魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
なのは達に立ちはだかるであろう強敵の正体は…
シャルロットがスパイで有る事を知り、
早速彼女と束同伴でデュノア社へと乗り込むなのは。
シャルロットの父ロベルトに
第3世代機の提供と引き換えにスパイ任務からの解放を求めた所、
ロベルトはあっさりこれを承諾し3人の前で今までの仕打ちの理由を白状する。
全ては会社乗っ取りを企てる本妻アリエノールから
娘を守る為の精一杯の親心だったのだ。
真実を知ったシャルロットは父を許す事を宣言。
これで親子の和解が成った、と思いきや…
『ロベルト、あの妾腹からの連絡はまだなの?!』
ホログラムモニターから苛立たしげな声で連絡を入れてきたのは、
大阪のおばちゃんめいた全身ブランドだらけの中年女だ。
何を隠そう、この女こそロベルトの本妻アリエノール・デュノアだ。
「むっ、アリエノールか…その件だが、もう必要は無くなった。」
『何ですって?!それは一体…』
「こう言う事だ。」
ロベルトの指した先には、なのはと束、そしてシャルロットの姿が。
『なっ…何でタバネ・シノノノがリヨンに?!それにそこの妾腹はどういう…』
直後、なのはがモニターの前に立つ。なのはが何をするか察した束が叫んだ。
「2人共、耳塞いで!!」
次の瞬間、なのはが大音声で吼えた。
「妾腹妾腹うるさいの!!!このワイン狂いのへべれけバゲット!!」
『んなっ…』
いきなり喧嘩を吹っ掛けるなのは。彼女は休む間もなく怒鳴り散らす。
「自分が産んでないのを良い事に汚れ仕事ばっかり押し付けて!!
そんなズルは筒抜けなの!!
ブラマンジェ以下の柔らか脳みそで天下のIS学園を欺けると思ったの?!!
社長は『第3世代機をタバネ・シノノノに依頼する』事に合意したの!!
そっちがどんな手を使おうが、この娘は連れ戻させないのぉぉぉぉぉっ!!!」
『な、な、な…何なのこの生意気な小娘は?!』
「通りすがりのタバネ・シノノノ専属操縦者なの!!覚えておくの!!!」
『小生意気な学生風情が!!誰に向かって口を利いているのか解って?!』
「ド田舎の社長夫人なんて知る訳ないの!!
そっちこそ、産業スパイを使ってのパクリ行為、
ISの本家本元に対する冒涜も甚だしいの!!」
「ひ、酷い!!」「ど、ド田舎…フランスが…ド田舎…」
「なーちゃん、ド田舎は無いでしょド田舎は…」
寧ろ味方の方が精神にダメージを受けている気がするが、
誰も指摘する勇気はない。
『オーッホッホッホ!辺境国のメス猿めは物も知らないのね!
「フランスのロスチャイルド」と呼ばれし名門、我が
を知らないなんて、あー可哀想!!』
実家の名を殊更強調して勝ち誇るアリエノール。
その言葉が出た瞬間、束の顔が引き攣った。
「え゛?!ど、どどどドニエール家?!ちょっ、何それ、聞いてないよ!!」
「おや?束さん知ってるの?」
勿論なのははそんな名前は全く知らない。
だが、束が怯む事から見て余程のビッグネームと言う事は理解した様だ。
「有名だよ!
ドニエール家は1000年を超える歴史を持つフランス一の大富豪一族だよ!
一族全員の合計総資産は1兆、2兆じゃ済まされないよ!!」
「13桁?ロスチャイルドに例えるにはちょっと…」
「単位は円じゃなくてユーロだよ!」
「ああ、成程…」
『それだけじゃなくってよ!!
私のパパは
叔父様は
叔母様は
従兄は現フランス大統領!!
兄は
弟は
分家姻族を含めれば、我が一族は全欧州を動かせてよ!!
ISの母如き、お話にもならないわ!!
オーッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホ!!
オーッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホ!!
オーッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホッホ!!!』
実家の名でなのはが完全に怯んだと思い込み高笑いを決め込むアリエノール。
確かに彼のロスチャイルド家に例えられるのも納得の名門である。
「な、何と言う事だ…だから今まで私が苦労を重ねて
今日までやってこれたというのに…。」
「あ、あはは…解ってたんだ。
やっぱり、僕なんかが逆らうなんて無理だったんだ…。」
本妻の実家がIS学園の特記事項を
ただの文章としてしまう程の権力と財力を有していた。
これがシャルロットが躊躇っていた理由である。
もしも織斑姉弟にこの事を話していたら、
彼等でもこれだけの力ある一族が相手では打つ手なしと諦めただろう。
「(成程、だから学園に残りたくても、それを言うのを躊躇っていたのか。)」
『お前達も知っていて?ICPOはパパの主導の下、
そこのアリス気取りの小娘対策で大改革を成し遂げた事を!
今のICPOは、国家にも匹敵する戦力を持った法執行機関であってよ!!』
アリエノールの言う通り、ISの誕生によりICPOは変わった。
篠ノ之束という超一級のテロリストに対処する為、
ICPOは国際社会の合意の下、
情報収集機関から実行力のある法執行機関へと再編されたのである。
具体的に言うと、事務総長直属の専門部署「
「IS絡みの犯罪者に限り、
対象者を発見次第現地へ捜査官を送り、現地政府に無断で逮捕しても良い。」
と国際社会で取り決めたのだ。そして実働部隊として、
各国から元国家代表及び現役あるいは元代表候補生の
警察官を選抜して6機編成のIS隊も創設した。
勿論、機体はお膝下のデュノア社製R・リヴァイヴ。
これを改装したR・R・ICDモデルと呼ばれる特別強化版だ。
その戦力は操縦者の技量も計算すれば、
欧州の4強、英・仏・独・伊と互角あるいはそれ以上。
もしドニエール一族に逆らえば、
ICCの逮捕状を錦の御旗にICDのIS隊が踏み込むだろう。
そればかりか、一族の当主でもある大統領の命令でフランスの対テロ特殊部隊、
そうなれば学園中の全ISを持ち出しても勝ち目はない。
良くてICDの捜査の邪魔をしたカドで逮捕され、
下手すればその場で返り討ちに合い、殺されても文句が言えない。
「………………………………………………………………………………………。」
「なのはさん…その…黙ってて御免なさい!!
気持ちは嬉しいけど、あの家に逆らえば貴女どころか、
下手したら篠ノ之博士まで捕まっちゃう!だから、これ以上は…」
沈黙を貫くなのはに謝罪するシャルロット。しかしシャルロットは知らない。
目の前にいるのは千冬をも破ったIS学園の暴走核弾頭であると言う事を。
『これで辺境の黄色いメス猿にもお解りになって?我が一族の前では、
お前達が何をしようがICDとGIGNがいつでも「どーん!」
なのはは最後まで言わせず窓の外へ光線をぶっ放した。
目標はリヨン名物の一つ、ICPO本部。
直後、本部からは爆炎ときのこ雲が。
なのはの攻撃が本部ビルを貫通し大爆発したのだ。
「「「『ナーアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア?!』」」」
「その程度の権力と財力で私を倒せると思っていたの?」
『ちょっとおおおおおおお!!何やってんのおおおおおおおおおおおお!!!』
「ロスチャイルド家に比せられる名門一族の女か…
いつかはデュノア社を乗っ取りたいと裏工作をしていたな…
いつかは乗っ取れると良いなぁ…。」
アリエノールを嘲笑うかの様な表情でなのはが一言発した瞬間…
ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!
デュノア社上空から奇怪な発射音と共に次々と光線が放たれた。直後…
ズッウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!!!
『ギャーッ!!』
突如映像が乱れ、画面の向こうから轟音が。
何となのはは専用機を遠隔操作してリヨンのデュノア社上空から
アリエノールがいるパリを砲撃したのだ。
たちまち画面の向こうから阿鼻叫喚が響き渡る。
『何するのよォーッ?!!殺す気ィーッ?!!』
「警告なの!!今ので大統領府と
ついでにヴェルサイユの
『ヒイイイイィィィィ!!フランスがー!フランスその物がー!!』
「ドニエール家がデュノア社から手を引く意志を見せなければ、
私はこの国を破壊し尽くすだけなのおぉッ!!!」
『何で射ってから言うのよ?!!普通は射つ前でしょぉぉぉぉぉぉぉ?!!
こんな事をしてただで済むと思わないで!!
パパに言いつけて、国際指名手配させてやるわよ!!』
「やれるものならやってみやがるの!!
全欧州の全軍を差し向けたとて、この私を超える事はできぬぅ!!!」
『ば、化け物!!』
「私が化け物?違う、私は悪魔なの!!!」
『お、お、お、覚えておきなさーい!!』
アリエノールは真っ青になって退散していった。
「これにて、一件落着ッッ!!!」「「「どこが?!」」」
「あぁ~~~~~~~⌒*(◎谷◎)*⌒~~~~~~~ん?」
「アッハイ、一件落着で良いです…。」「で、では金額の交渉を続けよう…。」
その後の交渉はとんとん拍子で進み僅か5分で契約は纏まった。具体的には…
・契約総額は3000万ユーロ。
前金は1/3で、残りは束が実機を引き渡し次第支払う。
・もしもEUが完成した機体をイグニッションプランに制式採用した場合、
デュノア社は礼としてもう1000万ユーロ束に支払う。
・第3世代機にはR・リヴァイヴに対する上位互換機能を付け、
R・リヴァイヴの全装備を無改造で搭載可能とする。
・無事に経営が立ち直ったら、ISの本文を果たす為の先駆けとして
本機をベースに宇宙開発に特化した機体を作り、専門部署を立ち上げる。
「…落とし所としてはこんな物だろう。」
「そうだね。それじゃあ、契約はこれにて成立!早速書面を交換してと…。」
こうして、束とデュノア社との間で契約は成立した。
だが、誰が予想できただろうか。これがあの惨劇の始まりになろうとは…。
うん、予想はしてた。