魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
なのははラウラ率いる黒兎隊から基地への招待を受けたようですが…。
英国での2泊3日の観光を追え、なのはは黒兎隊の本拠地がある
ドイツ南部の地方都市カルフに向かうべく、ミュンヘン空港に降り立った。
「さて、隊から迎えが来ている筈なの…。」
ワープを使えばとっくに基地に入っているが、それだと不法侵入になる。
あくまで国家代表の挨拶回りとして行く以上、
合法的な手段での入国が必要なのだ。
等と言っているとラウラ達黒兎隊の出迎えが。
「お師様、ようこそドイツへ!」
「「「「「黒兎隊一同、お待ちしておりました!!」」」」」
中隊長のラウラと副長のクラリッサ以下、隊の士官総出で出迎えである。
例の一件以来、なのはは黒兎隊の大恩人という扱いを受けているからだ。
勿論、連邦軍上層部にとってはかつての赤軍を超える超危険人物である。
「わざわざ総出で出迎えに?」
「如何にも!お師様の入国の報を受けて、黒兎隊士官一同、
装甲車で馳せ参じました!早速我等の本拠地、カルフ市へ参りましょう!!」
かくして、一同はクラリッサが運転する特殊装甲車で
黒兎隊の本拠地があるカルフ市へと向かう。
ここで、黒兎隊について簡単に説明する。
まず、黒兎隊という隊名は公式のものではない。
黒兎隊の書類上での正式な隊名は、
「ドイツ連邦陸軍
隊員数は他のKSKコマンド中隊が総勢80名なのに対し、
黒兎隊は丁度100人と20人多い。
保有する3機のISのメンテナンスの為、
20人のIS整備小隊を指揮下に加えているからだ。
その最大の特徴は、隊員は全員女だけで構成され、
左眼に疑似ハイパーセンサー「オーディンの瞳」を移植されている事だ。
その為隊員は普段カバー替わりにアイパッチをはめており、
それが隊の識別章でもある。
そして、その本拠地は同隊を指揮下に置く連邦軍の特殊部隊、
一方その頃旧西ドイツ時代の首都、ボン市にあるドイツ国防省本庁では…
「暴走核弾頭が、遂にこのドイツに再び降り立った!」
会議室の一つで、軍と国防省の大幹部が何事かを会議していた。
口火を切ったのは連邦陸軍の最高官、陸軍総監ベルホルト・グレゴール中将だ。
「忌々しい事だが、現在の連邦軍に奴が暴れ出した時に対処できる戦力は無い!
セルベリアは現在リハビリの最終段階だが、完全な復帰には半月かかるだろう。
第一、専用機の性能差は歴然だ。」
世界ランク実質第2位の操縦者が
学生相手に蹂躙されるという大敗北を喫したのだ。
しかも、ICPO-ICDのIS隊が同伴していたにも関わらずである。
「学園にはあんな強者がいたのか?!」
「奴がいる限りIS学園には干渉できない!」
あの一件がドイツ、いや欧州に与えた衝撃は大きかった。
「それだけならまだしも、今の奴は日本国家代表という地位まで獲得している。
下手に手出しすれば、防衛軍のIS隊同伴でベルリンどころか
ドイツ、いやEU全土を焦土にするまで暴れ回るんだろうな…」
そう零したのはKSK旅団を管理下に置く
陸軍
「やめろイェーガー、余計な事を言ったから想像してしまったではないか!!」
「へいへい、そう神経質になりなさんなって。」
「お前が能天気なだけだ!全く、今世紀生まれの若造はこれだから…!」
「おっと総監殿、生まれの文句は無しですぜ。
俺達はそんな話をしに来たんじゃない。話を戻しますがね…ガランドの話じゃ、
黒兎隊の奴等は暴走核弾頭とタバネ・シノノノに大恩を感じているらしく、
隊長のボーデヴィッヒ少佐が卒業したら、奴等は一斉に軍を辞めて
タバネ・シノノノの傭兵になるって噂がKSK中に流れているらしいですぜ。」
「何だと、何故もっと早く言わん!」
「確証が無いからに決まってるでしょう。これはあくまでも噂であって…。」
「国防省内にもそういう噂はあった。
奴等は不起訴処分が決まった直後に何らかの密談をしていたと言う。
もしや国を裏切る算段をしていたのではとな。だが、今のではっきりしたな。
最早、奴等は裏切り者として扱うべきだろう。」
「成程成程。では仮に暴走核弾頭に手出しをしようものなら、
連中は向こうに寝返ると見るべきだろうな…。」
「暴走核弾頭との敵対路線をとり続ける限り、
黒兎隊は戦力として全くアテにならない所か、潜在的な敵という事か…。」
「すぐにでも始末したい所だが、今の我々にはどうする事も出来ん。
残念だが、しばらくは放置せざるを得んか…。」
他の将軍や国防省高官達も、
自国にやって来たこの超危険物の扱いに頭を悩ませている様子だ。
「こうなったのも、全てはあのアリエノール・デュノアのせいだ!
あのフランス女の策に乗ったばかりに、我等が被った損害は甚大だ。
だが、『あのお方』は今の所あ奴を処罰するつもりはないらしい。」
「矢張りカネか…ドニエール家のカネは重要な活動資金だからな。」
「では陸軍総監、今回の我々は沈黙を保ち、
奴が出国するのを待つという事で良いのか?」
「いかにも。『アレ』が完成しない限り、我等は何も出来ませんな。
KSK旅団長のガランド准将と戦闘隊長のヴィルケ中佐には、
くれぐれも奴を刺激する真似をするなと再度伝えておきましょう。」
「致し方ない…だが、あの時の借りは必ず返すのだ!
これは連邦政府はおろか、あのお方の意向でもある、それを忘れるな。」
「よく心得ております。では本日はこれにて。」
結局、今回の作戦会議の結論は
「沈黙を保って何もしない」という消極的な結論だった。
こうして、上層部の作戦会議は終了した。
ドイツ南部 バーデン=ヴュルテンベルク州 カルフ市
連邦陸軍
「ここが我等黒兎隊を指揮下に置く連邦軍特殊部隊、KSK旅団の基地です!
我等はこの基地の中に本拠地を構え、日夜の鍛錬に勤しんでいます!」
「KSKか…旧自衛隊の特殊部隊『特殊作戦群』の創始者は、
かつてドイツに留学した際、この旅団で訓練を受けたと聞いた事が有るの!!」
(※実話です。)
「そういえば、なぜか日本人の写真が有りましたね。
あれはそう言う事だったんですか。」
「成程ねー。」
「所で一つ聞くけど…外国人の私が軍の、
それも特殊部隊の基地なんかに入って大丈夫なの?
ほら、私この前ベルリンで滅茶苦茶やらかしたから…」
「だ、大丈夫ですよ!ここに旅団長直筆の許可証が有りますので、
これを見せれば問題は有りません!」
「それに、お師様を国内へ入れる気が無くても、
連邦軍にお師様を止める手段はありませんから。
ブレス大佐は未だリハビリ中ですし、
もう一人の代表であるヴィルケ中佐も大佐程の腕は無い…
第一、お師様にそんな行為を働くなら、
我等黒兎隊は国を裏切ってお師様に味方します!!」
「そ、そうなんだ…。まあ、あの密約があるから当然だよね。」
黒兎隊はあの一件の後、なのはと束と今後の方針を相談し合っている。
そこで決まったのは、
「ラウラが学園を卒業次第、黒兎隊は全員一斉に除隊して国籍も捨て、
束の下で私兵として活動する」という事だ。
一時の事とはいえ国に冤罪を着せられて捨て駒扱いされた以上、
水面下で見限るのは当然である。
こうして連邦軍人として活動するのも、あと2年半だ。
「所でお師様、教官はどの様な様子でした?」
「千冬先生は一夏君といちゃつくので忙しいみたいなの!!
とんだブラコンなの!!」
「そうですか…何やら良からぬ輩に良からぬ事を吹き込まれていたと聞いて
不安になりましたが、元気そうで何よりです。」
一方その頃織斑姉弟は…
「いちかぁ~!いちかぁ~!!いちかぁ~!!!
もっとお姉ちゃんをかまってぇ!!!ってか、むしろ抱いてぇ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!千冬姉が狂ったぁぁぁぁぁぁ!!!」
教師と生徒の関係から解放され、
ブラコンが爆発した千冬が泥酔して一夏といけない事に及ぼうとしていた。
「勘弁してくれーっ!!俺達は血が繋がった姉弟なんだぞ!!
俺の知ってる千冬姉は弟に身体を許す女じゃないから!!
頼む、正気に戻ってくれ!!」
「断る!正気にて大業はならず、武士道はシグルイなり!!」
「ナンデ?!しかも武士道関係ないから!!誰かー、助けてー!!」
「さあ、観念してその身を姉に委ねるが良い!!」
「いーーーーーーやーーーーーーー!!」
この後、どうなったかはここでは書き表せない。だがこの晩に限っては
一夏が超えてはならない一線を超えずに済んだ事だけは明記しておこう。
KSK旅団本拠地 正門前
「……………おや?正門の奥に…」
基地正門を入ってすぐ、そこにKSKの兵と2人の女が。
良く見ると、二人とも頭の上に獣の耳らしき物体が。
「あれは…!クラリッサ、車を停めろ!」
「はい!!」
突然車を停止させるラウラ。
どうやらあの二人、身なりからしてこの基地でも高位の士官の様だ。
「どうしたの?」
「あの2人は私達の上官です。
右側の方がKSK旅団長のアドルフィーネ・ガランド准将。
左側が我々コマンド中隊を束ねる戦闘隊長のミーナ・D・ヴィルケ中佐です。
私達はこれからあのお二方へ報告に向かいますので、
お師様もここで下車して下さい。」
「解ったよ。(ヤマト、いつでも動けるように準備して。)」
「(無言で頷く)」
旅団長直々に正門の前で出迎えるとは、余程重大な話があるらしい。
ラウラ達黒兎隊士官一同は2人の前に整列し、一斉に敬礼して現状を報告した。
「旅団長閣下に報告します!
ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐以下第5コマンド中隊士官一同、
こちらの日本国代表操縦者、
只今帰投致しました!」
「ご苦労!後は私が直接話すので、お前達は下がって良い!」
「「「「「ヤー!」」」」」
ガランドはラウラ達を下がらせると、ミーナ共々なのはの前に歩み寄る。
「さて…お初にお目にかかるな、
私がKSK旅団長のアドルフィーネ・ガランド准将だ。
そして、こっちが我が国のもう一人の代表操縦者で
KSK戦闘隊長のミーナ・D・ヴィルケ中佐。
確か、中佐はパリで会ったと言っていたが…?」
「如何にも!!
ただし、邪魔な兎が割り込んだおかげで会話を交わした事は無いの!!」
「兎…?ああ、アレか。
だが、まさかアレを取って食らうとは、噂以上の人間離れだな。
前任者から聞いたチフユ・オリムラも常識を逸脱していたが、
彼女ですら敵わなかったのも頷ける。」
「当然なの!!でも、それも長くは続かないの!!
いずれ彼女とは、正式に決着を付ける時が来るの!!
モンド・グロッソをも超える史上最大のIS戦にするから、期待するの!!」
「左様か…では早速本題に入らせて貰う。
その前に聞くが、貴女は疑問に思った事は無いか?
『何故私の様な20代の若造が、1個旅団、
それも特殊部隊の長を任されているのか?』と。」
考えてみればそうだ。なのはの元の職場では、
クロノ、カリムなど20代の将官は珍しくなかったが、
普通ならまずありえない年齢だ。
「大体予想は付くの!
千冬先生と同じで、元国家代表操縦者だったとか、そんな所なの!」
「如何にも。私は第1回モンド・グロッソ当時のドイツ代表だった。
ここにいるヴィルケ中佐に代表の座は譲っているが、
こうして1個旅団を任される今でもISの鍛錬には欠かさず参加している。
その上で申し上げるが…」
「畏れ多くも、暴走核弾頭!我等KSKは、貴女との一戦を希望する!!」
というわけで、親善試合を挑まれたなのはさん。果たして、無事に終わるのか…?
ここで、ストパンシリーズのファンの皆様に謝罪しなければいけない事が有ります。
ゲストキャラのミーネとアドルフィーネですが…
ちゃんとスカートを履いています。