魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
そして30分後…なのはと箒は稼働試験の会場となるグラウンドにいた。
少し離れた所には、立ち合い人として真耶が控えていた。
そして、稼働試験を監督するのは…
「これより稼働試験を行う!!」
竹刀を持った日本代表監督、倉林美也子であった。
「稼働試験は、1対1の実戦形式にて行う!
両名には現日本代表操縦者、飯田奈緒少佐と一本勝負にて一戦し、
その戦いぶりにて評価する!尚、勝てば稼働試験の合格は保証するが、
負けたからと言って不合格とは限らん!
要はどう戦うかを見るだけじゃ!では…飯田奈緒、前へ…ん?」
倉林が何かに気付いた、そこには真耶の姿。
「何じゃ、まともに剣も振れん癖に
代表候補生なんぞ名乗っとった出来損ないがおるな。」
その声に真耶はビクッと身を震わせる。
「先人達が苦労してISでの剣術を確立した物を踏み躙り、
銃なんぞに頼る臆病の軟弱物、
あれだけ鞭で打ちのめして代表候補生から除名したやったにも関わらず、
今度はIS学園の教師か、ご立派なもんじゃの~…。」
そう言えば、他のIS教員は日本製の打鉄に乗っていたが、
彼女だけフランス製のR・リヴァイヴに乗っていたな。
だが、真耶に嫌みを言うこの女、大分性根が悪そうだ。
「(〆る必要が有りそうなの。)」
対する真耶は俯き、グッと拳を握りしめていた…
「まあ良いわ。ではまず、篠ノ之箒から試験を行う。篠ノ之箒、前へ!!」
まず箒が奈緒と対峙する。果たして箒はどこまで立ち回れるか…?
「篠ノ之さん、頑張って下さいね!」
「はい!」
真耶の声援を受け、箒は打鉄を起動し、奈緒の前に立った。
「篠ノ之箒、打鉄、出ます!」
奈緒も専用機である第3世代機「
両手持ちの大剣「高砂丸」を手に待ち構えている。
「ちゃんと剣で来たか。日本人の魂を守っているのは良い事だ。」
「……どうも。」
「この試合で、その腕前見せて貰うぞ。」
「…はい!」
箒は標準装備のブレード「葵」を構え、試合開始の合図を待つ。
「試験、開始ィ!!」
開始の合図と同時に奈緒と箒は一直線に近づき、剣で切り結んだ。
「「イヤーーーーーッ!!!!」」
互いの剣がぶつかる度にガギンガギンと刃噛みの音が鳴り響き、
橙色の火花が辺りに飛び散る。
「キエーッ!!」「何の、デヤーッ!!」
箒が横薙ぎに斬りかかるのを確認した奈緒は高砂丸を用い、
棒高跳びの原理でハイジャンプ。
箒の後ろに回り込むと、振り向きざまに切り払う。
「グッ…! はぁ!!」
箒は葵で何とか受け止めたが、衝撃で大きく後ろに押し下げられる。
ガードしたおかげでそんなにダメージは大きくなかった為、
すぐに瞬時加速で懐に飛び込もうとするが、
奈緒も迎え撃たんと高砂丸を振り下ろす。
「見えた!!」
しかし、なのはの弾幕の雨で鍛えられた箒はその太刀筋を見切った。
最小限の動きで高砂丸をギリギリ回避し、お返しに袈裟斬りを見舞い、
撫子虎のSEを削り取る。
「くっ、やるな小娘…だが、これならどうだ!!」
次の瞬間、何と奈緒が4つに増殖。前後左右から斬りかかって来た。
これは国家代表レベルの操縦者が使いこなす加速技法、
瞬時加速と急停止を繰り返し、分身した様に見せ掛けて相手を惑わす、
その名も
「これは
3つまでなら箒でも対処出来たが、残る1つの分身の対応が間に合わない。
箒は残る1つが分身だと信じて対応できる3つを防ごうとしたが、
25%の確率を引き当ててしまった。その残り1つこそ本物だったのだ。
「グッ!?」
斬撃を食らい、SEにダメージを受ける箒。
少し距離を取ってアサルトライフル
しかし、これは避けられた。だが、解り切っていた事だ。
銃撃を避けながら近づいてくる奈緒を引きつけると、
箒はタイミングを見計らい、焔備を投げた。
「ふん!」
奈緒が焔備を避けようと動いたそのわずかな隙を箒は見逃さなかった。
「(今だ!)」
箒は葵の刃先を下に向けて半回転させ、峰を自分に向けて地面に軽く刺し、
右足で思い切り峰を蹴り上げる。
その勢いで加速の付いた葵の刀身は奈緒の顔面を直撃した。
「ぐあ!!」
勿論、絶対防御が有るのでこの程度では傷一つつかないが、
SEへのダメージは甚大だ。
今の技の正体は箒の実家に代々伝わる剣術、篠ノ之流の技の一つ「昇り竜」だ。
「篠ノ之流…やはり使ってきたな!」
こんな特徴的な苗字である。篠ノ之家の娘である事は疑う余地などない、
当然、篠ノ之流の心得くらいあるだろう。
「ならばこちらも、遠慮なく使わせて貰うぞ!!」
言うなり、高砂丸が白く発光。
「見るがいい、破邪顕正…桜花放神!!」
奈緒が呪文と共に高砂丸を振り下ろす。しかしこの距離では箒に届かない。
だがこれで問題は無い。何故なら…
「!!」
何と高砂丸から白色の光線が放射されたからだ。
予想外の攻撃に箒は対応が遅れ、回避が間に合わない。
「ぐあっ!!」
直撃こそ何とか避けた箒だが、衝撃で地に転がされ、
葵も右手から払い落とされ、真っ二つになって落ちていた。
この勝負、誰がどう見ても奈緒の勝ちだ。
「そこまで!!」
「くっ、やはり一国の代表には敵わなかったか…」
「まさか一度ならず、二度も直撃させるとは思わなかったぞ。
だが、私とて国家代表。『ブリュンヒルデを継ぐ者』がこの程度と思うなよ。」
矢張り国家代表、箒の敵う相手では無かった。
別に負けても不合格と言う訳では無いが、
それでも負けは負け。やはり悔しい物だ。
「篠ノ之さん、ナイスファイトでしたよ!」
「よく健闘したの!!訓練の成果は充分出ていたの!!」
だが、今までの成果は充分実を結んでいる様だ。
「では次、高町なのは、前へ!!」
さあ、次はなのはだ。
「高町さん、その…手荒な事はしないで…下さいね。」
「努力はするの!高町なのは、ヤマト、発進!」
なのははヤマトを展開。奈緒の前に対峙する。
「全く、何だその飛び道具だらけのISは。日本人の魂は無いのか?!」
ヤマトを見るなりこれである。
だが、そもそも砲撃魔導師上がりのなのはには大きなお世話もいい所だ。
「何じゃ、最近の専用機持ちは堕ちる所まで堕ちたもんじゃの~。
日本の恥晒しめ、外国に長く居過ぎた海外かぶれか?」
審判役の倉林までこの言い種である。
誰に口を利いているのか解っていないから、こんなふざけた事が言えるのだ。
「(よし、この馬鹿2人は全力で〆るの。)」
案の定、これである。さて、どうなる事やら…
「ではさっさと始めてやろう、試験、開始ィ!!」
開始の合図が出た瞬間、奈緒は高砂丸を手にヤマトに突っ込む。
「(この図体なら動きも遅い筈、懐に飛び込めば一瞬で終わる!!)
イヤーーーーーッ!!!!」
だが奈緒は知らなかった。目の前にいるのは
そんな大甘な見通しで挑んで良い相手では無い事を。
そして、否応なしにそれを思い知らされる事になる。
ガシッ!!!
「なっ…!!!」
「あ、あれは?!」
何と奈緒が動いてから僅か0.2秒後、
巨大なISの手が奈緒を撫子虎ごと握りしめていた。
ヤマトの後付装備、追加アーム「
「な、何だこの手は?!は、離せ!!」
「離さないの!!その手1つ動かすのにIS5機分の動力を使ってるの!!
それともう一つ、そこにいる監督に一言言っておく事が有るの!」
「何じゃ!!」
射撃戦を舐めるな!
ドッガァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアン!!!
「ぴゅぶ!!」
なのはは奈緒を思い切り地面に叩き付けた。
「ヒイ!」
跳ね飛んだ機体は倉林の直ぐ側を掠め壁に激突。
「き、貴様!いきなり何を…」
なのはは有無を言わさず錣曳を遠隔部分展開し、奈緒を壁に押さえ付けた。
「反撃何て許した覚えはないの!!
頭を冷やすの!!このなんちゃって日本人共め!!」
ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!
ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!
ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!
ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!
ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!ドギュルルルゥウン!!
「ぴぃぎゃああああああああああああああああああああああああああああ!!」
壁に押し付けたままショックカノンを連射。滅多射ちに射ちまくる。
着弾点は石油コンビナートの火災の如く爆炎に包まれ、
たちまちのうちに灼熱地獄と化した。
「実弾もくれてやるの!!在り難く思うの!!!」
言うなり、ミサイルを一斉発射。
多重量子変換を完全解除した超高圧窒素弾頭の対艦ミサイルの威力は絶大で、
活火山の噴火の如く火柱が吹き上がる。
「次はこれなの!!ロケットアンカー発射!!」
スラスターウイングからチェーンを曳いてアンカーが発射される。
アンカーはヤマトのAI制御で誘導され、チェーンで奈緒を縛り上げた。
「10まんボルトなの!!こうかはばつぐんなの!!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!
「ぴゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
今度はチェーンから高圧電流である。
家庭用コンセントの1000倍の高電圧。間違いなく死ぬレベルの高電圧だが、
活殺自在の効果で絶対に傷一つ付く事すら無い。
「これで最後なの!!とりあえず山田先生に謝って来るが良いのぉーっ!!!」
ドギュルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルゥゥウウウン!!
トドメとばかりに主砲と副砲、
四連装機銃の最大出力にて一斉集中射撃をぶちかました。
BAGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!
「ぴょべぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええ?!!!」
専用機の撫子虎は木端微塵。奈緒は黒焦げになって放り出され、
グラウンドに転がった。勿論、命に別状のある様な傷は無い。
「まだやるの?」
なのははただ一言吐き捨てた。
その背後では、3基の三連速射砲が排熱の為蒸気を上げている。
「ちょ、高町さん?!」
「やっぱりこうなるのか…」
まあ当然の結果だろう。国家代表ごときが暴走核弾頭とタイマンを張るなど、
無謀という言葉では到底足りない愚行なのだ。
所が、このあからさまな結果に物言いをつける不届き者がいた。
「貴様!何じゃ今の戦い方は!!こんな事をして…」
言うまでもなく倉林である。
だが、なのはは審判役にあるまじき行為には容赦しなかった。
ヒュルルルル…ザグッ!!!
「ギャーッ!!」
なのはは倉林の足元に撫子虎の大剣高砂丸を投げつけ、地面に突き刺した。
もう少しずれていたら、倉林は串刺しになって死んでいただろう。
「まだやるの?」
「ヒイ!!こ、こここ殺す気か?!」
まだ口が減らない倉林に対し、
なのはは遠隔部分展開したアームで高砂丸を引き抜き、
頭上に思い切り振り下ろした。当然、倉林は見事な真っ二つ…
には成らなかった。刀身は僅か1mm手前で見事に寸止めされていたからだ。
「ま・だ・や・る・の?」
「あ、あわわわわわわ…」
「早く終了の合図を出すの!!次は峰打ちでブン殴るの!!!」
しびれを切らして怒鳴り付けるなのは。完全に目が本気だ。
「そ、そ、それまでぇ~…。」
倉林は絞り出すような声で力なく試験終了を告げ、へたり込んだのであった。
まあ、当然の結果ですね。
尚、飯田奈緒がなぜかあの人の技を使っていましたが、
これにはれっきとした理由が有ります。
詳細は後の話で本人に語らせましょう。