息抜きに他のを書いていると書き進む不思議
『こ!この!!当たりなさいよ!!』
『ちょこまか動くな……!おい中野邪魔だ!!』
明久の召喚獣がフィールドを自在に駆け回り続け、多数相手という事を逆に利点として奮闘していた。
ただでさえ操作性能がまだ基礎しか出来ていない生徒では細かな動きはできないとは言え、その点を利用して攻めるというのは大人気ないかもしれない。
が、これは戦争である―――故にそのような弱点を攻めるのは卑怯ではない。
「あっちの方向に何人か突撃してるみたいだけど……まあ、僕の管轄はここだから関係ないかな」
縦横無尽に動き回りつつもDクラスの様子を見る余裕があるのか明久は相手方の動きを見ている。
明久の言うとおり、明久に任されているのはこの戦闘区域だけなので、ほかの組に任せればいいだけである。
化学フィールド
――― Fクラス 氷室明久 62点
V S
――― Dクラス 鈴木一郎 72点
――― Dクラス 笹島圭吾 93点
――― Dクラス 中野健太 55点
――― Dクラス 蒲田圭一 62点
――― Dクラス 霧崎杏子 28点
一撃を与えながら離脱、同士討ちを狙う戦法により相手の召喚獣のゲームで言うところのHPともいえる点数が減少していた。
それでもまだまだ高い方の点数ではあるのだが、明久にとっては問題ないレベルである。
先程までもまったくひるむことなく戦闘し続けれたという点もあるがゆえに。
『なんで点数も数もこっちが上だというのに―――!!』
「技術が足りない、連携力が足りない……そして数だけで戦いが決まるなんて教えられた事はないからね」
余裕の表情はみせておらず明久は全く油断をせずに堂々と戦いを続けているのだ。
余裕をかましていいのは自分の父親だけだという妙な理念を持ち合わせており、格下である以上少しの油断も自分には許されないのだと心に刻み込んでいるのだ。
「明久を倒したければ最低でも腕輪能力を保持しておく事だな……数だけで圧すのは逆に明久に有利になるだけだ。単独でもあまり変わらないがね」
「氷室先生、何さらっと末恐ろしい事を言ってるんですか」
明久以外の戦場は既に戦いが集結している。
単純に2VS1の戦いであったことと、初めてであるはずなのに連携力が高いという利点により点数差を覆しての撃破である。
ゆえに後は明久の戦闘を見るのと向かってくるかどうかの確認なのだ。
「というか氷室……木刀を武器としてあんまり使ってないような……」
「ああ……映画とかでよくある、棒みたいなものを地面に突き刺してぐるんぐるん回る方法で攻撃したりしてるな」
「いや、片手でもって相手の武器を抑えながら空いてる手で攻撃を仕掛けたりもしてるぞ」
「あそこまで上手に動かせるもんなんだな……」
全員がゆっくりと打ち合うカクカク動作のゲームをしている中で明久だけが最新の格闘ゲームをプレイしているような状況である。
動きのキレも戦場における観察も半端ではないのだ。
『嘘だ、嘘だ……最低クラスなんかに……それも学園一のバカなんかに……!!?』
『そ、そんな馬鹿な……清水の奴が言ってたことが本当だっただなんて……!!』
化学フィールド
――― Fクラス 氷室明久 62点
V S
――― Dクラス 鈴木一郎 12点
――― Dクラス 笹島圭吾 9点
既に残りの人数もたった二人だけに減少しており、明久は無傷で点数が上の生徒を複数撃破したこととなる。
手の内を晒しすぎなような気もするのだが……明久としてもまだまだ隠し手が存在しているので何も問題がないのである。
既に戦意を無くした二人に対しても明久は油断などせずにしっかりと操作して刈り取った。
窮鼠猫を噛むという事態を警戒しての事である。
「戦死者は補習……!!」
『『う、うわああああああああああ!!』』
戦死と同時に生徒はあっという間に西村先生により補習室へと連行されていく。
全員の脳内で牛が連れられておくあの曲が流れているのだが、状況的にはおそらく似ているので問題はないはずである。
「よし……とりあえず点数の減った人は?」
「……2点削られたが問題はないな」
「俺も似たような状況だ」
損害軽微、相手の戦力多数撃滅……初戦としてはいい滑り出しだ。
敵の数はまだまだ多いので油断はできないが、精神に安定性を呼ぶにはいい傾向だろう。
「こっちに向かってくるのを防ぐ意味合いと時間稼ぎの意味合いで暫くは待機、かな」
「新たに指示もないからそうなるだろうな」
他の戦線の様子も見てみたいところだが、明久はとりあえず静観という方向で待機することにした。
現場だけの判断で戦略を破綻させるわけにはいかないのとあくまでもこの場所の確保と防衛だけしか指示を受けていないからだ。
例え、Dクラスから顔を少しだけ出してこちらの様子を伺っている生徒がいたとしても。
* * * * *
「教室から出てくる気配もなし……他の戦線に出てるのが順調ってことなのかな?」
「指示はないな……Fクラスから慌ただしく出かけていたりするが……」
明らかに他の戦線で不利な状況だと理解できたが、それでも明久はこの場を動かない。
この箇所を抜かれてしまえば本陣へとあっという間に詰め寄られるポジションでもあり、敵の攻撃を一方向防ぐ意味合いの方が強いからである。
どうやら敵は明久を警戒しているようなので明久のいる状況では迂闊に攻め込んでこないようだ。
「時間だけが経過していく……代表からの指示は―――」
「無いな……というか忘れ去られてたりして……」
冗談でも笑えないことである、が忘れているのであれば戦線を埋める為に別の者が派遣されてくるだろう。
暫くは警戒重視でおとなしくしておこうと思った矢先―――
「氷室!島田が援軍を要請してるんだが!!」
「なんで!?」
一人の生徒が駆け寄ってきたので情報の伝達だと思い話を聞いておいてと一人に指示したのだが、そこから出てきた言葉に驚くしかなかった。
というか驚き以外に表現のしようがない。
「いやいやいや……僕ここの担当だよ……島田さんは違う戦線だよね?」
「そうなんだが、形勢が不利になっていてな……『あのバカを呼んできて盾にするわよ』、と」
「逐一戦力を送ってるんだよね……?」
「戦死者がやけに多いんだよ……相手に点数詐欺してたのが多かったらしくてさ」
点数詐欺と聞いて明久は頭を悩ませる。
高い点数の持ち主が相手なら戦いに向かいたいのだが……今指示されているのはこの戦線の維持だけであり、命令違反で動くわけにはいかない。
自分とは違って頭がいい自分とは似ても似つかない代表の戦略構想を崩すわけにもいかないのだ……。
「峰打くん……代表に意見を聞きに行って」
「氷室はどうするんだ?」
「最悪、僕が関節を外されるだけでいいし……変更がない限りはここで待機するよ」
若干遠い目で答える明久に同行していた生徒の面々は島田の去年の暴力性を思い出しながら気分が滅入っていた。
それと同時に、彼女にしたくない女子ランキングに確実に入れてやるとも決意を固めて。
「じゃあ、行ってくる……吉井代表に指示を確認しにな」
「お願いね……」
気分が滅入っているが、それでも明久は相手の教室を睨みつけながら敵が出てくるのか来ないのかを判断し続けていた。
島田ァ…………氷室先生は責めないけどさあ(真に愛するなら壊せ!)
まあうん……もうちょいしたら暴力要素あっても受け入れてくれる相手と結ばれるから(ぇ