魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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嫌な予感しかしない第3話です。一夏、強く生きろ…


第3話  一夏の初陣

「今日、俺は死ぬのかも知れない…」

 

 一方その頃、アリーナのピットでは一夏が死の恐怖に怯えていた。

千冬の言う通り、一夏は学園から白式(びゃくしき)と言う専用機を支給されたが、

実機が届いたのは決定戦当日の朝だった。

 

 その為、機体を一夏に合わせて調整する作業を行いながら

セシリアとなのはの試合(?)をモニターで見ていたが、

その瞬殺ぶりにただ恐れ戦く事しかできなかった。

 

「あんなのに、あんな化け物に挑めって言うのか……!」

 

 一夏は汗を滝のように流しながら青ざめていた。

そこに千冬が保健室から戻ってきた。

 

「一夏、準備は終わった様だな。」

 

「あっ、ち…織斑先生。」

 

「今は放課後だ、姉で良いぞ。」

 

「お、おう…じゃあ千冬姉、やっぱ俺、ギブアップしていいよな。

あんなのに挑んだら俺、冗談抜きで死んじまう!」

 

 この期に及んでヘタレるなんてと思ってはいけない。

あんなのを見せられたら上級生や教員どころか、

国家代表ですら震え上がるだろう。一夏が怯えても誰が責められよう。

 

「そうかもな、奴の攻撃は掠っただけで

即シールドエネルギー(以下、SE)切れは間違いない。」

 

「そうだろ、俺が貰ったIS、武器が剣一振りしかないんだぞ!

これであんなのに挑めって、死ねって言うのと変わりないじゃないか!」

 

「そうです!あの人と戦うのは危険すぎます!」

 

 横からもう一人の生徒が口を挟む。彼女の名は篠ノ之箒。(シノノノホウキ)

ISの発明者である篠ノ之(タバネ)の妹で、一夏の幼馴染みの一人だ。

 

「なあ頼むよ!ギブアップさせてくれ!!

千冬姉は、弟の、唯一の身内の俺が死んでも良いって言うのか?!」

 

「大丈夫だ、お前は私の弟だぞ?(ぱふぱふ」

 

 千冬は一夏の顔を胸に押し付けながら優しい声で言う。

 

「千冬姉……ちょ、胸ヤメテ、息できないから…」

 

「ぱふぱふ…ぱふぱふ…」

 

「ムギュ~。」

 

「千冬さ…織斑先生、何してるんですか?」

 

「何、高町の真似だ。…よし、このくらいで良いだろう。(解放する」

 

「ブハッ…た、助かった…。」

 

「よし、どうだ落ち着いたか?」

 

「あ、ああ…。」

 

「一夏、良く考えてみろ。私はどうだ?

私もアレと戦ったがこうして生きているではないか。」

 

「あっ…。」「確かに…。」

 

「オルコットだってそうだ。ちゃんと無傷で帰って来ただろう。

だからお前にも出来る筈だ。」

 

「いやいや、精神はズタボロですよ!!」

 

「おっと、さあ時間だ、逝くぞ弟よ。」

 

「ちょっ、まっ、誰か助けてえええええええええええええええええええ!!!」

 

 一夏は千冬に引きずられながらピットを後にするのであった。

 

 

第3アリーナ上空

 

 何だかんだ言って結局アリーナに引きずり出された一夏。

既にアリーナ中央にはなのはの姿があり、

一夏も白式唯一の武装、近接用ブレード「雪片弐型(ゆきひらにがた)」を構える。

 

「くっそー、恨むぞ千冬姉。

ご丁寧に出入り口を全部封鎖して逃げられなくしてあるし…」

 

「さあ掛かって来るの!!その専用機の初陣、存分に付き合ってあげるの!!」

 

「あの、できればもう少し手加減をして頂きたいんですけど…」

 

「却下!!完全展開無しだけでも在り難く思うの!!」

 

「酷過ぎる!!畜生、どう考えても勝てる要素はねえけど、

それでも一撃くらいは当ててやる!」

 

 戦闘能力は圧倒的に一夏が不利だ。だけど、それでも一矢は報いたい。

 

「その意気だ一夏、ではクラス代表決定戦2回戦…始め!」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 まず動いたのは一夏、一直線になのはへと向かおうとしたが…

 

「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 例によってなのはのどーん!の声と共に

どこからともなく極大の青白い光線が放たれ、一夏を飲み込んだ。

 

「「「「「お、織斑くーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」」」」」

 

 生徒達の叫びがアリーナに響く。一夏もセシリアの二の舞となったのか?

しかし、光線が消えるとそこには…

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 何と一夏は全くの無傷で、最初の勢いのままなのはに吶喊してきたのだ。

良く見ると白式は金色の光を放ち、

手にした雪片弐型もまた刃が白色光に包まれている。

 

「えええええ!む、無傷?!」

 

「凄い!」

 

「何、どうなってるの?!」

 

 しかし、どうやってあの巨大ビームを切り抜けたのか?

どうやら千冬は原理を見破ったようだ。

 

「一夏の奴…、もう単一仕様能力(ワンオフアビリティー)を使えるようになったのか。

そうだ、それでこそ私の弟だ。」

 

まさかの展開になのはも表情が険しくなる。

 

「!! 単一仕様能力か…。」

 

「どうだ、驚いただろ!こいつが白式の単一仕様能力、零落白夜(れいらくびゃくや)だぁーっ!!」

 

 白式の単一仕様能力、零落白夜。

それは白式のみが持つ最強の矛、エネルギー消滅攻撃。

バリアを構成するエネルギーを消し去り、機体に直接攻撃をする事で

わざと操縦者の生命保護機能「絶対防御」を発動させ、

SEを浪費させる恐るべき切り札だ。

 

 その威力は絶大で、並のISに直撃すれば一撃でSE切れに陥るだろう。

一夏は零落白夜でなのはが放った巨大ビームのエネルギーを消し去り、

機体分の隙間を開ける事で先制攻撃を文字通り「切り抜けた」のだ。

 

「行ける、行けるよ!!」

 

「やっちゃえ、織斑君!!」

 

「千冬お姉様の仇をとってあげてー!!」

 

 アリーナからも歓声が。

 

「行けえええええええええええええええええええええええええええええっ!!」

 

 アリーナの誰もがこれは攻撃が入ったと思った。一夏、まさかの大金星か…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ィィイイーーーーーーッ!!!」

 

 なのはに渾身の一撃が当たる寸前、雪片弐型の柄頭を謎のアームが掴んだ。

 

「ちょっ、何だこれ!!くっそ、動け、動けよ!!」

 

 一夏が力を込めて押し付けても、雪片弐型の刃は頑として動かない。

 

「単一仕様能力…本来二次移行(セカンドシフト)して初めて発動できる固有スキル。

未だ一次移行の状態で使えるのは大した事なの!!

御褒美に私の専用機のアーム部分を公開するの!!」

 

 なのはの言う通り、アームの正体はなのは専用機の一部。

IS1機の全力を片腕一本で完全に食い止める脅威の怪力だ。

 

「それじゃあ…片を付けるの!!」

 

 なのはが指を上へ向けた瞬間、

アームが勢いよく柄頭を押し上げながらなのは側に引き寄せた。

すると一夏が持っている部分を軸に雪片弐型が縦回転する。つまり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴ            ン           !          !

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひでぶ!!!」

 

 一夏の脳天に雪片弐型の峰が直撃。自分の武器で峰打ちを食らってしまった。

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ズドム!!!

 

 零落白夜を発動していた為、エネルギー消滅効果を食らった白式はSE切れ。

一夏は峰打ちの勢いのままにグラウンドに墜落し、上半身が地面にめり込んだ。

勿論、絶対防御が有る為一夏は全くの無傷だ。

 

「「「「「…………………………………………………………………。」」」」」

 

 まさかの結末にアリーナ中が沈黙に包まれる。

 

「一時はやったかと思ったんですけど…呆気無さすぎですね。」

 

「やれやれ、いくら初陣とはいえ20秒と保たんとは情けない…。

まあ単一仕様能力を発動できたからよしとするか…。」

 

 結局、一夏はなのは専用機のアームで引っ張り出された。

 

「グッ…!まさか一撃も返せないなんて…!」

 

「そう気を落としてはいけないの!!

初陣で単一仕様能力を発動できるなら上出来なの!!

それに、私にもいいデータ収集になったの!!」

 

「え?」

 

「私の専用機は長距離特化型なの!

懐に飛び込まれた時の対処法を鍛えるには有意義だったの!」

 

「「「「「……………………………………………(長距離…特化?)」」」」」

 

 いよいよもって、謎が謎を呼ぶなのはの専用機であった。

 

 

 

 尚、この後のセシリアと一夏の戦いだが、

一夏がセシリアの隙をついて雪片弐型の間合いに飛び込み、

零落白夜の一撃をB・ティアーズに直撃させたが、

同時に白式もSE切れに。判定はダブルKOで引き分けとなった。

 

 その結果、クラス代表決定戦の成績はセシリアと一夏が1敗1分け、

なのはが2勝という一方的な結果に終わった。

尤も、この縁でセシリアと一夏の仲が少し深まったため、

二人にとっては何の成果もないという訳ではなさそうだ。

 

 

 翌日、朝のSHRの席で真耶がクラス代表の発表を行っていた。

 

「と、いうわけで!クラス代表は織斑君に決まりました!!」

 

「「「「「……は?」」」」」

 

 この爆乳大明神は何を頓珍漢な事をのたまうのかと思っていた生徒達だが、

その意味を理解して一斉に一夏の方を向いた。

 

「アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエーッ?!!」

 

 生徒達の視線を向けられた一夏がニンジャでも見たような声を上げた瞬間…

 

 SPANK!

 

「おぶ!!」

 

 一夏は出席簿で脳天をシバかれた。

 

「静かにしないか、馬鹿者。」

 

「い、いやち…織斑先生!何で俺がクラス代表に?!何で?!!」

 

「答えは簡単なの!!」

 

 なのはが千冬に替わって理由を説明する。曰く…

 

「1年の他の組の教員共、事も有ろうにあの後

『ウチの組の代表が死んじゃう!頼むから別の人に代わって!!』

って一斉に泣きながら土下座して泣きついて来やがったの!!

おまけに断ったら学園長に直訴して強引に解任しやがったの!!

あの軟弱者どもめらがっ!!いつか〆てやるのっ!!

ルナティック・ラビイィーッシュ!!!」

 

「な、何て口の悪い方ですの…((((((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル」

 

「い、いや!なのはさん落ち着いて!!!

俺なんかより、オルコットさんがいるじゃないか!!」

 

「ヒィ!!わ、ワタクシなどまだまだ未熟者ですわ!!

ですからクラス代表は是非一夏さんにやって頂きたく…」

 

「そういう事だ。他の志願者が脱落した以上、お前がクラス代表で決定だ。

良かったな、全員拍手してやれ。」

 

 千冬の言葉がトドメとなり、クラス全員の拍手の中で一夏は絶望した。

箒を見ても、気まずそうに目を逸らされてしまい、味方は誰一人としていない。

 

「チックショーーーーーーーーーーーーーーー(SPANK!)ぷぎゃ!!!」

 

「少しは喜べ、馬鹿者。(ニヤニヤ」

 

 とどめに千冬がニヤケ面を浮かべながら出席簿で一夏をシバいて

クラス代表決定戦は終結した。

 

「そうだ、大事な事を忘れていた。織斑、そしてオルコット。」

 

「アッハイ。」「何でしょう?」

 

「お前達専用機持ちは今後高町に鍛えて貰え。」

 

「はいぃ?!」「ヒィィィィイイイイイ……。」

 

「ふっふっふ、二人共よろしくなの!」

 

「「俺/ワタクシ\(^o^)/オワタ」」

 

「「「「「…………………………………………………………………。」」」」」

 

 二人に心の中で合掌する1組の生徒一同であった。




誰でも良いです。この2人を哀れと思う方は冥福を祈ってあげて下さい。
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