですし、その主である神に近づけるのであれば…」

 

マシュもキャンプでの避難民たちとロゥリィとの接し方には、敬われているという雰囲気があると見ていた。実際、伊丹たちもロゥリィと初めて邂逅した際には避難民の子どもたちが何の警戒心もなく喜んで近づいていた。

 

「ロゥリィとその主。二つの力を手に入れられる…かな。主のほうは怪しいけど」

 

「むしろ、どっちも怪しいと思いますよ。だってロゥリィさん…アレですし」

 

善悪は公平に審議され、そして処される。ロゥリィの行動原理はいたってシンプルなものだ。

それだけにその力を利用するというのであれば確実に彼女たちに処されるのは目に見えていること。

 

「それでも亜神…その力をしばらくは利用できるんだからまぁ…やりかねないか」

 

「無理ありますけどね…」

 

 

…と。ここまで、特地の面々のことについて現代の国々がどう利用するだろうかと考えていた蒼夜たちだが、当然。自分たちが狙われる可能性もあることを忘れてはいない。

厳密には警戒されているのだが、正体が知られれば確実に彼らも誘拐や拉致されるだろう。なにせ、彼らの陣営は名を聞くだけで腰を抜かす面子が大半を占めているのだ。大英雄、王者、誰もが一度は聞いたことのある名を持つ英雄たちが、まさか召喚されているなどと。

 

「…それで、私たちも日本に行くのですが…どうするのですか、先輩」

 

「どうするって…なにが?」

 

「えっ…い、いやマスター…」

 

話をふったマシュもそうだが、呆けた顔で首をかしげる彼の反応と返事にリリィたち少女は返事に困り、アーチャーとキャスターの二人はため息をつく。話題について来られていたのか、それとも既に考えがあるのか。どちらにしても唐突に予想外の反応が返って来たことでマシュも言葉を続けられなかった。

 

「今は国連の組織であると誤魔化しているが、いずれはそれが虚実であることに連中も気付く。その場合はどうする気だ」

 

改めてキャスターが問い直し、マシュが激しく首を縦にふる。

アルヌスで挟間陸将には、自分たちが国連組織の人間であるという虚実半々のことを話した。実際、カルデアは国連の認可された組織であることは確かで、それは蒼夜が初めてカルデアに訪れた際に所長のオルガマリー本人の口から語られている。

が、それはあくまで彼らの世界での話だ。

 

「事実、この世界に人理焼却の未来はなく、恐らくカルデアもない。更に言えば、魔術協会や聖堂教会。アトラス院もない。私たちの世界に存在する魔術世界の組織、人間がほぼ確実と言っていいほど存在しない世界だ」

 

もしかすれば、まだ人理焼却が先なだけかもしれない、という可能性もあるが、だからといってもそれか可能性、仮説の一つでしかない。しかも、仮にこの世界もいずれは焼却される運命だとしても、今の情勢からすれば夢物語に等しい。いや、この世界では完全に夢物語、本当のような嘘なのだ。

 

「遅かれ早かれ、日本政府は俺たちについて、そしてカルデアについて調べるだろう。そして、俺たちの組織が存在しないことに気付く。であれば」

 

「―――彼らは一体何者か。何が目的か。どうして特地に居たのか」

 

戸籍すら蒼夜の場合はないハズだ。架空の組織の人間として、どうして彼がそこにいるのか。

そもそも戸籍すらない彼は一体何者か。なぜ、日本語を話せるのか。どうして自衛隊しか派遣されていない場所、特地に居たのか。

投げかける疑問、矛盾は多く存在するが、確かなことはひとつある。

彼らのいう組織、カルデアはこの世界のどこにも存在しないということ。

影も形も、痕跡すらもありはしない。架空の組織なのだ。

 

「そもそも存在しない組織を名乗る連中。しかも、まだ自衛隊しか行けていない場所に平然と入っている奴らだ。そして、日本語を話し、名前から日本人ではないか、という可能性から戸籍を探られる。その結果は…言うまでもない」

 

「カルデアっていう嘘の組織に所属しているつもり、もしくはそう言っているだけの戸籍不明の青年…か」

 

「ま。それが君の現在の状態だな」

 

「カルデア…いえ、そもそも魔術師たちの世界が存在しないのでは、その言い方も無理ないのですかね…」

 

「せめて私の旦那―――」

 

「清姫さんは黙っててください」

 

清姫の妄想を断じるマシュの言葉は、蒼夜の心にも痛く突き刺さった。マスターという肩書、魔術師という立場は、魔術師たちが作り上げた世界では通用するがその世界がないのであればただの誇大妄想をした青年の馬鹿な自称でしかない。

 

「正直、今回の審問は言い逃れ出来ないと考えていいだろう。なにせ、下手をすれば君は公衆の面前に晒されるのだからな」

 

「テレビ中継で痛い子宣言? そんなのは芸人さんだけで十分だって」

 

「芸人も好きでやってるワケではないのだがね」

 

アーチャーの小言を他所に、避けられない状態と未来であることに代わりはないと見た蒼夜。無論、それを避けたり逃げたりする気は彼にはない。ココで逃げれば確実に彼は自衛隊、ひいては日本から敵視されるかもしれないのだ。それだけは今の状況では何としても避けたい。まだ帝国、ピニャとの関係も安定せず、自分たちだけで行動するにも情報や地理などの材料が少なすぎる。

 

「…それはそれとして…さて。どうするかな…」

 

「ルーラー…ジャンヌさんの《聖人》込みの《カリスマ》スキルがあれば、まだ何とか打開できるとは思いますけど…」

 

「…マシュ。それ、俺への当てつけ?」

 

「…スミマセン、先輩」

 

だがマシュの言う通りでもある。聖女ジャンヌ・ダルクは、エクストラクラスと呼ばれる七騎とは別のクラス『ルーラー』で召喚される。そのスキルの一つとして《聖人》があり、それが《カリスマ》のスキルと合わさると、自然と他者を信じ込ませる効果がある、と過去にジャンヌ本人から聞いた事があるが、残念ながら台所事情からそれは叶わぬ願いだった。

 

「だが事実だな。そうでもしない限り、下手にいう事もできない。今回は、マスターの運が祟ったか」

 

「…なら、ライダーさんのスキルではどうでしょうか?」

 

沈黙していたリリィの提案に、真っ先に可能性を考えたキャスターと蒼夜。ライダーも征服王の名は伊達ではなくカリスマのスキルを持ち合わせている。しかも、ランクはAと話題に出たジャンヌよりも更に上だ。ランクAは人が持つ中では最高位。一応それより上としてA+があるが、そこからは呪いの域であると所持者(・・・)本人の口から語られている。

だが、それだけのランクであればあながち出来ない話ではない、かもしれない。

 

「けど、鈍感な連中だよ? 仮に信じるとしても直ぐに反論する可能性もなくはない」

 

「…だがライダーのスキルを使うことには賛成だ。あのガタイと意気込みで、ロクなランクではなかったら、生前の伝説を美談化させることさえも出来ん」

 

「………。」

 

(リリィの前で、それを言うか…)

 

恐らく、カリスマのスキルの効果は発揮されるが、それでも彼らの中にある「それを到底信じられない」という”凝り固まった現実”がある。特地という異世界、ファンタジーの世界があるのに、それを夢物語として語るしかない。でなければ、自分たちの世界が犯され、自分の立場、地位が危ぶまれるのだから。

極論、言ってしまえば彼らは自分たちの世界に介入されることを極端に嫌っているのだ。

 

 

「ライダーのスキルを活かすってことを軸にして説得…もしくは信じさせるか」

 

「できない話でもなさそうですけど、問題は私たちの組織と先輩の存在ですよね…」

 

いくらライダーのスキルがあるからと言っても「自分たちが並行世界からやってきた少し未来の人間である」なんて言われて直ぐに納得させるとは思えない。言えば大爆笑されることは間違いない。

であればどうするか、と言われると。

 

「証拠…だよな。必要なのは」

 

「私たちの目的、状況の信憑性を高める要素ですか…」

 

完全に政治家たちの説得をライダーとキャスター(・・・・)に投げた蒼夜たちは、当然それだけで信用してもらえるとは思っていない。なにか信憑性を高める要素、証拠物品があれば黙らせるぐらいはできるのだろうが

 

「あるのは…えっと…」

 

と、言って自分の持ち物を探り出す。

蒼夜の持ち物は通信機、布のハンカチ、ルーンを刻んだ宝石が複数(クー・フーリン(術)が作成)。予備魔力が詰まった小瓶(ダ・ヴィンチ作)、小型の望遠鏡、携帯食料(カ○リーメ○ト)、飲料水、そして自分の世界での持ち金。

 

「……しょっぱいな」

 

「ああ、しょっぱいな」

 

「うるせーよ野郎二人ッ!!!」

 

明らかに資金を見ての感想に怒る蒼夜。年頃の青年というだけあって、流石に持ち金は自慢できるほどではない。硬貨しかない小さな財布の中身に、妙な期待を持っていたらしいサーヴァントたちは開けられた中身の寂しさにそれ以上の言葉がでなかった。もっとも、それ以上出るのなら蒼夜も堪忍袋の緒が切れるのだが。

 

「ま、まぁ流石に先輩のお金を使うまでにはならないでしょうし…」

 

「では、そのお財布は妻である私が」

 

「清姫さん、ホント自重してください」

 

 

改めて蒼夜の持ち物を眺めながら思案する一同。別に、彼の持ち物で信用させるということになっていないが、何か手がかりはないかと、探り始めたことから次第に「そうするしかない」という様な状態になっていた。

蒼夜も、自分の持ち物でどうにかできないかと中身を探るが、彼の持ち物とそれを入れたバックパックには、たいしたものを入れていなかったなと悲観的だった。

入れたものと言えば、特異点での物ばかりで

 

(……………ん?)

 

すると。

 

 

 

 

 

「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

夜明けの深夜三時。イタリカの町にある、フォルマル家の屋敷にて一人の自衛隊員の声が木霊した。マシュは目を更に丸くし、蒼夜は小さく口を開ける。そして、キャスターは冷静に声の主が誰だったかを予想した。

 

「………え?」

 

「…今の声は…」

 

「確か…伊丹とかいう…」

 

そして、その前に小さく乾いた音が響いたのだが、この時の彼らには音の正体が分からなかったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言うと。木霊した声と乾いた音。この二つの原因は双方の誤解からだったという。

蒼夜たちのもとに謝罪したボーゼスたちは、その後ピニャの下に呼ばれ彼女からの処分を言い渡された。パナシュはお咎めなし、ヴィフィータは処分を言われたがそれが果たして処分と呼べるものかは怪しいものだった。

問題はボーゼス。伊丹を殴り暴行し、重症を負わせたということから、使節への暴行として立派な協定違反だ。重罪であるのは彼女も覚悟だったが、言い渡された処分は重いものだった。

 

 

 

―――体で支払わなければならない。

 

 

 

その言葉にその場の空気は凍てつく。一瞬、血の気が引いたボーゼスは直ぐには言葉が出なかった。抵抗はあったが、それがピニャの下した指示であるなら、せめぎ合いが僅かな間に彼女の心の中で行われていた。騎士として、彼女の部下として、従うのは当然。

抵抗できるはずもない宣告にようやく屈したボーゼスは息を整えて、震えながら口を開いた。

 

「ピニャ様と帝国のため、この身を捧げましょう」

 

まるで、おぞましい怪物の生贄にでもされるかのようなやり取りだが、自衛隊との力量差からすれば、その言い方もどこかしっくり来る。自衛隊と帝国との戦力差、技術と文明の差。どれをとっても帝国が圧倒的不利であることは確かで、ピニャたちの場合それが一種の助長となって戦端を開く口実になるのではないかと恐れていた。無論、自衛隊や日本がこんな些末事を、言い訳にすることはない。

 

「伊丹程度の男には惜しいが…これも帝国の為、無益な血を流さないためだ」

 

「はい…」

 

 

―――斯くして、戦端を開く口実を摘むため、ピニャは責任者としてボーゼスにその贖罪を言い渡した。

その身をもって彼に取り入ること。そして、ひいては帝国の兵士を一人でも多く生かすために。

…しかし

 

 

 

 

 

「………で。なんだありゃ」

 

「…二次災害だな」

 

厳密には二次被害…とでもいえるのだろうか。

応接間に集まった伊丹の隊の面々。蒼夜たちカルデアの面々。そして、騒動を起こしたボーゼスが騎士の甲冑ではなく薄い紫のネグリジェを着て、伊丹の隣に立っていた。

小声とも独り言ともいえる音量で呟いたランサーは、目の前で起こっていることに対して呟き、隣で壁に寄りかかっていたアーチャーは答えるように言った。

全員整列。深刻というよりも何か気まずい、母親に叱られるかのような空気の応接間では、文字通り母が子を叱りつけるような顔つきで、ピニャが訊ねた。

 

 

「で。その顔の新しい叩き傷は?」

 

「……………私がやりました」

 

申し訳もない顔で下に俯いたボーゼスがボソボソと答えた瞬間、ピニャは生気が抜けたかのように椅子へと落ちて行った。しかも、椅子から滑り落ち、もはや姫としての姿はなく一人の苦労人としての姿しかない。

 

「とんでもないストレスでしょうね…髪の毛が抜けないか心配です…」

 

「育毛剤より胃薬だろ…この場合…」

 

「わかる…分かるぞ、殿下…!」

 

「…もしもーし? 先生ー?」

 

何故か同情するキャスターを見て、なにしているんだと肩を揺する蒼夜。なぜか今にも泣きそうな顔をしている彼の目はどこか遠い。

そんな彼を他所にしてマシュとリリィ、そして清姫は近くにいた栗林に、どういう事かと説明を頼む。

 

「あの…栗林さん、これって一体…」

 

「ん…えっと…私も途中からしか見てないから全部は言えないけど…」

 

端的に説明すれば、リリィが蒼夜たちの部屋に来たのと同時に、伊丹の隊の隊員たちも隊長救出のため再度屋敷に潜入した。しかし、そこに居たのはメイドたちに介抱されている姿で、苦痛や疲労とは程遠い状態の伊丹だった。

運ばれた伊丹がその後、フォルマル家のメイドたちに介抱されていたことを聞き、隊長の無事などを確認した彼らは一晩の文化交流へと流れて行った。

…この時、当然この事を知らない騎士たちは、生け贄を捧げるが如くボーゼスを向かわせたのだった。

 

「で。なんか私たちが楽しんでるところで、あのスッゴイ姿で出てきて、それで…」

 

「…折角、身を削る思いで来たのにそれが無駄どころか必要すらなく、完全アウェーになったと」

 

「それで…」

 

結果、自分の覚悟は何だったのか、と踏みにじられたこともあり、ボーゼスはその元凶たる伊丹に対し平手打ち。彼の顔には癒されていない暴行の跡に加え、赤く腫れあがった平手の跡が出来上がったのだった。

当然。双方に誤解があったこともあるが、完全にまた自分たちの方から手を出してしまったということで、ピニャの心労は更にたまった。

 

「よりにもよって…しかも…また……ああああ…」

 

手を出してしまったのは完全にこちら側。しかも一方的ともなると、余罪としては十分だ。

最悪の事態からどうにか打開せねばと思っていたのに、それが裏目に出てしまったことに、ピニャはどうしてなのかと問いたくなる。

考えとしては、彼女たちの世界として常道なのだろう。しかし、これは単に間が悪かったとしか言えない。

 

 

「ハハハハハ。まぁ、それは間が悪かっただけだな。すんなり諦めい」

 

「気楽なことを言う…」

 

「こんな事で一々気にしていれば王は務まらんのでな」

 

気まずい空気だというのに、なにが可笑しいのか明るく笑い飛ばすライダー。その晴れ晴れとした顔に今度は蒼夜の顔色が曇ってしまう。

 

「…で。なんでライダーがここに居るの。つか、そこにいるの?」

 

まるでピニャの知り合いか何かのように堂々と彼女の隣に立つライダー。傍から見れば親子にも思えてしまう光景だが、片や敵国の姫、片や幽霊の元国王だ。

取りあえず、蒼夜が問いたいのはどうして彼だけがそこに居るのかということだ。

 

「ん? まぁ、色々とな。それより坊主。傷はもう平気なのか?」

 

「…歩くとかなら別に」

 

話を逸らされた蒼夜は、ジト目で注視し「質問に答えたのだから」と自分の投げた質問に答えるようにアイコンタクトする。それに気づいたのか、再び笑うと勿体ぶるような言い方で答えた。

 

「こっちもま、少しばかり助言をしてやっただけだ」

 

「………。」

 

場が膠着し始めてきたので、話題を進めたいと口を開いた富田はピニャに今回の一件の処分や対処については彼女に任せたいと言い出す。

 

「あの…今回の一件、私たちは特に荒立てる気はありませんので…対処はそちらに任せても…」

 

「そうはいかん…今回、二度にわたって私たちが手を出してしまったことだ。なにか詫びを入れなければ、こちらの気が収まらんし、話も丸く収まらん」

 

「…そう言われましても…」

 

「せめて、明日の朝まで待ってくれないか。こちらとしては今回の戦いでの個人的な礼をしたいのだが…」

 

しかし、更に倉田が割って入り、予定が詰まっていることを話す。

 

「お気持ちは有難いのですが、隊長は国会に参考人招致を掛けられていて…今日にはアルヌスに帰還しなければならないんです」

 

「………!」

 

難しい言葉も混ざっているが、何より自衛隊員たちとピニャたちとには未だ言語の壁があり、彼女の目はちらりとレレイの方へと向けられた。今、日本語と特地の言葉を両方話せるのはサーヴァントたちを除けば彼女だけだ。

 

「…伊丹は私たちの所でいう元老院に呼び出されているらしい。今日にも、アルヌスに戻っておかなければならないと」

 

「ッ…元老院…!?」

 

多少の差はあるが、概ねの意味は同じだった。伊丹が日本の政治機関に呼び出されていることを聞いたピニャの表情は苦虫を噛み潰したかのように苦しい表情になる。

それに目を細めたアーチャーは何かに気付いたらしいが、他の面々は蒼夜を加えて誰一人として気づいてなかった。

一瞬、彼女の表情の中に何かが混じっていたのだ。

 

(……まさか)

 

仕掛け人の顔を窺うと変わらず笑みを作っている。

であれば、彼女の考えは彼によって手玉に取られている。

 

「……そうか。仕方ないな」

 

「…なら―――」

 

話が纏まった。特地に戻ってから、このイザコザの始末があるとなると気が重くなるが、今はそれ以上に参考人招致に行くことが優先なので、面倒ながらも後回しにできたことに安堵していた………のだが。

 

 

「なら。妾も同道させてもらう」

 

「……………え?」

 

刹那。ピニャから出た言葉に、伊丹だけでなくその場にいたほぼ全員が一斉に固まってしまう。彼女の言葉、それが聞き間違いではないのかと疑いたくなるが、生憎と言い出した本人の顔はいたって真面目、変える気も補足も、ましてや付け足す言葉一つでさえもない。

決意を固めたという顔に、伊丹は震え声で恐る恐る訊ねた。

 

「ぴ、ピニャ殿下…それって…どういう…」

 

「どうもこうもない。協定違反、一方的暴力、どちらも重要なことだ。しかも、どちらも原因がこちら側にあるのであれば、それを指揮官や将に謝罪するのが筋というものだろう。

 だから妾は、伊丹殿の指揮官、軍の責任者に詫びなければいけない。であるなら、私がアルヌスに行くこと自体、不自然ではあるまい」

 

「え…いや…その、ですね…」

 

話の筋がある程度通っているせいで、伊丹も反論という反論ができない。

部下である騎士たちの不始末を、責任者であるピニャが詫びる。正しいことであるし、その相手に対して自分たちから行くことも何の間違いもない。

だが、タイミングがタイミングで、しかも参考人招致が掛けられているこの時に呼び出されるのは、極めて面倒なことだ。

 

「…書状でもいいのでは…?」

 

「助けられた側だというのに、偉そうに手紙だけをもって帰らせろと? 妾とて、そこまで無礼ではない。敵であるにも関わらず、我々を助けてくれた恩についてもある。

 ここまでされていて直接顔を出さずに礼を述べる、などということは恥だ」

 

「えー…」

 

「であるなら、協定違反を含めてそちら側に赴き、礼を述べるのもまた当然のことだと思っているが……違う、か?」

 

堂々と言ってみたが、文化の差があるので困り顔をしていた伊丹を見て内心でも「間違っていたのか」と気にしてしまう。間違えてはいないのだが、伊丹たちにとっては都合があまり良くない。

 

「まぁ…別に不自然ではないですし、こっちでも礼儀としては通っているのですが…」

 

「…なら、問題ないのではないか」

 

「………。」

 

 

(強引にねじ込んでくるな…あのお姫様)

 

(ええ…なんだか、最初とは雰囲気が少し違うというか…)

 

小声で耳打ちをする蒼夜とリリィは、その原因であるだろう征服王(ライダー)の顔を窺う。無言のまま仁王立ちしているが、目を閉じたままの顔はご機嫌そうだ。それでよいと言わんばかりの頷く表情は、見ただけで彼らに真犯人の確証を持たせた。

 

(ライダーのヤツ…)

 

(見ただけでけしかけた張本人の正体が分かるな…)

 

(あの馬鹿…)

 

蒼夜は無言のまま、げんなりとした顔で肩を落とし、目を閉じたアーチャーは小さくため息をつく。そして、頭痛と胃痛に襲われたキャスターは頭を抱えた。

完全に彼の入れ知恵だ。と。

 

 

(…アサシン)

 

(ここに)

 

(…百の貌の全員に通達。報告はアルヌスで行うこと。それと、明日からはしばらく戻れないって)

 

(承知。連絡が終わり次第、私もそちらに合流します)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が昇り、晴天の空が青々と広がる。町には、まだ少し焦げ臭いニオイが混じっていたが、次に来るときは大丈夫だろうと思い、大して気にもしない。

復興が進む町の中にある屋敷の正面では、伊丹の隊の車両三台が停まり、隊員たちや蒼夜たちを次々と乗せていた。

その中には、使節としての服装なのか甲冑とはまた別の服装に身を包んだピニャとボーゼスの姿もある。

 

 

「…はぁ…なんでこんな事になったんだか…」

 

車内で溜息をつく伊丹は、憂鬱な顔でぼやく。自衛隊の仕事とはいえ、何故こんなことになったのかと自分の運命を呪いたい、もしくは呪われているのではないかと思えてしまう。

少し仕事して、楽して生きたい。それが彼のポリシーだというのに、それをさせまいと神が阻むかのように。

 

「本当に姫様たちも来るとはな…」

 

「仕方ありませんよ。向こうの申し出なら、断ることもできませんし」

 

 

結局、断ることもできないので、伊丹たちはピニャとボーゼスの二人をアルヌスに同道させることを受け入れた。その他の騎士団員たちはイタリカの守りとして置いていくことになり、しばらくはそこが彼女たちの拠点となるらしい。まさか騎士団全員が来るのではないかと思ったこともあったらしいが、今回の騒動を起こしたボーゼス、そして騎士団の主としてピニャが同行すると言った時は少し肩の荷が下りたらしい。

 

「…これで更に面倒なことに…なるな」

 

「隊長。目が遠くを眺めてますよ。隊長ー」

 

魂が抜けている伊丹が座席からズルズルと滑り落ちそうになるが、それを食い止めるかのように後部座席から富田が顔を出す。手には無線機を持っているので、アルヌスと連絡を取っていたようだ。

 

「隊長、檜垣三佐からです。「受け入れOK。丁重に案内せよ」と」

 

「…了解。こうなったら、割り切るしかないのかね………前へッ!」

 

すっかりと諦めたのか、伊丹の声は号令の時だけキッチリとしていた。

次々と降りかかる災難に、もはや逃げることも難しいと観念したのか、それともその時だけはしっかりするようにと厳しくされたのか。恐らくは諦めたのだろうと、後部に乗っていた蒼夜は予想していた。

全員乗車、確認を済ませた伊丹たちの隊の車は、こうして激戦地だったイタリカをようやく後にした。

 

 

 

 

 

イタリカからアルヌスまでの道のりは、馬車では丸一日はかかると言われていた。

しかし自衛隊が乗るのは馬車ではなく車なので、その移動速度から到着時間は雲泥の差と言えるほど違った。

その日の内にアルヌスに到着する。これを目にしたピニャとボーゼスは酷く驚いていた。

 

 

「あ…もうアルヌスか…ふぁっ…」

 

「…寝てないの?」

 

座席に腰を落とした体勢で座りながら欠伸をする蒼夜。眠たげな顔を見て、目が合ったテュカは虚ろになっていた表情に心配そうにしていた。

車に揺られていた蒼夜も、頭があまり回らないらしく小さく頷くだけだ。

 

「二時間しか寝てない…」

 

「あの後、少し寝ただけですからね…」

 

「ふぁぁぁぁぁぁっ…」

 

「…本当に大丈夫?」

 

「…だと思います…多分」

 

普段、最低でも五時間は寝る蒼夜だが、今回は不完全燃焼といえる睡眠時間なので、頭の中は未だ靄がかかり思考も働かず、目も次第に閉じようとしていた。

文字通り寝不足になっていた蒼夜は、睡魔によって再び夢の世界へと落ちようとしていたが、目を閉じて眠ろうとしていた彼をマシュが揺すって起こそうとする。

 

 

「先輩、寝るのなら着いてからで…!」

 

「ううん………ロマン、あと五分………」

 

「――――――あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクターロマン。現在のカルデアの最高司令官で、医師としても働いている。

しかも、蒼夜たちのレイシフト時にはオペレーターとしてサポートもしなければならない。その多忙さは、並の職員なら軽く過労死するだろう、という超ハードワークだ。それを体を無理に酷使してまでサポートする理由。それは、彼の背中にも全人類の命と命運がかかっているのだということや、魔術師として、マスターとして未熟であり、未知の世界ともいえる特異点の世界に対し、少しでも安全に、安定した行動や戦いが行えるように。

彼自身、戦いはできないが、サポートは十分にできる。だから、彼はそれでも蒼夜たちをサポートするのだ。

…が。

 

 

 

「忘れてました。ドクターたちとの通信、できていませんでしたね」

 

「というより、こっちから一方的に通信を切っていた…いや、切るしかなかったか」

 

この世界、特地に来てからカルデアとの連絡は一切途絶えていた。というのも、炎龍の襲来で蒼夜が気絶した際に、どうやら通信機の電源が落ちたのか故障したらしく、しばらく使えない状態だった。

最初こそ連絡を密に取り合っていたが、襲撃からの休む間もない蒼夜たちの行動に、連絡をする暇もなかった。

 

ここ(アルヌス)に来た時も、自衛隊の監視があったので迂闊には出来ませんでしたけど…今回なら大丈夫ですよね」

 

自衛隊との邂逅、その基地への連行。そしてイタリカでの戦い。立て続けに起こっていたことがようやく終わり、一息ついたマシュは蒼夜が持ち歩いていた通信機を取り出した。

 

「レディ。通信機は問題ないのか?」

 

「はい。見た感じ、目立った損傷はありませんので、恐らくは…」

 

大した傷もないので大丈夫だろう。そんな、いい加減ともいえるような判断をしたマシュは、通信機のスイッチを入れた。

しかし。通信機に反応はなく、ただスイッチを入れた音だけしかなかった。最初はただのタイムラグかと思っていたが、仮にも最新技術の塊であるし、使用年数が経過しているわけでもない。

 

「…おかしいです…反応が…いえ、もしかして…」

 

いくら押しても、動かしても反応のない通信機に、まさかと血の気を引くマシュ。だが、その場にはその手の事について詳しいサーヴァント(・・・・・・)が居ない。詳しいことについては、彼が見ないとどうにも分からないが、長い間、使い続けたマシュもこれには直ぐに答えが出る。

 

「まさか故障…」

 

「このタイミングでとはな…全く…ほとほと、彼の運の無さには呆れるしかない」

 

通信機が故障したタイミングは後にも、先にも思い当たる時は一度だけ。それ以外に考えられるタイミングなど、二人の中には存在しない。たった一度だけ、殴られた時とは違う思い切った打撃を受けたのは

 

「炎龍との戦い…でしょうか」

 

「可能性としてはあり得るだろう。だが、その事については後回しにしよう。今は通信機を修理することを優先だ」

 

壊れたタイミングは、炎龍との戦いで蒼夜が気絶した時ではないか。ひとまずはそれを原因として、先にその壊れた通信機を修理しなければならない。あとで幾らでもその事について話し合えるほどのたいしたことでもない話題だと、キャスターが断じ、マシュも手に持った通信機を握り、了解の意味として首を縦に振った。

 

 

 

 

 

 

アルヌスに帰還した伊丹率いる第三偵察隊。戻って来て直ぐに、伊丹はピニャに話しかけられていたが、面倒事があると踏んで、言いわけを置いて一目散に逃げてしまう。

それを呆れた目で見ていたアーチャー、苦笑するマシュたちカルデアのサーヴァントたちは明日の朝までの自由時間、それぞれの場所に散らばっていた。

マシュとキャスターは難民キャンプ内で通信を行おうとするが、故障していたことを知り。

アーチャーは糧食班に出向。ランサーは近くの森に入り休息。ライダーは自衛隊員たちの訓練を見に行っている。リリィは難民の子どもたちの遊び相手をしていた。清姫は蒼夜に付きっ切り、だがキャスターに監視の使い魔を張られていた。

そして。マスターの蒼夜も、十分な睡眠を取るために今は床に入って夢の中だ。

 

 

「はぁ…いいなぁ…疲れたら寝るって言って寝られるの」

 

そんな独り言をつぶやき、机に伏せた伊丹。彼は現在、帰還してからの後始末を一人淡々と行っていた。ピニャが何か変なことを言わないかと、先手を打って伊丹を止めようとしたが、それよりも先に彼は後始末を言い訳にして逃げてしまう。実際、確かに彼には戻って来てからも多くの仕事が待っていた。

 

「あ゛ー…疲れたぁ…」

 

まず使用した武器と弾薬、弾は残弾全てを返納し、銃は整備して武器庫へ。この時、破損した銃を見られて叱られタイムロス。

続いて、移動に使用した車の泥落とし。これは次も問題なく使えるため、他の隊や隊員が使えるようにするため。

そして。最後に参考人招致の説明を三人の少女たちに。レレイには先に話しておき、銃の整備や泥落としのあとにテュカとロゥリィに説明した。ちなみに、この時レレイの師であるカトーが「自分も行きたい」とごねていた。

 

「つかあの爺さんも来るのか…」

 

軽く笑って、もし彼が審問会に来たときのことを想像する伊丹は、そのあまりのシュールかつどこか馴染めている光景に小さな笑いが沸き起こった。

 

「まぁ…説得力はある…かな?」

 

老魔導師であるカトーが居れば、多少は特地のことについて信じてもらえるかもしれないと、密かな期待をする。レレイの師ということもあって、知識は豊富だろうというのも政治家たちを納得させるカギになる筈だ。

 

「無事に終われるかなぁ…参考人招致」

 

異世界の人間。未知の領域に住む者たち。他国からすればかっこうの餌だ。

未だ全貌が明らかではない特地からの人間は、日本以外の国であれば財宝にも等しい。だが、それは今の話。恐らく特地に入れば、自然と有用性が失われていつかは用済みになってしまうかもしれない。

しかし、今回特地から来る三人はそうして軽々と捨てられる者たちではない。若き魔導師のレレイ、人間種とは違う、エルフのテュカ。そして亜神のロゥリィ。

特に、テュカはエルフという架空だった種族であること。ロゥリィはエムロイの神に仕える使徒。さらわれれば最悪の場合、テュカはホルマリン漬けに、ロゥリィは信仰心を利用されるかもしれない。…それはロゥリィが黙って従っていればの話だが。

 

「………無理か。いや、そうはさせてくれないかな」

 

深いため息をつき、トラブルは避けられないと確信する。なにせ、連れて行く三人の素性がコレなのだ。他からすれば喉から手が出るほどの人物たち()。であれば、手が伸びてこない筈がない。

 

「向こうもそれなりにガードはしてくれるハズだし、あとは出たとこ勝負か」

 

現れる障害はなんとしても跳ね除けなくてはならない。日本に戻ってから覚悟しなければならないと、決意を固めるが、その意志に反して顔は軟弱に垂れ下がっていた。

まるで、明日のテストをやらなければいけないと考えながら、本心が顔に出ているという風に。

 

「………寝たい」

 

既に日も暮れて月明りが照らす時間、眠気が襲い始めた伊丹の目蓋はゆっくりと垂れ下がり始めていた。

睡魔によって意識が遠のきかけているが、まだ彼もやる事が残っているので寝るに寝られない。このまま寝てはいけないと、何か景気づけに眠気覚ましの趣味でもしようかと思っていたが、ふと、ドアが開く音が耳に入った。

 

「―――伊丹。居るか」

 

「…あれ。柳田…?」

 

眼鏡をかけた陰湿そうな顔をした男、幕僚の柳田がドアの向こう側から姿を現した。もう遅くなる時間なので部下かと思っていたが、その予想は外れて最近言葉を交わす事が増えた彼が現れたには、伊丹も思わず目を開いた。

 

「どうした…? まさかまた何か…」

 

「……まぁな。だが安心しろ。お前の考えているのとは違うからな」

 

小さく一笑し嘲笑うかのように返す柳田に、伊丹はそこまで言うかと内心では思っていたが、睡魔が頭の回転を阻害していることや、疲労感からもうそんな事で一々怒る気にもなれない。

体を伸ばした伊丹は、面倒そうに改めて訊ねる。

 

「で。俺に何か用か…? もう眠いんだけど…」

 

「………。」

 

ようやく話題に入れる。鋭い目で伊丹と顔を合わせた柳田はただ一言だけ言った。

 

「…ああ。けどここじゃ難だ。少し外で話さないか?」

 

「…?…いいけど…」

 

 

 

 

 

 

建物の屋上は、夜の月明りで白いタイル板を照らし、冷たい夜風が吹き抜けていた。だが、冷たさで肌が震えるほどでもなく、ほど良い風が室内で籠っていた蒸れた熱を冷ましてくれている。加えて、石油ガスなどの匂いが全くない空気は、日本に居た伊丹にとって新鮮以上の清々しさだった。

が、生憎と今回。そうしたリラックスのために伊丹はそこにいるわけではなかった。

 

「…で。話って?」

 

鉄パイプの柵に肘をつけ、夜風に辺りながら呆けつつも用件を訊く。隣で同じように柵に手を付けた柳田は小さく相槌すると、間を置かずに質問を投げる。

 

「伊丹。いくつか質問したいんだが…いいな」

 

「…いいけど?」

 

何も悪いことはしてないぞ、という顔で了承した伊丹に、柳田は何かを察したか理解したのか一息つくと、質問を始める。

それは、伊丹が第三偵察隊の隊長としてイタリカで起こった出来事についてだった。

 

「お前、イタリカであのお姫様と何について話した」

 

「何って…最初、イタリカについた時は俺たちが戦いにじゃなくて、鱗を売りに来ただけで、イタリカが滅ぼされちゃ困るからって、盗賊との戦いに参加するってことか」

 

「―――その他は」

 

「その他って………んで二度目は、戦いに勝ったから鱗を売れるようにすることと、協定について。これは、健軍一佐が居たから。で、その後、騎士団に色々と間違われて殴られたこととかについての話、この時に殿下がこっちに来るって言った」

 

「……なるほど。その三度だけだな?」

 

「……ああ。それだけだけど…何かあったのか?」

 

包み隠さずに本当の事を話した伊丹、だが柳田は一人だけ分かったような顔をしているので、どうしても伊丹は何がわかったのか。何があったのかなど、知りたいという気持ちがあった。無論、それを勿体ぶったり隠す気のない柳田は遠回しに答え始めた。

 

「…ま。お前には政治の世界なんか似合わないってことだな」

 

「その前に政界に入る気なんてサラサラないけどな…」

 

結局、何が分かったんだ。と問い詰める伊丹。このまま勿体ぶられるのは正直我慢できない。思い切って食い掛かった彼に、柳田も答えた。

 

「―――ピニャ殿下から、自衛隊に対しての要請があった」

 

「要請…?」

 

「内容は、イタリカの治安が整うまでの補強として、自衛隊に町の防衛を行ってほしい。つまり、俺たちにイタリカを守ってほしいって言って来た」

 

「えっ…ま、待て…それって!?」

 

「ま、お前でも分かるよな。この頼みがどういう意味なのか」

 

それは、ピニャたちが伊丹の居ない間に決めていたイタリカの今後しばらくの方針だった。

二度にわたる盗賊との戦いに大きく損耗したイタリカは、人だけでなく町も壊滅的なダメージを受けていた。それを容易に回復させることは、現代であっても。大国であっても難しいことだ。外壁の修復、地面の整地、戦場と化したあちこちの清掃。破壊された町の補修もその一つだ。

 

「イタリカは今回の戦いで多くの犠牲と被害を出した。それによって町全体の守りは一時的に弱体化している。民兵を駆り出してまでの戦い、それによる一般人、町民の減少。男たちの減少。復興は難航している」

 

「じゃあ…お姫様が要請した理由は…」

 

「そこまでかは分からんが。このままだとイタリカは再び戦火に巻き込まれる可能性がある。城塞の機能がマヒし、騎士団がやっとで賄えてる、だろ?」

 

「…ああ」

 

「だが。あの姫様の騎士団は仮にも帝国に属する軍勢。いざという時には、軍を率いてイタリカを後にしなければならない。そうなればどうなるか…」

 

「イタリカの防衛戦力は減少する。けど、あの規模の盗賊がもう一度現れるなんて…」

 

「ないだろうな。恐らく。

だが、今のイタリカの治安はとても不安定だ。治安悪化による犯罪の横行と、盗賊による襲撃。これでガタがこない筈がない。騎士団が守っているが、警備が甘くなれば今のイタリカじゃ犯罪は多く起こるだろう」

 

復興を進めているイタリカは、確かに警備は甘くなっている。警備、防衛のための設備が十分に機能せず、その為の兵士も少ない。ピニャの騎士団が補強に入っているので守りはある程度問題はない。が、もし仮に騎士団の全軍ないし大半の戦力が不在の場合、どうなるか。

 

「そこで、イタリカの守りと治安維持。そして復興の支援としてウチに話しを持ちかけて来た」

 

「守りと治安。そして抑止力か…」

 

「今の俺たち(自衛隊)に対抗できる勢力は、特地には存在しない。帝国でさえも大敗して、その為に連合諸国を生贄にしたんだ。神官とやらが相手になれば話は別だが…」

 

「ロゥリィが言うには『その時の場合による』らしい」

 

「なら。現状、俺たちに対抗する勢力はないととれる。つまり、その勢力を自分たちの陣地に招けるんだ。それがどういう意味か…わかるよな?」

 

自衛隊という強力な戦力が自軍に守りとして加わってくれる。防衛戦力としては申し分ないが、いざという時にはその戦力だけでなく「強さ」そのものが武器になる。

帝国という頂点の勢力を軽々と退け、壊滅させた勢力。戦えば誰もが敗北することを予想できる。しかし、それを自分たちの所に味方として引き込めれば

 

「自衛隊という力。それを一時的だが借りることが出来る。虎の威を借りる狐…とはいかないが、帝国にとって…いや、あのお姫様にとって強力な一枚のカードにならないか?」

 

「そりゃ…今の帝国の状況からすれば、俺たちを引き込めれば大戦力さ。けど…!」

 

「分かってる。問題は、タイミングだ」

 

現在、帝国と日本は停戦状態だ。帝国が壊滅的ダメージを受け、日本はアルヌスに腰を下ろしそこを基地としている。帝国が打って出れば日本との戦いは再開されるが、日本が打って出ることは専守防衛の思想から、基本はあり得ないこと。要人救出などであれば話は別だが、基本彼らは守りしか許されていない。

今回はピニャからの支援要請という大義名分が立っているが、それでもこの状況で首を縦に振ることは難しい。

 

「帝国と日本はにらみ合いを続けている。恐らく、派閥争いや主戦か降伏かで分かれてるんだろう。けど、お前の考える通り。今、帝国は敵国となっている。敵であるハズの彼女()が俺たちに助けを求めてきたんだ」

 

「帝国内部からしちゃ、姫様は裏切り者として扱われるかもしれない」

 

「そうだ。今回の出来事すべてが偶然の重なりだとしても、これは彼女、ピニャ殿下が独断で決めたこと。偶然でもなんでもない。

 もし、これが知られれば、彼女の立場は危うくもなる」

 

「危ういだろ。こっちはそのお陰で交渉の糸口が…」

 

「違うな、伊丹。逆だよ。糸口から来てくれたんだ」

 

柳田の目は好機と見た捕食者の目だった。

確かに、唯一の帝国との交渉、国を纏める者たちが居る場に一番近い存在であるピニャの立場が危うくなることは避けられないだろう。裏切り者として、主戦派に非難されることもある筈。だが、それはあくまで戦うことを考える者たちからすれば、の話だ。

逆に臆病で、帝国が負けたという事実に怯えて降伏を考えて保身に走る政治家だっている。戦う事を止めない武闘派、タカ派、主戦派であるのに対し、ハト派、つまり保守派、講和派だっている。

 

「主戦派にとっちゃ殿下は売国奴にもなる。けど、それはあくまで主戦派からの目線だ。講和や和平で早々に自分の足場を固めて風呂敷を纏める奴らにとっては、逆に殿下の存在は貴重な自分たちの身を固めてくれる盾になる」

 

「同時に、殿下は講和派にとって切っても切れない存在になる…」

 

「なにせ、帝国の軍勢を打ち破った自衛隊。その俺たちと、こうして話ができる人物なんだ。願えば自分たちのことは安全を約束してくれる筈。だから…」

 

「殿下は講和派にとって、大事な命綱、か」

 

「命綱かどうかはさておき、彼女がこうして交渉の糸口になってくれるのは正直俺たちにとって、日本にとっても有難いことは事実だ。こっちもお国柄から長期の戦争は出来ないんだ。早々に交渉、和平の糸口があるのなら、それを手繰っていく必要がある」

 

「でも、問題は…」

 

「そうだ。その内容、そして時期。正直、殿下がここまでアクティブに動いて来るとは、俺も陸将も予想してなかった。まぁ、向こうも後のことを承知の上で、このタイミングで打ち明けたんだろうが」

 

最初はボーゼスの不始末と協定違反についての謝罪からだった。

帝国側からピニャとボーゼス。自衛隊は陸将の狭間と柳田、翻訳のレレイを加えた五人が、一室に集まり、陸将の狭間から口を開き始まった会合。若干、ピニャたちが口ごもったり、押されたりとぎこちない話が続いていたが、一先ずは不始末の謝罪を行い、狭間もそれを受けて「協定の考え直しの必要がある」と言った。これには彼女も過敏に反応し、協定についてはコレまで通りとして、当初の目的は概ねクリアされた。

 

「問題はこの後だった。話もうまく纏まって、俺たちは話を切り上げようとした」

 

が、ピニャはそこで話題を終わらせようとしなかった。むしろ、そこからが本題だと言わんばかりに。

 

「殿下は「もう一つ。今回はある頼みがあって、聞いてはもらえないだろうか」ってな。んで切り出された話題がコレだった」

 

「自衛隊を、イタリカの守りに加える…か」

 

「交渉の糸口である殿下からの要請だ。簡単に断ることもできなかった。だが、お前の言う通り、殿下にとっては危なすぎる綱渡りだ。下手をすれば、何もかもを失うことになる」

 

「けど、殿下は自分が大切な交渉の糸口であることを自覚していた。だから、俺たちが早々に断ったりしないと分かっていた」

 

「大義名分が立ってるし、復興作業の手伝いっていう理由もあった。日本からすれば、そこまで非難される話じゃない」

 

「けど、帝国からすれば敵に城を…イタリカを明け渡すのと同義だ」

 

「だから殿下はこのタイミングで頼んできた。流石に、陸将も驚いたけど、とりあえずは保留になった。が、殿下の立ち位置を考えると許可も時間の問題だろう」

 

ピニャは自衛隊がイタリカ防衛のことを簡単に断らないことを分かっていた。だから、あえてその場で頼んだ。

下手をすれば、失敗する可能性だってあるのにも関わらず、未だ相手がどんな存在なのか他らないにも関わらずだ。それでも彼女は、「断らないだろう」という自信から打って出た。

 

「殿下は俺たちが断らないっていうことを知っていた…?」

 

「おかしな話だろ。たった三度。健軍一佐たちが二度目に居たとはいえ、たった三回で俺たちのことをそこまで考えられると思うか?」

 

「………。」

 

無理だ。そんなのは人心を読み取れる人物でもたった三度の会話だけで、そこまで確信が持てる筈がない。精々、天秤が揺れて決断がもう少し遅れているだろうというのに、ピニャはまるで自衛隊のことについて知っているか、知識を持っているかのように行動した。

 

 

「誰かが、俺たちのことを話した………まさか…」

 

「ああ。この状況で、そんなことが出来るのはアイツらだけだ」

 

こんな事。まだわからない相手について、まるで分かったかのように彼女が振る舞えた理由。そしてそれを行わせた者たち。

それは今の状況では一つだけ。

 

「………カルデア…蒼夜たちが話したか」

 

「アイツらは日本の事について知っている。だから自衛隊の事を知ってても不思議じゃない」

 

現に、柳田の言う通り蒼夜たちが、自衛隊はピニャの要請を断らないと言った。それは彼らが自衛隊についての一定の知識を持っていたからだ。

 

「あの子ども、蒼夜って奴もそうだが…スーツの男と赤髭の男にも注意しておけ。陸将も、あのスーツの男には警戒していたからな」

 

「………。」

 

ふと、柳田の言葉を耳にしていた伊丹は、脳裏で不敵な笑みを浮かべて顔の半面を見せる蒼夜の姿を想像する。まるで自分たちのことを嘲笑っているかのような、あくまのような笑い顔。それでも、その顔に腹を立てることが出来ない彼は、その姿に疑問を持った。

 

「アイツら…一体なにを…」

 

敵か味方か。蒼夜たちの存在がますますわからなくなった伊丹だったが。

それが分かる時が直ぐ近くまで来ていることを、この時の彼は知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オマケ。

翌朝の事務室にて、伊丹は毛布一枚にくるまるレレイとリリィの姿を目撃した。
しかも自分のデスクの前に固まって。

「………ゴメン。二人とも」

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