魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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第30話  楯無ですが、楯が欲しいです。

 そして週明け、1学期最後の週の月曜日の昼休み…

 

 ピーンポーンパーンポーン…

 

『こちらは生徒会執行部です。

1年1組の織斑一夏君と高町なのはさん。

食事が終わりましたら生徒会室へ来て下さい。

1年1組の織斑一夏君と高町なのはさんは、

食事が終わりましたら生徒会室へ来て下さい。』

 

「うえ?!呼び出し?」

 

「あ~、あの件か…」

 

 どうやら、楯無が2人に部活動加入に関する回答を求めて来たようだ。

だが、それに託けて何を企んでいるのやら…

 

「(まあ、行くだけ行ってみるか。

先方も今までの私のやったことを知っている以上、

そこまで大それたことはしないだろうし。)」

 

 

 

 そして、昼食後の生徒会室。

 

 コン、コン。

 

「入って。」

 

「失礼します/するの!」

 

 生徒会室に一夏となのはが入室すると、そこには生徒会長の楯無と、

生徒会会計で本音の姉、3年主席の布仏虚(のほとけうつほ)がいた。

 

「さて2人共。貴方達がどの部活動に所属するか、

その答えを聞かせて貰うわよ。」

 

「では…」

 

なのはは封筒を取り出し、中の文書を楯無に渡した。

 

「これは?」

 

「理事会からの通告書なの!

私と一夏君の部活動入りは任意で良いという事なの!!」

 

 楯無は文書を無言で一読すると、机に置いた。

 

「………確かに、高木理事長の正式な通告ね。

ご丁寧に一夏君のもあるとは根回しの速い事で。」

 

「それで、この件はこれで見逃してくれるの?」

 

「こういう事なら仕方無いわ。

でも、気が変わったらいつでも生徒会室に来てね?

それじゃ一夏君はもう下がっていいわ。

高町さんにはもう一つ用があるからこのままで。」

 

「は、はぁ…」

 

 一夏は退室していった。

 

「さて高町さん。

貴女…IS学園の生徒会長はどうやって決めるかは、もう知っているわね?」

 

「『学園で最もISが強い生徒が成る』と…」

 

 だからこそ、2年生の楯無が生徒会長を務められるのだ。

 

「その通り、その上で言うけど…今日の16時以降、

もし開いていたら私とISで一戦競って欲しいのよ。」

 

 何と言う事か、楯無はなのはにIS戦を挑んできたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………………あー、生徒会長さん?」

 

「何かしら?」

 

「もう一回言って欲しいの。16時以降に何をして欲しいと?」

 

「今日の16時以降、もし開いていたら私とISバトルを…。」

 

「What?!」

 

「ヒィ?!!」

 

 いきなり楯無に噛みつくなのは。

 

「16時以降と言わず、早速戦うのっ!

何なら2対1でも戦うのぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!」

 

「ハァアアアア?!ドンだけ戦いたいのよ貴女?!」

 

「ちょっ、私整備科なのにー!!」

 

 なのはは有無を言わさず楯無と虚を引っ掴み、アリーナへワープした。

 

 

 そして…

 

「な、何なのよ一体…」

 

 楯無はISを装備してアリーナ中央に赴く。

彼女の専用機はロシア製第3世代機、モスクワの深い霧(グストーイ・トゥマン・モスクヴェ)(以下、G・T・M)を

自ら改修して組み上げた霧纏の淑女(ミステリアス・レイディ)(以下、M・レイディ)。

特徴は他のISと比べて装甲化された部分が少なく、

周囲に浮遊するクリスタル型のパーツ、「アクア・クリスタル」によって

ナノマシン制御される水のヴェールで機体を包んでいる点だ。

 

『お嬢様、授業開始まであと20分。

それまでに決着を付けなければいけません。』

 

「解ってるわ、でも手加減してわざと負けるなんて真似はしない。

勝って帰るわよ。」

 

『ええ、その通りです。』

 

 管制室で見届け役を務める虚に勝って帰ると告げたのは、

仮にも学園最強の証、生徒会長の地位に就いている自信の表れか。と、そこに…

 

 

 

 

 

 

「なのおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ズドォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

 例によって、ヤマトを展開してなのはが空から降ってきた。

 

「アップデート後の対有人機戦は初めてなの!!

(福音は暴走中だったのでノーカン)さあ掛かって来るのっ!!!」

 

「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 ヤマトのどーん!の声と共にいきなりダッシュアッパーで殴りかかるなのは。

 

「ちょおおおおおおっ?!」

 

 楯無はギリギリでアッパーを躱し、何とか一撃死を免れた。

 

「…………………何これ?

(ヤバい、あのアッパーが当たっていたら即敗北だったわ!)

くっ、とんだせっかちさんね、そっちがその気なら!!」

 

 楯無が蛇腹剣(ラスティー・ネイル)を構え、なのはに瞬時加速で斬りかかるが…

 

「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 アリーナを揺るがす咆哮と共に放たれたダッシュアッパーが直撃。

しかし手応えが無い。

 

「!! これは水?!」

 

 なのはが殴ったのは水で出来たフェイクだった。では本物は…

 

「…! この霧は…?!」

 

 突如、なのはは霧に包まれた。

 

「まさか…!」

 

 直感でその霧が人為的な物だと察したなのははワープで逃げようとするが、

その寸前で霧が蒸発。ヤマトを高熱の衝撃波が襲った。

 

「むっ、水蒸気爆発…!」

 

「ナノマシン制御された水を霧と為し、

高熱で瞬時に蒸発させて標的に熱と衝撃のダメージを与える。

これぞM・レイディの奥義、清き熱情(クリア・パッション)!さあ、どんどん行くわよ!」

 

 間髪入れず、ヤマトを再び霧が包み込む。

だが、ヤマトに同じ技は二度も効かなかった。

 

「ならばこちらは…はどうばくらいぱぅわぁーーーーーーーーーーーー!!!」

 

 ヤマトは近接グレネード「波動爆雷」を射出し、ナノマシンより早く点火。

爆風で霧を吹き飛ばした。

 

「!! もう破られた?!」

 

「さあ一転攻勢なの!!弾幕2倍なの!!」

 

「うおおおおおおおおお!!!いんかみんみっそぉーーーーーーーーー!!!」

 

 追い打ちで煙突型VLSと全発射管からミサイルをぶっ放す。

 

「ちょっとぉぉぉ!!これウチの国のミサイルじゃないのよぉ!!!」

 

 何と発射されたのは全て楯無の所属国であるロシア製のミサイルだった。

しかも燃料を減らした代わりに弾頭を何倍にも増量して威力を強化した特別版。

一発でも当たれば一撃KOは免れまい。

 

「あの兎博士ったら、どっから盗んできたのよ?!」

 

 楯無は周囲の水を螺旋状に成形したガンランス「蒼流旋」を展開。

仕込まれた4門のガトリングガンでミサイルを迎撃。

ミサイルの一発に銃弾が命中し、周囲のミサイルを巻き込んで大爆発。

残ったミサイルは清き熱情で吹き飛ばして切り抜けた。

 

「威力強化の為に弾頭を増量していたみたいだけど、それが仇になったわね。」

 

 但し、楯無も打つ手がほとんど残されていない。

「(沈む床(セックヴァベック)には追加装備『麗しきクリースナヤ』が必要だけど、

アレは調整の為にロシアに置いてきちゃったからなぁ…)」

 

 そもそも、ワープできるヤマトに

拘束系の技が効かない事は以前に証明されている。

 

「(流石は暴走核弾頭…こうなったらアレをやるしかない!)」

 

 M・レイディの周囲を囲む水が蒼流旋の穂先に集まる。

 

「見るがいいわ、M・レイディ最大の一撃を!!」

 

 集束された水がヤマトに向けられ、

エネルギーへと転じたナノマシンの水が一気に放出された。

 

「穿って見せる!『ミストルティンの槍』よ!!」

 

 防御に回しているナノマシン制御の水を一点に集中させ、

更に超振動を与える事で強固な装甲ですら貫通し、内部から爆破する。

それが楯無の最大奥義『ミストルティンの槍』。

そのエネルギー総量は小型気爆弾4個分に相当する。

一見強力そうな技だが、発動に時間がかかり、それまでは無防備となる上、

当たれば自分まで危険に晒されると言う所謂ロマン技の部類に入る奥義だ。

 

「行けえええええええええええええええええええええええええええええっ!!」

 

「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」

 

 楯無が瞬時加速でなのはに迫る。一方なのははアッパーで迎え撃つ。

 

 ドッゴォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 アリーナを揺るがす大爆発。果たして結果は…

 

「その程度のパワーでヤマトに穴が開くと思っていたの?」

 

「こ、こんな事が…」

 

 楯無の捨て身の一撃はヤマトには届かなかった。

見ると蒼流旋の穂先がぽっきりと折れている。

攻撃が当たる直前、ヤマトの追加アーム「錣曳(しころびき)」が地下から飛び出し、

蒼流旋を拳で叩き折ったのだ。

カウンターを主軸とするなのはらしい対応策だった。

 

「さっきの爆発で視界が塞がった隙に、足元に仕込んでおいたの!!

さあ決着をつける時なの!!覚悟するの!!」

 

「くっ、まだ終わった訳では…」

 

 蒼流旋を蛇腹剣(ラスティー・ネイル)に持ち替えて応戦しようとした楯無だが、

そうは問屋が卸さない。

 

 ガッ!!

 

「!!」

 

 遠隔部分展開で楯無を捕えた。即座にワープで背後に回り込むと…

 

「とくと味わうがいいの!!ロシア人に相応しいフィニッシュホールドを!!」

 

 本体のアームで楯無を掴み、信じられない行動に出た。

 

 

「これがっ!!」

 

 ドガッシャン!!

 

「ふご!!」

 

 何となのはは楯無にバックドロップをぶちかました。

 

「ちょ、プロレス技?!プロレスナンデ?!!」

 

 勿論これで終わりではない。

 

 

 

「私のっ!!」

 

 更にもう一回バックドロップ。だが攻撃はまだまだ続く。

 

 

 

「全!力!全!開ッ!!」

 

 今度はスクリューパイルドライバー。

ハイジャンプから横回転しながらのパイルドライバーだ。

 

 

 さあいよいよ最後の〆だ。

なのはは楯無を真上に放り投げ、ワープで追いついて空中でキャッチ。

そのままもう一度スクリューパイルドライバーを仕掛ける。

その時、楯無は漸く気が付いた。

 

「(こ、これは元プロレスラーだった大統領が

現役時代に使っていたフィニッシュホールド?!まさかこれはロシアへの…)」

 

 

「ファイナルアトミックバスタァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

 ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウン!!!

 

 ヤマトが轟音と共にアリーナに着地し、例によってクレーターが。

勿論、スケキヨ状態のM・レイディは今のでSE切れに。勝負ありだ。

 

「………な、何でIS戦でプロレス技が飛び出すのよぉ~…ガクッ。(K.O」

 

 だが、楯無もヤマトのSEに500以上のダメージを与えた。

それは間違いなく楯無の実力の証明であった。

 

「POWEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEER!!!」

 

 そしてこの雄叫びである。一部始終を見届けた虚は思った。

 

「(あれって、絶対トッ○ギアのあの人の真似だよね…?)」

 

 残念、ボディソープの妖精の方である。

かくして、学園最強の生徒決定戦は

予定調和に等しい内容でなのはの勝利に終わった。

 

「これで文句無しに私の勝ちなの!!」

 

「はあ…負けちゃった。こうなった以上生徒会長は続けられないわ。

来学期からは貴女に生徒会長をやって貰うけど、構わないわね?」

(ふっふっふ、これで彼女は生徒会長の身分に縛られて

行動に制限がかかるけど、逆に私は唯の2年生として

より自由度の高い振る舞いが可能になる。

腰を据えて彼女の情報を収集出来るわ!)

 

「私は一向に構わないの!!」

 

「それじゃ…さあ待ってて簪ちゃん!!お姉ちゃんが今行くよー!!」

 

 ガシッ!!

 

「お嬢様、昼休みが終わります、続きは放課後に…」

 

「ああ!虚、離してぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」

 

 楯無は虚に引きずられてアリーナを去って行った。

それを見届けながらなのははこう思った。

 

「(簪ちゃん?お姉ちゃんと言っていたから恐らく妹の事か…。)」

 

 どうやら、彼女とのごたごたはこれで終わりそうも無い様だ。

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