魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
第2試合が一夏・シャルロットペアの勝利で決着したと思いきや、
ラウラの専用機S・レーゲンが突然謎の変形を遂げた。
かつての千冬とその専用機「暮桜」を模したその姿に、アリーナが騒然となる。
「!! あれは…VTシステムだと?!」
「知っているんですか、雷…織斑先生?!」
「うむ、正式な名はヴァルキリー・トレース・システム。
過去のモンド・グロッソの
操縦者に『能力以上の事』を要求するその性質上、
肉体に命に係わる負荷を掛ける為、
現在はどの国家・組織・企業においても
研究、開発、使用が禁止されている危険物だ。」
「そ、そんな!何でそんな物が…」
「詮索は後だ!試合を一旦中止する!!来賓の方々を安全な所へ!!
アリーナと観客席は装甲シャッターで遮断!!
そしてIS教員にスクランブル発令!!一般教員には避難誘導を命じろ!!
それと…高町を呼べ!!!」
「えええっ!高町さんですか?!」
「そうだ、偽物とはいえあれは私だ。
鎮圧できるのは奴くらいだろう…急ぎ高町を呼ぶんだ!」
「はい!!」
一方、アリーナでは…
「うっおーっ!くっあーっ!ざけんなーっ!
よくも千冬姉に化けやがったな!!許さねえ!!」
ニセ暮桜の姿を見た一夏は怒り心頭で斬りかかろうとするが、
それを止める者がいた。
「一夏、落ち着け!!」
箒が一夏の前に立ち、制止した。
「箒?!止めないでくれ!!あいつは…」
「SEゲージを見ろ!!今の白式にSEがどれだけ残っている?!」
「うっ…」
彼女の言う通り、2回の瞬時加速と二重瞬時加速を使用したせいで、
白式の残りSEは80まで減っていた。
いくら偽物とはいえコピー元はあの千冬である。戦わば一瞬で返り討ちだろう。
「畜生!!」
「ここは先生方に任せて、私達は下がろう!
悔しいが、今の私達では歯が立たない!!」
一夏と言うより、自分に言い聞かせるかのように告げて退避する箒、
シャルロットもそれに続く。一夏も下がり際に改めてニセ暮桜を見る。
偉大なる姉の嘗ての栄光の姿を真似た紛い物、
断じて許せるものではない。が、今の一夏にはどうすることも出来ない。
そうこうしている内にIS教員が到着し、ニセ暮桜を取り囲む。
「織斑先生、目標を包囲しました!」
『了解しました。
しかし、あの中には生徒がおりますので手出しはしないで下さい。
救出は別の者が行います。』
「えっ?別のって…まさか?!」
『そうです。そのまさかです。』
IS教員達が恐怖に固まる。直後…
「なのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
これで何度目だろうか。なのはが上から降ってきた。
「「「「「ギャーッ!!で、出たァーーーーーーーーーーーーッ!!」」」」」
『高町、後は貴様に任せるが良いな?!』
なのはは無言でサムズアップ。そしてニセ暮桜に向き合うと戦闘態勢に入った。
「千冬先生に崇敬の念を持っていたらしいけど、
そんな形だけの猿真似じゃ逆に貶める結果にしかならないのっ!!
…さあ掛かって来るの!!!」
ニセ暮桜はなのはの挑発には怯まず瞬時加速で肉薄、
雪片弐型そっくりの黒色剣で斬りかかった。
しかし、今のなのはに刀剣での攻撃は通用しない。覚えているだろうか?
なのはが一夏に稽古をつける際、一夏の攻撃にどうやって対応するかを…
「(見切った!!)」
なのはもニセ暮桜に接近。黒色剣の柄を掴むと…、
「むとうどりぱぅわぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
専用機の掛け声一下力任せに黒色剣を奪い取った。
「どーん!」
そしてニセ暮桜を峰打ちフルスイングで殴り飛ばし、壁に叩きつける。
「かぁ!らぁ!のぉ!でやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
更に追撃でニセ暮桜の胴体を強引に切り開き、
埋もれていたラウラを引きずり出した。
「意識こそないけど、脈はある…命に別状はないと見た!」
ラウラと切り離されたニセ暮桜は元のS・レーゲンに戻り、
待機状態へと戻っていく。なのははレッグバンド状のS・レーゲンを回収すると
素早くピットへ退却していった。
管制室から見ていた千冬は2人の無事に安堵しつつ、
S・レーゲンがニセ暮桜に変形する瞬間を確認する。
「どうやら片が付いたようだな…。しかし、このVTシステム…」
「どう見ても織斑先生のデータを使っていますよね?」
「ああ、恐らくはモンド・グロッソに出ていた頃の私のデータだな。」
S・レーゲンはドイツ製。
そして、モンド・グロッソ前回大会開催地にして
一夏が亡国機業に攫われた地もまたドイツ。
千冬は今回の事でドイツに対する疑惑を深めていったのであった。
「それにしても、どこのどいつがこんな危ない物を造ったんでしょうか…?」
次の瞬間、真耶は強烈な殺気に晒された。
「山田…貴様は今夜補習の続きだ。」
「ナンデ?!」
結局、学年別トーナメントは理事会の判断により1回戦だけは全試合を行うが、
2回戦以降は全て中止と決定した。
そして、その日の夕方…
「………。」
ラウラは目を覚ました。消毒液の臭いから、
自分は保健室にいると言う事を察した。
「気が付いたか?」
ふと声を掛けられ、声の方に向くと、そこには千冬がいた。
「教官殿…?何が…あったのですか?
私は、どうなったのですか?…ぐあっ!!」
ラウラは自分の寝ているベッドから上半身を起こそうとするが、
直後激痛が走り、倒れ込む。
「無理をするなよ。お前には全身に必要以上の負荷がかかっていたからな。
それでお前に聞きたい事がある。」
「何でしょうか?」
「重要案件であり、機密事項でもある。その積りで聞け。
VTシステムという言葉に聞き覚えはあるか?」
「はい。確か、ヴァルキリー・トレース・システムの略語と…」
「そうだ。お前のS・レーゲンにそれが搭載されていた。
お前は何か心当たりがあるか?」
「いいえ。…敢えて言うならば…。」
「何だ?」
「私はここに転入する前、
メンテナンスの名目であの機体を整備の者に渡していました。
そして、私は機体とは別の便で日本に来て、
東京のドイツ大使館で機体を受領したのです。」
「そうか…ラウラ・ボーデヴィッヒ、お前に問う。」
千冬は突然ラウラを呼ぶ。
「はい!」
「お前は…一体何者だ?」
「わ、私は…」
「答えられないだろう。だが、何者でもないならちょうどいい、
お前は今ラウラ・ボーデヴィッヒになったのだ。
一人の人間、ラウラ・ボーデヴィッヒにな。」
「は、はい…」
千冬は立ち上がると、去り際にこう言い残して去って行った。
「何をしたいのか、どうなりたいかこれからよく考えるといい。
少なくとも3年はここにいるのだ。
考える時間はある。よく悩んで答えを出せよ。」
その夜、NH○のニュース番組からこのような報道が入った。
「次のニュースです。先程ソウルから入った情報に依りますと、
韓国の国会議事堂で突如天井の一部が崩落したそうです。
幸い、死傷者は出なかったとの事ですが、原因は解っておりません。
この件に関して韓国政府は日本に対し謝罪と賠償を強く求める声明を…
あ、今速報が入りました。
日本政府は先程『真に遺憾である』と声明を発表しました。
繰り返します。
日本政府は先程『真に遺憾である』と声明を発表しました。」
そしてトーナメントの中止が決まった翌朝の事。
なぜかシャルロットが不在のままSHRが始まった。
そして昨夜千冬に〆られたばかりの真耶が
何とも言えない表情で教卓に立っている。
「えー、えーっと…きょ、今日は皆さんに転校生?といえばいいのかな?
を紹介します…。」
転校生という言葉が疑問系なのは如何いう事なのか、
その理由を知っている織斑姉弟は顔が綻んでいる。
そしてシャルロットの席は空席だ。
これはどういう事だろうか?クラスの皆が首をかしげる中…
「ど、どうぞ~。」
真耶の言葉と共に入ってきたのは金髪の女子生徒だった。
正体はもうお解りだろう。
「シャルロット・デュノアです。皆さん、改めてよろしくお願いします!」
「な…」
「な……」
「ナンダッテーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!」
クラス中が絶叫した。
一夏となのは以外のクラスの誰もが今まで彼女は男だと思っていたので、
実は女子だったと知り、驚天動地の事態に。
「ま、まさか美少年じゃなくて美少女だったってなんて…」
「玉の輿がぁぁぁ…」
「これがホントの男装の麗人…」
「おかしいと思ったら、こういう事だったのかー。」
「って、あれ?今のデュノアさんのルームメイトって織斑君だから…」
「って言うか、昨日って男子が大浴場を使えるようになって、
その時デュノアさんも…」
とクラスがざわついていると…
ドドドドドド…ガラッ!!!
「いぃちかぁああああああああああああああああああああああああああ!!!」
「おぉおりむらせんせえええええええええええええええええええええい!!!」
突如教室のドアが開けられ、鈴音を先頭に何人かの教員が乗り込んできた。
「織斑先生!!どういう事ですか?!」
「納得いく説明を求めます!」
「男女を相部屋なんて、何か事があったらどう責任を取るつもりですか?!」
「先生方落ち着いて下さい!この件は…」
千冬が何とか先輩達を宥め透かしているが、
その背後では何処から出したのか木刀を構えた箒が
その切っ先を一夏に向けている。鈴音も臨戦態勢だ。
「一夏…覚悟はできてる?」「ハイクを詠め、カイシャクしてやる。」
「ちょ、ちょっと待って!説明位させて!!」
「言い訳無用!!」「天誅ぅぅううう!!」
ISを使えば周りに被害が出ると考えるだけの理性は有ったのか、
鈴音はドロップキックで一夏に飛びかかった。同時にに箒も木刀で殴りかかる。
しかし、どちらも一夏に当たる事は無かった。
ガシッ!!
一夏の前に現れたラウラが鈴音を腕でブロックし、
箒の木刀はもう一方の手で受け止められた。
「た、助かったぜラウラ、ありが…むぐ!?」
次の瞬間、ラウラはお礼を言おうとした一夏の唇に自分の唇を強引に重ね、
こう宣言した。
「『異性を傷物にした罪は、相手を嫁とすることでしか償えない』
と母国で教わっている。よってお前を私の嫁にする!
決定事項だ、異論は認めん!これは私なりのケジメと思ってくれ!」
「よ、嫁ぇぇぇえええ?!」
騒然となる教室。よりによってラウラが抜け駆け同然に
一夏のファーストキスを奪ったのだから仕方なかろう。
と、そこに救世主が。
「アンタ達、いい加減にしなさい!!」
突如何者かが教員達の背後から一喝した。その声に教員達が振り返ると…
「げぇっ!!日高主任!!」
そこにいたのはギリギリ20代の見るからに肝っ玉な女教師、
その名は日高舞。IS学園1年の学年主任である。
「ひ、日高主任、聞いて下さい!!織斑先生は…」
「その件なら学園長も既に承知済みよ!!
尤も、バレた以上また変えなきゃいけないけどね…
とにかく!!この件に文句のある先生は学園長に直接申し立てる様に!!」
「「「は、ハイ…」」」
「さあ、授業に戻りなさい!ほら、そこの2組の子も!」
「…はい。」
と、舞の鶴の一声で場は収まり、教員達と鈴音は戻って行った。
「日高主任、助かりました。」
「なーに、良いって事よ千冬ちゃん。」
「う…そのちゃん付けはやめて頂きたいのですが。」
「何言ってんのよ、まだまだ教員としては新参なんだから、
もっと経験を積みなさい!(大笑」
「はぁ…恐れ入ります。」
日高舞、彼女は教育実習生時代の千冬の教育係を務め、
世界でも稀有な千冬に上から物を言える女であった。
韓国…強く生きろ。
でもあと2回やったらフラグ回収だから、気を付けてな…。
次回、暴走核弾頭が遂にその本領を発揮する…!