魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
結局、無人ISゴーレムⅠの出現によってトーナメント所ではなくなり、
クラス対抗戦は中止に。
当然優勝賞品であるスイーツ無料パスも無くなり、
全学年の女子は悲しみに包まれた。
そして、4月も末となり、GWが差し迫ったある日の事…
「さあ一夏君、今日からは空間認識能力と分割思考能力を鍛えるの!!
近接特化型スピードタイプの白式を操る以上、
ファイトスタイルは一撃離脱戦法有るのみ!!
しかも燃費が悪いから切り札の零落白夜の使用を制限する可能性がある
相も変わらず大音声でまくし立てるなのは。喉は大丈夫か?
そして、なのはの前には…
「(何で私まで…)」
「(もう…慣れましたわ…)」
「(誰か助けて…)」
「(2組なのに…)」
一夏とセシリアに加え、箒と鈴音の幼馴染コンビもいた。と言うのも束から
「箒の誕生日に専用機をプレゼントしたいから、
それまでに少しでも鍛えてやって欲しい。
尚、この事は当人には当日まで内緒にしておいて欲しい。」
と新たな指令が来た為である。
ついでに同じ専用機持ちの鈴音も強引に鍛錬に参加する事に。
「よって
周囲の状況を素早く把握する力と、高速飛行・立体機動・広い戦闘視野の3つを
並列して考える力を付けなければならないの!!」
「同時に3つの事を並行して考えるのかよ…
それ1つ考えただけで頭が痛くなってきた。」
大丈夫か?
「ワタクシは英国で事前に訓練を受けてますから、4つまでなら出来ますわ!」
「甘いの、セシリアは本体と同時にBT兵器の操作も出来ないといけないから、
最低7つの分割思考が必要なの!!」
「はうあっ!」
セシリア・オルコット、藪を突いて蛇ならぬ悪魔を出した瞬間である。
「ううっ…代表候補生の名誉に賭けてやり遂げて見せますわ!」
「アタシは…3つが限度ね。」
「私は…2つがやっとか…。」
「安心するの!!!分割思考は鍛えればいくらでも増やせるの!!!」
「マジか…あ、そうだ。なのはさんは分割思考どれくらいできるんだ?」
「ああ、アタシも気になる!」
「私の場合は平均して37、8程度。自己ベストは40なの!!」
「「「「うっそだぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!」」」」
アクセルシューターを同時に32発操作できる天才は格が違った。
分割思考を小学生の頃から鍛え続けた結果である。
しかし、信じて貰えなかった様だ。
そしてこういう時、なのはの反応はおのずと決まっている。
弾幕倍増な゛の゛!
さあ、地獄開始だ。
「どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!」
「「「「アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」」」」
数分後、クレーターだらけのアリーナに
専用機持ち+箒の4人が無残な姿で転がっていた。
そしてその日の朝のSHRで、真耶がこう切り出した。
「皆さん!本日朗報があります!このクラスに2名の転校生が来ました!」
この時期に入ってくる転校生といえば、恐らく国外の代表候補生だろう。
「1人はドイツから、もう1人はフランスからです!
それでは、入ってきて下さい!!」
教室のドアが開かれて入ってきた2人。
片方は銀髪隻眼の少女だ。だが、もう片方は…
「え、あの金髪の子、まさか…男?」
「綺麗…」
「ウホッ! いい男…」
そう、フランスから来た転校生が着ている制服は男子用の制服だったのだ。
「シャルル・デュノアです、フランスから来ました。」
見た目は女の子でも通る金髪の男子、男子にしては小柄な方なので、
女子から見れば守ってあげたくなるタイプの男の娘だ。
更に真耶からこんなフォローが。
「皆さん苗字で予想がついたと思いますが、
デュノア君は欧州一のISメーカー、彼のデュノア社の御曹司です。」
デュノア社とはフランスはリヨンに本社を置く欧州一のISメーカーである。
現CEOのロベルト・デュノアはシャルルの父親であった。
「…と言っても、ここでの僕はただの生徒です。
同級生として接してくれれば、それで十分です。
皆さん、どうぞ宜しくお願いします。」
自己紹介が終わった瞬間…
「「「「「きゃああああああああああああああああああああああ!!」」」」」
「男の子よ!2人目の男の子!!」
「しかも! 織斑君とは別の守ってあげたくなる系!!」
「おまけに大企業の御曹司!!」
「え?じゃあ、もしかして玉の輿のワンチャン?!!」
「何それヤバい!!」
「ああそうだ、えっと…こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いたんだけど…」
(って、誰も聞いてないよー。)
誰も聞いていない。
寧ろ男にしては妙に高い声が更に歓声を呼んでしまう結果になってしまった。
「鎮まれ、鎮まれーっ!!」
で、結局千冬が一喝して鎮静化させた。
一方、ドイツから来た転校生はと言うと…。
「おいボーデヴィッヒよ、お前も挨拶しろ。」
「はい。ドイツ代表候補生…ボーデヴィッヒ…ラウラ・ボーデヴィッヒです。」
「(あれ?あのドイツの子…あの子に似てるなぁ。)」
あの子とは、狂気の人造人間ジェイル・スカリエッティに造られて
JS事件に関わり、今は後輩のスバル・ナカジマの実家に引き取られた
失明した目が右か左かの違いを除けば、ラウラはチンクと声まで酷似していた。
「まあ自己紹介はこんなもので良いだろう。では、2人共席に着け。」
「「はい。」」
そして、2人が所定の席まで移動しようとした時…
フヨフヨフヨフヨ…
「あっ…。」
なのは専用機がラウラに近づき…
じ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~…
「な、何だこのぬいぐるみは?」
なぜかラウラの顔をじーっと見つめるなのは専用機。
なのは専用機のAIはチンクの事を知識として知っている。
そして、チンクは本人の知らない所でどう呼ばれているかも当然知っている。
なのは専用機がチンクにそっくりなラウラを見たら、
まず最初に言う事は一つしかない。
「どーもはじめまして、かずのこごごうさん!」
「か、数の子5号?!」
「「「「「!!!!!!」」」」」
「か、数の子…5号だと…?」
なのは専用機の一言を一夏が教室中に聞こえる声で繰り返してしまった。
予想もしなかった一言に全員目が点になり、教室が沈黙する。直後…
ドッ!!!
一夏の一言で教室は大爆笑に包まれた。
「数の子w数の子ってwww」「これはwww予想外wwwですわwww」
「一夏wwwお前もwww腕を上げたなwww」
「おwww織斑君www酷いよwww」「早く謝ったげてwww」
「皆さん、静かにして下さい!こんな事してると織斑先生に…織斑先生…?」
唯一笑うのを堪えた真耶が皆を鎮めようとするが、聞こえていない様だ。
こんな時、真っ先に場を鎮静化させるべき千冬はと言うと…
「かwwwずwwwwのwwwwこwwwwごwwwwごwwwwうwww」
大爆笑していた。
あまりにもミスマッチなあだ名が千冬のツボに嵌ってしまったらしい。
「役立たず!!」
しかし、そんな状況で黙っている者が約一名。
あまりにもあんまりなあだ名がラウラの逆鱗に触れてしまった様だ。
全身を震わせて俯くラウラ。
「こ、このぬいぐるみが…」
ラウラは顔を上げ、
赤面して目に涙を浮かべてなのは専用機に殴りかかろうと拳を握りしめた。
「私は…」
「ちょっ…待て!!言ったのはこいつだぞ、俺は悪くねぇ!!」
「
「やめて!!避けられたら俺が…」
「なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああい!!!」
BAGOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!
「おべりばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああっ!!」
なのは専用機は済んでの所で回避した。
その結果、ラウラの渾身の右アッパーは延長線上の先にいた一夏を直撃し、
一夏は天井にめり込んでしまった。
「し、しまったぁぁぁぁああああ!!
私はなんて事を…(何物かが肩に手を置く)はうあっ!!」
背後から強烈な殺気。恐怖に震えながら振り返ると…
「ラウラ・ボーデヴィッヒ…」
いつの間に復帰したのか、顔の上半分に影の差した素敵な笑顔で
千冬がラウラの肩に手を置いていた。
なんか物凄い力を込めているのは気のせいだろう。
「貴様、転入早々我が愛しの弟を殴るとはいい度胸だな…(#^ω^)ビキビキ」
ブラコンは笑いすら凌駕する。恐ろしい事実である。
「痛だだだ!!…違うんです教官!私はそんなつもりじゃ!」
「ああ、知っている。でも今はそんな事はどうでも良い、重要な事ではない。」
「と、いうと…?」
「今重要なのは弟を殴った貴様をどう〆るかだ。
さあ始めよう、地獄のアンシュルスを…」
「そんなあああああああああああああああああああああああああああーッ!!」
ラウラを小脇に抱えながら教室を出て行った千冬。
残された生徒達に真耶が予定を伝える。
「ええと…これから2組との合同実習です!
皆さんも遅れない様に準備して下さいね!織斑先生、待ってー!!」
慌てて教室を出る真耶。後に残るのはこの惨劇に呆気にとられる生徒達。
「わーお、ないすあっぱー。(ポン)あっ…」
見上げると、なのは専用機の頭の上になのはが手を置いていた。
「ねえ…解ってるよね?(黒い笑み」「お、おゆるしをー。」
「却下。(頭部を握り潰す)」「ぐえーっ!」
「お、降ろしてー!!」
そして、その間一夏は天井から降ろして貰えず、ジタバタしていたという。
原作では平手打ちで済んだのに、もっと酷い目に遭った一夏。
でも、この日の彼の受難はこれで終わらない。