魔法戦記リリカルなのはIS 高町なのはのIS学園見聞録 作:ピロッチ
それでは通算第72話、始まります。
「な…あの阿呆兎…何をしに来た?!!」
突如降臨した束。一体全体どうやって忍び込んだのだろうか?
いや、そんな事より何をする気なのだろうか?
『さて、そろそろかな~?』
束が時計を確認すると…
轟音と共に各アリーナに何かが降り立ち砂埃を巻き上げた。
「な、何だぁ!?」「え、ちょ…何!?」「おお、これはまさか…」
BEEP! BEEP! BEEP! BEEP!
「非常事態発生!非常事態発生!!
観客席の皆さんは直ちに避難して下さい!!繰り返し…(ポコッ☆)おうっ!」
直後、アリーナに非常警報と真耶のアナウンスが響き渡ったが、
唐突に掻き消されてしまった。
「な、何だ、何がどうなってるんだ?」
『はーい、皆ちゅーもーく!!』
アナウンスの声が真耶から束に切り替わる。放送室を乗っ取られたのだ。
『第2回戦は、勝手ながらこの束さんが競技を発表しまーす!!
気になる内容はぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!
そう!!ここにある最新式の無人IS、ゴーレムⅢとの組手だよー!!
その機体を破ってコアを奪い取ったペア4組が
勝者として準決勝に進出できるから、張り切って戦おう!!』
「「「「「な、ナンダッテー!!」」」」」
「あ、あ、あ…あの阿呆兎がっ!!」
千冬と一夏、本音ペアは一直線に放送室へ向かったが…
「あ、あら…?」
『ちーちゃん、ざーんねーん!来ると予想してたから、
別の所に移動して実況してるよーん!』
なんと放送室はもぬけの殻。いるのは頭にタンコブを造り、
エビフライめいてぐるぐる巻きにされて吊るされていた真耶だった。
「は、謀られた…!」
と、ここで千冬の携帯が鳴った。
「はい、織斑です…はい、はい…!!んなっ、本当ですか理事長?!
ですがなぜ…はぁ…そう言う事なら…分かりました、その様に致します。」
どうやら高木理事長かららしい。携帯を切った千冬は大きく溜息をつく。
「ど、どうしたんだ?!」
「理事長から連絡があった…今回のサプライズは理事会の許可を得た物なので、
大会はこのまま続行するとの事だ。さっきの非常放送は、
真耶が早とちりして流してしまった誤報として片づけるとの事だ。」
「マジで?!」
「おおおー、楽しそうだねー!」
「それじゃ、俺等は行ってくる!」
「あ、ああ…頑張れ。」
一夏、本音ペアがピットへ向かうのを見送ると、
千冬はその背後で再度ため息をついた。
一方その頃アリーナでは…
『えー、こちらは生徒会です。先程理事会から連絡が有りました。
只今の非常放送は誤報です!!繰り返します、先程の非常放送は誤報です!!
降り立った無人機は、理事会の許可を得た正規のサプライズです!!
繰り返します、只今の無人機は理事会の許可を得た正規のサプライズです!!
非常事態ではありませんので、このままトーナメントを続行します!!』
生徒会長代理の虚からのアナウンスが流れる中、
乗機を展開し、第2アリーナに降り立った一夏と本音ペア。
アリーナには既に一応の対戦相手である音無小鳥・千川ちひろの教員ペアと、
標的である無人機ゴーレムⅢが降りている。
その外観はゴーレムⅠより女性的で、塗装も黒一色から赤と黒の二色になり、
右腕はブレード、左腕は熱線砲を備える巨大アームを備えていた。
「音無先生、遅くなりました!」
「ああ織斑君、待ってましたよ!」
「どうもすいません。千冬姉と一緒に束さんを捕まえに行ってまして…」
「逃げられちゃったんだよね~。」
「うん、予想通りの行動ね。」
「にしても、束さんどうやって理事会の許可を取ったんでしょうね?」
「さあ?」
「正直、余り知りたくもないですしね。」
「兎に角、これが理事会の許可を得た正規の試合である以上、
高町さんの助けは受けられません。
私達だけでこの無人機を倒さないといけないって事です、頑張りましょう!」
『それじゃ、いってみよー!!第2回戦、スタートー!!』
「よし、短期決戦で終わらせてやる!!早速いくぜ、零落白夜!!」
一夏は先手必勝とばかりに零落白夜を発動、金色の光を放ちながら
「こっちも負けてられません!!」
教員ペアも短期決戦を考えていたのか、ミサイル斉射で畳みかける。
しかし、最新式は以前とは勝手が違う。
「え、ちょ…?!」
ゴーレムⅢは瞬時加速で後退し、攻撃を躱した。
「えええっ?!無人機が瞬時加速?!」
予想外の瞬時加速で出鼻を挫かれ、両ペアとも大きな隙を晒す。
勿論ゴーレムⅢは左腕の熱線砲で応戦、ミサイルは悉く迎撃され、
小鳥も被弾してSEを削られた。
「くっ、ここまで進歩しているなんて…。音無先生、大丈夫ですか?」
「大丈夫です!でもSEは7割にされましたけど…。」
一夏も零落白夜の影響でSEを少なからず消費している。
やはり時間はかけられない。
「おりむー、まだ動けるよね?」
「ああ、大丈夫だ!」
まだまだ勝負はこれからだ。一夏達は仕切り直して
再度ゴーレムⅢへ向かっていくのであった。
一方その頃第1アリーナでは鈴音・ティナとエドワース・菜月の両ペアが
ゴーレムⅢに相対し、鈴音が先頭で剣戟戦に持ち込んでいた。
「ハイヤーッ!!」
鈴音が双天牙月で斬り掛かると、火花と金属音と共に
ゴーレムⅢの右腕ブレードで止められるが、隙を突いて龍咆で追撃を仕掛け、
よろけた拍子にそのままピット内の壁まで蹴り飛ばした。
「全く1学期の時と言い、何でこの学園は行事の度に邪魔が入るのよ!!」
文句を言いながら更に龍咆を連射する。これがゴーレムⅠなら
当たれば確実に破壊できたただろうが、
ゴーレムⅢは背部ユニットから黒い球体を展開すると、
球体がバリアーを発生させ、龍咆を食い止めた。
「バリアーを張った?!まさかシールドビット?!
あんなのまで持ってるなんて、それなら…」
「リン、先生達がミサイルで援護するから、そこから動かないでって!!」
「…くっ、分かったわ!」
鈴音が再度斬り込もうとしたが、ティナからの声でその場に留まる。
直後、鈴音の背後からエドワース・菜月の教員ペアがミサイルを斉射。
ミサイルは全てゴーレムⅢに着弾し、大爆発。
「おお、凄い威力!これなら効いたんじゃない?」
しかし、ゴーレムⅢは炎の中から脱出した。
「嘘?!仕留めきれなかった?!」
「ミサイルも駄目なの?!これじゃ隙がないじゃない!!」
だがよく見ると、一部のパーツが欠落している。
ノーダメージと言う訳では無い様だ。
「多少は効き目が有ったみたいね…。
まさか無人機ともう1度戦う事に成るなんて思わなかったわ。
こんな事なら、崩山を装備しとけば良かった!」
「リン、これ絶対ミス・タカマチが考えたんだと思うわ!篠ノ之博士に頼んで、
自分抜きでこれを倒せる様になれって試練じゃない?」
「そう言えば聞いたけど、高町さんは
『教員勢が自分におんぶに抱っこで役に立ってない』って言ってたとか。」
「言ってたわ。文句を言えないのが辛い所ね…。」
「何でもいいけど、手負いの今なら何とか!」
一区切りがつき、改めて仕切り直して相対する両ペア。
尚、第3アリーナでは箒・静寐と虚・ダリルの両ペアが、
第4アリーナではセシリア・清香と楯無・薫子の両ペアが当たっている。
そして、1回戦で敗れたペアは2ペアずつ1つのアリーナに付き、
周囲の警備と安全確認に当たっていた。
そして、第2アリーナに戻ると…
「うおおおおっ、そこだぁ!!」
尚も交戦を続ける一夏達。だがゴーレムⅢの機動力に翻弄され気味だった。
何せ有効打が零落白夜しかなく、回数に制限が有るので迂闊には使えない。
そこで牽制の為に本音と教員ペアが銃火器で援護するのだが、
Gの制限を気にしなくて済む無人機ならではの機動で悉く回避。
更にシールドビットも展開し、当たりそうな攻撃は悉く弾いてしまう。
「あれだけの機動力に加えて、バリアーも備えてあるなんて…!!」
と言っているとゴーレムⅢが地上に向けて巨大な左腕を向け、
掌にある四つの砲門から熱線を放つ。
「おまけにこれだけの火力もあるなんて…!!」
何とか躱す4人。しかし、切り札の一夏のSEを考えると長期戦は出来ない。
「流石は篠ノ之博士直々に開発した機体…。やはり手強い…!!」
「考えてみれば、ルール上向こうは専用機持ちを含む4人に
単機で挑まなければならないんだから、高性能なのは当たり前か…。」
「どうします?」
「それなら…二重瞬時加速で突っ込みます!!
いくらあれでも、二重瞬時加速には追い付けないと思いますから…。」
「SEは大丈夫なの?」
「はい、一発決まれば!」
「それなら、この場で一番SEには余裕が有るから私が囮になるよ。」
「それじゃ、行動を開始しましょう!」
小鳥の号令で早速行動開始。
本音が正面から突っ込んで近接ブレードで斬りかかるが、
当然ビットを展開してバリアを張り、阻まれてしまう。
しかし、本音は直ぐに目線で一夏に合図を出した。
「よし、今だ!!」
一夏は二重瞬時加速を発動。一気にゴーレムⅢに突っ込んで斬りかかると
そのまま吹き飛ばされ、更に教員ペアの無反動砲の一撃を浴びた。
「これは効いた…よね~?」
「どうだろうか?」
次の瞬間、煙の中からゴーレムⅢが飛び出し本音に熱線砲を向ける。
「しまっ…まだ動けるの?!!」
「危ない!!」
次の瞬間、一夏が後方に弾き飛ばされる。
瞬時加速で本音の前に出た一夏が熱線砲の直撃を受けたのだ。
「お、おりむー!!」
無惨に転がる一夏、果たして、彼の安否は…?
???
「あれ?…ここは?」
ふと目が覚めた一夏、そこは夕暮れの湖上だった。
「そうだった、俺は直撃を食らって…じゃあ、ここは…」
だとしたら、ここは死後の世界なのか?自分は死んだのか?
「いいえ、貴方は生きていますよ、織斑一夏。」「!!」
不意に何者かの声、振り返ると…
「白…騎士?」
そこにいたのは白いISを纏った女。顔はバイザーで隠れて見えないが、
彼女が纏うISはこの世で最も有名なIS、
全てのISの起源、白騎士そのものだった。
そして、白騎士を操れるのはこの世にただ一人。あのISを纏っているのは…
「そこにいるのは、千冬姉…なのか?」
「いいえ、私は織斑千冬ではありません。姿を借りているだけです。
さて、貴方に聞きたい。貴方は、力を欲しますか?」
一夏は、無言で頷いた。
「それは、何の為に?」
「そうだな…友達を、いや、仲間を護る為かな?」
「仲間を…。」
「ああ。俺は見たんだよ。
世の中には戦わなければ生き残れない場面や理不尽な暴力がいっぱいある事を。
だから俺は仲間を、そんな理不尽から護ってやりたいんだ。」
「そうですか…ならば、貴方には力を得る資格がある。
さあ、貴方の目覚めを待っている者がいる。もう行きなさい。」
「行くって、どこへ行けばいいんだ?
それに、あんなの食らったらもうSEなんて…」
「大丈夫、ここは夢の世界。貴方が夢から覚めれば、この世界から出られます。
そして、SEの事は心配無用です。何故なら…………だからです。」
「! 本当に?!」
「はい。夢から覚めれば、すぐに分かります。
詳しい事は、己の眼で確かめると良いでしょう。」
「そうだったのか…ありがとな、ええと…」
一夏の意識が戻りつつあるのか、白騎士の姿が徐々に薄れていく。
ふと、おもむろに白騎士はバイザーを開けて素顔を晒した。
そこには本人の言った通り、千冬の顔が。
「私は白式。貴方の専用機です。この姿は、かつての私の姿を模した物。
私のコアは、かつて白騎士と呼ばれたISのコアが使われているのです。
さあ、夢から覚め、新たな力を携えて、共に行きましょう。」
そう言うと、白騎士=白式の姿は虚空に消えた。次の瞬間…
「あっ…」
一夏は意識を取り戻した。仰向けで寝ていた一夏の視界に青空が映る。
「本当に、夢だったんだな…。」
「お、おりむー?無事だったの?」
「…ハッ!!のほほんさん!!今状況はどうなってる?!」
「えーと、音無先生がやられちゃったよ。ちひろ先生も私ももうボロボロ。」
「そっか、待たせてゴメン!今なら何とか出来そうだから、
ちょっとケリ付けてくる!!」
一夏は飛び起きると、ゴーレムⅢの下へ飛んで行った。
「ちょっ、おりむー?アレ?何かおかしいな?」
その頃、小鳥をKOされて後がないちひろは…
「参りましたね、音無先生はともかく、
有効打を撃てる織斑君がやられるなんて…。
所で、両方ともやられたらどっちが勝つ事になるんでしょうか…。」
と、どうでも良い事に考えを巡らせていると…
何と後方から謎の砲撃が直撃。ゴーレムⅢは右腕が吹き飛んでしまった。
「え?え?!何事?!!」
「千川先生、無事ですか?!」「あ、はい、無事で…す…あ、あれ?」
一夏の姿を見た時、ちひろは言葉が詰まってしまった。
何故なら白式の姿が以前と変わっていたのだ。
「あ、あの…織斑君?何で…無事だった…
と言うか…機体の形が変わってませんか?」
「はい、こいつが…白式が土壇場で二次移行してくれました!!
新しい名前は雪羅、雪の羅刹です!!」
白式、まさかの二次移行到達。さあ、一転攻勢の時は来た。
福音戦をスルーした事で遅れていた白式の二次移行ですが、
ここで漸く到達しました。
肝心の戦闘力ですが、なのはが基礎訓練を施した為、
原作の同時期よりも大きく向上しています。
次回、「第21話 雪羅見参」
果たして、雪羅の力は如何に?そして、トーナメントの結末は…?
おまけ
10/23中に活動報告を投稿します。
どうでもいい質問がありますので、暇な方は御回答お願いします。