魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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シャルロット回後編、さて、なのはの取った行動は…?


第10話  ダブル転校生 シャルルゴールド 後編

 IS学園2人目の男子生徒シャルル・デュノア。

だが、その正体は女子生徒シャルロット・デュノアだった。

彼女は経営状態の良くない実家から、

男として潜入し一夏の第3世代機のデータを奪取する様に命じられていたのだ。

 

 正体がばれた以上、もう学園にいられないと言うシャルロットに対し、

織斑姉弟は「学園の特記事項で、生徒は国家や企業他どんな組織からも

干渉されないから心配するな」と諭す。だがシャルルの心は決まらない。

そこに新たな闖入者、我等が暴走核弾頭高町なのはが入り込んできたのだ。

 

「高町…何のつもりだ?!」

 

 千冬の問いかけには耳を貸さず、なのははこう切り出した。

 

「二人とも、一つ間違いを犯しているの!」

 

「ま、間違い…ですか?」「どういう事だ?貴様は一体何を…」

 

「学園に残る事を諭すのは結構!!でも、それは受け身の対応策なの!!

そんなんじゃ彼女に卒業後の未来は無いの!!」

 

「!!」「む、それは確かにそうだが…」

 

 言われてみればその通り。織斑姉弟は卒業後はどうするのか?

という問いに答えていない。

 

「ならばどうするのかと言うなら、答えは簡単なの!!

こっちから打って出るの!!

早速束さんに連絡して今すぐリヨンでO☆HA☆NA☆SHIをするのっ!!」

 

「「「……………………………………………………………………はぁ?!」」」

 

 いきなりぶっ飛んだ事をまくし立てるなのは。

織斑姉弟は「こいつ正気か?」という顔で意味不明な発言に困惑したが、

即座に意味を悟り一斉に止めに入った。

 

「いやいやいや!ちょっと待て!!門限はとっくに過ぎているんだぞ!!」

 

「そうだって!!それに、ここからフランスまでどうやって「What?!」

 

「「ヒィ!!何でもありません!!」」

 

 すっかり「What?!」がトラウマになった織斑姉弟は一瞬で沈黙した。

 

「さあ、束さんにホットラインを繋ぐの!!」「うっす!」

 

 数秒後、専用機がホットラインを繋ぎ、ホログラムモニターに束が顔を出した。

 

『はろはろ~、なーちゃん元気ー?どうしたの~?』

 

「束さん!!早速だけど今の隠れ家のコードを教えるの!!」

 

『え?一体どうしたの?!』

 

「デュノア社が一夏君の白式のデータを盗んで

パクリ機体を造らせようとしているの!!例のフランス人の子は

男装していたけど本当は女で、実家の命令でスパイをやらされていたの!!」

 

『ナ、ナンダッテー?!!』

 

「放っといたら事がバレてフランスから何か踏み込んで来るかもしれないから、

こっちから打って出てO☆HA☆NA☆SHIをするのっ!!

今からそっちへ行って算段を立てるの!!!」

 

 ビキィ!!!

 

 なのはからの連絡を聞いた直後、束の額に青筋が走り、

鬼のような憤怒の相を浮かべた。

 

『スパイを送り込んで?白式のパクリ機体を造る?

ア・イ・ツ・らぁ~~~~~~~~~!!!』

 

 ISの本家本元を自負する束にとって、その様な行為は到底許せる物ではない。

束の返答は決まっていた。

 

『良く解ったよ!!コードは×××だから、その転入生の子も連れて来て!!』

 

「了解したの!!さあ、私についてくるの!!」

 

「え?え??待って待って!!ホントにこれからリヨンへ行くの?」

 

「そうなの!!とにかくついてくるの!!自由を得る為なの!!」

 

「は、はぁ…。」

 

 結局、シャルロットはなのはの言う通りに部屋を後にした。

 

「何だったんだ、あの人は…?」

 

「知らん。もう私がどうこうできる領域ではない。

さて…私はコイツに地下で補習をしてくる。明日に備えて早く寝ろよ?」

 

「お、おう…」

 

 千冬はなのはの気迫に中てられ、

失神している真耶を載せた台車を押して去って行った。

 

 

 

 フランス共和国 リヨン市 デュノア社本社社長室

 

 その日、デュノア社のCEOロベルト・デュノアは

娘からの報告が来ない事を不審がっていた。

 

「シャルロットは何をやっているんだ…?」

 

 スパイ計画の進捗状況を知らせる為定時連絡をする様に言っておいたが、

連絡が一向に来ない。

 

「無事に入学手続きは済んだ筈…もしや男として入れた事がばれたのか…?」

 

 ありえない事ではない。

学園だって、いや、むしろ学園程セキュリティの強固な所は無いだろう。

ばれたとしてもおかしくはない。

 

「(だが、それならそれで何か言ってくる筈。なぜ何も連絡がない…?)」

 

 全く連絡が来ないこの不気味な状況に不安を覚えるロベルト。その時である!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なのおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズドォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

「な、何だ?何が一体…!!!!!」

 

 降ってきたのは3人の人間、なのは、束、そしてシャルロットだ。

 

「シャルロット?!それに…タバネ・シノノノ?!」

 

「シャルロット、この人がお父さんで間違いない?!」

 

「う、うん。この人が父のロベルトだよ。」

 

「何だお前達は?!何をしに来た?!」

 

「私はタバネ・シノノノ専属操縦者ナノハ・タカマチ!!

O☆HA☆NA☆SHIに来たの!!」

 

「お、オハナシ…?」

 

「この娘をスパイに仕立て上げて何をしようとしているのかは、

東西南北、赤道直下、天地無用、一つ残らず

宇宙の果てまで全部お見通しなの!!」

 

「何?!くっ、まさかもう見破られたというのか…!!」

 

「でもIS学園の規定により生徒はどんな国、組織、団体にも所属しない以上、

そっちに返してなんかやらないの!!!

返して欲しければ力づくで捕まえてみやがるのっ!!!」

 

「我が社を脅迫するのか?!!お前達、何が望みだ!!」

 

「取引を要求するのっ!!シャルロット・デュノアの自由を認めれば、

ここにいるタバネ・シノノノ本人が直々に第3世代機を提供するの!!」

 

「な、何だと?!」

 

「ど、どうも~。言う通りにすれば、この束さんが手伝いますよ~。」

 

 まさに超展開。

「初日にばれたと思ったら娘が束とその専属操縦者を連れて乗り込んできた。」

こんなカオスを誰が予想しただろう。だがそれ以上に驚くべきは取引の内容だ。

 

「そ…その要求を呑めば…娘の自由を保証すれば…娘を解放すれば…

ほ…本当に…我が社の為に…タバネ・シノノノが…

だ、第3世代機を…提供してくれるのか?」

 

 第3世代機。それこそデュノア社が今最も欲しい物である。

ましてISの本家本元、篠ノ之束直々の第3世代機となれば

その価値は計り知れない。この要求を飲む価値は十分すぎる。

 

「無論なの!!約束するの!!

正式に文書を交わしてのギブ・アンド・テイクなの!!」

 

 さて、ロベルトの回答は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良いだろう、要求を呑もう…。」

 

「!!」

 

 ロベルトは観念したようにあっさりと要求を受諾した。

 

「それでは…。」

 

「ああ、その子は自由だ。もうスパイの真似事をする必要はない。」

 

「父様!!」

 

「シャルロット…お前、何一つ親らしい事も、

会話すら碌にしなかった私を、父と呼んでくれるのか?!」

 

「だって、だって、僕の父親は父様だけだから…。

父様が引き取ってくれなかったら…」

 

 確かに、父が見放していたら今のシャルロットは無かっただろう。

 

「あっさり要求を呑んだのは拍子抜けだったの!

この際だからついでに聞いておくの!!実の娘への仕打ちの理由を話すの!!」

 

「よかろう。一言で言えば、

その子を(アリエノール)から引き離したい…ただその一念だった。」

 

 それによると、ロベルトとアリエノールには息子シャルルがいたが、

17年前にロベルトの父諸共事故死していた。

それ以来アリエノールは精神を病み、自分の子が会社を継げないなら、

会社を自分のシンパだけにして乗っ取ってやろうと画策しているという。

 

 今の所はR・リヴァイヴを12か国で制式化させた実績で何とか抑えているが、

第3世代機開発の遅れが災いし、このままでは本当に乗っ取られかねない。

そんな時、自分の元秘書だったシャルロットの生母が死んだと知り、

ロベルトはせめてもの罪滅ぼしに残されたシャルロットを認知し、

正式に実子として迎えようとした。

 

 だが、自分の子ではないシャルロットに

会社を継がれてしまうと危惧したアリエノールは反対。

このままではシャルロットが危ないので、

ロベルトはどうやってシャルロットとアリエノールを引き離すかを模索した。

 

 幸いシャルロットはIS適正が高かったので、

非公式のテストパイロットとして会社に入れる事ができた。

IS操縦者は簡単に代えが利かない為、

いくらアリエノールでも手出しは出来ない。これで当面の安全は確保できたが、

ロベルトもシャルロットと会う機会を失った。

 

 そしてシャルロットの安全を確保するもう一つの手段として、

シャルロットをフランス政府に代表候補生として指名して貰おうと考えた。

そうすれば大手を振ってIS学園に入学させられる。

 

 学園は当人の合意無き生徒への干渉を禁じている為、

在学中の3年間は安全が保障できる。

その間にシャルロットに今までの事情を全て話し、

他国に亡命して貰おうと考えた。

亡命先の代表候補生になればなお良い。

他国の代表候補生には流石に手出しは出来まい。

 

 だが、フランス政府から承諾こそ得たものの、指名の条件として、

「ISを動かせる唯一の男イチカ・オリムラのデータを入手する為、

男として公表すべし。」

と通告を受けた。アリエノールの差し金である事は明白だった。

 

 原因は第3世代機開発の遅れだ。首尾よくデータを入手できればそれでよし、

失敗すればロベルトに責任を取らせて蹴落とし、

ついでにシャルロットもスパイとして捕え、

アリエノールがまんまと後釜となってデュノア社を乗っ取る。

そういう魂胆だった。

 

「…以上が、今までの経緯だ。」

 

「成程ね。会社の道具の様に扱っていたけど、

本心はあくまで自分の子を鬼嫁から護りたい一念だったと。」

 

「そうだ。今までの仕打ち、許してくれとは言わない。全ては私のせいだ…」

 

「父様…」

 

 シャルロットが父の本心を知り、涙ながらに継いだ言葉は…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「その一言で充分だよ。僕も、母様も、

それに本物のシャルルも、今の一言で救われたよ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 真実を知ったシャルロットの心から、父への恨みは消えていた。

彼女は父を許す事を選んだのだ。

 

「シャルロット…!」

 

「良かったじゃない。親子が無事和解できて…。」

 

「…いかにも。その子に付けた名も、あの時死んだ息子から採った物だ。

…おかしなものだ、もうあの頃には戻れないと解っていながら、

私はついぞ未練を捨てきれなかった…。」

 

「致し方ないの!私の知人にもそういう人間がいたの!

その人も先立たれた自分の子への未練を捨てきれずに死んだの!」

 

 彼女が語る知人とは最大の友、フェイトの母プレシアの事であった。

 

「でも、それもこれで終わりなの!

第3世代機を売り出して会社を立て直す事こそ、

息子さんと元秘書さんへの何よりの慰霊となるの!!」

 

「……その通りだ。では、具体的な金額の交渉に入ろう。」

 

「構わないの。…束さん、いいですね?」

 

「うん、いいよ。」

 

 と、そこに間の悪い闖入者が現れた。

 

『ロベルト、あの妾腹からの連絡はまだなの?!』




殴り込みをかける(戦闘するとは言っていない。)
戦わずして勝つ、これぞ理想の勝利。
しかし、空気を読めない不届き者が現れる。
次回、謎の闖入者の正体と、
なのはの前に立ちはだかる強敵の名が明かされる…!
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