魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
あんなキャラやそんなキャラも新たに登場し、戦いはますます激化します。
果たして、なのはは、そして一夏達は生き残れるのか?
第2章、「2学期編」始まります。
第1話 紅の 椿で祝う 新学期 前編
2学期に突入したIS学園。
夏休みを隔てて久しぶりに会ったクラスメート達は相変わらずで、
特に変わったという者も見られない。
それは1年1組の教師2人も同じで、
特に1学期と変わる事無く新学期の幕が開けるのだった。
と、言いたいところだが…
「「「「「…………………………………………………………………。」」」」」
講堂に集まった生徒達は緊張の面持ちだった。何故なら…
「さて、全校生徒の皆さん!!
私がこの学園の生徒会長『だった』更識楯無です!!
本日皆を集めたのは他でもありません。
今学期より、私に替わる新しい生徒会長が誕生した事を報告させて頂く為、
こうして皆に集まって貰いました!」
その言葉にざわつく生徒達。
IS学園の生徒会長はどうやって選ばれるかを考えれば、
楯無に取って代わり得る存在など、たった一人しかいない。
「新しい生徒会長って…」
「絶対、あの人だよね?」「うん、私もそう思う。」
「うわぁ…」
「それでは、紹介します!1年1組所属、
日本国代表操縦者、高町なのはさんです!どうぞ!!」
「なのおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
楯無の紹介と同時に、なのはが上から降ってきた。
「「「「「うわあああああああああああああああああああ!!!!!」」」」」
「私が今紹介を受けた新生徒会長、1年1組所属、高町なのはなの!!!
昨今、『我が校に対する当人の合意なき干渉は禁止』
というIICの定めた取り決めは有名無実化し、
国際社会からの不当な干渉が罷り通っている悲しい現実があるの!!
しかしッッ!!私が生徒会長として生徒の代表者となったからには
その様な事はさせないの!!
知っての通り我が校はいかなる国家にも所属しない以上、
事が起こった時我が校が頼れるのは
国際社会から仲裁を義務付けられた日本政府を除き、我が校自身のみ!!
よって私は生徒代表として我が校への不当な干渉に対しては
抗議等の受け身の行為のみならず、積極的に打って出てこれを成敗し、
以て学園と生徒達の安全な学園生活を護る事を約束するのおおぉぉっ!!!
……以上!!!」
マイクも使わずに怒鳴り散らすかのごとく就任演説をぶちあげるなのは。
その迫力に生徒も教員も何も言えなかった。
と言うか、なのははこの時点で1度ならず2度までも
外部からの干渉を叩き潰している。
だからこそ1年生、しかも束と言う国際テロリストの側近が
国家代表にまで成り上がれるのだ。
当人はすると言った事をしているだけなのだが、
それが周囲に与えた衝撃はそれだけ大きかった。
「では、続いて新生徒会メンバーを発表するの!!一同、注目するの!!!」
なのはの頭上にホログラムモニターが、そこに映った新生徒会の全容は…
生徒会長…高町なのは(1年)
副会長…布仏虚(3年)
更識楯無(2年)
織斑一夏(1年)
書記係…ダリル・ケイシー(3年)
フォルテ・サファイア(2年)
布仏本音(1年)
会計係…布仏虚(3年)(副会長と兼任)
役員見習…篠ノ之箒(1年)
セシリア・オルコット(1年)
凰鈴音(1年)
シャルロット・デュノア(1年)
ラウラ・ボーデヴィッヒ(1年)
更識簪(1年)
「えっ、ちょっ…」
「何…だと…!」
「な、何で俺まで…!」
「うっそ~ん…。」
挙げられた名前に驚愕する一同。
特に、ここで初めて名の上がった3年のダリル・ケイシーと
2年のフォルテ・サファイアには青天の霹靂だった。
この2人はそれぞれ米国とギリシャの専用機持ち代表候補生で、
特にダリルは3年生唯一の専用機持ちでもある。
つまり、この一覧で布仏姉妹以外は全員専用機持ちである。
「この通り、副会長と書記係は各学年から1名ずつ選出したの!!
また、専用機持ちの代表候補生には
今後上級生が卒業した際後任として行動できる様、
今の内に役員としてのノウハウを学ばせる為、新たに役員見習のポストを置き、
残った1年生の専用機持ち全員をこの役に任ずるの!!」
なのははこう言っているが、
就任演説で語った内容から考えれば何をしたいのかは一目瞭然だ。
自分を含む11人の全専用機持ちを自身の下で一元管理し、
事が起こった時、外敵討伐の為
自分が率いる学園の実働部隊として運用する積もりなのだ。
つまり、生徒会に名を借りた学園の防衛隊を造りたいのだ。
「これって生徒会執行部と言うより、
(侵入者の)死刑執行部の方が正しい気がする様な…。」
誰が言ったかは知らないが、
この言葉を聞いた者達は皆、言い得て妙だと納得した様子だった。
かくして朝の全校集会が終わり、1組の教室に入ると…
「「「「「高町さん、日本代表操縦者正式決定、
おめでとうございまーす!!」」」」」
「「「「「そして篠ノ之さん、日本代表候補生正式決定おめでとう!」」」」」
「「「「「おめでとー!!!」」」」」
何人かの生徒がなのはの日本国代表操縦者、
及び箒の代表候補生就任正式決定を祝福する言葉を投げかけてきた。
「皆、知ってたのか?!そうか…その、有難う。」
尚、一夏と他の専用機持ち及び2組の鈴音は夏休み中に知らせを受け、
皆でこの事を既に祝っているため、今さら祝福の言葉をかけたりはしない。
と、そこになのはのルームメイトの本音がこう切り出した。
「でもでも~、代表候補生って来月合宿に行かなきゃいけないんでしょ?」
「そうらしいね。」
「……相当、辛いみたいだよ~。」「え?布仏さん、知ってるの?」
珍しく同情的な表情で語る本音。
だが何で本音が合宿の内容を知っているのか?
「うん。私の知り合いの日本代表候補生でね~、
かんちゃん…更識簪って娘が4組にいるんだ~。
これはその娘から聞いたんだけど~……。」
本音の言う通り、日本代表候補生は資格を取得した場合、
毎年10月に1か月の合宿が義務付けられている。
但し、例外としてIS学園の生徒に限っては特記事項に配慮し、参加は任意だ。
だが、現在裁判中の前監督、倉林美也子が
「モンド・グロッソ制覇の最大の功労者」真宮寺一馬の労苦と犠牲をダシに
近接戦偏重訓練をしていたことからも解る通り、
この合宿は刀、槍等の近接兵器こそ至上、
銃火器を用いての戦いは卑怯という思想を徹底的に叩き込む為のもので、
参加しないと先人への侮辱という理由で代表候補生から除名されることも有る。
勿論在校生と言えども例外ではない。任意とはいえ、事実上義務だったのだ。
そうして本音が語る内容に、他の生徒達はドン引きした。
「そんなに厳しいの?」
「そんな事するんだ、それなら代表候補生って、安易になる物じゃないよね…」
「でも織斑先生も山田先生も合宿を受けてあれだけ強くなったんだよね?
なら、行くのは仕方ないのかも…。」
だが、この件に関して箒の方針は決まっていた。
「そうか…その件はもう姉さんから聞いたが、私は行かない事にした。」
「ええっ?!行かないの?!」
「ほら、篠ノ之さんはお姉さんがアレだから…」
「確かにね…合宿とか必要ないよね。」
何人かが束の七光りと誤解したようだ。
だが箒が不参加を決めた理由はそんな物ではない。
「か、勘違いするなよ。私なりに考えて決めたんだ。
私は今日の放課後、初めて専用機を受け取るクチなんだ。
今日貰って来月の合宿に行った所で、
他の代表候補生の足手纏いになってしまうだろう?
だから『私はまだ未熟者故、学園で腕を磨き、
卒業してから改めて合宿に加わります。』
とIICの日本支局に手紙を出してきっぱり断って来たんだ。」
「そ、そうなんだ…。」
「ゴメン…お姉さんの七光りかと思っちゃった。」
「そういう理由なら仕方ないよね。」
「で、なのさんは…」
「私は行くの!!」
「えええ?!行くんですか?!」「凄い厳しいって話ですけど…」
「但し、『教える側』なの!!」
「「「「「…………………………………………………………………。」」」」」
「私はもう国家代表だし、同じ国家代表程度の人から教わる事など無いの!!
寧ろ、そのレベルの人は私から教えを受けるべきなの!!
全盛期の千冬先生が第5世代機に乗って来ない限り、私には勝てないの!!」
傲慢な物言いだが、国家代表を何度も破った実績あっての発言である。
例え千冬でも今のなのはの発言を聞けば頷くしかない。
これには全員反論のしようが無かった。
「そ、そうだよね!あはは…(汗」
「暴走核弾頭さんに教えられる人なんて、
それこそ篠ノ之博士以外に居る訳無いよね。
うん、これはもう仕方ない。」
「そ、そうだ!今日の夜7時から
1組の皆で二人の合格祝いのパーティーをやるんだけど、
2人ともその時間帯は開けといてくれるかな?」
「ああ、いいぞ。」「大丈夫なの!!」
「おっと、先生だ。席に戻ろ。」
「皆、揃っているな?ではSHRを始めよう。」
かくして、IS学園の2学期が始まった。
その日の午後…
2学期初日につきこの日の授業は午前中で終了。午後からは皆自由時間だ。
そんな訳で、生徒達は現在自由時間だが…
第3アリーナには1組の専用機持ちと箒と鈴音、そして千冬が集結していた。
そして、その前には…
「じゃじゃーん!!皆、待ったー?!束さんだよー!!」
いつもながらハイテンションの束、千冬はウンザリした様子で見つめていた。
「解ったから早く本題に映れ、この阿呆兎。」
「おおおおおん♥その蔑むような目が堪らない!!」
「そうか、なら高町に睨んで貰え。」
「ヤダ!なーちゃんのはガチで怖いから!!」
「⌒*(◎谷◎)*⌒」じ~…。
「アヒィーッ!!」
「ハァ…馬鹿やってないで、さっさと紅椿を披露してやれ。」
「解ったよ。それじゃモッピー、カモン!!」
「「「「「「(モッピー…?)」」」」」」
束が紅椿を呼ぶ。そして、次の瞬間…
「モッピイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィーッ!!!」
奇声を上げて飛んで来たのは、以前千冬が見た通り、
身長60cmの箒を模した2頭身半のにやけ面のぬいぐるみだ。
「「「「「「な、何だーっ?!!」」」」」」
当然、なのは以外の専用機持ちはびっくり仰天。
「……な、何なんだ?このちっこい箒っぽい物体Xは?」
「やあ。紅椿の管制AI『モッピー』だよ。」
「ど、どうも…」
「えーと、つまり、これはなのはさんのヤマトの同類と思えば良いと…?」
「そうだよ。」
さて、箒の反応は…
「こ、これは…。い…い…い…」
「良い…。」
「え゛?!」
「これ、可愛い…。」
「「「「「な、ナンダッテー?!!」」」」」
何と、モッピーは箒に矢鱈好評だった。
「ほ、箒?正気か?!どう見ても言動も顔もウザそうなんだけど…」
「そ、そうですわ!!ワタクシ、さっきから嫌な予感しかしませんわ!!」
「私も同意見だ。何というか、凄く不吉だ…。」
こんな感じで口々に不安を語る一同だが、箒には全く届いていない様子だ。
「う、うるさいっ!!可愛い物は可愛いんだ!!
文句が有るなら相手に成るぞ!!!」
「な、何ですってー!!」
一触即発の危機に陥る一同。しかし、こんな時は彼女の出番である。
「…………なんなの?(ゴゴゴゴ」「⌒*(◎谷◎)*⌒ それ以上いけないの。」
我等が暴走核弾頭、満を持して抑止力発動である。
「「「「「お、お許しを~~~~!!」」」」」
「やれやれ…。さあ、モッピー、こっちに来い。その…抱っこしてやろう。」
「イエース。」
そして、モッピーは箒に後ろから抱きかかえられる。
この体勢だと後頭部に箒の胸が当たる事に成る。
つまり、今のモッピーは胸囲90オーバーの女子高生が
後頭部に胸を押し付けてくれると言う大変羨ましい状態にあった。
「うむ、フカフカだな…。(ナデナデ」
「モッピー知ってるよ、箒おばさんの胸はすっごい弾力だって事。」
「お、おば…さん?」
ご存知の通り、箒は今年の七夕に16歳になったばかりである。
どう考えてもおばさん呼ばわりされる年代ではない。
「ちょ、えーと、流石にそれは怒られるんじゃないかな…。」
「そんな事無いよ。モッピー知ってるよ。
親の姉妹は何歳でも『おばさん』だって事。
束博士はモッピーの親だから、
その妹の箒おばさんはモッピーにとって『叔母さん』なんだよ。」
「よしよし、良く知ってるなモッピー。いい子だ。(ナデナデ」
おばさん呼ばわりされても怒るどころか、寧ろ褒める程だ。
余程モッピーを気に入ったのだろう。
「箒…俺、お前のセンスが解らなくなって来た。」
「私もだ。やっぱり、これも篠ノ之の血が為せる技なのか?」
「ま、まあ…本人が気に入って居るのであれば、良いんじゃないでしょうか?」
「うんうん!気に言って貰えて何よりだよ!!」
「はい、有難うございます!!」
かつて劣等感を抱いていた偉大な姉とすっかり打ち解けている箒。
もしも半年前の本人が見たら、確実に卒倒するだろう。
「それじゃ、箒ちゃん!早速最適化してレッツ、ファーストシフト!!」
「はい、やりましょう!!」
次回、第4世代機から第5世代機2号機へと生まれ変わった紅椿が
力の片鱗を学園に示します。果たして、その性能は如何程か?