カメラを持った飛行場姫さんが各地を転々とする話   作:灯火011

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※ 妄想です ※

○○○○年 ○○○沖

初めての深海棲艦と思わしき物体を初めて確認
対策を行うため各国で連合軍が組織される


○○○○年 ○○○沖

連合軍 深海棲艦と思わしき物体と交流を試みるも失敗
艦隊の7割を失う大損害を受ける

同時に、謎の物体を敵性物体として認定する



-----日本海戦資料 ○○○○版より抜粋-----


Re:その戦艦は

「耳に残っているのは、鉄が軋む音だけであった」

 

 そう話すのは、最近所在が明らかになった新たな深海棲艦である。

 

「私・・・達というべきかな。いや、今は私独りだけだから、私と言うべきか。まぁいい。で、だ。暫くは海の底に大人しくしていたんだよ。でもな、徐々に力が満ち溢れてきたのだ。気づけば四肢が生え、海の上に立っていた。この姿でな」

 

 彼女の姿はこうだ。

 

 全身を覆う病的までに白い肌。そして、血のように赤い瞳を持つ。

 

 巨大な尻尾を持ち、その先端にはこれまた巨大な砲塔が取り付けてある。

 

 そして、それらを隠すように大きめのパーカーで全身を隠している。

 

「最近ではカメラを持った私や、酒を好む私もいるらしいが、あれらは特殊と考えてもらっていい。ま、私達の好きだったものがあれらに集結しただけのことだがな。で、何から話そうか?君も、私を見つけてまで聞きたい話があったのだろう?」

 

 そう言いながら笑顔を向けてくる彼女の名前は「戦艦レ級」。カメラを持ったレ級や酒を好むレ級とは全くの別個体であり、「南方棲戦姫」の部下とも同僚とも、右腕以上の存在とも言われている。

 

---ええ、そうです。貴女が深海棲艦の始まりについて詳しくしっていると、飛行場姫を含めた姫君達が口を揃えて言うものですから。ジャーナリストとして放ってはおけなかったのです--

 

 私がそう言うと、彼女は笑みを浮かべていた。そして髪の毛を細い指でかきあげながら、ゆっくりと口を開いた。

 

「あぁ、なるほど。確かにそういう意味であれば私以外に適任はいないであろうよ。なにせ私は全ての姫よりも生まれが早い」

 

---な・・・そうなのですか!?姫君たちはそんなことを一言も・・・---

 

「どうせ姫達は君がそうやって驚く姿を見たくて言わなかったんだろう。ま、簡潔に言えば私は始まりの深海棲艦だ」

 

 彼女はそう言うと、メモ用紙を取り出しペンを走らせる。そしてメモを片手でこちらに差し出して来た。

 

---これは?---

 

不審に思いながら受け取ると、そこには『Re』の文字だけが描かれていた。そして彼女は笑みを浮かべたまま口を開く。

 

「Reという言葉は様々な意味が篭っていてね。超弩級戦艦、ドを超えるからレという意味も篭っているし、レニウム・・・当時ニッポニウムといわれた幻のレアメタルの名前だったりするし、反・後・退などといった言葉の意味でもあるしな。

 そして、本来の意味はご想像の通り『再び』である。『再び現れた古の軍艦』それこそが私の正体だな。

 つまり、簡単に言えば私は『日本の艦隊』そのものだ」

 

---な・・・---

 

「絶句する気持ちは判るが・・・何、気にするな。純然たる事実だ。だからこそ、砲雷撃戦、航空戦、対潜戦をこなせるのさ。

 ただ、この『Re』という呼称が我々だけでなく、そちら側の私の通称になるとは思わなかったがな。不思議な因果だよ」

 

--確かに・・・私はてっきり、海軍がいろは歌順につけていった結果、「戦艦レ級」になったのかとばかり思っておりました---

 

「はは。ま、名は体を現すと言うが本当に不思議な因果さ。まぁ、名前に関してはいいだろう。私の立ち位置についても理解して頂けたかな?」

 

---ええ・・・十分に。南方棲戦姫が貴方を最後まで隠し通そうとしていたわけが判りました。貴女が表に出てくれば、様々なものが貴女に突き刺さるわけですか---

 

「理解が早くて宜しい。私のような存在が明るみに出れば、様々な所から様々なモノが善悪なく襲い掛かってくる事が容易に理解できるだろう?人間とは欲深い生き物だからな」

 

---しかし、それでも今回取材に応じていただけたのはナゼなのでしょう?---

 

「ん、かんたんな話だよ。・・・海軍も艦娘が頭になり、体制が変わると小耳に挟んだものでね。今のうちに、海軍内・・・いや、世界中の海軍の膿を出そうと思ってね」

 

---膿、ですか?---

 

「あぁ。さて、ジャーナリストの君に一つ質問を投げかけさせていただこう」

 

---何でしょう?---

 

「そちらの歴史で、人類と深海棲艦、最初に手を出してきたのはどちらだい?」

 

---それは、深海棲艦のはずです。交渉を行う連合軍に、深海棲艦が攻勢を仕掛けたと---

 

「あぁそう。それが膿だ」

 

---膿・・・?どういうことでしょうか---

 

「何、簡単なことだ。

 

 

 先に手を出してきたのは人間の連合軍。

 

 

 交渉をしようとしていたのは、当時唯一の深海棲艦であった私だ」

 

 

 

 私はあの当時、全くもって人類に関わるつもりなんて無かったんだ。

 

 なにせ、私・・・達は過去に死んだ者の何かだ。生者の列に加わるわけにはいかないからな。

 

 と、最初のうちは思っていてね。人間を見つけても遠巻きに見ていたわけだったんだが、日本の近くの伊豆諸島に来た時に少々関わりを持ってしまってね。

 

 何、深刻なことではない。溺れた子供を助けたのさ。

 

 そうしたところ人間と交流を持ち始めてね。そこから1年ぐらいは平和な日常を謳歌させていただいていた。現代の食べ物は美味しい、酒も旨い。高級品だったカメラや、まず触れることができなかったビデオにも触れることが出来たし、テレビも初めて見たときは感動を覚えたものだ。

 

 そのように現代を謳歌していたところだ、海軍・・・と言わないか、当時でいう自衛隊と接触してね。そこから人類との軋轢が始まったと言って良い。

 

 相手方が何をしたか。

 

「化け物と人間は相容れない。あれは敵対心の塊である」

 

 という報告が彼らの上層部に伝わったのさ。元々そういう方針で進んでいたらしいから余計だろうね。で、私も彼らの動きが怪しいことに気づいて、伊豆諸島からソロモン海域へと移動したのさ。

 

 そして、そこで君たち人間の軍隊から先制攻撃を受けたわけだ。私としては対話を望んでいたのだけれどね。

 

 しばらくこちらもモールス信号やら普通の通信手段やら、手旗信号やらと様々に対話を試みたんだがな。流石にそちらのミサイルが至近に着弾した時に肝が冷えて、我が身を守るために反撃させていただいた、というところだ。

 あとはご存知の通り、こちらの艦砲と航空機で仕留めさせていただいた。

 

 さらにこちらはそのあと、攻撃してきた君たちの救助にあたったり、動けない艦を最寄りの港まで引っ張って行ったりとしたんだがな。それでも敵とみなしてきたので、私は君たちの前から姿を消したのさ。

 

 

「事の顛末は以上だ。この事実は飛行場と南方だけが識っている。私はそこから人類を敵と認識し、仲間を叩き起こしていった。起すといっても、私のように力を蓄えつつあった存在に声をかけて覚醒させただけだがね。

 ま、それにしたって数を増やすのは簡単であったよ。どうやら国籍関係なく、皆、今の人間には少なからず不満があったようだし、生者に恨みがあったものも多かったからね。例を挙げれば飛行場姫なんぞは5割はアメリカの某だ。その部下のレ級もイギリスと日本とアメリカの某だしな・・・と、話がそれた。そして、あとは君が知る歴史のとおり戦争が始まって今に至るわけだ」

 

---・・・・---

 

「言葉を無くすか。それもいいだろう。だが無知なる人間よ、これは純然たる事実である。残念ながら我々深海棲艦は人間の手によって敵になってしまったのだ」

 

 絶句するしかなかった。我々は一体、何と戦って、何を守ったのか。その根幹を揺るがす衝撃的な事実だ。だが、ここで疑問が残る。なぜ、深海棲艦から艦娘が生まれるのか?そう、人間が自ら起こしてしまった間違いがあるとすれば、艦娘なんていうものが味方につくことはなかったであろう。

 

---しかし、それが事実なのであれば、深海棲艦から艦娘が産まれるという事実に説明がつきません。我々が引き起こしたものならば、我々に味方するわけがない---

 

「当然だ。先も言っただろう。この事実を識るのは飛行場と南方だけだと。他の船は不満や恨みがなくなれば反転し、誇り高き兵になるのは当たり前のことだ。それに、叩き起こしてみたら最初から艦娘だった存在もいるわけだしな。そちらでいう始まりの5人がその筆頭であろうな」

 

---そんな・・・---

 

「ふん。何を絶望しているんだ。君が知りたい真実を話しているだけだろうに。ま、結局、艦娘と我々深海棲艦が行っていた戦争というのは『現代の人間』の『業の深さの賜物』だったというだけの話だよ。そこに巻き込まれた無知なる現代の人間が数を減らしただけだ。判り易い構図ではないか。

 まぁ、そんなことがありながらも、このように君たちと話せるようになったということは、私個人としては喜ぶべきことだと思っているよ」

 

 

 衝撃的な報道がされたその時、当の飛行場姫はといえば地方のホテルでのんびりとTVを見ながらくつろいでいた。

 

「あー・・・ぶっちゃけたわねー」

 

 そのテレビの内容はもちろん、南方棲戦姫の「戦艦レ級」の取材の内容であった。

 

-深海棲艦との戦争は海軍が作り上げた-

 

 その内容が、事細かに綴られた番組だ。海軍からもなぜか多くの極秘資料が流出し、全てが黒と言わざるを得ない内容であった。

 

「ま、金剛も提督になるというし、膿を出すにはいいタイミングだったかしらね」

 

 そして・・・次の瞬間、飛行場姫のもつスマートフォンに次々とメッセージが入ってきていた。各鎮守府の現在の提督たち、戦艦金剛、空母加賀、港湾棲姫、菊月、戦艦レ級(カメコ・酒呑み)といった具合だ。

 

「ふふ」

 

 画面を見て笑みを浮かべると、飛行場姫はスマートフォンの電源を落とし、笑みを小さくうかべながらぼそりと、言葉を呟いたのであった。

 

「我らが神は海にいまし 全て世は事もなし よ」




○○○○年 ○○○沖

初めての深海棲艦と思わしき物体を初めて確認
対策を行うため各国で連合軍が組織される

○○○○年 日本国東京都伊豆七島

深海棲艦と思わしき物体と交流を行う村を発見。
事情聴取をするも、当時の実行部隊(自衛隊)の担当者が世迷言だと断定し
独自判断で敵性の可能性大と海軍へと報告

○○○○年 ○○○沖

連合軍 討伐を前提とした出撃を行う

○○○○年 ○○○沖

連合軍 深海棲艦に先手で攻撃を仕掛ける
謎の生物は交流を試みるも 連合軍が無視をし続け攻撃を加える
謎の生物、交流を断念し連合軍へと反撃

その結果、連合軍は艦隊の7割を失う大損害を受ける

同時に、様々な事実を隠蔽し
以下、謎の生物を深海棲艦と名付け敵性物体として認定し
人類と艦娘、深海棲艦の三つ巴の戦いへと突入していく。

-----日本海戦資料:改訂版 ○○○○年より抜粋-----
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