魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
今回ご覧頂くのは時系列をすっ飛ばして27日当日の一夏達の様子です。
また、本日2016年9月27日は作中の一部のゲストにとって、
「現実世界における重要な記念日」でもあります。
何の事かは、全て見ておられる方はすぐに解る筈。それでは特別編、幕開けです。
それは、二学期が始まって一か月が経とうとしていたある日の夜だった。
「へぇ、学園にはこんな場所があったのか…。」
その日、真耶から地下のM-38号室に資料を持ってきて欲しいと頼まれ、
学園の地下を歩いていた一夏。渡された地図に依ると、
目的地は生徒がまず来る事のない場所だった。
「ここかぁ。さて、と…!」
一夏が部屋の扉を開けると、照明が消えていた。
廊下の照明で、辛うじて部屋の中が見える程度だった。
「山田先生、頼まれてた資料を持ってきましたよ!」
一夏が声を掛けるが、反応は無い。そして、次の瞬間!
バタン!!
「!!」
部屋の扉が閉まり、一夏は真っ暗闇に包まれた。
「?!」
そして、一夏の背後から何物かが近寄る。
「?!!」
振り返る間もなく一夏は首筋を叩かれ、一撃でノックアウトされた。
「う、うう…。 !!」
真上から照らす照明で一夏が目を覚ますと、体は椅子に縛られていた。
「な、何なんだ一体…」
訳が分からない一夏、その時である!
ブゥオオオオオオォォォォォォォ…
「法螺貝…?」
突如響き渡る法螺貝の音。そして、銅鑼の音に合わせ、
5文字のホログラムが空中に現れた。
「禁断の宴にようこそ、織斑一夏君!」
そして、部屋中に謎の女の声が木霊した。
その声は一夏にとって、聞き覚えがある物だった。
「誰だ?!って、この声どこかで……まさか!」
「フッフッフッフッフッフ…照明オン!!」
太鼓の音が鳴り、部屋の照明が点灯。一夏の目の前に現れたのは…
「な、何だこりゃ?!」
『織斑一夏にサービス対決』の看板を掲げた舞台とカーテン。
そして壇上には、牛を思わせる高露出度の衣装を着た真耶。
事情が読めない一夏を無視して真耶がマイクを手に語り始めた。
「遂に始まりました、『織斑一夏にサービス対決』!!
進行は私、山田真耶です!!内容は各自自由。
織斑君を最も楽しませた人が勝ちです!!」
「……え?え?何ですか?!何なんですかこれ?!!」
全身ごと椅子を揺らして説明を求める一夏に、
真耶は顔を赤らめてこう答えた。
「これは秘密の対決です。早速始めましょう。
エントリーナンバー1番、篠ノ之箒さんです!!」
真耶の声でカーテンが開き、ステージに襖が現れる。
衾越しに映るのは、鹿威し、梅の花、そしてススキに満月。
箒が好きそうなデザインだ。
そして襖が開くと…立っていたのは箒。
その出で立ちは肩と膝から下を露出した
巫女装束ベースの衣装に白いニーソックス。
頭からは狐の耳を生やし、狐の尻尾をつけている。
確かに、神社の娘らしいコスプレだ。
「ほ、箒?」
「あ、余りジロジロ見ないでくれ…。」
「そ、そう言ってもな……」
幼馴染が初めて見せる姿に、一夏も目が離せない。
「と、とにかく一夏!!もてなしてやるからステージに上がって来い!!!!」
「あ、ああ…」
拘束がリモコン操作で解除され、言われるがまま箒の目の前に正座する一夏。
「「………………………………………。」」
相対したはいいが、二人共言葉が出ない。
気まずい空気の中、一夏は箒にこう尋ねた。
「で、その恰好はなんだ?」
「これか?これは、その、狐の、巫女だ……。」
なぜか動く耳。どんな原理かは、敢えて聞かないでおこう。
「でも、その…こうして見てると…撫でて見たくなるな。」
「う、あまりじろじろ見るな…。」
一夏が見ていたのは、箒のタプンタプンの胸の谷間だった。
尚、箒は視線を逸らしているので一夏が何処を見ているか気付いていない。
「す、済まん…。」
「そうか…そうだ、一夏、茶でも飲むか?」
「あ、ああ。」
早速緑茶を淹れる箒。箒が言うもてなしとはお茶の事の様だ。
「ど、どうだ?上手く淹れられたか?」
「うん。旨いぞ。」
「そ、そうか!お替りならまだあるぞ!」
「あ、ああ。頼む。」
「解った、ちょっと待ってろ。」
再び一夏の湯呑に緑茶を淹れる箒。一夏が湯呑を取ろうとした瞬間、
箒と手が触れあった。
「ッ!!」
箒は驚いて一瞬だけ身を竦め、茶が撥ねて一夏の太股にかかってしまった。
「熱っ!」
「あああっ!!すまない、大丈夫か!?」
「あぁ、大丈夫だ……」
箒は慌てて布巾で茶のかかった部分を拭く。
この体勢だと、一夏の眼前に肌蹴られた箒の胸元が。
一夏はじっと見ていたが、はっと我に返り大きく顔を逸らす。
「すまない……大丈夫だったか?」
落ち込んでいるのか耳は垂れてしまっている。
被っている耳は感情に応じて動くらしい。
「こんな格好をするのは、初めてだから…
その…恥ずかしくてだな…緊張しきりなんだ…。」
やはり箒も恥ずかしいらしい。良く見ると少し目が潤んでいる。
「いや、仕方ないと思うぞ…。」
「な、なあ一夏…お前はどう思う、この格好は…?」
「その、なんだ…似合ってると思うぞ。」
当たり障りのない返答だったが、箒は嬉しいらしく、
その言葉を聞いて一夏の手を握りしめた。
「本当か?!」
「あ、あぁ…。」
「なら、何で目を逸らすんだ?」
「そ、それは…」
一夏は箒の方を向くに向けない。
なぜなら箒の豊満な胸が嫌でも目に入ってくるから。
箒が一夏を向かせようとしたとき、大きな銅鑼が鳴り響いた。
「はーい、時間でーす!!」
「そんな!!早すぎるのでは?!」
「ごめんなさーい、後が閊えてますので…。」
諦めがついたのかため息一つついて立ち上がった。一夏もそれに続く。
「ああ、そうだ!」
「ど、どうした?」
「一回だけ…触らせてくれないか?」
「え…ええええ?」
箒は何を勘違いしたのか、胸を手で庇う。
「その…そこじゃなくて、被り物の耳をふにふにさせてくれ。」
「あ、ああ…」
一夏は被り物の耳をふにふにした。
「おお、ふにふにだな。」
何だか恥ずかしそうな箒。
すると、一度舞台が消灯。箒はどこかへ連れ去られていった。
再び照明が付くと先程とは違い、賑やかなクラブの様な装いになっていた。
ミラーボールの照明があたりを照らす中、中央にはビリヤード台が置かれ、
その前にはバニーガール姿のセシリアが立っていた。
「せ、セシリア…?」
「一夏さん。ワタクシの一流のサービスに酔いしれて下さいな♪」
「…なあ、これは一体何なんだ?」
「まだ秘密ですわ。今回はビリヤードで遊んで頂きますわ。」
「ビリヤード?俺、やった事無いんだけど…?」
「ご安心下さいませ。ワタクシが教えて差し上げますわ。」
セシリアはボールをセットし、キューを構えた。
「まずはキューを構えて……打ち抜きます!!」
セシリアのブレイクショット。見事に的球は散って行く。
「そして、番号の小さい的球から順にポケットに…!」
台に乗ったり、前かがみになったりと
扇情的な体勢で的球を的確に落としていくセシリア。
余程練習を積んだのか、あるいは日頃からやり慣れていたのか。
ボディラインがはっきり見える衣装の為か、
一夏は台よりセシリアに見とれている。
「へぇ、上手いなぁ。」
「それ程でもありませんわ。ああ!しまった~!」
最後に9番を落とそうとしたセシリアだが、球はポケット手前で止まった。
「一夏さんの番ですわ。」
「あぁ。アレを落とせばいいんだよな…。」
「一夏さん、そんなに硬くなっていてはいけませんわ…」
セシリアは背中から抱き付く様に一夏にくっつく。
当然、一夏の背中にはセシリアの胸がムギュッと張り付いてしまっている。
「せ、セシリア…当たってるんだけど…。」
「一夏さん、集中して下さいな…。」
「うう、集中できないんだけど…。」
「なっ…何て不埒な!!」「篠ノ之さん、立つと危ないですよ!!」
後方で箒がいちゃもんをつけるが、真耶に窘められてしまっている。
「もっと肩の力を抜いて…右手はこの位置取りですわよ。」
ワザと耳元で囁くので意識せざるを得ない一夏はもっと体を固くしてしまう。
「さ、この位置で真っ直ぐに突いてくださいな。」
「おう……」
一夏の打ち出したボールはゆっくりと進み、9番の的球に真っ直ぐ当たる。
的球はそのままポケットに落ちて行った。
直後、真耶が銅鑼を慣らして時間切れを告げた。
「はぁい、タイムアップでーす!!」
「流石ですわ、一夏さん!!」
「あぁ!セシリアが教えてくれたおかげだな、今度またやろうぜ!」
「はい!今度は二人きりで…(消灯)あら?」
「(点灯)うわわぁ!!照明付くの早すぎるよぉ!!」
舞台の下からシャルの声が聞こえてきた。
どうやら、この舞台はエレベーター型になっており、
セシリアのいる舞台の下から喫茶店風のステージがせり上がって来る。
シャルもそこにいる様だ。
「今度はシャル?!一体どうなってるんだ?!」
シャルの衣装はふわふわの綿毛で包まれたビキニタイプの水着だ。
だが、何がモデルか解らない。
「シャル、えーと、その恰好は…?」
「これ?これはフレンチプードルだよ。それより一夏、楽しんでもらえてる?」
「あ、ああ……」
「僕はクッキー焼いてきたんだ。一緒に食べよ。ほら、座って座って。」
シャルロットに手を引かれ、席に着いた一夏の目の前に座り、
封を開けると焼きたてクッキーの香ばしい香りが一夏の鼻を刺激する。
「いい匂いだな……」
「でしょ?結構自信作なんだ。」
この一品を作る為にクッキーを数枚ごとに生地の配分を変更して焼き、
それを後で自分で処理することになったシャルロットは
一夏にクッキーを差し出した。
「ほら一夏、目を瞑って口開けて。」
「あぁ、分かった…。」
言われるがまま目を閉じて口を開ける一夏。
それを確認したシャルロットはそのままクッキーを咥えると……
「んっ…………」
シャルはクッキーを口移しで食べさせる積もりだ。
「「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」
それを見た箒とセシリアが悲鳴を上げる。流石にこれは我慢できないようだ。
「な、何だ?」
思わず一夏が目を開けると、クッキーを咥えるシャルが目の前にいた。
「なっ?!」
驚いた一夏が立ち上がるとその拍子にクッキーが弾かれる。
クッキーは何とシャルの胸の谷間にすっぽりと挟まってしまった。
「「「「………………………………………………………」」」」
いきなりの事に固まってしまった一同。
「ねえ、一夏…」
少し目を潤ませたシャルロットは自分の乳房を持ち上げると一夏に寄せた。
「ひょっとして…こっちの方が……良いの?」
「…………………は?」
すると、突如舞台中に笛の音が響いた。
「レッドカードです!!デュノアさん、退場!!」
どうやらシャルは超えてはいけない一線を越えてしまった様だ。
審判役の真耶がレッドカードを出した。
「えええええええ~っ!!!」
シャルロット、あえなく箒とセシリアに強制連行。
そして…
「待たせたな、我が未来の旦那よ!」
セシリアの時を思わせるミラーボールとカラフルな照明に照らされた舞台。
その中にバニーガール姿のラウラがいた。
その横には、夢の字が掲げられた巨大なカプセルトイ。
「次はラウラか…で、お前はどうやってもてなしてくれるんだ?」
「うむ、これから一夏には一緒にダーツをして貰おうと思ってな!!
只のダーツでは無いぞ、景品付きだ!!」
見ると、カプセルトイの向こうにはダーツの的が。
「では、試しに一投げしてやろう!!」
ラウラが矢を一投げすると見事に中心に命中。
するとカプセルトイが作動、カプセルが一つ転がり出た。
ラウラがカプセルを手に取り、開けると何枚かの紙の綴りが。
「見ろ!食堂の回数券1週間分だ!!」
どうやら、景品も本格的な様だ。
「へえ、それじゃ俺も…そーれっ!」
一夏もダーツを投げると、見事にラウラの投げた矢の隣に突き刺さった。
それに合わせてカプセルトイからもカプセルが1つ。
「さて…何が入ってるのかな?」
少し固いカプセルを開けると…。
「……スク水?」
「らうら」と書かれたスク水だった。つまり…。
「なっ!?」
これはラウラの私物のスク水だった。
「ななななな何故私の水着がっ!!」
「ご免なさい。予算の関係上
景品の一部はボーデヴィッヒさんの私物を拝借させて頂きました。」
「山田先生?!何て事を?!」
「だ、だって~!!ああ、もう…タイムアーップ!!」
「ちょっとぉぉぉおおお!!!(消灯)」
こんな感じで宴は続いていくのだが…
その頃、学園の最重要危険物は何をしているかと言うと…?
フランス共和国 リヨン市
「「「「「「リヨンよ、私達は帰って来たぁ!!!」」」」」」
3か月前、ラウラ捕縛任務に同行したばっかりになのはに叩き潰され、
ベルリンの軍病院で治療とリハビリに明け暮れていた帝国華撃団…ではなく
「あの敗北から3か月、長かった…まさか飯田少佐が国家代表を首にされ、
あの女が後釜に就くなんて、何て時代ですの?!」
「全く、思い出すだけでも腹が立つわ!!
私なんか、胸を揉みしだかれたのよ!あの屈辱、絶対に忘れないわ!!」
「増してや、自分の価値観だけで善悪を裁く所業、許す訳にはいきません!!
父の遺影を破って踏み躙った蛮行からも見て、奴は根っからの悪党です!!」
セクハラされた隊長のマリアと言い、
父の遺影を破られた上踏み躙られたさくらと言い、
なのはに対する隊員達の恨みは甚大だ。
「でも冤罪は事実だったじゃねえかよ…
しかも連続切り裂き魔を退治してパリ警視総監から感謝状貰ってるし…
おまけに西の奴等から防衛軍のIS部門を護ったって、
アイツ、軍部じゃ英雄扱いって話だぜ?」
「そこが頭の痛い所よ。
ハァ…私達はこれから奴とどう向き合うべきなのかしら?」
「でも、悪い話だけやないで!
遂に来月から、ウチ等にも第3世代機が配備されるんや!!」
紅蘭の言う通り、10月からICPO-ICDにも
R・リヴァイヴに替わりタイフーンが配備される。
何せ作っているのは彼女達の直属の上司、
アルフォンス・ドニエール事務総長の娘婿の会社だ。
優先順位が高いのは当然の事だろう。
「そうデース!つまり来月からは訓練漬けの日が続きマース!
皆、落ち込んでないで気を引き締めないといけないのデース!!」
「そうね…早く新型に慣れて、
一刻も早くかつての体制に復帰しないといけないわ。」
(春麗前隊長が中国に帰った穴、何としても私達で埋めなければ!)
「そうそう!前向きに前向きに!」
と、大分気持ちを持ち直した一同。しかし、悲劇は突如やって来た。
「20th anniversary POWEEEEEEEEEER!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
何者が謎の雄叫びと共に上から降ってきた。
「「「「「「うわあああああああああああああああああ!!!!!」」」」」」
「な、何?何者?!」
土煙が収まると、そこにいたのは…
「やあ。」
「「「「「「ギィヤァァァァッ!!暴走核弾頭だぁーーーっ!!!」」」」」」
3か月前自分達を酷い目に遭わせた張本人が再び。その場で腰を抜かす一同。
「な、何で?!何でリヨンに暴走核弾頭が?!」
「うおおおおお今日はサク○大戦発売20周年で、しかも一夏君の誕生日なの!
よって同時に祝ってやるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」
ガシッ!!!
「「「「「ギャーッ!!!」」」」」
なのはは遠隔部分展開で隊員を掴み、そのままワープ。
どこへともなく消え去った。
「……アレ? 何でワタシだけ置いてきぼりデスカ?」
そして置いてきぼりを食らう織姫。どこまでも扱いの悪い織姫であった。
そして、学園では…
「ま、待て、落ち着け!!話せば解る!!」
一夏がダーツの矢で壁に貼り付けられていた。
その前には怒りの専用機持ち5人衆。
「ダーツの的になりたい様だな…。(ゴゴゴゴゴゴ」
何が起きたのか。本来、最後に控えていた鈴音が一夏をもてなす筈だったが、
気が付いた時には、一夏は猫モチーフのビキニ姿の楯無に押し倒されていた。
どうやら本人は、妹の簪の件で一夏と話し合いたい様だったが、
そこに衣装を奪われ、マッパで毛布に包まった鈴音が奇襲を仕掛け、話は中断。
更に他の4人も駆けつけ、されるがままだった一夏に嫉妬したラウラが
一夏に矢を投げつけた結果、こんな状況になってしまった。と、そこへ…
「はーい!!皆さん壇上に上がって下さい!!
ラストイベントが残っています!!」
真耶がマイクで呼びかけた。
壇上前の一夏の周りに皆が集まるがその表情には疑問の色が浮かんでいる。
「これで全員では……?」
箒が疑いの目をして呟くが、
直後、大量のクラッカーとファンファーレが鳴り響く。
そして、ステージ中央が照明で照らされ床がせり上がると
そこから現れた人物に全員が驚愕した。
「…………………………………………。」
現れたのは千冬だった。しかも、メイド服だ。
性格からして絶対に着る事の無い衣装だが、彼女は見事に着こなしている。
しかし、彼女はこの衣装が不満の様で、その表情は不機嫌そのものだった。
「ち、千冬姉…?」
「何も言うなよ、何か言ったら殺すぞ。」
本当に殺す気満々の表情に全員が固まった。
千冬は一夏の前に立つと、左手に持つパフェを一掬いし、口元に突き出した。
「一夏、口を開けろ。」
「……はい。」
一夏が口を開くと同時に千冬がスプーンを口にねじ込み、
未だ混乱している一夏に食わせた。
その瞬間、『織斑一夏にサービス対決』の文字が
『織斑一夏バースデーパーティー』に替わった。
「「「「「「ハッピーバースデー!!!一夏!!!」」」」」」
いつの間にか一夏を取り囲んだ皆が笑顔でクラッカーを鳴らして祝う。
一夏もようやく今日が何の日なのかを思い出した。
「…あ、そう言えば!!俺、今日誕生日だった!!すっかり忘れてた!!」
今日は一夏の16回目の誕生日。何と一夏はその事をすっかり忘れていた。
漸く事の真相を知った一夏。直後、奴はやって来た。
「Happy birthday POWEEEEEEEEEEEER!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオン!!
毎度お馴染み、何者が謎の雄叫びを上げて上から降ってきた。
「「「「「うわあああああああああああああああああああ!!!!!」」」」」
勿論、降りて来たのはなのはだ。その手には高価そうな誕生日ケーキ。
何とパリの一流店でこの日の為に調達した特注のケーキだ。
「おおおおおおおお一夏君16回目の誕生日おめでとうなの!!!
ついでに帝国華撃団も快気祝いと発売20周年を祝ってやるから
ありがたく思うのぉぉっ!!!」
見ると、確かに織姫以外のICPO-ICDの5人が
アームで掴まれたまま宙に浮いていた。
「「「「「離してぇーーーーーーーーっ!!!」」」」」
「って、誰だこの人達はーっ!!」
「た、高町さん?!これはもしかしなくても、その…誘か」「What?!」
「ヒィッ!!!」
最早様式美となったやり取りである。
「千冬ーッ!!助けてぇーっ!!」
解放されるや否や、真っ先に千冬に泣きついたICPO-ICD一同。
「んん?何だ、タチバナか。お前等、何しに来た?
まさか…またラウラを捕まえに来たのか?」
まるで彼女を知っているかのような態度の千冬だが、
それもその筈、マリアとカンナは束及びあずさと同じく
千冬とは高校の同級生の間柄にあった。
ついでに言うと、さくらと紅蘭は真耶及び律子の同級生、
すみれはその1期後輩である。
そして置いてきぼりにされた織姫はそのまた1期後輩で、
真及び千早と同期である。
「違うわよ!!暴走核弾頭に連れて来られたの!!
貴女が担任なんでしょ?!何とかしてー!!」
「無茶を言うな。それと、私は今機嫌が悪いから話しかけるな。」
「ナンデ?!って、千冬?…その衣装、何?」
千冬のメイド服に気が付いたICPO-ICD一同。その反応は…
「ダッヒャッヒャッヒャッヒャ!!
千冬がwww千冬がwwwメイド服www似合わねぇwww」
「千冬…貴女、随分はっちゃけてるのねwww」
「ブリュンヒルデのwwwメイド服www」
「千冬さんがwww千冬さんがwww」
「こうして見ると、千冬はん胸デカいなwww」
普段の千冬では絶対に有り得ない出で立ちに、
事情を知らないICPO-ICDは転げ回って大爆笑。
だが、それは今の千冬の前では最もしてはいけない行為だった。
ビキィッ!!!
「!!」
血管の浮かぶ音に驚いてICD一同がぎこちなく千冬に向き直ると…
「貴様等… そ ん な に 死 に た い の か ?(#^ω^)ビキビキ」
「「「「「ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイイ((((((((;゚Д゚)))))))ガクガクブルブル」」」」」
千冬が引き攣った笑顔で指を鳴らす。今更震え上がった所でもう手遅れ。
「千冬先生…私も手伝うの。
私のワンオフ・アビリティはこういう時、とっても役に立つの。」
「そうだったな、好きにしろ。
この馬鹿共をもっと良い女にしてリヨンに帰してやらねばな。」
「ちょ、ま、待って!!」「止めてー!!暴力反対!!」
「千冬、お願い止めて!!それは普通に犯罪なのよー!!」
「ヒイイイイ、ごめんなさい、もうしません、許してー!!!」
「真耶ーっ、止めてーっ!!千冬さんを止め…っていない!!」
これから起こる惨事を予想したのか、
真耶と一夏達生徒一同はいつの間にか逃亡していた。
「本当にか?」
「はい?」
「今一度問うが、貴様等…本当にすまないという気持ちがあるのか?」
「そ、それは勿論ですわ!」
「なんかよく解らないけど、
大方イベントで着たくもない服を着せられて不機嫌だったとか、
そう言う事なんでしょ?!」
「そうかそうか。では、高町に判定して貰おう。貴様はどう思う?」
「それなら…。」
黙ってシバかれるの!
「「「「「ナンデ?!」」」」」
「良く解った。では…」
千冬は出席簿を取り出した。
「ヒイイイイイ、お助けー!!って、あれ…動けない…。」
なのははフープバインドでICD隊員を拘束。さあ、お仕置きの時間だ。
「一瞬で終わる、耐えぬ方が身の為だ。」
「「「「「イヤアアアアアアアアアアアアアアアアア((((((((;TДT)))))))ガクガクブルブル」」」」」
さくらは号泣した。
すみれは卒倒した。
マリアは弁解した。
カンナは絶望した。
紅蘭は命乞いした。
そして、誰も許されなかった。
「この…馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!」
SPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPAPANK!!!!
「「「「「ぴゃああああああああああああああああああああーっ!!」」」」」
M-38号室に戦女神の逆鱗に触れた哀れな乙女共の悲鳴が木霊した。
数分後…
「では改めて、織斑君、誕生日おめでとう!!」
皆いつもの服装に着替え、
バースデーケーキを囲んで食堂で一夏の誕生日を祝っていた。
「結局、こういう事だったのか…たかが誕生日に大げさだなぁ…ハハハ…。」
「お前は毎年、自分の誕生日を忘れていたからな。」
「だから、皆で驚かせようってなった訳!」
「せっかくですから、思い出に残るような事にしようと思って。」
「たかがじゃないよ。大切な日だよ!!」
「あの格好は私の案だ。上級のもてなしだと副長に聞いてな。」
かわるがわる説明する専用機持ち一同。
「そう言う事か…でも、皆ありがとな!」
「それにしても、千冬先生のメイド服は大好評だったの!!
あとは笑顔だけなの!!」
「…………………。(無言でなのはを睨む)」
「⌒*(◎谷◎)*⌒」
「うっ…悪かった。」
「でも、千冬姉までよくあんな格好を…。」
「むむむ…。」
「こうして千冬姉と誕生日を一緒に過ごすの、随分と久しぶりだなぁ…
子供の時以来じゃね?」
「ま、まぁ…そう言う事になるな。」
「んん?何か言った?」
「何も言っとらん!」
と、ここで真耶がこう切り出した。
「所で、織斑君。今日は誰が一番良かったですか?」
「ええと…?」
「「「「「!!」」」」」
つまり、本日のMVPを選べと言う事だ。
「「「「「…………………………………………………………………。」」」」」
一同に緊張が走る。果たして、一夏の回答は…。
「そ、それじゃ、ちふ…」
「但し!!」
千冬姉、と言いかけた瞬間、なのはが一喝して制止した。
「選択肢はあの5人の中からだけなの!!
専用機持ち5人の中から1人を選ぶの!!」
「えええっ?ナンデ?!」
「(おお!高町さんナイス!!)」
真耶がファインプレーを称賛。あのまま千冬を選んでいたら、
一夏は専用機持ちの嫉妬心を買い、袋叩きにされていただろう。
「何でって…答えは簡単なの!!
この5人は、一夏君と恋人になりたがっているからなの!!
「こ、こい…恋人ぉぉぉぉ?!!」
思いもよらぬ単語が飛び出し、仰天する一夏。
「如何にも!!ラウラの言葉がいい例なの!!
この娘が一夏君を旦那呼ばわりしていると言う事は、
いつか一夏君に本当に旦那になって欲しいと言う考えが有るからなの!!」
皆が心の中で思っていた事をありのまま曝け出したなのは。
だが、時期尚早に過ぎないか?堪らず箒がなのはに耳打ちした。
「(な、なのはさん?!いきなりそこまで踏み込むのは…)」
「(良いの!!ああ言う鈍感な男には、
はっきりと言葉にしないと思いは伝わらないのっ!!
私はそれで苦労したから、皆には同じ轍を踏ませる事は出来ないの!!)」
「(確かにその通りですけど…一夏を見て下さい!!)」
「???」
一夏はこちらに背を向け、頭を抱えていた。
彼はかつて、ひと夏の思い出を作ったとある人物の言葉を思い出していた。
『君の周りの女の子の中には、
君と恋人になりたがっている娘がいるかもしれない。』
まさか3か月にも満たない内に
その選択を迫られる事になろうとは思ってもいなかった様だ。
「あー、ひょっとして私、何かトラウマでも思い出させちゃった…のかな?」
「いや、そういう訳では無いかと…」
なのはも一夏の尋常ならざる様子に、ちょっとだけ不安を覚えた。
「お、おい!一夏!!大丈夫か?!!」
堪らず千冬が駆け寄る。振り返る一夏は真っ青になっていた。
そして、一言こう叫んでしまった。
「いや無理だって!!無理無理無理無理!!
この中から今すぐ恋人を選ぶとか無理だろ!!」
一夏、まさかの回答拒否。
「「「「「……………………。」」」」」
「だってそうだろ!!この中から一人を選んだりしたら、
選んだ瞬間俺は残りの4人にボコられるに決まってるだろ!!」
いくら切羽詰っているとはいえ、そこで逃げの一手は無いだろう。
一夏は最悪の返答をしてしまった。
「お、織斑君?ここで選ぶのは、
『5人の中で誰のもてなしが最高だったか』であって、
ここで5人の中から恋人を選べとは一言も言っていないんですけど…。」
「………………………えっ?」
「私があの様に言ったのは、
選択肢を絞らないと千冬先生を選んでしまうだろうから、
千冬先生を選択肢から除く為に釘を刺しただけなの!!」
一夏、痛恨のミス。さあ、修羅場の幕開けだ。
「一夏…」
「な、何だ?」
どすの利いた鈴音の声に反応してギ、ギ、ギとぎこちなく振り返ると…
「お前は…」「ワタクシ達を…」「そんな人間だと…」「思っていたのだな…」
言わんこっちゃない、
怒り心頭の専用機持ちが真っ赤なオーラを出して睨んでいた。
「え?え、え、ええええ?!!」
「一夏…お前は極めつけの阿呆だな…。」
呆れた千冬が一言呟く。その瞬間、5人の怒りは爆発した。
「「「「「馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!」」」」」
「ひょんげぇ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」
結局、一夏は専用機持ちに袋叩きにされ、専用機持ちもなのはに鎮圧された。
おまけ
「皆何処デスカ?!何処へ行ったのデスカ!!
どうしてワタシだけ置いてきぼりなのデスカ!!」
その頃、織姫は仲間を探して泣いていた。
と言う訳で、一夏の16回目の誕生日と、
現実世界におけるサクラ大戦シリーズ発売20周年記念の特別編でした。
そうです。作者がサクラ大戦シリーズの主要キャラを
ライバルチームという美味しいポストにつけたのは、
「一夏の誕生日と第1作目の発売日が同じ9月27日だから」という
偶然の一致があったからなのです。
えっ?一人忘れている?えーと、ほら…彼女は「2」からの加入だし…