魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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第26話  真実 前編

 その頃、医務室前では。

 

「やはり、高町を護衛に付けて置くべきであったな…」

 

 後輩の思わぬ負傷に意気消沈する千冬。

隣には学年主任の舞と篠ノ之姉妹が付き添っていた。

 

「ちーちゃん、ちーちゃんは悪くないよ。」

 

「そうそう、悪いのは例の無人機連中よ!」

 

「それはそうでしょうが…」

 

 生徒達には絶対に見せられない弱り切った表情の千冬を見た束。

彼女は千冬の顔を真耶と互角以上のどたぷ~んなバストに押し付けた。

 

「ほーら、おっぱいですよー。」

 

「フゴッ、ふがもがけだぁ~あ!(ジタバタ」

 

 千冬は息が塞がって苦しそうな声を上げながら何とか束を引き剥がした。

 

「ブハッ…な、なにをする、きさまー!」

 

「はいはい怒らな~い。で、落ち着いた?」

 

「ああ…何とかな…(くっ、一夏にした事の因果が巡ったか…。)」

 

「なら良いんだ。あの爆乳大明神の事なら大丈夫だよ、

何たってこの束さん謹製のナノマシンだよ?

あれくらいの傷なら今日中には塞がるよ。」

 

「そうか…だがその爆乳大明神という渾名はどうにかならんのか?」

 

「えー、いいじゃん、爆乳なんだし。」

 

「貴様…自分の胸に手を当ててもう一遍考えたらどうだ?」

 

 箒も横でうんうんと頷いていた。

 

「うーん、たわわだね~。(ユッサユッサ」

 

「あ?(威圧」

 

「ああん、ひどぅい!!箒ちゃ~ん、ちーちゃんが苛めるぅ!」

 

「自業自得です。(そっぽを向く」

 

「ふえ~ん!」

 

 SPANK!

 

「オフッ!」

 

 結局、平静を取り戻した千冬に出席簿でシバかれる束であった。

 

「馬鹿やっていないで、静かにしろ。」

 

「は~い。」

(この束さんも知らない無人機、誰が造ったかは知らないけど…

絶対にただじゃおかない。こんな事をされて、

頭に来ないとでも思ってるのかな?)

 

 と、痴話に興じていると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プレシア・テスタロッサァァァアアアッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何だァーッ?!」

 

「アヒィーッ?!」

 

 それはなのはの怒りの叫びだった。海岸から花月荘に轟く程の大音声で、

医務室で眠っていた真耶が即座に飛び起きてしまった。

 

「な、何だったんだ今のは…?」

 

「なーちゃん…?」

 

「と、兎に角外が静かになったと言う事は、

決着がついたと言う事なのだろうな…」

 

「そうだね。」

 

「よし…私が見て来るので、この場は主任にお任せします。」

 

「分かったわ、こっちは任せて。」

 

 そして千冬が旅館の外に出ると、そこには無人機の残骸となのはがいた。

 

「(どうやら無事の様だな。

まあ、あれだけの事が出来るのなら当たり前の事だろうが…)」

 

「ちーちゃん、どうだった?」←玄関ドアの裏から顔を出す。

 

「自分で見てみろ。」

 

「おー、無事に全滅させたみたいだね。」

 

「うむ。後は警察と防衛軍の到着を待とう。話はそれからだ。」

 

「そうだね。」

 

 数十分後、警察と防衛軍がやっと到着。

千冬と束、及び交戦したなのはが事情を説明し、

後処理を防衛軍が引き継ぐ頃には既に夜を迎えていた。

 

「やっと終わったか、とんだ校外実習だったな。」

 

「まあまあ、爆乳大明神も完治したみたいだし、

食事が済んだら早いとこ寝よ寝よ!」

 

「その通りなの!皆も待ってるの!」

 

 そう言って部屋に戻ろうとしたなのは。だが次の瞬間足が止まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……何のつもりなの?」

 

 見ると、背後から千冬がなのはの首筋に日本刀を突きつけていた。

 

「ち、ちーちゃん?!」

 

「束、静かにしろ。」

 

 千冬は咎める束を黙らせ、なのはにこう問いかけた。

 

「高町、貴様に聞きたい事が有る。

貴様が先程叫んだ『プレシア・テスタロッサ』とは何者だ?」

 

「かつての敵なの!!事の元凶であり、過去の亡霊なの!!」

 

「そうか…ならもう一つ聞く。

束の専属操縦者になる前、貴様は何をしていた?」

 

「………!」

 

「どうやら貴様、

過去に『プレシア・テスタロッサとの間に何かの因縁があった』様だな。」

 

「………………………………………とうとう、来るべき時が来てしまったの!」

 

「何?」

 

「この場所は説明するには不相応、と言ったの!!」

 

「………そうか。」

 

「それともう一つ、

篠ノ之姉妹と一夏君を含む専用機持ち全員の立ち会いを求めるの!

束さんは全て知ってるけど、残りの人は真実を知る必要があるの!」

 

「………解った、私の客室で聞こう。

束、お前は一夏と箒を連れて来い、私は残りの専用機持ちを呼んで来る。」

 

「分かったよ。」

 

 そして、織斑姉弟の泊まる客室に篠ノ之姉妹と専用機持ち、

なのはと千冬の9人が集結した。

 

「織斑先生、一体どうなされたのです?」

 

「む~っ、これから夕食時ってとこなのに…。」

 

「姉さん、何か知っているんですか?」

 

「……………。」

 

「さて、お前達を呼んだのは他でもない。山田先生を襲った例の無人機の件だ。

山田先生の傷は束の協力もあり快方に向かっている。

校医の先生曰くもう動いても問題ない程だ。

その上で話がある。山田先生を刺した無人機の正体、

そしてそれを語る上で欠かせない、

『なぜ高町が束の専属操縦者になったか』…つまりは高町の過去についてだ。

お前達には高町の希望で、

真実を知って欲しいと言う事でここに呼ばれた事になる。」

 

「「「「「「……………………………………………………………。」」」」」」

 

「念の為に忠告するけど、

これからなーちゃんが話す事はここにいる9人だけの秘密。

もし、この場以外の誰かにバラしたら

例えちーちゃんや箒ちゃんでも生かしておかない。

そう思って聞いてね。無理だと思ったら悪い事は言わない。

この場を去る事を勧めるよ。それでも聞きたい人だけ残ってね。良い?」

 

 その宣告に一同が更に青ざめる。千冬ですら背筋が凍る恐怖に駆られた。

だが、その場を去ろうとする者は一人もいなかった。

 

「皆、最後まで聞く覚悟を決めたと言う事でいいね?

それじゃ、まずはこれを見て。」

 

 束がホログラムモニターで見せたのは、ある都市の風景。

だが、画面の向こうの都市は世界の名だたる大都市をも凌ぐ

広大無辺の巨大都市だ。

 

「こ…これは?!」

 

「何だこの街は、東京の比ではないぞ?!」

 

「この街はね、

なーちゃんがこの束さんに雇われる前に住んでいた街なんだ。どこだと思う?」

 

 束の問いに対し、千冬が逡巡しながら呟く。

 

「どこ…と言われても…まさか、いや、そんな事が…?」

 

「んん?千冬姉、何か解ったのか?」

 

「ああ、荒唐無稽すぎるが、そうとしか考えられん。」

 

「どういう事なんだ?」

 

「気づかないのか?()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「「「「「…………!」」」」」

 

「この中央のビルを見ろ。高さは明らかに2kmを超えている。

今の地球の技術ではとても建てられる物では無い。」

 

「た、確かに…」

 

「考えられる可能性は、この街は地球上ではないどこかにあると言う事。

あるいは、これは未来の地球のどこかと言う事だ。」

 

「え?!それじゃ…なのはさんは…」

 

「真実は2つのうちの1つだ。高町は異星人、あるいは未来人のどちらかだ。」

 

「………………………………。」

 

「それで、どうなんだ?」

 

 なのはは少し黙るが、やがて口を開いた。

 

「…………如何にも!」

 

「「「「「「……!」」」」」

 

「先生の推測通り、私はこの地球で生まれた人間ではないの!」

 

「……って事は、宇宙人?!」

 

「半分は当たってるよ。

正解は…『もう一つの地球』と言えば解るかな?なーちゃんは

『並行世界の、それもまだISが誕生していない地球からやって来た』

と考えればまあ間違いないよ。」

 

「もう一つの地球…?」

 

「そうだよ。向こうの暦はまだ西暦2020年。

この束さんやちーちゃんがやっと立つか立たないか位の時代なんだ。」

 

「成程、それなら確かにISはないな。」

 

「そして最初に見せた街だけど、

この街はちーちゃんの考えた通り地球の都市じゃない。

ここはクラナガン市と言って、惑星ミッドチルダの首都だよ。」

 

「みっど…ちるだ?」

 

「そうだよ。なーちゃんはこの束さんに雇われる前はね、

ミッドチルダの惑星間武装警察…『時空管理局』の幹部職員だったんだ。」

 

「時空管理局?惑星間武装警察??

宇宙規模の機動隊とかSATとかみたいな物なんですか?」

 

「そんな物じゃないわよ。武装警察がうちの国の人民武装警察と同じ意味なら、

なのはさんは現役軍人の資格を持ってるって事になるわ。」

 

「半分は当たってるの!管理局の本業は警察と国防だけど、

それだけじゃなくて司法も担っている統合機関なの!!

他にも、各世界の伝統文化の維持と管理、更には災害救助もやっているの!!」

 

「ちょっと待て、警察と国防と司法を一手に担当する組織だと?

それが事実なら、ミッドチルダは三権分立を知らない社会と言う事になるぞ。」

 

「如何にも!私が昔先輩に同じ質問をしたら

『何それ美味しいの?』と言われたの!あの国ではそれが常識なの!」

 

「何…だと…?」

 

「地球人の常識で考えては駄目なの!ミッドチルダはミッドチルダ人の物なの!

見かけこそ地球人そっくりだけど、断じて地球人ではないの!!

この事実は変えられないの!!」

 

「…確かにそうだな。なら、何で地球人の高町が管理局に入れた?」

 

「話せば長くなるよ。事の発端は15年前に遡るんだけど…

当時のなーちゃんはただの小学生で、

もう一つの地球で普通に暮らしていたんだ。でもね…。」

 

「15年前に何があったんですか?」

 

「プレシア・テスタロッサ事件と言ってね…

事故で子供を亡くしておかしくなったプレシア・テスタロッサとか言うのが、

その子を生き返らせようとクローンだの何だのと

違法な技術に手を染めたけどうまく行かず、

終いにはどんな願いも叶うジュエルシードとかいうのを集めて

死人を甦らせる技術を持つ異世界へ行こうとしたんだって。」

 

「死人を生き返らせる?異世界へ行く?おいおい、何だそのお伽噺は。」

 

「訳が分からないでしょ?でも全部実話なんだよ。

何たってミッドチルダの社会は魔法で成り立ってるんだ…これを見て!」

 

 そう言うと束は別の映像を出した。そこには…

 

「え?! 何…これ?」

 

「これって、なのはさん…だよね…?」

 

 そこに映っていたのは10年前、中学生だった頃のなのはの訓練風景だ。

 

「飛んでいる…生身で、飛んでいるだと?」

 

「因みに言っておくけど、ミッドチルダにはISなんか無いよ。」

 

「うわ、杖からレーザーが!」

 

「今度はバリア?!」

 

「これは、本当の事なのか…?」

 

 その光景に全員がそれ以上言葉が出なかった。

あの千冬ですら、前代未聞の光景にただ唖然とする他無かった。

 

「驚いたでしょ?向こうにはこういう魔法が技術体系付けされて

社会の根幹を担ってる。勿論、科学もそれに劣らず発展してるよ。

何たって惑星間を移動できるんだからね。」

 

「これは参ったな。ISもいずれはそうなるのか?」

 

「そうなると良いね、超光速の移動手段さえ確立出来れば、実現は容易いよ。

じゃ、話を戻すよ。

それでね、プレシア・テスタロッサはジュエルシードを強奪しようとしたけど、

ジュエルシードは飛んで行っちゃった。それが、もう一つの地球。

それもなーちゃんが当時住んでいた街の周辺だよ。

その時地球に飛んできた魔導師の人に魔法の才能を見いだされた事で、

眠っていた魔法の才能が目覚めちゃったんだ。

つまり、なーちゃんはその時から魔法使いになっちゃったんだよ!」

 

「ま、魔法使いって?!」

 

「そうか、道理で生身で空が飛べた訳だ…」

 

「ブレスの奴をいとも容易く蹴散らしてのけたのも魔法の御蔭と言う事か…

魔法サマサマだな。」

 

「そう言う事だよ。尤も、なーちゃんも飛んできた魔導師も、

最初は事故だと思ってたみたい。

それで2人で一緒にジュエルシードを集めてたんだけど、

さっき言った通り、プレシア・テスタロッサはクローンにも手を出していた。

そしてそのクローンにジュエルシードを集めさせていたんだ。」

 

「それでどうなった?両者がかち合えば、奪い合いになってしまうが…。」

 

「当然、奪い合いになったよ。何度か戦ったけど決着は付かなかったんだって。

そうこうしている内に管理局が嗅ぎつけて地球にやって来たんだ。

で、魔法の才能があるならと言う事で

なーちゃん達も管理局に協力する事になって、

ここでプレシア・テスタロッサが仕組んだと言う事を知ったんだ。」

 

「成程な。

だが、小学生をそんな大事件の捜査に協力させるのはどうかと思うぞ?」

 

「そうかな?ミッドチルダの法律では、最低就労可能年齢は9歳だよ。

勿論、義務教育なんて物は向こうには無いよ。」

 

「き、きゅうさ…」

 

「何と言うか、滅茶苦茶ですわね。」

 

「あー、うん。予想以上だな。これ以上聞くと色々と危ないので話を戻そう。」

 

「で、異次元にあるそいつのアジトを見つけ出して突入したんだ。

さっき言った通り、そいつはジュエルシードの力で異世界に行こうとしたけど、

実際に異世界へのルートを開いたら、

その余波で地球が消えて無くなっちゃうかも知れない。

これは絶対に止めなきゃと言う事で、そいつと直接対決に至ったんだって。」

 

「遂に最終決戦か。で、当然勝ったんだな?」

 

「勿論。プレシアは破れかぶれで

残ったジュエルシードの力で逃げようとしたけど、

失敗してアジトが崩壊、虚数空間…魔力の使えない空間に墜ちちゃった。

これじゃ捕まえようがないから、結局死んだ事にした見たい。

そうそう、例の子供のクローンはこの後和解して、

言われるがままだったと言う事で大した罪にも問われずに

管理局で働く事になったよ。今ではなーちゃんの最大の親友なんだって。」

 

「ああ、『戦わずして、友にはなれぬ』ってそういう事だったのか…。」

 

「それが、高町とプレシア・テスタロッサとの因縁か…

だが、何故そいつだと解った?」

 

「山田先生を襲った機体は

15年前に彼女が使っていたロボット兵器『傀儡兵』にそっくりだったの!!

あの時は何mもあるデカブツだったけど、

今回襲ってきたのはIS並みに小型化されていたの!!

進化形だろうけど、基本的な形は変わっていなかったの!!

あんな物が出来る理由として考えられる可能性は一つだけなの!!

プレシア・テスタロッサは生きてこの惑星に漂着したの!!

そうとしか考えられないの!!」

 

「「「「「ナ、ナンダッテーーーーーーーーーーーーーーーーー?!」」」」」

 

「おい束、そんな事が有るのか?」

 

「解らないよ!この束さんも虚数空間なんて調べた事もないし!」

 

「私の言葉はあくまで憶測なの!!

他の可能性が思いつかないからこう言っただけなの!!」

 

「オホン…そ、そうか。で、高町。

貴様は管理局で普段は何をやっているんだ?」

 

「私の正式な肩書きは

『時空管理局本局武装隊 航空戦技教導隊所属 戦技教導官』なの!!

簡単に言えば、魔法で空を飛んで戦う方法を教える。

または教える教官を育てるのが仕事なの!!

武装警察だから階級の呼び方は軍隊風で、

今の私は大尉…管理局流の呼称は一等空尉なの!」

 

「えええっ?!ではお師様は私より2階級下…?!」

(独連邦軍には大尉と少佐の間に「上級大尉」がある。)

 

「如何にも!でも管理局員として学園に来たのではないの!!

階級の上下は忘れるの!!」

 

「……そうさせて頂きます。」

 

「教導官…人に物を教えるという意味では、私と同業と言う事で良いんだな?」

 

「その通りなの!!でもキャリアは違うの!

私はこっちの地球でISが生まれた頃には既に今の任務に従事していたの!!」

 

「(ああ、だから教え方が手慣れていたのか。

この鬼教官風の口調も、職業上の癖なんだ…。)」

 

「成程、手際が良い訳だ。貴様から見れば私の教え方など、

さぞ稚拙に映っていたのだろうな。」

 

 自嘲気味に語る千冬だが、なのはの返答は更にキツイ物だった。

 

「論外なの!」

 

「ひ、酷い!!」

 

 織斑千冬に向かって堂々と「お前の教え方は論外」と言ったのは

後にも先にもなのはだけである。

しかも、なのはと千冬の関係は教師と生徒。

他の教員が聞いたら確実に黙ってはいないだろう。

 

「『細かい事を叱る暇があったら模擬戦で〆るべし。

その方が、教えられる側も学ぶ事が多い』

という言葉があるの!!自分だけISに乗らないであーだこーだと言うより、

実際にISに乗って指導するべきなの!!出席簿でシバくより効果的なの!!

生徒は皆声に出さないだけで、

本心では『ISに乗った織斑千冬』を望んでいるの!!」

 

「うう…そうか。

やはり、ISに乗ってきちんと模擬戦を通じて向き合うべきなのか…?」

 

 千冬は2年前、第2回モンド・グロッソで

一夏が誘拐された為決勝を放棄して助けに行った。

それ以来、弟を危険な目に遭わせた罪悪感からか一夏を自然とISから遠ざけ、

いつしか自身もISに乗るのを忌避する様になっていた。

ここでも躊躇う千冬だったが…

 

「千冬姉…俺もなのはさんの言う通りだと思うぜ。」

 

「一夏?!」

 

「俺はあの時の事は恨んでなんかいないし、今の俺はなのはさんに鍛えられて

二重瞬時加速(ダブルイグニッション・ブースト)だって出来る様になった。

もう護られっ放しの昔の俺とは違うんだ。

だからさ…いい加減、独り相撲はやめて千冬姉もISに乗ろうぜ。」

 

 だが、その一夏が背中を押してくれた以上、

もう千冬がISを拒む理由はどこにもない。

 

「一夏…そうか、お前がそう言うのなら決断をしなければならんな。

良いだろう。私も、夏休み明けからはISに乗ろうと思う。

お前達にブリュンヒルデとしての私を見せる為、

何より、高町との約束を果たす為にも。」

 

「ほ、ホントですか?」

 

「おお、遂に偉大なるブリュンヒルデの勇姿が蘇る!!」

 

「千冬さんが再びISに…ヤバい、胸熱かも。」

 

「織斑先生がISを駆る姿、生で見られるのですね!」

 

「皆も喜ぶと思いますよ!」

 

 専用機持ち達も、千冬の復活に意気が上がったようだ。

 

「よーし、そういう事ならちーちゃんの為に、

この束さんが専用機を用立ててあげよう!」

 

「た、束?!良いのか?!」

 

「勿論!親友が一念発起したんだもの、手助け位やっても罰は当たらないよ。」

 

「束…有難う…有難う!!」

 

 あんなに暴力的に振る舞っていても、20年来の親友は伊達ではない。

千冬は束の手を取って感謝を示したのであった。

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