魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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さあ、ここからはタッグマッチ。一夏の鍛錬の成果が試される時が来ました。


第12話  タッグマッチやろうぜ!お前出禁な!

 そして、シャルルの正体が一夏達にバレた翌日の朝。

なのははラウラを除く専用機持ち+箒と朝練に勤しんでいたのだが、

いざ始めようとした矢先、突然クラスメート達が騒がしくなった。

その視線の先を見てみると…

 

「あ、あれは!?」「ラウラ・ボーデヴィッヒ…」

 

 ピットの出口に黒いISが。ラウラが専用機「黒い雨(シュヴァルツェア・レーゲン)

(以下、S・レーゲン)を纏ってそこにいたのだ。

 

「あ、あいつが…一夏をぶん殴ったっていうドイツの代表候補生?!」

 

「イチカ・オリムラ!」

 

「な、何だぁ?!」

 

 突然一夏の名を呼ぶとラウラは駆け出した。

 

「イヤーッ!!」

 

 連続前方転回でカタパルトから飛び出し…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日は…」

 

 空中で前方3回宙返りを決めると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に…」

 

 そこから3回ひねりを加え…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すまんかったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」

 

 着地と同時に両手と膝と額を地に付けた。

そう、ラウラは一夏の前で見事なジャンピング土下座を決めたのだ。

 

「ぼ、ボーデヴィッヒさん…?!!」

 

「その気はなかったとはいえ、

天井にめり込むくらい思い切り殴ってしまったのは私の落ち度だった!!

この通りだ、許してくれ!!」

 

 何かと思えば昨日の謝罪であった。それにしてもド派手な謝罪である。

 

「な、何というダイナミック謝罪…」「わざわざその為に…」

 

「何というか…面白い方ですわ。」「アイヤー…。」

 

 勿論、こんなものを見せられて、嫌と言えないのが一夏である。

 

「解った、解った!…昨日の事は許すから、もう立ってくれよ。」

 

「ほ、本当か?!」

 

「ああ。それに、お前に謝りたい人がいるんだよ。そうだろ、なのはさん?」

 

「ふえ?」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 見ると、なのは専用機が空中でひたすら土下座していた。

余りの速さにヘッドバンキングにしか見えないが、それだけ必死なのだろう。

 

「本当に御免。うちの専用機が

『数の子5号』なんて酷いあだ名で読んじゃって…」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「(ど、どうしよう…言葉を挟めない…)」

 

 驚異の1秒間に10回ごめんなさい連呼に何も言えずたじろぐラウラ。

というか、ちゃんと言葉が聞こえている時点で彼女も色々とおかしい。

 

「ハッ、いけないいけない…えーと、一つ教えて頂きたい。」「何かな?」

 

「なんで、『数の子5号』なんて呼び方を?」

 

「それはね…私の知り合いにそういう渾名のそっくりさんがいて、

その子と間違えたんだ。」

 

「そっくりさん?」

 

「そうなの。銀髪隻眼で、体型も声もそっくりなの。

ほとんど見分けがつかないの。つ写真」

 

「(写真を一目見て)ファッ?!(眼以外は私にそっくりではないか!)」

 

「えーと、これで解って貰えたかな?」「は、はあ…」

 

「本当に御免ね。」

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい

 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

 1秒間に10回ごめんなさい連呼が次第にペースアップして

12回程に増えている気がするが、キリが無いので止めさせる事に。

 

「そ、その…もう良いです。昨日の事は水に流すので、

そのぬいぐるみ?を止めてやって下さい。」

 

「あ、うん。有難う。もう許すって。」「はーい。」

 

 と、昨日の件は決着がついた、これで一安心。

 

 

 その日の朝食時、N○Kのニュース番組はこの話題で持ちきりだった。

 

「日本時間昨夜7時頃、フランスのパリ、リヨン、ヴェルサイユの3都市で

同時に発生した爆弾テロ事件は未だに解決の目途が立っておりません。

パリ市内で被害を受けた建物は、

 

フランス大統領府『エリゼ宮』、

フランス諜報機関、DGSE、対外治安総局の本部、

IIC、国際IS委員会のフランス支局の3か所、

 

ヴェルサイユではフランス国家憲兵隊の対テロ特殊部隊、

GIGN、治安介入部隊の本部。

 

そしてリヨンではICPO、国際刑事警察機構の本部ビル。

以上の3都市の計5か所が同時に爆破され、建物に甚大な被害が出た模様です。

幸いどの現場でも死傷者は出なかったとの事ですが、原因は解っておりません。

 

この件に関してフランスのドニエール大統領は声明を発表し、

『フランス、いや欧州史上最大のテロ事件である。

EU各国や英国、及び米国の協力も仰ぎつつ国の総力を挙げて

真相究明と犯人逮捕に勤める。だが、政府内では確証こそないが

一人の死傷者も出さずに3都市同時に爆弾テロを行えるのは

世界でもタバネ・シノノノしかいないのではないかと疑っており、

捜査と並行してタバネ・シノノノの捜索にも注力する。』

と事態の解決に向けて全力を挙げる姿勢を示しました。」

 

 このニュースの直後、生徒達は震えながら一斉になのはの方を向いたが、

なのはは平然と朝食を摂っていた。

 

 

 そして、SHRで真耶がこう切り出した。

 

「皆さん!いよいよ学年別トーナメントが近づいて来ました!

今年度の学年別トーナメントはクラス対抗戦でのアクシデントを考慮し、

2人1組で戦って貰います!…但し!」

 

 真耶はそう言うと、教室ドアを開けて廊下に退出、

壁の向こうから顔だけを出した。

 

「高町さん、その…とても言いにくいんですけど…」

 

「…何なの?」

 

「職員会議の決定で…貴女は今回の学年別トーナメントの出場禁止が…」

 

「What?!」

 

「ヒイイイイイ、やっぱりー!!」

 

 まやは にげだした! 

 

「逃げられないの。」

 

 しかし まわりこまれてしまった!

 

「さあ、O☆HA☆NA☆SHIなのぉっ!!」

 

「離してぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」

 

 なのはは真耶を引きずって教室を後にした。

 

「あー、私から言える事は、皆早目にペアを決めろと言う事だ。

では今日のSHRはここまでだ。授業を始めよう…」

 

 千冬がこの一言で場を閉め、本日の授業に移った。

尚、O☆HA☆NA☆SHIの結果なのはは

完全展開禁止及び単騎という条件で出場が決定した。

 

 

 

 そして、その日の昼休み…一夏はなのはとペアの件を相談していた。

 

「一夏君、タッグマッチのペアは決めたかな?」

 

「ペア?いや、まだですけど…でも、大体候補は決まってるんです。」

 

「誰なの?」

 

「やっぱり同じ専用機持ちのセシリアかシャルルかラウラの3人が狙い目かな。

…なのはさんが俺なら、誰と組みます?」

 

「私も大体同じなの!まずシャルル君、次点はセシリアなの!

近接特化の白式と相性が良いのは、汎用性に富んだR・リヴァイヴか、

射撃特化型のB・ティアーズなの!それに…」

 

「…解ってます。アレの件ですよね。」

 

 今シャルロットが女だと知っている生徒は一夏となのはの2人だけ。

その内なのはは単機での出場が決まっているので、

万一の事を考え、一夏が組むのが最善だろう。

箒や鈴音はファイトスタイルが一夏と似通っているため、

一夏のペアとしてはバランスに欠ける。

確かに鈴音には龍咆があるが、それはあくまで補助。

あくまでメインは双天牙月での白兵戦だ。

 

「う~ん。やっぱりそう考えるんだ。

よし!俺、一度シャルルと話を付けて来ます!」

 

「善は急げなの。他の子に取られたら大事なの。」

 

 一夏はシャルロットを探しに席を立った。

 

 

 

「一夏!」「箒か…」

 

 シャルルを探す途中、箒と鉢合わせした一夏。良く見ると、箒の顔が赤い。

 

「一夏…その…今度のタッグマッチ、私と組まないか?」

 

 予想通りだ。ファースト幼馴染を自負する箒が、

いの一番に一夏にペアと組もうとするのは必然。

だが、今の一夏はその申し出を受けられない。

 

「箒…………済まん!(合掌)俺、もう心に決めた相手がいるんだ。」

 

「ンガッ!!」

 

 一夏に出来る事は、心を鬼にしてノーと答える事だけだった。

 

「御免な、ホントに御免な!!」「あ、あ、あ………………」

 

 謝罪しながらその場を後にし、シャルロット探しに戻る一夏だった。

 

「ふええええええええええええええええええええええええええええええ~ん!」

 

 後に残された箒は涙声を挙げながらその場にへたり込んだ。

 

 

 

「さて、シャルルシャルル…ん?」

 

 ふと見ると、食堂の一角が騒がしい。もしやと思って近づくと…

 

「デュノア君、私とタッグマッチのペアを!」「いや、私と!」

 

「いいえ、私よ!」「私なんかどうかな~?」「是非私と!」

 

 予想通り、他の生徒達から誘いを受けるシャルロットだった。

学園に2人しかいない「男子」ならば致し方なかろう。

 

「はわわ、みんな一斉に話しかけないで~~!」

 

 余りの多さにシャルロットも困惑しきりである。

だが、一夏には返って良い目印となった。

 

「シャルル!」「あ、一夏!…どうしたの?」

 

「あ、織斑君だ!」「おお、おりむーだぁ!」「織斑君…まさか!」

 

「その…やっぱり、組むなら男同士がいいと思ってさ。

今度のタッグマッチ、俺と組まないか?」

 

「!!……僕で良いの?」

 

「ああ、お前が良いと言ってくれれば、俺は一向に構わないぜ。」

 

「………有難う!こちらこそ是非お願いね!」

 

一発OK。他の生徒達は呆気に取られてしまった。

 

「ううっ、やっぱり同性の壁は超えられなかった…」

 

「おまけにルームメイトだもん、仕方ないよ。」

 

「こうしちゃいられないわ!私達も早くペアを決めて、

2人を見返してやらなきゃ!」

 

 あっさりペアを決めた一夏とシャルロットに対抗意識を燃やす生徒達。

これは激戦になりそうだ。

 

 と、そこに…

 

「一夏!」「あ、ラウラ。」「その、相談なんだが…」

 

 銀髪隻眼の小柄な影が。

一夏を探し回っていたラウラがようやく目当ての相手を見つけたのだ。

その瞬間、周りの生徒達が一斉にひそひそと囁きだす。

 

「ねえ、あの子って…」

 

「昨日織斑君をアッパーでぶん殴ったドイツの代表候補生だよね?」

 

「でも私見たよ。

あの子が今朝アリーナで織斑君にジャンピング土下座してたのを。」

 

「ジャンピング土下座?!」

 

「うん。ISに乗って3回宙3回捻りから。」

 

「なにそれすごい!!」

 

「じゃあ、当人同士で解決済みって事?」

 

「そうじゃない?」

 

「じゃあ良いや、解散解散。」

 

「異議な~し。」

 

「はぁ…早くペア探さないと。」

 

 生徒達は散って行った。自分が忌避されていると受け取り、

改めて昨日の失態を恥じるラウラ。

 

「(くっ、やはりこの前の失態が響いているのか…

だが、ここでへこたれてはならん!)」

 

 それでもめげずにラウラが一夏を探し回っていた理由、それは…

 

「(このタッグマッチに優勝すれば、

イチカ・オリムラと交際する権利を得られるらしい。

ここで彼と組めば、ナノハ・タカマチと戦う機会が巡るやもしれん!!)

 

 今度のタッグマッチなんだが、私と組まないか?

専用機同士なら、きっと優位に勝ち進めると思うのだが…」

 

 確かに一理ある提案だ。だが、一歩遅かった。

 

「その…御免、ついさっき、僕とペアを組む事で意見が一致したんだ。」

 

「!!」

 

「だから…その…すまん。その話には乗れないんだ。」

 

「そ、そんな…間に合わなかったか…。」

 

 ショックの余りがっくりと膝を付くラウラだった。

 

「ら、ラウラ?!」

 

「ボーデヴィッヒさん?!」

 

「いや、大丈夫だ…しばらく、放っておいてくれないか?」

 

 何とか立ち上がると、足取りの覚束ないまま去っていくラウラだった。

 

 

 

「(くっ、この私が失態続き…どうすれば…)ん?」

 

 踏んだり蹴ったりの体で教室に戻ろうとするラウラ。

と、視界に同じく傷心の箒が入った。

 

「ホウキ・シノノノか…」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒか…見ていたぞ、見事に断られてしまったな。」

 

「ああ…私を笑いに来たのか?」

 

「いや、私もさっき同じ目にあったからな。…これからどうする?」

 

「一つ提案があるんだが…」

 

「奇遇だな。私もだ。」

 

 ラウラと箒は顔を見合わせると、何かを決心したように頷いたのであった。

 

 

 

 

 そして、いよいよタッグマッチ当日。

 

「こ、こいつは凄ぇ……」

 

 一夏が見ているのは更衣室のモニターに映っている観客席。

そこには各国政府の関係者やIS関連の研究所職員、

更には白式の製造元の倉持技研やシャルルの実家デュノア社等の

IS関連企業のスカウトマン、その他諸々の来賓が勢揃いしていた。

 

「3年生は国家や企業からのスカウト、

2年生は1年の成果の確認の為に人が来ているんだって。

1年生もトーナメントの上位入賞者はマークされると思うよ。」

 

「ふーん、そうなんだ。

でもさ…なのはさんを見たら皆どんな顔するんだろうなぁ?」

 

 確かに、ブリュンヒルデを負かした女の力を見たらどうなるのか、

興味が尽きない所だ。

 

「で、俺達は確か、ラウラ・箒ペアと2戦目で戦うんだっけ?」

 

「そうだよ。で、1戦目なんだけど…」

 

 その頃鈴音は…

 

「な……何なのよ、この組み合わせは……」

 

「リン?どうしたの…!!」

 

 鈴音はルームメイトのティナ・ハミルトンとペアを組む事になったのだが、

2人は対戦カードを見て絶句した。それもその筈、その対戦カードは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【凰鈴音&ティナ・ハミルトン】

 

VS

 

【高町なのは】

 

 

 

 

 なんとしょっぱなからなのはの相手をする羽目に。

 

「もうだめだ…御終いだぁ…」「リン、大丈夫?!」

 

「逃げるんだぁ…勝てる訳が無いよぉ…。」

 

 サイヤ人の王子のようなセリフを吐いてへたり込む鈴音。

そりゃ、毎日あれだけ扱かれている相手とぶつかる事になって、

平静でいられるはずがない。

だが、これが現実なのだ。そして非情にも時間が来た。1回戦第1試合、

アリーナではなのはが恐怖で及び腰の鈴音とティナのペアと対峙していた。

 

 勿論、なのははISを展開していないが、観客には事前に

 

「高町なのはは束の専属操縦者につき、

技量及び専用機の性能が他の1年生を大きく凌駕している為、

完全展開の禁止、及び単騎で試合に臨むというハンデを課せられている。」

 

 と言う説明がされていた為、皆至って平静だった。

 

『1回戦第1試合、凰鈴音&ティナ・ハミルトンペア対高町なのは…始め!』

 

 遂に試合開始のコール。次の瞬間、なのはの姿がアリーナから消え…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どーーーーーーーん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、アリーナ全体が震えた。

アリーナを揺るがす咆哮と共に放たれたダブルアッパーは鈴音とティナを直撃。

両機は一撃でSE切れとなり、

 

「アイヤァーーーーーーーーーー!!」「Oh, noooooooooo!!」

 

 遮蔽シールドをブチ抜くや、

天まで届くかと思う悲鳴と共に遥か天空へと飛んで行った。

 

『け、け、け、け、け、決着~~~~~~~~~~~~~~?!』

 

 余りの瞬殺ぶりにコール役の真耶も驚嘆し、思わず声が出てしまった。

だが、最早勝敗は誰の眼にも明らかだ。第1試合はなのはの勝利である。

 

『ハッ…いけないいけない…勝者、高町なのは!!』

 

「POWEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEER!!!」

 

「「「「「…………………………………………………………………。」」」」」

 

 観客は沈黙している。

本来なら勝者の姿に観客は熱狂し、賞賛するものだが、

なのはには歓声も拍手もなかった。

なのはが控え室に戻ろうとすると、観客は避けるように逃げて行った。

 

「あ、あれがISの母の専属操縦者の実力…なのか?」

 

「ISの本家本元、タバネ・シノノノの最新機…恐るべし!」

 

「最早、代表候補生程度では練習にもならんと言うのか…?」

 

 ぶっちぎりの優勝候補、

というか優勝確定であるなのはのぶっ飛んだ戦闘力に他の出場生徒、

各国の来賓、学園教師、その他大勢の誰もが震え上がった。




教員一同「やっぱり出禁にしておくべきだった…」
なのは「⌒*(◎谷◎)*⌒」
教員一同「いえ、何でもありません!」
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