カメラを持った飛行場姫さんが各地を転々とする話   作:灯火011

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京都の町で合流した金剛と飛行場姫は、のんびりと粉物の店で食事を摂りながら久方ぶりの交流を行うようである。

そして同時刻、日本のとある場所で、少しだけきな臭い一幕があったようだ。


4話 夜の一幕

 -2名様入りまーす!-

 

 昔ながらの木札の鍵を使う靴入れに、リコリスはブーツを、金剛はスニーカーを入れた後に、2人は座席へと案内されていた。

 

 なぜ彼女たちが飲食店に居るのかというと、リコリスと金剛は御手洗祭の後に京都駅まで戻り、夕飯を食べようと意気投合したのである。何を食べようかと迷っていた所、駅前から少し歩いた所に酒が呑める粉物の店がちょうどあったため、何気なしに入店した形である。

 

 幸い、座席も空いていたためすぐに席に通されたが、そうでなければまた人だかりが出来ていたことであろう。そうなってしまってはゆっくりご飯を食べることすらままならないのが、深海棲艦と艦娘という存在である。

 

 「なかなかいい雰囲気ね」

 

 「デース。個室デスし、他のお客さんを気にしないでゆっくりたべられマース!」

 

 -こちらお絞りになりまーす!-

 

「ん、ありがとう。店員さん、私は竹鶴のハイボールを濃いめでお願いね。ライムもあったら入れてちょうだい」

 

 -畏まりました!そちらのお客様は何か頼まれますか?-

 

 「そうデスねー。ンー、それじゃあレッドアイを一つお願いしマス」

 

 「食べ物は後でまた頼む事にするわ。飲み物だけ先にお願いね」

 

-畏まりました!では、少々お待ち下さい!-

 

そういうと、店員は足早にリコリスと金剛の元を離れていった。そして、よく冷えたお絞りで手を拭きながら、2人はぽつりぽつりと口を開き始める。

 

 「・・・それにしても久しぶりですネー。本当、イママデどこをほっつきあるいてたんデスか?」

 

 「日本全国を、よ。終戦までソロモンと横須賀ぐらいにしか上陸してないんだから、好き勝手見てみたくなったのよ」

 

 と、軽くジャブのような会話をした瞬間、店員がドリンクを2人のもとへ届けていた。2人は笑顔でそれを受け取ると、店員が去ったことを確認して、グラスを合わせる。

 

 「ま、そこらへんの話は呑み喰いしながら。で、いいでしょう?金剛」

 

 「そうデスね。では、ひとまずは再会を祈りマシテ」

 

 2人のグラスがぶつかり合い、心地よい音が2人を包むのであった。

 

 竹鶴のハイボールは、戦後人気となった酒の呑み方である。特に戦艦レ級(ヨッパ)が各地の商店街で頼みまくり、一時は竹鶴が枯渇するほど呑み尽くしたという伝説が有ることをここに記しておこう。

 

 -おまたせいたしました!こちらが牛すじねぎ焼きになります。こちらが豚平焼きです-

 「ありがとう」

 

 「美味しそうデース!」

 

 到着したお好み焼きを眺めながら、リコリスは竹鶴のハイボールを、金剛はレッドアイを既に空けて2杯目はジントニックをゆっくりと楽しんでいた。そして、早速2人は豚平焼きをヘラで切り分け、自身の口へと運ぶ。

 そして一口、二口と噛み締め、その状態から更に酒を煽る。すると二人の顔には自然と笑みが浮かんでいた。

 

 「あっついけれど、美味しいわ」

 

 「美味しいデースねー!お酒が進みマース!」

 

 鉄板上ではソースが焼け、ダイレクトに食欲を刺激する中で、金剛とリコリスは今までの話をぽつりぽつりと話し始める。

 

 「で、さっきの話の続きだけれど。横須賀を出た直後はやっぱり過去の残滓を思い浮かべちゃってね。だから最初は鎮守府を回っていたの。呉に舞鶴、佐世保って具合にね。そこからは更に軍都巡りをして、今は普通の観光にシフトしている感じね」

 

 「なーるほどデースね。どうでした?半世紀ぶりの生まれ故郷は」

 

 「最高よ。昔食べたものはそのままの味だし、街自体も当時の面影を残しているし。おかげさまで過去の残滓はすべてふっとんだわ」

 

 「それはよかったデース」

 

 「そう言えば横須賀の艦娘達はどうしているのかしら?ニュースでは退役したり解体されたりと、かなりの数を減らしているようだけれど」

 

 「ンー。そうデースね。現存する艦は全盛期の10分の1というところでしょうか。それに現存する艦もほとんど退役状態でーすよ」

 

 「そうなの?今横須賀には誰が残っているのかしら」

 

 「艦娘としては加賀、龍驤、阿武隈、菊月、響ぐらいですね。他の鎮守府を入れるともう少しのこっていますガ。それに加えて深海棲艦のカメコ、い・・・なずま級ぐらいデスね」

 

 「ま、カメコは想像してたわ。どうせ写真撮影の毎日でしょう。それと、いなずま級・・・って港湾棲姫のところのイ級?まだ残っていたのね」

 

 「カメコは安定デースね。今じゃ広報部長デース。最近は新しいカメラをゲットしたとまたはしゃいでマーシた。

  いなずま級は色んな所に物資を届けたり、海難救助にと大忙しデスよ。海図がない海でも彼女は関係なく任務を遂行してくるノデ、海軍も彼女に依存しすぎているところがありマースネ」

 

 「ま、港湾棲姫のお気に入りだったからねぇ。不思議じゃないわ。そういえば金剛の姉妹艦はどうしているのかしら?」

 

 「アー。あの子達は全員解体済みデース。いまでは皆旦那さんと共に幸せに暮らしていマースよ」

 

 「ふーん。そういう話を聞くと、本当にこの世が平和になったと実感するわね。で、金剛はいつ結婚するのかしら?確か終戦直後に整備の殿方といい雰囲気になっていなかったっけ?」

 

 「・・・」

 

 「・・・・・・もしかして金剛、売れのこっ」

 

 「私は好きで独身で居るのデース!海軍ラヴデース!そういう飛行場姫こそ相手はいるのデースか!?」

 

 「・・・まぁ、そりゃあね?伊達に日本全国旅してないわよ」

 

 「・・・!○○○○!○○○○○!!!!」

 

 「汚い言葉を使わないの」

 

 カメコのこと、深海棲艦のこと、艦娘のこと、日本の事。

 

 数年のブランクを開けて再開した彼女たちであったが、それを感じさせない穏やかな空気が続く。

 そして、酒もかなり入り顔が赤くなった金剛は、何気なしにリコリスのカメラ、K-S2を見ながら口を開いていた。

 

 「それにしても、まさか飛行場姫がカメラを持つとは思いませんデシたねー」

 

 リコリスもリコリスで、少しだけ顔を赤くしながら「海軍のマークが入っていない」PENTAXのK-1を見つめて口を開く。

 

 「そう?ま、私もレ級のカメラに触ってからカメラはずっと欲しかったのよね。それで宇都宮に観光しに行ったときに、提督と再会してね。そこで作ってもらったのよ。金剛こそ、そのカメラはどうしたの?」

 

 「第一線を引いてからは旅行が趣味になりマーシて。せっかくなら行く先々での写真を残そうかなーとか思ったんデス。カメラはレ級と一緒に選んでもらったものデース。」

 

 「あら、ちょっとうらやましいわね」

 

 「ふふふ、レ級と関われるのは軍属の特権デースからね。それに時折組手もやってマスしね」

 

 「へぇ。そういえばレ級の様子はどうなのかしら?」

 

 「そういえば飛行場姫はレ級とも連絡とってないのデーシたねぇ。連絡、もうちょっと密にとりまショウよー」

 

 「・・・判ってるわよ。今度から気をつけるって言ってるじゃない。で、どうなの?」

 

 「そうですねぇ。極めて調子が良いですよ。演習を撮影したり、一般人に混ざって撮影会に出向いたり。ただ、表向きには『詳細に艦種を調べた結果、戦艦レ級エリート改であった』という形で公開してマースけれどネー」

 

 「そうなの?別に本来の艦種でもいいんじゃない?減るもんじゃないし」

 

 「フラッグシップ改という事がばれると、ただでさえ煩い某国の研究機関が研究材料としてよこせ・・・と息巻きますからネ。必要な処置なんデース」

 

 「へぇ。世の中、不穏な動きもあるものね」

 

 「全く、嫌なものデス。平和な海になった途端、深海棲艦や艦娘を対人間兵器として使おうという国が多いのが実情なのデースから。その中でもトップクラスの実力を持つレ級の情報は渡せませんからネ」

 

 「ふぅん・・・。全く、面倒くさい世の中ね・・・。で、そういう情報通の金剛は今海軍で何をしてるのかしら?」

 

 「ん?あー・・・」

 

 金剛は少しだけ悩む素振りを見せる。リコリスが不思議そうに顔を覗き込むと、金剛は苦笑を浮かべていた。

 

 「飛行場姫になら別にいいデースかね。実は、横須賀鎮守府の次期提督に内定してマース・・・。」

 

 「あら、すごいじゃない」

 

 「それに加えて、カメコが秘書官で内定してマース」

 

 「・・・いくらこの世の中とは言え、海軍は随分と思い切った人事を行ったわね」

 

 「曰く、艦娘と深海棲艦が手を組む事によって、より一層平和への結束が強くなる。だそうデースが。正直気がおもすぎマースよぉ!」

 

 金剛はそう言い切ると、グラスに残っていた酒を全て飲み干していた。そして、間髪入れずに店員へと「竹鶴」のロックを注文する。

 

 「っていうか人事に関しては貴女のせいデスヨ!飛行場姫!」

 

 「わたし?」

 

 「そうデス!本来であれば貴女が提督をするという話だったんデースよ!でも貴女を探してもずーっと、ずーーっと見つからナイ!手がかりすら無いっ!そんなことが何年か続いた結果、先月、つい先月『金剛、お前次の提督な?』の一言を頂いてしまったんデス!しかも秘書官がカメコですヨ!?もう、全てに不安でしかたないデース!」

 

 金剛は一息でそこまで言い切ると、手元にあった酒を一気に煽っていた。そんな金剛を尻目に、飛行場姫はお好み焼きを一口、口に含みゆっくりと味わった後に一言、言葉を発する。

 

 「嫌なら断ればいいじゃない。それに、レ級は仕事となれば能力高いわよ」

 

 「・・・いやまぁ、提督っていう立場は嫌じゃないのデースが。それに、レ級は確かに書類整理とか根回しが異常に上手いのは身をもって知っていマス。でも、提督という大きな責任を考えると胃が痛いというかデースね・・・?」

 

 金剛はリコリスに食って掛かっていた。金剛からしてみれば飛行場姫の代役で提督業になったようなものである。普通に艦娘として在籍していればまずありえない人事に、リコリスへの文句の一つも言った形である。

 そんな金剛の心境を知ってか知らずか、リコリスは涼しい顔で酒を一口含むと、金剛を見据えて口を開いた。

 

 「私が提督をやるよりも、艦娘である貴女が提督をおこなう流れが自然でしょうに。御手洗で貴女が言っていたように、私達深海棲艦へあんまり良い感情を持たない過激派もいるのでしょう?私が提督業についたら、横須賀鎮守府がテロリストによって破壊、なんてニュースが流れるかもしれないわよ?」

 

 「むぅ・・・それは否定できないのデースが」

 

 「だからこれでいいのよ。それに、金剛もいい年でしょう。現場から退くには、いい頃合いなんじゃないの?」

 

 「グッ・・・艦齢のことを言われるとグウのネも出ないデース・・・」

 

 金剛は苦しげに呟くと、ちびちびと酒に口をつけるのであった。

 

 

 「で、金剛、茶化しておいてなんだけれど、本当にあなたが提督を?」

 

 「デース。来月の人事で正式に発表されマース」

 

 リコリスは金剛の顔を正面に見ると、真面目な声で口を開く。

 

 「・・・判っているでしょうね?今のこの時代に提督をやるという意味を」

 

 「重々承知していマス。艦娘と深海棲艦が海から消えた今、海の上で戦うのは人類同士デス・・・」

 

 「それが判っていて、あなたが提督業を承諾したと言うならば、私は何も言わないわ」

 

 「・・・飛行場姫、一つ相談なんですが・・・!」

 

 「嫌よ」

 

 「何もいってないじゃないデースかぁ!」

 

 「言いたいことは判るわよ。深海棲艦という人類共通の敵がいたからこそ、今まで人類同士は争わないで済んだわけじゃない。であれば、また私達が海で人類の敵として活動すれば・・・という話でしょう?」

 

 金剛は無言でリコリスを見つめていた。リコリスはその姿を真正面に捉えながら、肩をすくめて言葉を続ける。

 

 「それは無理よ。残ってる私達は人類と艦娘が大好きなの。敵意を向けることは出来ないわね」

 

 リコリスの言葉に、金剛は頭を抱えテーブルへと突っ伏していた。そして、呻くような声で言葉を紡ぐ。

 

 「・・・あゝ・・・。本当に、気が重い、デース」

 

 「ふふ、ま、時々愚痴は聞いてあげるわ。必要であれば力も貸すから声をかけてちょうだい」

 

 「その言葉だけでも、ありがたいデース」

 

 そして、飛行場姫は一息を空けて、言葉を紡ぐ。

 

 「『天清浄 地清浄 内外清浄 六根清浄 

   天津神 国津神 八百万の神

   枉事罪穢 祓い賜え清め賜えと申し祀る』

  そして我らは付喪神。八百万の神。人々の願いを叶えずなんとする」

 

 リコリスはそう言いながら金剛の眼を見つめていた。そのかいあってか、金剛の酔った頭は少しだけ理性を取り戻しているようで、金剛はリコリスへと言葉を返していた。

 

 「むぅう・・?どういう意味デース・・・?」

 

 「さぁ、どういうことかしらね。確かなことといえば、私も酔っているって事よ」

 

 リコリスは金剛に柔らかな笑みを浮かべながら、ゆっくりと酒を煽るだけであった。

 

 

 横須賀鎮守府前面海域。過去、深海棲艦との激戦が行われていたこの場所も、今では静かな港町の面持ちを保っていた。

 時間にして深夜の2時。揺れる海面に月明かりが落ち、微かな光が波間に佇む女性の青白い髪を輝かせていた。

 

 「天清浄 地清浄 内外清浄 六根清浄 

  天津神 国津神 八百万の神

  枉事罪穢 祓い賜え清め賜えと申し祀る」

 

 祝辞とも祓辞ともとれる言霊を発しながら、ソノ女性は空の月を見つめている。

 

 「そして我らは付喪神。八百万の神。人々の願いを叶えずなんとする」

 

 どこかの京都で艦娘と酒を呑む上官と、全く同じ言葉を発するのは『戦艦レ級フラッグシップ改』である。彼女とて、この数年間ただただ趣味の写真を撮影していたわけではない。

 

 「人々の願いが"ソレ"ならば、我らは三度、怨炎を背負おう

  人々の願いが"ソレ"ならば、我らは再度、深海へと棲もう」

 

 艦娘と人間を関わり合いを持ち続けているのは自己の満足のためであるが、海軍に属していたのは、とある上官の命令なのだ。

 

 「飛行場姫 北方棲姫 港湾棲姫 南方棲戦姫 我らは僅かの生き残り

  人々の願いが"ソレ"ならば 我ら 三度 死者の列へと加わらん

 

  飛行場姫 北方棲姫 港湾棲姫 南方棲戦姫 我らは僅かの死に損い

  人々の願いが"ソレ"なラば 我ら 再度 死者の列へと加ワらん」

 

 戦艦レ級フラッグシップ改が受けている命令はただ一つ。

 

 -いざという時は独自で動け-

 

 「クククク。いざ行かん、我らの楽園へ。イざ行かん。我ガ魂ノ深海ヘ」

 

 彼女はそう言うと、ゆっくりと体を太平洋の海へと進め始める。その右手には、尻尾についていた主砲を持ち、ソノ足には魚雷発射管を取り付け、背中には、主機を背負っていた。そう、まるで在りし日の駆逐艦の艦娘のような姿である。

 

 「カッコつけるのはいいけど、油断はいけないからね。」

 

 そして、その隣には同じように蒼白い髪を背中で伸ばし、手には主砲、足には魚雷発射管、背中に主機を背負う特Ⅲ型駆逐艦が一人。

 

 「判ってル判っテる。相手が非合法な集団でも・・・轟沈は怖いからナァ」

 

 「情報によると某国独自の艦娘もいるようだからね。まったく、私達が争わなくなったっていうのに、これじゃあ貴方達に顔向けできないじゃないか。」

 

 「ま、私達は別にドウデモネーヨ。ただ我らと艦娘を使って争いをしようってのが気に入らねぇダケだ。お前もそうなんダロ?なぁ、ベールヌィ?」

 

 「響だよ。これからの争いは人類対人類でやるべきであって、私達の出番はないはずだ。・・・私達の『眠り』を邪魔するなら、彼らには永眠してもらうしかないだろうね」

 

 「言うネェ。ま、とりあえずはあのPTボートからやっちまおう。その後は下にいる潜水艦と・・・響は新型のサムおじさん家の艦娘でいイか?」

 

 「賛成だよ。それに艦娘はこちらで保護してもいいしね。あちらは非合法だから我々帝国海軍が損傷しているところを見つけ保護した、と言えば相手は何もできないどころか、此方に大きな借りが出来るのさ。表向きにはね」

 

 「表向きは、ネェ。っと、発砲光確認。相手から攻めてきてくれんならありがテェヤ!では、中将殿。()()()()()()()()()、突撃してまいります」

 

 戦艦レ級フラッグシップ改は、艦名をわざと大きな声で叫びながら金色のオーラを全身から滾らせ、背中の古傷から蒼いオーラを噴出させると、国籍不明の艦隊へ向かって突撃していった。

 

 「正当防衛成立だね。それじゃあ、私も久しぶりに本気を出させてもらおうか。日本帝国海軍 情報省中将 特Ⅲ型駆逐艦 響 突貫するよ」

 

 そして、同じように響も金色のオーラとは言わないが、光の粒子をまといながらサムおじさんの艦娘へと突貫していく。その横目では、早速戦艦レ級がPTボートのエンジンを破壊し、一隻航行不能へと持っていっていた。

 

 「流石だね。こちらも負けてはいられない」

 

 響はそう言いながらも、おそらくは戦艦級と思われれる艦娘の攻撃を避けながら、自身の雷撃距離まで一気に接近する。砲弾による至近弾で、魚雷発射管の装甲が少しだけ歪むが、お構いなしに響は魚雷を全弾射出し、それと同時に榴弾による砲撃を放っていた。

 響の主砲はどうがんばっても127mmであり、通常であれば戦艦には通用しない。であれば、主砲を火薬の詰まった榴弾に変更し、少しでも炎上をさせようという狙いである。

 

 「(甘いわね!駆逐艦の砲撃で私の装甲が貫通できるわけないでしょう!?)」

 

 艦娘が叫ぶ。だが、その眼は響と、響から放たれる砲弾に夢中で、海中を進む魚雷には全くもって無関心であった。

 

 「(大人しく我々に情報を渡せばいいのよ。そっちの深海棲艦の情報を渡せばいいの!)」

 

 「・・・随分自分勝手だね。全く。我ら日本帝国海軍は確かに深海棲艦の保有数は多いけれど、持ってる情報は君たちと情報は変わらないよ」

 

 「(それならばいい加減に我々に姫級を含めた全ての深海棲艦を渡しなさい。貴様達よりもっと有益な情報を引き出してみせるわ)」

 

 「それは出来ない相談だね。彼らは私達日本帝国海軍に所属し、我々が保護している。我らは味方を売るような真似はしないのさ。それに、終戦直後だからといって、君たちは日の本の国の足元を見すぎだ」

 

 響がそう言うと同時に、敵の艦娘の足元で魚雷が4発炸裂した。轟音を上げて炸裂したそれは、艦娘の足を破砕し、完全に行動不能にさせるに十分な威力である。

 

 「(なっ・・・魚雷っ・・・!?)」

 

 「実戦経験がない艦娘に負けはしないよ。ということで大人しく投降してくれるかな?表向きには謎の集団に襲われて我らが保護した、という穏便な話にしておくから。それが嫌なのであれば、我が帝国海軍のドックで解体し、君の体を解析させて頂くという話になるが」

 

 「(クソがっ)」

 

 響は完全に行き足が止まり、砲撃もできなくなった艦娘を見下しながら言葉を発していた。そして、その隣では、潜水艦を無理やり海上に引っ張り上げるレ級の姿があった。

 

 「お、そっちも終わったかー。こっちも相手は完全に沈黙したぜ」

 

 「こちらも。それじゃあ鎮守府に戻ろうか。ま、安心したまえ異国の艦娘さん。私も艦娘だから、よしみで悪いようにはしないさ。レ級が捕獲した人間の方は知らないけどね」

 

 響はそう言うと、半月のような口で艦娘へと笑顔を向けるのであった。

 

 横須賀鎮守府は、()()()()()である。




平和になったら平和になったで色々あると思いまして妄想が溢れました。

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