魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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第22話  咲いた、咲いた、椿の花が…?

 臨海学校二日目の朝、少し早起きした一夏が旅館の中を歩いていると…

 

「………………………………………………………………………………………。」

 

 箒が廊下の途中にしゃがみ込み、庭の一部をジッと見つめていた。

 

「箒?」

 

「ん?ああ、一夏か…あれを…。」

 

「あれ?…!」

 

 箒の指し示した所を見ると、庭の地面からウサ耳が生えていた。

そしてその後ろには…

 

「ひっぱってください」
     

           

 そう書かれた看板が刺さっている。

 

「なぁ、これってもしかして…」

 

「ああ、どう見ても『アレ』だな…」

 

 一夏も箒も、それが何なのかは知っている。アレはどう見ても『アレ』だ。

 

「…どうする?」

 

「そっとしておこう。」

 

 箒は呆れた様子で立ち去っていった。仕方ないので一夏がウサ耳を引き抜く。

 

「おや?何してますの一夏さん?」

 

 その時、散歩に出てきていたらしいセシリアが来た。

 

「いや、ちょっと、庭におかしな物があってだな…そーれっ!」

 

 一夏はウサ耳を引き抜いたが、何も出てこなかった。

 

「あ、あれ?」

 

「何も起きませんわね…。」

 

 すると…

 

 ヒィィィィイイイイイン…

 

「っ! 上?」

 

「ふぇ?何の音ですの?」

 

 ドガッシャアアアアアアアン!!

 

 空を見上げると巨大な人参型ロケットが落下。一夏の眼前に着地した。

 

「「うわあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」

 

 思わず尻餅を着いて人参を見上げた一夏とセシリアの耳に、

女の笑い声が聞こえてきた。

 

『アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!』

 

 直後、ロケットが縦に割れ、中から一人の女が出て来た。

紫のロングヘアに機械のウサ耳を付け、

真耶とも互角の豊満な胸を強調した青い服の女である。

彼女こそISの発明者にして伝説の国際テロリスト、篠ノ之束だった。

 

「ヒャッハー!!いっ君、久っさしぶりー!!」

 

「た、束さん?!!」

 

 ロケットから飛び降りた束は辺りを見回した。何かを探している様だ。

 

「ねえねえいっ君、箒ちゃんは何処かな?」

 

「箒ですか?あいつは向こうへ行きましたけど…」

 

「そうなんだ、でもでも~、

この束さんが開発したこのウサ耳型『箒ちゃん探知機』ですぐに見つかるよ!

それじゃいっ君!また後でね~!!」

 

 そう言うと、束は猛ダッシュで立ち去って行った。

 

「い、一夏さん?今の方は…?」

 

「ああ、あの人が箒のお姉さん…ISの母、篠ノ之束さんだ。」

 

「え?!え?!えええええええええええええええええええええええええ!!!」

 

 まさかのISの母襲来に驚愕するセシリア。

一夏も予想外の人物との突然の再開に驚きを隠せなかった。

そして、一夏は心中で一言呟いた。

 

「(千冬姉に何て言えば良いんだよ…。)」

 

 その千冬はと言うと…

 

「いちかぁ~、いちかぁ~…ムニャムニャ。」

 

 まだやっていた。可愛い。

 

 

 

 

 

 そして臨海学校2日目が始まった。本日は終日ISの実習試験を行う。

特に専用機持ちは母国から届いた追加装備の運用データ収拾の為、

一般生徒より更に労苦を伴う。

 

「さて、それでは各班ごとに振り分けられたISの装備試験を行う。

専用機持ちは別の場所で専用パーツのテストを行う。では全員散開しろ。」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

 一同が返事をする。ズラリと並んでいるためかなりの人数である。

と、ここで箒から質問が。

 

「あ、あの!」

 

「篠ノ之か、どうした?」

 

「私の名前がどの班にも無いのですが…」

 

「おっと忘れていた。篠ノ之、お前は専用機持ちと同じ班だ。」

 

「はい?私がですか?」

 

「そうだ。お前は専用機持ちと同じ班だ、イイネ?」

 

「アッハイ…。」

 

 千冬からの念押しに、否応なく頷くしかなかった箒であった。

 

「よし、では専用機持ちと篠ノ之は私に付いて来い。」

 

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 そして、指定された試験場所に到着した一同。

 

「さて篠ノ之。何故お前が専用機持ちと同じ班に入れられたかを…

むっ、奴めもう来たか。」

 

 千冬が何かの気配を感じ取った。直後…

 

「ちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃちゃ~~~~~~~~~~~~ん!!!!」

 

 何者かが猛ダッシュで駆けつける。正体は言うまでもないだろう。

 

「束め……………」

 

 千冬が呆れ顔で呟く。そう、篠ノ之束の再登場だ。

 

「やあやあ会いたかったよちーちゃん!

さあハグハグしよう!愛を確かめ…ムギュ!!」

 

 束が千冬に抱き付こうとした瞬間、千冬は束の頭を掴んだ。

 

「だ・ま・れ・あ・ほ・う・さ・ぎ!!」

 

「んっきゅううううう!!!あ、相変わらず容赦無いアイアンクローだね!!」

 

「ほう、まだ口を利く余裕が有るのか?もっと締め上げてやらねばならんな。」

 

 ギリギリギリギリギリ…

 

「フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 

 千冬が更に束の顔を絞め上げると、束がビクンビクンと痙攣する。

しかしそんな事をすれば…

 

 ガシッ!!

 

「なっ!」

 

 千冬が何かに頭を掴まれる、そして…

 

「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

\キラーン/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬はなのはに海上へ投げ飛ばされた。

 

「ちょおおおおおっ、千冬姉ーっ!!!」

 

「「「「「…………………………………………………………………。」」」」」

 

 ヤマトの暴挙に一同唖然。はたして千冬の安否は…?

 

「な、なにをする、きさまー!」

 

 何と海に落ちた筈の千冬が空から降ってきた。

 

「はかせをいじめるな、ぶらこん。」

 

「そう言う事なの!!

出会い頭にアイアンクローを仕掛ける人は頭を冷やすの!!!」

 

「…………悪かった。」

 

「うう、雇ったこの束さんが言うのも何だけど、

こうなったなーちゃんはやっぱ怖い!

なーちゃん、それ以上ちーちゃんを苛めないでー!」

 

 目の幅涙を流す束。雇い主ですら怖がるなのはとヤマトとは……。

 

「却下!!戦わずして友とはなれないの!!」

 

「HEEEEYYYY!!!!あァァァんまりだァァアァ!!!!

AHYYYY AHYYYY AHYOOOOOOOHHHHHHHH!!」

 

 懇願をあっさり却下された束は柱の男の様に泣きながら去って行った。

 

「た、束さんが泣いた…だと…?こんなの見た事ねえぞ……。」

 

「ああ、私もだ。」

 

 一夏と箒も唖然呆然。やはりこの3人、色々とおかしい。

 

「あの阿呆兎め、何をしに来たんだ…。」

 

「さあ…?」

 

「あああっ!大事な事忘れてたー!」

 

 と、ここで束がUターン。

 

「フン!やっと思い出したか…。」

 

「えへへへごめんね~。…ムギュ!」

 

 てへぺろしながらの一言が千冬の癪に触ったのか、

束はもう一遍アイアンクローを受けていた。

所で、てへぺろは箒がやるととても似合うと思うのだが気のせいだろうか。

 

「ちょっ!ちーちゃん許して!!何が駄目だったのぉぉ!!」

 

「あらゆる点が駄目だ。」

 

「やべでぇぇぇぇぇ!!そんな事したら、またヤマトが…」

 

「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 束が最後まで言う前になのはが千冬に仕掛ける。

所がヤマトの遠隔アッパーは千冬を素通りした。

 

「馬鹿め、それは残像だ「と、思っていたの?」

 

「何ッ?!はうあっ!」

 

「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 ドギュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルゥゥウウウン!!

 

「む゛ぉっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 残念無念、フープバインドで縛られて主砲で吹っ飛ばされる千冬であった。

 

 

 

 

 

「さて、ぶらこんせんせーもはんせーしたし、さっそくほんだいにはいるの。」

 

 千冬は頭にタンコブを造り、海に浮いていた。

主砲を生身で食らって良くそれだけで済んだな。

 

「おkおk。さあ箒ちゃん!」

 

「何ですか?」

 

「今日は箒ちゃんの16回目の誕生日!!

よってお姉さんがプレゼントを用意したのだよ!」

 

「そうですか。」

 

 よそよそしい箒。

この姉妹、ISが出来てからと言うものあまり仲がよろしくないのだ。

 

「さあ、大空をご覧あれっ!!」

 

「?」

 

 大空を指差して告げた束の一言を受け、集まった全員が空を見ると…

 

 ドガッシャアアアアアアアン!!

 

「「「「「うわあああああああああああああああああああ!!!!!」」」」」

 

 上空から人参型ロケットが落下、眼前に着地した。

直後、ロケットが開き中身が露わとなる。

 

「こ、これは……IS?!」

 

「そうでーす!これが箒ちゃんの専用機、その名は紅椿(あかつばき)でーす!!」

 

「私の……専用機?!!」

 

「そう!全スペックが第3世代機ISを上回る、

束さんお手製の第4世代機だよ!!」

 

「「「「「だ、第4世代機?!」」」」」

 

 箒の専用機と紹介された真紅のIS、紅椿。

外観は他の第3世代と変わらないが、その正体はヤマトに続く束直々の新作だ。

 

「さ、流石はISの母…世間はやっと第3世代機の試作機を完成させたばかり。

発祥国の日本でも量産型第3世代機の開発が始まった段階なのに、

もう第4世代機を完成させたなんて…。」

 

 真耶の言う通り、

この紅椿は世界各国の努力を一瞬で台無しにしてしまう代物だった。

だが、何か忘れていないだろうか?

 

「あ、あの…なのはさんの機体って確か…

第5世代機を名乗ってませんでしたっけ?」

 

「そうだよ、やまとはだいごせだいきだよ?」

 

「「「「「「あっ…。」」」」」」

 

 そう、この世には既にヤマトという第5世代機が有るのだ。

 

「あー、そう言えばそうだったね。

でもヤマトはなーちゃんの協力があって始めて建造できた機体なんだよね。

この束さんがいくら天才でも、一人ではまず作れなかったんだ。」

 

 なのはは何も言わず、うんうんと頷いていた。

 

「さぁ、箒ちゃん!早速最適化してレッツ、ファーストシフト!!」

 

「………………………………………………………………………………………。」

 

 しかし、箒の顔はとても嬉しいとは程遠い顔をしていた。

 

「ん?箒ちゃん、どうしたの黙って?

折角の専用機だよ?それもとびっきりのだよ?

紅椿ならどんな相手にも負けないよ?なーちゃんとヤマト以外は。」

 

 束の声にようやく反応した箒。しかしその口からは思いもよらぬ言葉が出た。

 

「姉さん、せっかく作って頂いてこんな事を言うのは何ですが……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

申し訳ありませんが、私はこれを受け取れません!

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