魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
暴走していたIS「銀の福音」を止めるべく、作戦会議中だった一同。
だが、福音は作戦会議の最中完全版となったヤマトに撃破され、
教員達によって操縦者ナターシャ・ファイルスも無事保護された。
これにて一件落着かと思いきや、真耶が目に見えない何者かに刺され倒れ伏す。
「真耶!」「早く救急車を!!」
「大丈夫!校医の先生が同行してるから!!早く旅館へ!!」
『おい、高町!!真耶が刺されたのは本当か!!』
「映像を送るの!(真耶を見せる。)」
『何…だと…?…ぐっ、おのれ…とにかくすぐに連れて来い!!
学園の校医が同行している、応急処置だけでも済ませなければ!!』
「「「「はい!!…んなっ!!!」」」」
しかし、そんな彼女達の周りに…
「こ、これは?!」
「IS…なのか?!」
突如現れたのは9機の人型機。
内訳は剣と盾を持った機体が6機と長槍を持った機体が2機、
最後の1機は隊長機らしく、身長は他機の倍以上に達し、
両手持ちの戦斧を持っている。
その内1機をよく見るとは腹部が凹み、手に持つ槍は穂先の部分が折れていた。
真耶を刺したのはこいつで間違いないようだ。
「ああ、上にもいる!!」
上空を見ると、人型の上半身に竜の下半身、
そしてコウモリの翼を持つ怪物型の3機がいた。この3機も武装は長槍だ。
「くっ…何よアンタ達は!!」
「山田先生を刺したのは貴女達ね?!!」
「………………………………………………………………………………………。」
「ちょっと、答えなさいよ!!」
教員達の声を無視する謎の機体達。するとなのはが教員達の前に出た。
「無駄ですよ。これに何を言っても。」
いつもとは打って変わって、穏当な口調で話すなのは。
「…なのはちゃん?」
「これはあの時と同じ無人機…。それも束さんが造ったものではない。」
だがその穏やかな口調とは裏腹に、心の中では激しい怒りが目覚めていた。
「「「「「!!」」」」」
「とりあえず聞いて下さい。こいつらの相手は私が1人でします。
皆さんはヤマトの力で旅館へ転送しますので、後ろに集まって下さい。」
「ちょっ、待って下さい!!」
「山田先生の搬送なら一人で出来るわ!!」
「私達は置物じゃないのよ、一緒に戦う位…!」
なのはは主砲を教員達に向け、有無を言わさずに却下した。
「ここから先は私の戦い…過去の清算です。文句言うと撃ちますよ。」
「「「「「!!!!」」」」」
なのはがやると言ったら本当にやる事は皆知っている。
こうなったら教員達に出来る事は一つ。
「しょうがない、全員集まって…。この場は任せていいのね?」
「如何にも。」
舞が皆に集合を促し、残りの教員達も従った。
「……武運は…祈らなくていいわね?」
「ええ、あれには勝った事が有りますから。」
舞の言葉を最後に、新兵器「物質転送器」が作動。
教員勢は花月荘玄関前に転送された。
「さて…よくもやってくれたね…」
野郎オブクラッシャァァァ!!
なのはは雄叫びと共に無人機達に向かっていった。
花月荘館内 臨時医務室
「真耶!!大丈夫か?!!」
真耶を担いだ舞達が駆け込むや否や、千冬も校医を連れて駆けつけた。
「織斑先生、後は私が!!」
校医が真耶を室内に運ぶ、その後ろから束も駆けつけた。
「ちーちゃん、何が起きたの?!!」
「束か…私の後輩が無人機に刺されて重傷を負ったんだ、
既に校医に見て貰っている、お前は変な気を起こすなよ?
…所で日高主任、高町は?」
「彼女は無人機相手に戦闘中よ。加勢しようとしても
『一人で相手する。ここから先は私の戦いで過去の清算』
って言って聞かなかったわ。」
「そうですか…。」
「そう…なーちゃんなら何とかなるね。
でも、あっちの爆乳大明神の方は…よし、ここは束さんも手伝うよ!」
「た、束!何をする気だ?!」
束はエプロンドレスのポケットから何かの小箱を取り出した。
「こんな事も有ろうかと、この束さんは外科用ナノマシンを造ってるんだ、
それがこの中に入ってる、これを打ってあげて!!」
立場が立場だけに碌に病院にも行けない束。
万一自分が負傷あるいは病に罹った際に備え、
自分で治せる様にナノマシンを作り、常時携帯していたのだ。
束は今回、自分の為に用意したそれを真耶に使えと言ったのだ。
「げ、外科用ナノマシン?!そんな、世界のどの国も完成させていないのに…」
「す、すぐに打ってあげて!」
「束…済まん、助かったぞ!!」
「ではナノマシンはこちらで預かります。皆さんは別室で待機してて下さい。」
「分かりました、先生…後を頼みます!」
「では、私は防衛省と警察、それから学園理事会にこの件を報告してきます。」
真耶と校医以外の者が臨時医務室から退出すると、すぐさま戸が閉められた。
一方、無人機の一団と交戦中のなのはは…
「48cm Shrapnel POWEEEEEEEEEEEEER!!!」
今回のアップデートで実装された対空榴散弾「3式弾」をぶっ放し、
無人機を撃ちまくるなのは。
1発あたり1千発の焼夷弾が飛び散り、
半径250mを焼き払う青い殺人花火が夕暮れの空に咲き乱れる。
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:!!!!」
たちまち上空の3機が巻き込まれ爆砕、火達磨になって海上に墜落した。
地上にいる人型機はそれに怖気づいたのか白兵戦を放棄して間合いを取り、
盾の裏に仕込まれた連装レーザー機関砲での射撃戦を仕掛けてきた。
隊長機も背中に隠していた光線式の速射砲を展開。
バリアを張りながらなのはを砲撃する。
「むむっ!!」
結構正確な射撃で、ヤマトの機動力が劣悪なのもあり被弾するなのは。
だが、53万もの豊富なSEを持ち、
全自動で傾斜バリアーを展開するヤマトはこの程度では小揺るぎもしない。
「成程、この前より進歩はしているみたいなの!!
でもそれはお互い様なの!!そーら!!!!」
ズンッ…!
次の瞬間無人機達に異変が。何と無人機の胸部からミサイルが生えた。
「「「「「くぁwせdrftgyふじこlp;@:!!!!」」」」」
ゴウランガ!!これぞ遠隔部分展開の真骨頂。
展開先の座標を標的と重ね合わせる事で、どんな防御も突き破る串刺し攻撃だ。
「中に人間がいないなら、容赦なんかしないの!!」
「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
ドッゴォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
無人機に刺さったミサイルが一斉に起爆。
内側から爆破されてはバリアも意味が無く、全機共呆気無く爆発四散した。
「他愛ないの!!…さて、帰るか。」
なのはは帰還の途につこうとする。
しかし、このタイミングでアンノウン接近を知らせるアラームが。
「!! まさか、増援?!」
その通り。増援に来たのは総勢40機超の竜人型機。
ご丁寧に竜人型機をそのまま大型化した隊長機らしき大型機も3機いる。
「……………へえ、そう来るんだ。」
これは、思わぬ長丁場になりそうだ。
同時刻、臨時医務室では…
「出血は完全停止。脈拍も安定…山場は切り抜けた様ね…。」
無人機の見えない槍で一突きにされてから
ずっと意識が戻らない真耶が眠っていた。
真耶は右肺こそ貫通されたが、
主要な血管は奇跡的に無傷だった為出血は酷くなく、
束が持参した外科用のナノマシンで貫通された傷を修復中だ。
「運が良いやら悪いのやら…
とはいえ、意識が回復するまでまだ予断は許されない…か。
しかしこのナノマシン、凄い効果ね。
篠ノ之博士はこっちの分野に来ていれば良かったのに。」
校医の独り言は、当人以外の誰にも聞こえてはいなかった。
そして、海岸では…
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
怒り狂ったなのはが主砲副砲は勿論、機銃、ミサイル、近接グレネードと
ありったけの火器を乱射していた。
更になのはもレイジングハートを展開し砲撃魔法をぶっ放す。
「数頼みの凡骨共!!粉々にしてやるのっ!!!」
今や海岸はノルマンディもかくやの戦場だった。
見るだけでも地獄だが、その中を飛ぶのは地獄どころではない。
もう夕暮れの筈だが、この一帯だけ真昼以上の眩しさだった。
誰がこの悪魔の弾幕を掻い潜れるだろうか?
「過去の遺物の癖にしゃしゃり出て!!」
それでも、無人機の大群は何とか弾幕を掻い潜ろうとしていた。
有人機とは違い、Gの制限が無い分無茶な運動も出来るのが理由だろう。
だが、その数は今や10機にも満たない。斉射開始から2分と経っていないが、
その戦力は既に1/4以下に削られ、
圧倒的な制圧力に反撃すらままならなかった。
「大人しく墜とされていれば痛い目に遭わずに済んだ物を…
流石改良版と褒めてやりたい所なの!!でももう終わらせるの!!」
遂に苛立ちが頂点に達したなのはは全ての火器を止め、
スラスターウイングを一直線に広げ、右手側に回転させた。
「これを使うのは今しかない!!今必殺の、波動砲を!!」
伝家の宝刀、波動砲。
スラスターウイングの右側にだけ装備されているヤマトの決戦兵器だ。
なのははレイジングハートの先端をスラスターウイングの先端口に接続。
直後、スラスターウイング先端のシャッターが開く。
「とっておきなの…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
なのはの気合と共にシャッターの先端に光が集まる。
残った無人機が攻撃の止んだ隙に距離を詰める。
だが、ここはむしろ退却すべきだった。
「Wave force cannon fire.」
レイジングハートのアナウンスと共に、遂に波動砲は放たれた。
「おおおおおおおお!!!波動砲パゥワァーーーーーーーーーーーーー!!!」
その瞬間、1,000個の太陽よりも明るく輝く青い光線が海上を照らし、
突撃してきた無人達は悉く蒸発した。
「ハァ、ハァ…」
全てが終わり、肩で息をするなのは。だがなのはの怒りは収まらなかった。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
今や何も無い上空に火器を乱射して八つ当たりである。
何がそんなに腹立たしいのか?
「何で…?何でこんな所にいるの?そもそも、何で生きてるの…!!」
そして、なのはは一人の人物の名を叫んだ。
「プレシア・テスタロッサァァァアアアッ!!!」