魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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さて、第4話。今度は中国のあの娘が暴走核弾頭の洗礼を受けます。


第4話  大陸からの使者

 そして数日後、1組の教室はとある噂で持ちきりだった。

 

「ねえ箒、聞いた?」

 

「ああ、2組に転入生が来るらしいな。」

 

「何でも、中国の代表候補生なんだって。」

 

「中国の?」

 

「まあ。ひょっとしてワタクシの存在を危ぶんでの転入かしら?」

 

「「それはない。」」

 

「シュン…。」

 

「まあ気にする事はない。転入するのは2組なんだろう?」

 

 実際にクラス対抗戦で戦う訳ではない箒にとっては、

思わぬ強敵出現という程度の認識しかない。

 

「中国の代表候補生かぁ…会ってみたいかもな。」

 

「あら一夏さん、興味がおありで?」

 

「ん?まあな。俺、2年前に国に帰った中国人の幼馴染がいたんだ。」

 

「そうなのか?だが一夏、今のお前に女子を気にする暇はないぞ、

何せ来月のクラス対抗戦はお前が出るんだからな!」

 

「そうだよ!!織斑君には是非勝って貰わないと!

知ってるでしょ、優勝賞品の事?」

 

 このクラス対抗戦、優勝者が所属する組には優勝賞品として

クラス全員に学食デザート半年無料パス券が与えられることになっている。

本来女子高のIS学園はスイーツに興味津々な年頃の女子ばかり。

そのテンションは天を衝く勢いだ。

 

 当然、1組の代表である一夏の責任は重大。

経験も技術も不足している今の一夏に、他のクラスを気にする余裕は無いのだ。

 

「はいはい、解ってるって。心配すんな。」

 

「大丈夫なのか?」

 

「まあまあ。それに1年生の専用機持ちは

1組と4組にしかいないから織斑君でも大丈夫だよ!」

 

「え?ああ、まあな…」

 

 その時である。

 

「その情報、古いよ!」

 

 教室の入り口から会話に乱入してくる謎の声。

そこにいたのは小柄で平坦な体型のツインテールの女生徒だ。

 

「2組も専用機持ちのこのアタシがクラス代表になったの!

そう簡単には勝てないからね!」

 

「お、お前は…(リン)、鈴なのか!?」

 

 どうやら一夏の知り合いらしい。

そして、自ら2組の専用機持ちと名乗ったこと言う事は、

一夏が鈴と呼ぶ彼女こそ中国の代表候補生という事になる。

 

「そうよ。アタシが中華人民共和国代表候補生、鳳鈴音(ファン・リンイン)

一夏、2年ぶりの再会ね!!」

 

「鈴…お前…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何恰好つけてるんだ? すっげー似合わないぞ!」

 

「なっ、何て事を言うのよアンタは!!」

 

 その時、鈴音の後ろに立つ一人の女が肩をそっと叩く。

 

「っ!?誰?!(振り返る)うっ…?」

 

 振り返った瞬間、鈴音の顔から血の気が引いた。何故なら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   

⌒*(◎谷◎)*⌒

                  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暴走核弾頭、高町なのはが夜叉般若の形相で鈴音を睨みつけていたからだ。

 

「道を開けるの、そこにいたら通れないの。」

 

「あ、アイヤァー…。」

 

 鈴音は恐怖のあまり青ざめ、その場から逃げだした。

その光景を見た生徒たちは思ったという。

 

「「「「「(やっぱこの人、織斑先生を超える暴君だわ。)」」」」」

 

 少し後…

 

「ん?あれは…

(全く、SHRの時間だと言うのにまだ戻っていないとはけしからん)…!!」

 

 額に傷跡こそ残ったが、なのはに付けられた傷も治り、久々に上機嫌の千冬。

と、視線の先には廊下に生徒が一人残っている。だが様子がおかしい。

足取りがふらついている上、目を凝らして良く見ると顔が真っ青だ。

次の瞬間、その生徒は床に膝を突き、ばったりと倒れた。

 

「!!(生徒に駆け寄る)おい、どうした?!しっかりしろ!!」

 

 倒れた生徒を揺さぶると、弱弱しく口を開いた。

 

「ち、千冬…さん?」

 

「お、お前は…凰鈴音か?どうした?!何があった!!」

 

「た、助け…は、般若…はん…ガクッ。(失神」

 

 倒れたのはなのはから逃げてきた鈴音だった。恐怖の余り貧血になった様だ。

 

「おい、凰、凰!!(鈴音を揺さぶる)くっ!

(鈴音を背負い、教室のドアを開ける)山田先生、大変だ!!」

 

「どうしました?…!! その背負っている生徒は一体…?」

 

「2組の生徒が貧血で倒れた!私はこのまま2組に知らせて、

ついでに保健室までこいつを運ぶ、今日のSHRは任せた!」

 

「ええ?!アッハイ、やっておきます…。」

 

 かくして凰鈴音は「転校初日に貧血で保健室へ担ぎ込まれる」

という笑いのネタを2組に提供するのであった。

 

 

 

 そしてその日の昼食の時間…。

 

「…で、一夏よ。」

 

「おう。」

 

「説明してもらおうか、こいつとの関係を…(ジト目」

 

 一夏と箒、そしてセシリアの前では、

貧血からなんとか回復した鈴音がラーメンを啜っていた。

 

「そ、そうですわ!まさか一夏さん、このフォン・インランとか仰る方と…

その…恋人関係なのではありませんわよね?!!」

 

「ブホッ!!だだだだだ誰が淫乱よ!!

それにアタシはそんなゲルマンチックな苗字じゃない!!

ファン・リンインよ、ファン!リン!イン!そして、アタシこそ一夏の…」

 

「セカンド幼馴染…だろ?」

 

「…………………………………………。」

 

「ほら、箒は確か小4の時に引っ越ししただろ?

あの後すぐ、小5の頭にこいつが中国から引っ越してきて、

で中2の終わりに中国に帰ったんだ。

だから、お前とは丁度入れ違いって事になるんだよ。」

 

「そ…そうか、成程…。なら凰鈴音とやら、改めて自己紹介しておこう。

私が篠ノ之箒、一夏の『ファースト幼馴染』だ。良く覚えておくがいい。」

 

「ふ~ん、そうなんだ。これからよ・ろ・し・く・ね?」

 

「こ・ち・ら・こ・そ。」

 

 両者とも笑顔なのに、その間には火花が散っているようだ。

 

「ち、ちょっと?!このワタクシ、連合王国代表候補生、

セシリア・オルコットの存在を忘れてもらっては困りますわ!」

 

「で、一夏。アンタ1組の代表になったんだって?」

 

「ああ、千冬姉よりもっと恐ろしい人に押し付けられてな。

ほら、今朝鈴の肩を叩いた…。」

 

「うげ。」

 

 どうやら思い出してしまったようだ。鈴音の顔から少し血の気が引く。

 

「そうそう、その事で言おうと思ってたんだけど、

アンタISの知識はからっきしなんでしょ?

何ならアタシが見てあげようか?ISの操縦の!」

 

「あ、いや…その事なんだけどさ。」

 

「ちょっと、なんでワタクシを無視なさいますの!!?」

 

 無視されっぱなしでカンカンのセシリア。

ようやく気付いた鈴音だが反応は素っ気なかった。

 

「ああ…いたの?ごめん、アンタに用は無いから。」

 

「んなっ!?」

 

 あんまりだ。

 

「で、続きなんだけど、実は千冬姉が俺の指南役をもう決めててな…。」

 

「え、そうなの?なーんだ。で、その指南役って誰よ?」

 

「それは…」「そう、私なの!」

 

「げっ、この声は…!!」

 

 鈴音の背後から声が、振り返ると…。

 

「やあ。」

 

「「「「ギャーッ!」」」」

 

またこのパターンである。

 

「私が、一夏君の訓練役の高町なのはなの………おや?」

 

「「「(失神)」」」

 

 一夏以外の3人は失神していた。

 

「私、そんなに怖いかな…?」

 

 知らんがな。と言う訳で、失神した3人を叩き起こし、

ここからはなのはも含めた5人で話の続きに。

 

「…と言う訳で、アタシが中国の代表候補生、凰鈴音よ。」

 

「改めてよろしくなの!」

 

「そ、それよりどうなのよ?ISの操縦の件。

アタシだってこれでも一国の代表候補生、

そこのファースト幼馴染や千冬さん指定の指南役何かよりは上だと思うけど?」

 

「いや、それは無いだろ/な/ですわ/のっ!」

 

「な、何よ。アンタまさかアタシが負けるとでも思ってんの?」

 

 鈴音は知らないのだ、なのはの戦闘能力がどれだけとんでもないのか。

 

「当たり前だろ。この人…千冬姉に勝ってるんだぜ。」

 

「はぁ?!千冬さんに勝った?!」

 

「ああ、それも一撃で。

千冬姉、負けたショックでマジ泣きしたくらいだからな。」

 

「え゛っ!!ちょ…え?!」

 

「ホント驚いたぜ、いきなり上から降って来たかと思ったら、

物凄い大声で自己紹介をまくし立てるわ、窓の外で何か爆発するわ。

で、うるさすぎてブチ切れた千冬姉がシバこうとしたら…」

 

「どうなったのよ?」

 

「今度はなのはさんがブチ切れて千冬姉を掴んで

教室の窓からアリーナまで飛んでった。

で、少し経って千冬姉がアリーナから教室までぶっ飛ばされた。」

 

「うわぁ。」

 

 想像してしまったのか、思わず声が出てしまう鈴音。

 

「もう大変だったぞ。千冬姉は顔面から廊下に着地して顔面血みどろ。

お嫁にいけないとか大泣きして他のクラスの連中とか先生も出てくるし、

で、いつの間にか戻って来たなのはさんを皆で一斉に野次ったら、

『戦わずして友にはなれぬ!』とか何とか怒鳴りつけられて皆逃げてったし。」

 

「どこの毛沢東よ?!」

 

「その後、千冬姉がなのはさんにおっぱい揉まれた。」

 

「ナンデ?!」

 

「で、『私より強い奴になれ』って言われたらなんか立ち直った。」

 

「何それ?!全然訳が分かんないんだけど?!」

 

「俺だって訳分かんねえよ!」

 

 なのはは一夏と鈴音のやり取りを腕組みしながら頷いて聞いていた。

それでいいのか?

 

「……なあなのはさん、アンタは一体何者なんだ?いや、ホント冗談抜きで。」

 

「私?私は束さんに雇われた専属操縦者なの!それ以上でも以下でもないの!!

ここに入った理由はさっき一夏君が話した事もあるけど、

もう一つ束さんから最新機の運用データを作る様に言われているからなの!!」

 

「最新機?」

 

「そう。これを見るの!!」

 

 そう言ってなのはが机の上に置いたのは、

小学生時代のなのはをモデルにした高さ30cm、3頭身のぬいぐるみだ。

 

「あ、可愛いかも。」

 

「そうなの?この外装は昔の私がモデルなの!!」

 

「でも、なんか顔が手抜きじゃね?」

 

 一夏の言う通り、眼は瞳が描かれていない単なる白丸。

口は笑顔のまま開かれ、脳内の花畑が満開になったような表情である。

だが、その指摘にキツイ返答が帰ってきた。

 

「てぬきとかいうな、しすこん。」

 

「な、何だよなのはさん、いきなりシスコンはないだろシスコンは!」

 

 だが、何かがおかしい…それもその筈。

 

「違うよ。今の一言は…。」

 

 次の瞬間、ぬいぐるみが突然立ち上がり、何と一夏の眼前に浮遊した。

 

「何と!」

 

「浮いた?!」

 

「うわ!!」

 

「ええええっ?!」

 

 一斉に驚く4人。更に驚愕する事が。

 

「やあ。(右手を上げる)」

 

「「「「!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは!わたしはなのはせんようきだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 何となのは専用機が一夏達に挨拶したのだ。

しかし、喋る筈のない物が喋った時、人間のリアクションは自ずと限られる。

 

「「「「キエアアアアアアアアアアシャベッタアアアアアアアアア!!」」」」

 

 一夏達は恐怖の余り一目散に逃げだした。

 

「あらら、皆逃げちゃった。」

 

「へたれー。」




なお、専用機の声ですが、一夏がなのはと勘違いした事からも解る通り、
なのはと声がそっくりです。誰の声かは…言わなくても解るね?
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