魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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第20話  臨海学校初日 前編

 ラウラ捕縛作戦返り討ち事件も一段落し、月が替わって間もなくの事。

 

「「「「「見えた!海だー!!」」」」」

 

 トンネルを抜けたバスの中で生徒達が歓声を上げる。

 

「そう言えば俺も海なんて来るの久しぶりだよなぁ。」

 

 窓の外を見ながら一夏が呟く。とそこにセシリアが…

 

「一夏さん!」

 

「ん? 何だセシリア?」

 

「も、もしよろしければ海に着いたら私と…」

 

 ガッ!

 

「フゴッ?!」

 

 直後、シャルロットがセシリアの口を塞いだ。

 

「駄目だよセシリア!一人で抜け駆けなんてズルい!」

 

「ん゛ー!!!!ん゛ー!!!ん゛ー!!ん゛ー!ん゛ー…(ジタバタ」

 

 ドサッ…

 

「…………おろ?ちょ、セシリア?!」

 

 意識喪失したセシリアを慌てて抱き上げるシャルロット。

どうやら鼻まで塞いでしまった為窒息した様だ。

 

「え、えーと、大丈夫か?」

 

「う、うん!脈はあるよ!」

 

「ホッ…そうか。」

 

 これにて、一件落着。その頃バスの前列では…

 

「やっぱり海はいいですね、織斑先生。」

 

「うむ。だが勘違いするなよ?臨海学校とはいえ、実質は校外実習だからな。」

 

 最前列に座る千冬と真耶の教員ペア。その後方にはなのはがいる。

 

「その割には楽しそうなの、私は知っているの!

先生が一夏君に水着を選んで貰ってた事を!!」

 

「んなっ!」

 

「………織斑先生?」

 

「な、何故だ、貴様何故それを…」

 

「私は見たの!!先生が姉弟で水着コーナーに入って行ったのを!!」

 

「何…だと…?」

 

「店員さんに夫婦と間違われていたのも、皆見ていたの!!

でもお似合いなの!!血が繋がってさえなければ、仲良し夫婦になれたの!!」

 

 それを聞いた千冬、羞恥で耳まで真っ赤になりながら鬼の形相で睨み付ける。

 

「黙れ喋るな、それ以上何か言ったら〆るぞ。」

 

「どうやって?(ヤマトが出席簿をピラピラ)」

 

「あ!貴様いつの間に?!」

 

「おとなになってね、ぶらこん。」

 

「畜生!!ああ、ほら、そろそろ目的地に着く。ちゃんと席に座れよ。」

 

「はーい。」

 

 そして、バスは目的地である旅館「花月荘」へ到着した。

4台のバスから生徒達が降りてきて整列する。

 

 

 

「さあ皆、ここが今日から三日間お世話になる花月荘よ。

従業員の仕事を増やさないよう注意しなさい!」

 

「「「よろしくお願いします!」」」

 

 今回の引率役のリーダーを務めるのは1年次の学年主任、日高舞。

彼女の言葉に続き、全員で挨拶をする。

 

「はい、こちらこそ。

私が当花月荘の女将、清洲景子(きよすけいこ)です、どうぞ宜しく。」

 

「ああ、それと…」

 

「女将さん女将さん!!この場で伝えたい事が有るの!!」

 

 舞がなのはを呼び出す前に、なのはが学生証片手に女将の前に現れた。

 

「私が以前に連絡した高町なのはなの!!

この学生証の通り、私は織斑先生と同じ24歳なの!!(学生証を見せる)」

 

「は、はぁ…」

 

「(千冬の方をチラ見しつつ)そういう訳だから、

万一私が先生の誰かに混ざってお酒を呑んでいても

『成人だから仕方ない』という事で、

従業員の皆さんにも改めて連絡をお願いするの!!!」

 

「アッハイ。従業員達にも徹底させます。」

 

「何卒よろしくお願いするの!!!」

 

 いつも通りのなのはの迫力に、流石の女将も怖いのか顔が引き攣っていた。

 

「そして…一夏、こっちへ来い。」

 

「お、おう。」

 

 今度は千冬が一夏を呼びだした。

 

「今度は私から連絡事項を。

今年から唯一の男子生徒として私の弟の一夏が入学しました。」

 

「お、織斑一夏です。よろしくお願いします!」

 

「まあ、弟さんが生徒として?それは大変ですね。」

 

「ええ。しかも私の組にですよ?

それで、部屋割りに関してですが、担任の私と相部屋でお願い出来ますか?」

 

「はい、構いませんよ。では皆様、お部屋の方へどうぞ。

海に行かれる方は別館で着替えられるようになっております。

是非そちらをご利用なさって下さいな。

場所が分からなければ従業員に聞いて下さいまし。」

 

 生徒達は女将の説明に応じてすぐさま旅館の中へ入って行った。

なお、なのはは生徒中で唯一の成人故、一人部屋を割り当てられる事に。

 

 

 

 そして生徒達が海へと繰り出す中、一夏はと言うと…

 

「………………………………………………………………………………………。」

 

「さあ一夏さん、お願いしますわ。」

 

 一夏の目の前でビーチパラソルの下でシートにセシリアがうつ伏せている。

しかも水着の紐を解いて完全に背中を晒した状態で。

もし何かの拍子に身体を起こしたら…。

 

「アンタ、一夏に何させる積もりなのよ?」

 

「見ての通り、サンオイルを塗って頂くのですわ。

淑女との約束を違えるなど紳士のする事ではありませんわよ。」

 

 尚、一夏はサンオイルに触った事は一度もない。

どう塗ればいいのか全く分からない。

サンオイルの瓶片手に、一夏はは未だ嘗て無い危機を迎えていた。

 

「解った、仕方ない…そ、それじゃあ…。」

 

 だが約束してしまったものは仕方ない。

オイルを手に塗り、セシリアの背中に触れると…

 

「キャン!」「ファッ?!」

「い、一夏さん。オイルは手で少し温めてから塗ってくださいな…。」

 

「わ、悪りぃ…俺、こう言う事するの初めてなんだよ。」

 

「そ、そうだったんですの?それなら仕方ありませんわね。」

 

「アンタ、何で嬉しそうなのよ…」

 

 傍目でツッコむ鈴音を余所に、一夏は背中にオイルを塗っていく。

 

「はぁっ、アアン…♥」

 

「せ、セシリア?何と言うか、声が物凄くアレなんだけど…」

 

「だ、だってぇ♥一夏さんがお上手だからぁ♥クゥゥ~ン…♥」

 

 声だけ聴いていると、とっても卑猥。

別に疾しい事はしていないのだが、それでも卑猥。

 

「おお、気持ち良さそう。」

 

「こっちまでドキドキしてきちゃうよ。」

 

「な、なんか、凄く…エロくない?」

 

 側で見ているセシリアのルームメイトの清香や、

彼女と常に一緒の本音、そして鈴音も顔が赤くなる程だ。

 

「なあ、背中だけでいいのか?」

 

「いえ…折角ですし、手の届かない所は全部お願いします…♥」

 

「えええっ?!それって…」

 

「脚と…それから、お尻も…」

 

「アイエエエエエエエエッ?!」

 

 と、セシリアからのかなり際どいオーダーに怯む一夏。そこに…

 

「ハーイ、そんならアタシがやったげる!むっふっふ~。」

 

 いつの間にか両手にサンオイルを塗っていた鈴音が割り込んだ。

 

「ほれほれ、ほーれほれほれ!」

 

「アッハハハハハハハ!キャハハハハハハ!」

 

 強引な塗り方がくすぐったいのか大爆笑するセシリア。

 

「ああ、こっちも塗って欲しかったんだよね、ホイホイっと!」

 

 鈴音がセシリアの尻にサンオイルを塗りたくる。

 

「ひゃああん!鈴さん、もういい加減に…」

 

 余りのくすぐったさに思わず起き上がってしまったセシリア、

だが、水着の紐を解いた状態で起き上がったりしたら…

 

「あっ…」

 

 言うまでもなく、胸が丸見えである。

箒程ではないが、その胸は歳の割には豊満であった。

 

「Oh…。」

 

 ガン見してしまった一夏。見る間にセシリアの顔が赤くなり…

 

「イーーーーーーーーーーーーーーーヤーーーーーーーーーーーーーー!!!」

 

SPAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAANK!

 

「ぴぎゃん!!」

 

 一夏は思い切り張り飛ばされ、海へと落ちていった。

 

 

 

 数分後…

 

「はぁ~。セシリアの奴、どんだけ馬鹿力なんだよ。おー痛ててて…。」

 

 海から上がった一夏。ふと顔を上げると、

丁度本音達がビーチバレーをしようとしている所に出くわした。

 

「お~い、おりむー、一緒に遊ぼうよ~。」

 

「ビーチバレーやろう!ビーチバレー!」

 

「ビーチバレーか、ああ、いいぜ!」

 

 一夏も一緒に遊ぶ事に。と、背後からシャルの声が。

 

「一夏、ここにいたんだ!」

 

「んん?…ってうわ!!」

 

 一夏が振り返ると、全身バスタオルでぐるぐる巻きの何者かがそこにいた。

隣には三つ編みにオレンジのセパレート姿のシャルがいる。

 

「何だ、そのバスタオルの妖怪!」

 

「ほら大丈夫だってラウラ。一夏に見せてあげなよ、水着姿。」

 

 確かに、よく見ると左眼の眼帯でラウラだという事が直ぐに判った。

 

「だ、大丈夫じゃない、大問題だ!」

 

 どうやら、ラウラは水着姿を見られるのが恥ずかしいので、

こんな姿になってしまったようだ。

 

「『旦那』になら、水着姿位見せてあげられるよね~?

見せてあげないと、嫌われちゃうよ~?」

 

「そ、それは!ううううう…ええい、ままよ!」

 

 シャルに煽られ、ラウラはバスタオルを脱ぎ捨てた。

その下から現れたのは濃紺色のビキニ。

胸こそ平坦だが、各所に付いたフリルのおかげでとても可愛らしく見える。

 

「ど、どうだ?」

 

「別におかしな所なんてないよね、一夏。」

 

「ああ、俺も可愛いと思うぞラウラ。」

 

「か、可愛い…そうか…私は、可愛いのか。」

 

「ああ、にしても…ラウラって、肌白いなー。」

 

 元々人種が人種だけに色白だが、ビキニの色が対照となっているせいで、

今日のラウラはいつもより色白に見えた。

普段は白が基調の学生服で色白さが目立たなかったから猶更だ。

 

「そ、そうか…だが、何だか病的に見えて余り良い気が…」

 

「綺麗だよ。」

 

「き、綺麗?!」

 

 もうラウラは首から上が真っ赤だ。これ以上やると卒倒しかねない。

 

「い、一夏!」

 

「あ、箒。」

 

 今度は箒がやってきた。箒の水着は白いビキニで、

ラウラとは対照的な豊満な胸を面積の少ない布が強調している。

 

「箒、一緒にビーチバレーやらないか?」

 

「い、いや…私は遠慮しておこう。そこで見物に徹するよ。」

 

「そうか…」

 

「織斑くーん、さっきの約束ー!」

 

「早く、早く~。」

 

「あ、ああ!」

 

 という訳で相手チームのトスでゲーム開始。

お互い一歩も譲らないが、水着というより着ぐるみのようなコスチュームの上、

マイペースな本音が若干足を引っ張っているようだ。

そして、相手チームがアタックを仕掛ける。ボールは真っ直ぐラウラの元へ…

 

「可愛い…私が…可愛い…」

 

「ラウラ!」

 

「ふえ?」

 

 BANG!

 

「ぶえっ!」

 

 ボールはラウラの顔面を直撃。慌てて全員が駆け寄る。

 

「「「だ、大丈夫?!」」」

 

 ボールがラウラの顔面から転げ落ちると、

ラウラは真っ赤になって目を回していた。

 

「あ、あ、か、可愛い…可愛いだなんて…」

 

「も、もしかして、ラウラ…」

 

 何と、一夏に可愛いと言われてまだ照れていたようだ。

生まれて初めての事に、動揺と興奮が隠せないらしい。

 

「ラウラ?」

 

 心配して一夏が覗き込む。するとラウラがタイミングよく目を覚ました。

そして、すぐ眼前に一夏の顔がある事に驚いたような表情を浮かべ…

 

「アアアイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーッ!」

 

 らうらは にげだした!

 

「ラウラ…どうしたんだあいつ?追っかけた方が良いかな?」

 

「ううん、放っておこうよ…。」

 

「おお、ビーチバレーですか、面白そうですね。」

 

 その時、見回りをしていた千冬と真耶の教員コンビと

なのはの20代トリオが通りかかった。

この日は教員達の仕事も見回りだけで、

リーダー格の舞も始め、生徒に交じって遊ぶ者も多い。

 

「先生も一緒にやらない?」

 

「いいですね~、織斑先生もご一緒に如何ですか?」

 

「う、うむ…」

 

 真耶は黄色、なのはは桜色、

そして千冬は一夏に選んで貰った黒いビキニを着ていた。

その姿は女子生徒どころか弟の一夏ですら見惚れてしまう。

しかし、当の千冬は恥ずかしそうだ。

 

「(やはり腹が丸見えなのは少し恥ずかしいな。

まるで男みたいに割れてしまっているのを見られると…)」

 

 彼女の言う通り、千冬の腹は見事に6つに割れていた。

IS操縦者には心身の鍛錬も不可欠だが、

かつて世界最強と呼ばれた彼女程となると、ここまで鍛え抜かれるのだ。

 

「織斑先生、凄ーい!」

 

「うわー、ムッキムキ…細マッチョレディって奴?」

 

「いいなー、憧れるなー。」

 

 生徒達は純粋に憧れているが、それが千冬の羞恥心を更に掻き立てる。

 

「で、では私も入らせて貰おう。」

 

「はい!負けませんよ~?」

 

「それじゃ、私はレフェリー役なの!」

 

 真耶が一夏側に入り、逃げ出したラウラの代わりに箒が入る。

一方、千冬は本音側だ。

そしてなのははレフェリー役を勤める事に。

 

 この3人が入ったことで試合は激戦となる。

本音側は千冬がアタッカーとなり、強烈なスパイクをどんどん連射する。

一方、一夏側は真耶がボールを拾いまくり、

一進一退の試合展開を繰り広げていた。そうこうしていると…

 

 ポーン…

 

 何度目かになる千冬のスパイクを真耶がブロックしたが、

ボールは大きく弾かれて飛んで行ってしまった。

 

「ああ、ごめんなさーい!」

 

「私が取って来るの!」

 

 弾かれたボールを拾いに行こうとしてなのはが背を向けた時、

一夏達は見てしまった。

 

「「「「「!!」」」」」

 

 一夏達が見た物、それはなのはの背中に広く刻まれた

途方もなく痛々しい無数の傷跡であった。

 

「何、あれ…」

 

「うわぁ…」

 

「むっ…」

 

 千冬ですら、その傷跡を見て言葉が詰まる。

 

「(あいつ…一体過去に何があったんだ…?)」

 

 戻ってきたらなのはに聞いてみようとした千冬だったが、

心の中でかぶりを振った。

 

「はーい、ボール拾って来たの!」

 

「あ、ああ…」

 

「んん?皆どうしたの?」

 

「あ、いや…何でもない。」

 

 今はよそう。今は生徒達の楽しみの時間、水を差してはいけない。

そう考え直した千冬であった。

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