士道ともえかと明乃は生徒会室に入ると、挨拶を交わすと真由美から「座って下さい」と言われ士道達は椅子に座ると同時に真由美が話しかけてきた。
「じゃあ、全員揃った事だし昼食を兼ねて紹介しましょうか」
真由美はそう言うと、順番に生徒会役員の生徒を紹介してくれた。深雪の前に座っているのが、会計の市原鈴音、達也の前に座ってるのが、風紀委員長の渡辺摩利、そしてその隣に座っているのが書記の中条あずさ。
ちなみに鈴音の事は『リンちゃん』、あずさの事は『あーちゃん』だと真由美は紹介した。
「私をリンちゃんと呼ぶのは会長だけです」
「私にも立場と言うものがありますから、後輩の前であーちゃんと呼ぶのはやめてください!」
2人は真由美に抗議するのだが、当の本人は気にしてない感じだった。
「あーちゃん、自動配膳機の操作をお願い♪」
真由美は笑顔であずさに食事の注文をお願いした。
生徒会室に居る人間は全部で9人、だが自動配膳機から出された料理の数は8人分だった。もえかは1人分足りないと言いかけると、既に摩利の前にはお弁当が準備されていた。それを見たもえかは何も言わなかった。
その後、昼食が終わり、各自にお茶や紅茶、コーヒーが振舞われると、
「それで、今日は何で俺達を生徒会へと呼んだんです?」
士道が真由美に今日、自分達を生徒会室へ呼んだ理由を尋ねる。
「それはね‥‥」
真由美は紅茶を一口飲んで、カップをソーサーに置くと、真剣な眼差しで士道たちを見渡し、言い放った。
「まず、士道君と達也君‥両名を風紀委員に任命します」
「「はぁ?!」」
真由美の突然の宣言に思わずあっけにとられる士道と達也。
「なんで俺達が風紀委員に?」
達也が真由美にどうして自分達が風紀委員に所属しなければならないのかその理由を尋ねる。
「実は、風紀委員の中である不正が働いているみたいなの‥‥」
「風紀委員で‥‥」
「不正?」
士道達は学園の治安維持を担う風紀委員で不正とはいささか穏やかでないと感じつつも、それは本当なのか?と言う疑問も抱いていた。
「摩利、説明を‥‥」
真由美は風紀委員長である摩利に詳しい説明をする様に促す。
「ああ。最近、風紀委員内で生徒が行った不正を見逃す代わりに、その生徒から金品を揺すったり、風紀委員自体が、校則違反を行っていると言う噂を耳にした‥‥」
「でも、それは只の噂でしょう?」
「そうですよ。風紀委員に取り締まりを受けた生徒の八つ当たりかもしれませんよ」
士道と達也は未だに風紀委員が摩利の言うような不正をしているとは思えなかった。
風紀委員はこの学校でもそう簡単になれる委員ではない。
成績や人格面を徹底的に調査、吟味した結果、就任する事の出来るある意味エリートの様な委員である。
「それがそうとも言い切れない‥‥確信があるんだ‥‥ついこの間、ある事件があった‥‥」
『ある事件?』
自分達や学校には知られていない事件が起きていた事に思わず、声が重ねる士道達。
「先日、ある生徒から私宛にコンタクトがあったんだ‥‥『話したいことがあるから、会ってくれませんか?』って‥‥」
「それって‥‥」
「もしかして、渡辺先輩に告白とか?」
告白と聞いて思わず、顔をほんのりと赤く染めるもえかと明乃。
自分らが士道に告白する場面でも想像したのだろうか?
「違う!!その生徒、話の中で『風紀委員の不正について』って言っていた‥‥」
『‥‥』
摩利のその言葉を聞き、空気は摩利をからかってやろうと言うおちゃらけた空気から一変した。
「それで‥‥その生徒の話って言うのは‥‥?」
士道はその摩利に話を持ち掛けた生徒の話‥風紀委員の不正についてどんな話だったのかを尋ねる。
「‥‥聞けなかった」
「聞けなかった?」
「どうしてですか?」
摩利が何故その生徒から話を聞けなかったのか、どうして聞けなかったのかを質問するもえかと明乃。
「待ち合わせの場所と時間に私がそこへ行ってもその生徒は現れなかった‥‥一時間以上待ったけど、結局その生徒は現れなかったから、いたずらかと思ってその日は帰った‥‥でも、次の日、その生徒は意識不明の重体で、裏路地で倒れている所を発見された」
『‥‥』
話の展開に思わず息をのむ士道達。
「その生徒の身体には至る所に暴行の後があった事から、警察と学校は何らかの事件に巻き込まれたと見ているけど、私個人の意見ではその生徒は不正を働いた風紀委員にやられたと思っている」
「これが本当なら、由々しき事態だ‥‥」
「成程、だから、俺達を風紀委員に入れて内部調査をしろと‥‥」
「ええ」
「そんなっ!?」
「危険です!!」
話を聞いたもえかと明乃は士道達をそんな危ない事をさせたくはなく、反論する。
「でも、この案件は学校の治安維持上、捨てておけない案件なんだ」
「で、でも‥‥」
「それなら、森崎君に頼めばいいじゃないですか」
明乃ともえかは納得できず、もえかの方は代案を出す。
風紀委員に所属している森崎ならば、性格は兎も角、正義感だけはありそうだから、風紀委員の不正と聞けば、内部調査の仕事ぐらいやりそうである。
「残念だけど、森崎君は使えない」
「どうして?」
「彼の性格じゃ、『風紀委員が不正をする筈がない』って最初から決めつけているからな」
「「あ~」」
摩利の説明に思わず納得してしまう。
「だから、頼れるのは士道君達しかいないのよ‥‥この通り、協力して」
『会長!!』
真由美は士道達に頭を下げてまで風紀委員の内部調査を依頼する。
生徒会の皆は真由美のその行動に驚き思わず声をあげる。
「士道君、達也君、私からもお願いする‥協力して欲しい!!この通りだ!!」
摩利も士道と達也に頭を下げて頼む。
「わかりました」
「やりましょう」
「「お兄ちゃん!?」」
「お兄様!?」
依頼を受けた士道と達也にもえか、明乃、深雪は声を出して驚く。
自分達が慕う者達が意識不明の重体なるかもしれない。
その可能性が彼女らを不安にかきたてる。
「会長、風紀委員長、ならば私も協力します」
「わ、私も」
「私もです」
もえか、明乃、深雪も自分達も今回の依頼に協力すると言う。
「お前達は止せ」
「そうだ余りにも危険だ」
士道と達也は当然、止めに入る。
「わかりました」
もえか達の協力を真由美は受け入れた。
「「会長!!」」
その事に士道と達也は真由美に詰め寄る。
「でも、五月さんたちの役割はあくまでも、士道君達のバックアップよ‥‥いいわね?」
「「「はい」」」
((本当にわかっているのかな?))
バックアップとは言え、本当に危険はないのか?
もえか達が危ない事に首を突っ込んでこないか、不安になる士道と達也だった。
こうして、士道と達也は風紀委員に、
もえか達は、表向きは会長補佐、会計監査、第二書記と言う役柄で生徒会へと入り、士道と達也の二人をバックアップする事になった。