魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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さて、今度は英国編。いよいよ例の奴等が活動を始めようとしています。
そして、世界最悪の悪食帝国と言われ続けるこの国でなのはのできる事は何か…?


第46話  悪魔のお料理in英国

 さて、フランスで兎狩りを満喫したなのはは英仏海峡トンネルを経て

次の訪問先、英国に着いたのだが…。

 

「じ~………。」

 

 ヤマトが前方の何かを凝視していた。その視線の先には…

 

「ここも警察と軍だらけなの…」

 

 なぜか駅中には首都警察(スコットランド・ヤード)と英軍特殊部隊、特殊空挺部隊(SAS)がうようよ。

一体何があったのか?事の発端は、1週間前に遡る。

英国の指定IS開発企業、BAEシステムズのIS試験場でそれは起こった。

 

 

 

 

 

 

「6-Dエリアに侵入者在り!迎撃せよ!!

繰り返す、6-Dエリアに侵入者在り!迎撃せよ!!」

 

 侵入者を告げるアナウンスが試験場格納庫の暗闇に響き渡る。

その中を歩く1人の影、アナウンスが告げる侵入者だ。

だが、その侵入者の出で立ちは極めて異様であった。

 

 背丈は160cmにも満たず、前髪で目元を隠している。

推定される年の頃は恐らく中学生位、性別は女だろう。

その服装も特異で、上半身はケープですっぽりと覆い、

隙間からはISスーツが覗いている。

下半身はスカート、ズボンの類は身に着けておらず、

サイハイブーツだけを履いていた。一体、何を狙って忍び込んだのだろう?

 

「侵入者発見!!侵入者発見!!!」

 

 警備の英陸軍1個分隊が侵入者の少女を見つけた。

この試験場はISを扱うという特殊性から、警備担当者には英国政府から、

侵入者に対して無警告で実弾射撃をする許可が与えられていた。

そのため、兵達は迷わず少女に銃撃を仕掛けた。のだが…

 

「面倒だな…殺さないと言うのはッ!!」

 

 少女はひらりひらりと銃撃を躱して間合いを詰めていく。

そして、ハイジャンプで飛び掛かると二挺拳銃で反撃。

銃弾は全て命中し、警備兵を打ち倒した。

 

 だが、兵達はまだ生きていた。銃弾が急所を外れていたからだ。

いや、外れたのではない。外したのだ。この少女はわざとその様に撃ったのだ。

残った兵達はしぶとく反撃するが、こちらもハイジャンプで後ろに回り込み、

銃撃と蹴り技であっという間に打ち倒し、数秒で警備兵一個分隊を沈黙させた。

 

「フンっ…む?」

 

 だが、これで終わりではなかった。

少女が振り返ると、そこには4機のR・リヴァイヴ。

メンテナンスの為に試験場にいたSASのIS小隊が

警報を聞きつけて格納庫に駆けつけたのだ。

 

「SASだ、武器を捨てて両手を上げろ!!」

 

 一斉に機銃を少女に向けて勧告する。

すると少女は口元を歪め、視線を逸らす。つられた隊員が視線の先を追うと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッハー!!隙だらけだぜ、SASさんよぉ!!」

 

 8本の脚を持つ異形の何かが空中から強襲。見ると脚先には銃口が。

 

「何、仲間だと?!」

 

 SASの隊員が機銃を構え直す暇も与えず、異形の何かは脚先から銃撃。

R・リヴァイヴは機銃を破壊され、無力化された。

 

「しまっ…」

 

「おっと、これで終わりじゃねえぜ!!!」

 

 追撃とばかりに、両腕から謎の糸が放たれ、R・リヴァイヴを絡め取る。

 

「な、これは…エネルギーワイヤー?!まさか…『アラクネ』か?!」

 

 アラクネ、それは米国製の第2世代ISの1機である。

数年前に試作され、表向きは開発終了後に解体された事になっていたが…

今SAS隊員の目の前にあるのは、紛う事なきアラクネそのものであった。

 

「くっ、貴様等、何を狙ってここに…!」

 

「知れた事、この格納庫の奥に眠るIS、サイレント・ゼフィルス

(以下、S・ゼフィルス)を…奪いに来た!!」

 

 S・ゼフィルスとは英国製第3世代機の1機である。

その基礎データはセシリアの専用機B・ティアーズの物が使用されているが、

B・ティアーズのビットが攻撃のみ可能なのに対し、

本機は防御にも使用可能なシールドビットを試験的に搭載した、

所謂上位互換機である。

 

「何ッ?!まさかこいつ等…亡国機業(ファントム・タスク)か?!」

 

「おっと、それ以上は命に関わるぜ!!」

 

 アラクネ操縦者はカタールを抜いて、隊員の喉元に突きつけた。

 

「殺すなよオータム。我等はS・ゼフィルス以外に用は無いからな。」

 

「けっ、一々指図するなよエム。」

 

「フン…では先に行く。そいつらの見張りは任せた。」

 

「あ、おい、待て!」

 

 オータムと呼ばれたアラクネ操縦者の声も聞かず、

エムと呼ばれた少女は奥へと走っていく。

数分後、何かを破壊する轟音と共に1機のISが試験場から飛び去り、

その後に続いてアラクネも試験場を後にした。

 

 数分後、通報を受けた英軍と

英国代表操縦者のナナミ・タカツキが駆けつけた時には、

格納庫最奥のS・ゼフィルスは奪われ、後には破壊された天井と

エネルギーワイヤーでぐるぐる巻きにされたSASのIS隊、

そして負傷した警備兵が転がっていたという。

 

 

 

 

 

「と、そう言う事が有ったそうなので、英国は現在厳戒態勢中なのですわ。」

 

 出迎え役のセシリアからの説明で事情を悟ったなのは。

 

「そういう事だったの…アリバイがあって良かったの!何せその時私は…」

 

 その日は奇しくも夏休み初日。

なのはは日本に近接戦至上主義を植え付けようとしていた

某国の回し者を締め上げていた真っ最中だった。

つまり、どう考えても現場には居ない。

 

「そういう訳だから、どう考えても

私に疑いの目が向けられる余地は無いと言う事なの!!でも、その割には…」

 

 なぜか周囲の視線が2人に集中する。原因は、もう言うまでもないだろう。

 

「と、と言う訳で…これから我がオルコット邸に御招待いたしますわ!

…と言いたいのですが、本当に送迎は不要ですの?

言われた通り、独りでお迎えに上がりましたけど…」

 

「無論なの!私にはこれが有るから…」「いえーす。」

 

「ああ、そう言えば、ヤマトってワープ能力もちでしたっけ…。」

 

「そういう事なの…では、いざオルコット邸へ!」

 

 かくして、なのははセシリア共々オルコット邸へとワープしていった。

 

 

 そして、その頃のオルコット邸の一室では…

 

「さて、どうしましょう?」

 

 オルコット邸では、同家の筆頭侍女でセシリアの幼馴染でもある

チェルシー・ブランケットが今日の料理担当者と相談をしていた。

 

「この中に日本料理の出来る方はおりませんよね…」

 

 皆コクコクと頷いていた。相談の内容は至ってシンプルだ。

「なのはにどんな料理を出すか?」この一点だ。

何しろ英国と言えば世界最悪の悪食帝国と名高い。

食文化で圧倒的に優る日本からの凶暴無比なゲストを

満足させ得る料理を出せるのか極めて疑わしかった。

 

「お嬢様の話では、ミス・タカマチは暴走核弾頭と称される程気性の激しい方…

もしも不手際があって彼女の怒りを買うような事に成ったら…」

 

 間違いなくオルコット邸は全壊、巻き添えでロンドンは火の海と化すだろう。

 

「我等の失態で英国を破滅させる訳には参りません、

何とかして、彼女を納得させ得る献立を考えませんと…」

 

 所が、その答えは思わぬ所からやって来た。

 

「じ~…。」

 

 作戦会議中の一同をじっと凝視する小さい影、待機状態のヤマトだ。

 

「え、えーと…ヤマト、さん…?」

 

 チェルシーが初対面のヤマトを知っているのは、

家主のセシリアから事前に知らされていたのは言うまでもない。

 

「やまとはきいてたの、きょうのこんだてのそうだんをしてるの?」

 

「ええ、まあ、そうですけど…」

 

「それなら、いいほうほうがあるの!…なのはがじぶんでつくればいいの!!」

 

「「「「「…………………………………ハッ、その手があったか!!」」」」」

 

 これは妙手だ。何故ならこれで失敗しても責任は作ったなのはにある。

オルコット家には何の責任もないのだから、

損害を被る可能性は限りなく0に近い。

 

「確かに…それなら、こちらが文句を言われる可能性はないですね。」

 

「そうでしょ?それじゃ、なのはにせつめいするの。」

 

「アッハイ…」

 

 と言う訳で、なのはに事情を説明する事に。

 

「ふむふむ、私を納得させられそうな献立が作れないから、

食材提供するので作るのは自分で…と言いたいの?」

 

「そうなの。まずめしにあたるよりはましなの。」

 

「でも、仮にも上流階級なら良い物食べてそうな気がするの!」

 

「…宜しいのですか?

英国で上流階級が食べる物と言えば、仏料理が主流なんですけど…。」

 

「………………。」←今朝までフランスにいた。

 

「お分かり頂けましたか?」

 

「致し方なし、それじゃ食材を見せて欲しいの!」

 

「では、こちらへどうぞ。」

 

 そして、オルコット邸の食糧庫を案内してもらう事に。

 

「うーん、やっぱり名家だけあって食材は立派なの!」

 

「は、はぁ…そう言って頂けると、在り難いのですが…」

 

 そして、数分掛けて食糧庫を調べ回った結果…

 

「大体目途は立ったの!でも、私が予定している献立に足りない食材が有るの!

その分を調達するので、それまで待ってて欲しいの!!」

 

「……そうですか。それは失礼致しました。お嬢様にもその様に伝えます。」

 

「では、行ってくるの!!」

 

 その後、オルコット邸キッチンにて…

 

「待たせたの!!早速料理するの!!」

 

 食材の調達を終えたなのは。早速、調理開始だ。

 

「全く、まともな下処理が出来てないの!!いくら内臓を使う料理だからって、

アンモニアの臭みの残る様な手抜きは論外なの!!」

 

 早速難癖をつけるなのは。だが向こうではこれが良いという意見もある。

この辺りは日本人と欧州人の食への考え方の違いなので、

余り気にすると碌な事にならない。

 

「きっちり塩コショウで下味を付けて…よし、こいつはこれで良いとして…

にしても、土用の丑じゃないけど、活きの良いウナギが手に入ったの!!

これなら、あれが出来るの!!ふっふっふ…」

 

 早速ウナギを捌いていくなのは。

 

「ウナギの血は有毒だから、血抜きをきっちりしておかないと…

ヤマト、醤油ダレはどう?」

 

「こんなかんじだよー!」

 

「ぺろり…まあこんな所なの!!

英国くんだりでも醤油があったのは大きかったの!!

危うく白焼きのままで出すところだったの!!

炭火は…オーブンで代用できるかな…

ヤマト、焼くのは任せるの!!でもその前に…」

 

 なのはの周囲にヤマトのアームが、その手には野菜包丁。

 

 トトトトトトトトン、トトトトトトトトン、トトトトトトトトン…

 

 なのは自身の手と、ヤマトのアームまで動員しての野菜のみじん切りだ。

 

「(玉ねぎは1人でやるとガスがきついけど、冷凍庫で冷やせば安全なの!!)

ヤマト、鍋はどうなった?」

 

「おゆならわいてるよ!」

 

「よしよし…

英国だから炊飯器がないのは覚悟の上だけど、何とかなりそうなの!!」

 

 調理は順調に進んでいる様だ。そしてその様子を物陰から覗く者達がいた。

チェルシー率いるオルコット家の従者達に加え、

家主であるセシリア自身も何を食べさせられるのかが気になり、

こっそり覗いているのだ。

なのは調理作業ぶりを見てそれぞれの反応は…

 

「(な、何て勿体ない事を!あの臭みが内臓料理の醍醐味なのに~。)」

 

「(玉ねぎを凍らせるのかと思ったが、5分くらいで出してたな…

一体何をしたかったんだ?)」

 

「(ウナギを背中から切り開いていたな、何を作る気なんだ…)」

 

 御付きの料理人達は自分達とは全く違う日本人の食材の扱い方に驚き…

 

「(皆、くれぐれも声を立てないで下さいね。

機嫌を損ねたら何をしでかすか解りませんよ…!)」

 

 チェルシーはそんな従者達の動向に気を配る。

 

「(な、なのはさんって、お料理も出来たんですの?!)」

 

「(お嬢様……。)」

 

 セシリア自身、花嫁修業の一環として自らキッチンに立つことはあるが、

彼女の料理の腕前は以前記した通りだ。

対するなのはは今の一夏達の年には既に就職して1人で家事をこなしていた上、

元々実家を継ぐのが夢だったので、就職して以降も料理は勉強している。

セシリアの様なポイズンクッカーとは手際が全く違っていた。

 

「たけたよー!でもしゃもじがないよー!!」

 

「What?!えーと、何か代用できるのは…」

 

「「「「「(大丈夫かなぁ…)」」」」」

 

 そして、なのはが用意したのは…

 

「遂に完成なの!!」

 

「まあ、それは楽しみですわ!!早速頂きましょう!!!」




なのはは何を作ったのだろうか?
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