悲鳴を聞きつけた士道が、現場に到着すると、其処には倒れた天山の姿があった。
「おい!!しっかりしろ!!誰にやられた?」
士道は天山を抱きかかえ、声をかける。
「‥‥うっ‥‥け、携帯‥‥」
「携帯?」
「‥‥そこに‥‥奴の‥‥メール‥‥アドレス‥‥」
そう言って天山は意識を失った。
「‥‥」
士道は天山のポケットから彼の携帯を取り出し、受信メールボックスを開く。
すると、そこには、あの仮面野郎からと思しきメールがあった。
「お前の仇はちゃんと討ってやる‥‥だから、お前は罪を償え‥‥」
士道は意識を失っている天山にそう言った後、急いで救急車を呼んだ。
救急車に同車した士道は天山を病院に連れて行くと、真由美と摩利に天山が襲われた事を報告する。
報告してから数十分を過ぎた時、真由美と摩利が病室内へと入って来た。
「士道君、天山君の具合はどう?」
「医師の報告だと、重傷は負ってはいるものの命の別状はない、との事です。明日には意識を取り戻す筈です」
「そう…」
真由美は士道の報告に安堵する。
「それで、やっぱり天山君に怪我を負わせたのは士道君が前に報告した人物かしら?」
「自分が行った時には既に天山君はボロボロな状態でしたが、おそらくその人物ですね」
真由美の質問に士道は。犯人は仮面とフードを被った人物だと言う。
「ああ、私も士道君の意見に同意だな。おそらくその犯人は天山が士道君に姿を見られ、接触、尾行までされたんだ。これ以上天山を見逃していたら、自分が危うくなると思い天山を口封じしようとしたのかも知れない」
「「……」」
摩利の言葉に、士道と真由美はやるせない気持ちになった。
(くそっ、俺のせいだ‥‥事情を聴くにも通学路が自宅の周辺でするべきだった‥‥犯人は学校内の‥‥風紀委員の誰かだって事ぐらい分かっていた筈じゃないか‥‥これは俺のミスだ‥‥)
士道は天山が襲われたのは、自分の配慮の無さからだと痛感した。
彼は無意識のうち拳を強く握る。
「士道君、あまり自分を責めないで‥‥こうなったのは貴方に今回の依頼を持ちかけた私にも責任があるんだから」
真由美は士道の拳に優しく自らの手を差し伸べる。
「しかし、これでまた手掛かりがなくなってしまったな‥‥」
摩利が困ったように言う。
「いえ、奴等との連絡手段は手に入れました」
「「えっ?」」
士道の言葉に唖然とする真由美と摩利。
そんな彼女らを尻目に士道は天山の携帯を操作し、二人に見せる。
「これです」
「これって‥‥」
「天山君の携帯?」
「はい、彼が意識を失う前に俺に教えてくれました‥‥」
メールには、
お前の罪を見逃さない。
証拠は添付してある。
しかし、これはあくまで証拠の一部だ。
証拠全てを記録したSDカードが欲しければ、5万用意しろ。
尚、このメールは即座に消去しろ。
取引場所は‥‥
と、書かれており、添付画像には天山が万引きをした時の写真が添付されており、このメールのメッセージに信憑性がある事を裏付けている。
その後も金を催促するメールが続いていた。
しかし、天山もこのまま犯人の思うままになるのは癪だった様で、消せと言われていたメールを残し、いつか犯人相手に復讐をするつもりだったのだろう。
その行為は今まさに士道達に役立ったわけだ。
「この添付されていた写真以外が有るような内容だけど、彼は万引きの常習犯だったのかもしれないな」
「家庭環境と一科生となった学生生活の中で、刺激が欲しかったのかもしれないわね‥‥」
「火遊びにしては大きな代償となったわけだが、彼にはちゃんと罪を償ってもらうし、今回の件の犯人にはそれ以上の罪を償ってもらうつもりです」
「それで、どうするの?」
「連中がメールで脅しをかけて来たのであれば、此方も同じことをするだけです」
士道は何か策が有るかのように真由美と摩利に作戦を説明した。