魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録   作:ピロッチ

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お待たせしました。丸二週間ぶりの投稿です。


第6話  新たな生贄は台風の目に 前編

 遂に姿を現した国際武器密売組織「亡国機業(ファントム・タスク)」。

その刺客として学園に忍び込んだ構成員オータムとMを捕えたなのはだったが、

Mの素顔を暴いた時、恐ろしい事実を本人が語った。

彼女は自らを千冬の妹「織斑真十夏(マドカ)」と名乗り、

一夏に対し私が私である為に死んで貰うと告げるや、銃を向ける。

だが、マドカはヤマトの電撃でKOされ、大事には至らなかった。

 

 更に、なのははオータムから亡国機業の情報を聞き出そうとするが、

一構成員に過ぎないオータムが知っている事実は余りにも少なかった。

なのはは匙を投げ、警視庁に連絡して引き渡そうとしたが、そこに謎の落雷が。

済んでの所でなのはが防ぎ切ったが、なのははその正体に覚えが有った。

 

 15年前、自身が魔導の道に入った元凶にして、

最大の友フェイトの母、プレシア・テスタロッサ。

彼女は表向き国際IS委員会(IIC)常任理事にして次期理事長、

サンドラ・リーバーマンを名乗っていたが、

同時に亡国機業のナンバー2、幹部会副議長という要職にもあった。

 

 ホログラムモニター越しに対峙したなのはに対し、

プレシアは衝撃的な事実を告げる。

それは、亡国機業の首領は織斑姉弟の両親、春三と千秋の二頭制であり、

かつて不治の病で明日をも知れぬ身体であったプレシアを病から救ったのも、

この二人の意向であるという物だった。

 

 

 

「なん……だと………?」

 

 驚きを隠せない織斑姉弟。

自分達を置いて消え去り、陰鬱な青春時代を送る元凶となった両親が、

あの時自分達が倒すと誓った組織の首領だったという真実は、

それだけ衝撃が大きかったのだ。

 

「ま、まさかあいつ等…そんな所で…!!」

 

「俺達を捨てて、テロリストの親玉なんかになってたのか?」

 

 そして、その真実を聞いたなのはの反応は…

 

「そんな所だろうと思ったの!!大方、自分の子を道具扱いする者同士

馬が合ったんでしょ?いい機会だから、きっちり〆てやるの!!

たかが国際機関を牛耳っている程度で、この私に敵うと思った浅はかさを

悔やむ前に息の根を止めてやるの!!覚悟するの!!」

 

『やれる物ならやってみるが良い!!

そっちこそ、世界を敵に回した愚かさを思い知る事になるのよ!!』

 

「上等なの!!勝って世界を総取りしてやるの!!

こっちはいつでもいいから、好きな時に掛かって来るの!!」

 

『減らず口を…後悔する事になるわよ!!』

 

 かくして通信が切れ、15年前の怨霊との再会は終了した。

 

「やれやれ…とんだ再会だったの!!」

 

「お、おいなのは…お前の言うプレシア・テスタロッサは、

IICの次期理事長ではないか!お前…本気でやるのか?!」

 

「勿論なの!!先生も腹を括るの!!

心配無用なの、一度勝った相手に後れは取らないの!!」

 

「そ、そうか…いいだろう!私もブリュンヒルデだ。

やれるだけの事はやってやる!!」

 

「俺だって!!」

 

「さて、それじゃ…この2人をどうするかなの!!」

 

 なのはは2人の操縦者、オータムとマドカを見て今後の予定を思案する。

 

「うむ、オータムとやらは米国に引き渡すとして、

問題はマドカだな。こいつには積もる話がある。」

 

「それはその通りなの。彼女は事情聴取の間、

鍵付きの空き部屋に監禁するのが妥当なの!!

それと、このトイレットペーパー=サン(偽名の苗字、巻紙から)は

米国では無く英国に引き渡すのが良いと判断するの!!」

 

「理由は?」

 

「亡国機業の実働部隊は米国に本拠があると言ったからなの!!

米国に引き渡すと、匿われる可能性があるの!!

いくらミスしたからって、IS操縦者をおいそれと粛清する事は出来ないの!!

だから、英国への引き渡しを提言するの!!」

 

「うむ、そう言う事ならそうするべきだな。

理事長と轡木代理にもそう提言しておこう。」

 

 かくして、乱入騒ぎは幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 そして翌朝…

 

「さて、先日の亡国機業襲撃は皆も知ってると思うけど、

連中の本拠は未だ解らずじまいなの!!解り次第早速殴り込みをかけるから、

それに備えて、今日から専用機持ちは全員鍛錬に参加するの!!」

 

 なのはの前には学園の専用機持ち10人が集められていた。

 

「何で私まで…」「だ、だりぃ…」「いい迷惑っス…」「(お姉ちゃん…)」

 

 今回から加わるのは以下の4人。

前生徒会長で現副会長の更識楯無とその妹の簪。

3年生唯一の専用機持ち、米国代表候補生の俺っ娘ダリル・ケイシー。

そのルームメイトで2年生、ギリシャ代表候補生のフォルテ・サファイアだ。

 

 そして、このダリルとフォルテのコンビはイージスコンビの愛称と共に

学園きっての実力者として有名だ。

尤も、代表と代表候補生の差を考えると楯無程の実力はない。

 

 そんな訳で連れて来られた4人、簪以外は不満たらたらだ。

何たって1年生の専用機持ちの朝練の過酷さは、

授業がウォーミングアップにしかならないレベルと有名だからだ。

 

「………なんか上級生程やる気が感じられないのはなんなの?

そんな人は危ない補習をするの!!」

 

「「「「ビクッ!!」」」」

 

 危ない補習の言葉に猛烈に嫌な予感がする4人であった。

 

「さて、それでは朝練を始める前に、簪とシャルは前に出るの!!」

 

「「!!」」

 

 突然簪とシャルを呼び出すなのは。その理由は明白だ。

 

「2人の専用機が遂に完成したので、ここで引き渡すの!!

まず、これはR・リヴァイヴ・カスタムⅡに替わるシャルの専用機、

タイフーンCカスタムなの!!」

 

 夏休みのお披露目デモの一件の後、改めてお披露目をやり直したタイフーン。

その結果、EUは「この機体こそ制式機に相応しい」と認め、

晴れてタイフーンは欧州統合防衛計画(イグニッション・プラン)の制式機となった。

 

 これにより、フランス代表候補生のシャルも政府から専用機の新調を命じられ、

今までのR・リヴァイヴ・カスタムⅡに替わる新専用機、

タイフーンCカスタム(以下、タイフーンCC)がこの度支給された。

勿論、CカスタムのCは本名シャルロットの頭文字だ。

 

「これが…僕の新しい相棒…。」

 

 待機状態の姿は今までと変わらない。だが、中身は今までとは格段に違う。

シャルは手にしただけで、その違いが感じられる様な錯覚を覚えた。

遂に彼女も、箒以外の代表候補生と同じ第3世代機持ちとなったのだ。

 

「次は簪の番なの!!これが待ちに待った打鉄弐式なの!!」

 

「……ゴクリ!」

 

 倉持技研と簪が半ばまで組み立て、ヤマトの人工知能が仕上げを施した

タイフーンに続く世界第二の量産型第3世代機、打鉄弐式。

最終的な組み立てを簪が済ませた後、

データ提供の為倉持技研に渡していた機体が、この度簪の下に戻ってきたのだ。

 

「最適化は束さんが済ませたから、早速展開するの!!」

 

「コクン…来て、打鉄弐式!」

 

 簪の声に応え、打鉄弐式が展開された。

 

「これがタイフーンに続く量産型第3世代機…打鉄弐式か。」

 

「IS発祥国の面目躍如と言った所だな、

本当ならこの機体が世界初の量産型第3世代機になる筈だったんだからな。」

 

「ああ…だが、その座を奪ったタイフーンは姉さん直々の設計…

仕上げをヤマトのAIが担当したとはいえ、

どこまで差を縮められたのだろうか。」

 

 他の代表候補生のコメントを余所に、

なのはは打鉄弐式の武装のチェックを始める。

 

「じゃあ、先ずは荷電粒子砲からなの!!

近接グレネードを展開するから、それを撃ってみるの!!」

 

「はい!『春雷』展開良し…エネルギー充填、正常!」

 

 最初は試射なので、時間をかけて動作を点検しながら準備を進める。

異常がない事を確認すると、なのははダミーの波動爆雷を上空に遠隔展開した。

 

「じゃあ、実際に標的を射つの!!標的展開!!」

 

「はい、照準セット…発射!!」

 

 放たれた荷電粒子ビームは標的を一発で捉え、跡形もなく消し去った。

これで出力と精度は設計通りだと確認された。

 

「次は連射するの!!砲身の異常には気を付けるの!!」

 

「はい!!」

 

 ダミーの波動爆雷計12発が次々と上空に展開され、簪がそれを狙い撃つ。

次々とビームが標的を捉え、蒸発させていく。

簪も代表候補生の端くれ、一発のミスも無く標的に命中させ、

12発の標的を僅か6秒で消し去った。

 

「発射速度は毎秒2発程度か…

このクラスの荷電粒子砲なら妥当なの!!問題は、砲身の耐久性なの!!」

 

 遠距離戦の主兵装だけに、砲身のチェックは特に厳重に行われる。

だが、砲身に異常は見当たらない。つまり、春雷は設計通りと確認されたのだ。

 

「各部異常なし…ヤマトの設計通りという事がはっきりしたの!!」

 

「はい、春雷は完璧に作動してます!」

 

「ならば、次は近接用の薙刀を試すの!!」

 

 簪は超振動薙刀『夢現』を展開して構える。

標的はバリアを張ったヤマトのアームだ。

 

「では、行きます!」

 

 簪はアームに切り払い、突き、振り下ろしなどあらゆる方向から

夢現を振るう。勿論、オクタコアの大出力シールドは

シングルコアISの薙刀程度で破れる物ではないが…

 

「一発当たり平均ダメージは160…

ヤマト曰く150前後が目標だったけど、それ以上の結果を出しているの!!」

 

 夢現は想定以上の攻撃性能を出せるらしい。

 

「では最後はミサイルのチェックなの!!

打鉄弐式の目玉、ミサイル64発の同時制御は完璧か、実際に試すの!!」

 

「はい!」

 

 打鉄弐式の最大の武装、それは八連装ミサイルランチャー「山嵐」。

当初の倉持技研の予定では打鉄弐式はこれを6基搭載し、

第3世代技術マルチロックオンシステムで

最大48の標的に射ち放し型ミサイルを発射出来る予定だったのだが、

肝心のシステムが出来ず、通常通りのシステムで妥協する予定だった。

 

 所が、人工知能の補助を得ている束はそれ以上の

マルチロックオンシステムを実用化。その最初の搭載機ヤマトには驚くなかれ、

最大256目標を攻撃できるシステムを搭載したのだ。

当然、ヤマト自身もその原理を知っている為、打鉄弐式の拡張領域(バススロット)を考え、

4分の1の64目標を攻撃できる簡易型を搭載させたのだ。

その為、ミサイルの数がシステムに追いつかず、

当初の6基搭載の予定を急遽8基に増設して数を揃える事になった。

 

 本来の3分の4倍に性能を引き上げられたマルチロックオン・システム。

果たして、設計通りに動くのか?

 

「では、ミサイル64発の一斉ロックオンを実際に試すの!!

出でよコスモファルコン!!」

 

 なのはは短刀型に量子変換されたコスモファルコンを上空に放り投げる。

32機のコスモファルコンが一斉に展開され、上空で編隊を組んで待機。

 

「あの機体から、2発ずつダミーのミサイルを発射するの!!

それを見事射ち落として見せるの!!…全機投弾!!」

 

 号令一下、コスモファルコンがマイクロミサイルを発射。

空中で量子変換が解け、空対空ミサイルに戻るとバラバラの方向に飛んでいく。

 

「目標、上空の空対空ミサイル…64発、全弾ロック!!」

 

 次第に自信が付いたのか、簪も知らず知らずの内に口元に笑みが浮かぶ。

やれる。今の自分なら、全て落とせる。

 

「山嵐、全弾発射!!」

 

 閃光と白煙と共に、射ち放しミサイル全64発を発射、

ミサイルは上空の空対空ミサイルを捉え、次々と命中。上空に爆炎が広がる。

 

「命中弾57…58…59…60…61…62…63…。」

 

 そして、最後の一発の命中を確認。

簪はISよりはるかに小さいミサイル相手に、64発全弾を命中させてのけた。

 

「こ、こいつは凄ぇ…!」

 

「これなら、姉さんの作ったタイフーンに対抗できるかも知れんぞ…。」

 

「それだけではありませんわ。これを形にしたヤマトの人工知能が、

完成直後より着実に進化していると言う事の証明でもありますわ。」

 

「大変結構なの!!マルチロックオンシステムは完璧に作動したの!!」

 

「はい、ありがとうございます…!

これで…山嵐が万全の性能で使えます!」

 

「もう機体は問題ないの!!後は人間が機体に付いて来れるかの問題なの!!」

 

「…はい!」

 

 簪の方は問題ない事が確認された。

次はシャルの新専用機、タイフーンCCの番だ。




作中の打鉄弐式は量産機の扱いですが、
本当にそうなのかははっきりしていないです。
でも「量産機の2型」を意味する名前が付いているなら、
量産を意識していると考えるのは…自然…ですよね。

追伸

活動報告にて重要な発表が有ります。詳細はそちらで。
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